海外ドラマスペシャルコラム

アメリカTVのスペシャリストがドラマの魅力や見どころを語ります!

Vol.12 本国アメリカで発売された「フェリシティの青春」DVD問題もあるが特典の数々にはスタッフの愛情が!

4月といえば日本で学校の新学年が始まる月だが、スーパーチャンネルが4月5日から番組ファイナルの第4シーズンをCS初放送する「フェリシティの青春」の舞台、UNY(実在するニューヨーク大学=NYUではない、念のため)でも新学年が始まる。大学卒業を前に、医学を学ぶか美術を学ぶかという極端な選択(?)に迫られても、相変わらず可愛いフェリシティ(ケリー・ラッセル)を中心に、おなじみキャラたちのその後が描かれる。音楽も魅力的な本作、筆者はサントラCDの1枚目をLAのサンセット大通りにあるタワー・レコードで買ったが、レジの男性店員に"この番組のキャストはみんなキュートだよねぇ"といきなり言われて驚いたが(彼にとってはベンやノエルも"キュート"なのか?)、それもいい思い出だ。このドラマ、本国では根強い人気があるようで、実は4シーズンすべてがDVD化されている(なお筆者は未入手)。第1シーズンからそれぞれ"Freshman Year(1年生)Collection""Sophomore Year(2年生)Collection""Junior Year(3年生)Collection""Senior Year(4年生)Collection"とタイトルに入っているのがいい。しかも特典が充実している。キャストやクルー(プロデューサーのJ・J・エイブラムスとか)のコメンタリーでは、"本国では第2シーズン、視聴率が少し落ちたが、全米放送したWBネットワークはフェリシティが髪を短く切ったせい(これはエイブラムスとマット・リーヴスのアイディアだった)と判断。他のキャストにしばらく髪を切らせなかった"とか、ファンには楽しいトリビアを満載しているらしい。第2シーズン版にはケリーのオーディションの時の映像も入っているとか! 但しこれらDVD、使われた既存の音楽をDVDに収録する権利が高価すぎて、他の音楽に差し替えられた場面も多いというから、それは残念。とはいえ、作り手たちの愛情が感じられる特典なのはエライ!

【アメリカTVライター 池田敏 2006/03/20】

Vol.11 「犯罪捜査官ネイビーファイル7」を生んだアメリカ海兵隊出身の異色クリエイターとは

スーパーチャンネルが3月10日から第7シーズンを日本初放送する「犯罪捜査官ネイビーファイル」。番組を生んだドナルド・P・ベリサリオは41歳で脚本家デビューした、遅咲きのTVクリエイター。1935年生まれで、父親が営む酒場(ホテルかも)で第二次大戦の帰還兵たちから戦場のことを聞いて育ったベリサリオは1950年代、自分もアメリカ海兵隊に所属。同じ隊には後にJFK暗殺事件を起こす、リー・ハーヴェイ・オズワルドがいた。除隊後、広告業界で働いた後、1970年代にTV界へ転進し、「刑事コジャック」などの脚本を書いたベリサリオは、かつて海軍特殊部隊《シールズ》に所属した主人公を描くトム・セレック主演の「私立探偵マグナム」を企画。だがTV界の反応は“主人公がベトナム帰り?ベトナムにはふれるな”という、ベトナム戦争をタブー視したものだった。しかしベリサリオはベトナム帰還兵が一般人と変わらないことを描こうと企画の実現に奔走。最終的に番組は高視聴率を獲得し、ベリサリオは一流プロデューサーとなった。その後も「超音速攻撃ヘリ/エアーウルフ」「タイムマシーンにお願い」などヒット・ドラマを連発。そして海軍や海兵隊を舞台にした渾身作「ネイビーファイル」にたどり着いたのだ。“軍は平和の維持に必要”と言い切るベリサリオは、政治的にリベラルな人間が多いハリウッドで自分が異端であると認める。だがそれは現在、ベリサリオほど軍人の誇りや責任感を描けるクリエイターが他にいない背景にもなっている。「ネイビーファイル」には数回、オリーというキャラが登場するが、演じるオリヴァー・ノースは何と、イラン=コントラ事件(米政府がニカラグア反政府ゲリラを支援した)の中心人物で、ベリサリオが軍を愛していることを如実に示すエピソードだ。現在は「ネイビーファイル」のスピンオフ“NCIS”も全米で好調なベリサリオ、男のドラマの巨匠としてやはり目が離せない!

【アメリカTVライター 池田敏 2006/02/20】

Vol.10 マーティン・シーンは大統領以上に魅力的!?~「ザ・ホワイトハウス2」

2月19日からスーパーチャンネルで始まる「ザ・ホワイトハウス2」。米国大統領ジェド・バートレット役のマーティン・シーンといえば、映画「地獄の黙示録」でベトナム戦争の最前線に送り込まれる兵士を演じたのが出世作。戦場の狂気を演じた俳優が今や大統領役? いやいや、シーンは当番組だけでなく何度も大統領を演じている。1983年の映画「デッドゾーン」、同年のTVミニ・シリーズ「ケネディ」(JFK役)、1997年のミニ・シリーズ「核弾頭メデューサ」がそうで、あと1995年の映画「アメリカン・プレジデント」(「ザ・ホワイトハウス」を企画したアーロン・ソーキンが脚本を担当)では、大統領補佐官役(!)を演じた。また、1974年にはTVムービー「十月のミサイル」で司法長官時代のロバート・ケネディ役に。民主党のケネディ兄弟を演じた回数が多いが、シーンやバートレットも民主党なのは偶然ではないはず。というかシーン自身、熱心な政治運動家で、当局に逮捕された回数は一説によれば70回以上! 「ザ・ホワイトハウス」出演中も、2001年6月に米国のミサイル防衛システムに反対するデモで逮捕された。そんなシーンと、筆者は2度会っている。1度目は2002年春に「ザ・ホワイトハウス」のセット取材で。シーンのほうから取材陣に握手を求める姿は、まさに大統領ばりで超感激! 2度目は2003年秋のエミー賞授賞式会場の帰途、リムジンを待つシーンとばったり遭遇。私じゃない日本人が仕事と関係なく記念写真を頼んだが(おいおい)、気さくに写ってくれて何とも優しいセレブだった。私の印象からいっても、人間として実にナイスなシーン。彼が演じるバートレットの人間的魅力も理解できる。ちなみに息子の1人、チャーリー・シーンとは映画「ウォール街」、「スピン・シティ」第6シーズン、やはりチャーリー主演のコメディ「Two and a Half Men」(日本未放送)で共演。親子なかよしなのもナイスだ!

【アメリカTVライター 池田敏 2006/01/20】

Vol.9 “死を通じて、よりよい人生を”!? 「シックス・フィート・アンダー2」

来年1月6日からスーパーチャンネルでスタートするドラマ「シックス・フィート・アンダー2」。前シーズンは全米から寄せられた絶賛に違わぬ高いクオリティで、筆者も今からこの続編が大いに楽しみだ。さて、米国では“Six Feet Under: Better Living Through Death”なる本が発売されており、いま筆者の手元にもある。編集したのは番組を生んだクリエイター、アラン・ボールと、彼と製作総指揮をつとめるアラン・ポール(片仮名にすると非常に似た名前だが別人)。内容は、フィッシャー家の番組で見られない一面を明かすもので、文章だけでなく写真が豊富なのがユニーク(デザインもいい)。たとえば、ネイト、デイヴィッド、クレアの子供時代の写真を見ることまで出来るのだ(もっとも奥付によればこれらは演じる俳優、ピーター・クラウス、マイケル・C・ホール、ローレン・アンブローズの子供時代の写真だが)。そしてこの本、アラン・ボールが書いたイントロダクションで始まるが、そこには番組のファンにとって興味深い事実が見つかる。ボールが初めて“死”を意識したのは愛犬フリッツィ(メス)が死んだ時で、フリッツィがその下にいた駐車中の車に他の車がぶつかり、フリッツィはこの世を去ったという。また、ボールは13歳の時、姉メアリー・アンを交通事故で失った。姉が運転する1973年型フォード・ピント(ボールも乗っていた)は見通しが悪い交差点で横から他の車に突っ込まれたそうだ(ナサニエルの事故はこれがモデル!?)。以上を通じてボールはこう考えた。“人は死者のために泣くのではなく、自分のために、また、永遠に続くという感覚を突然失うことに泣くのだ”と。するとこの本の副題“Better Living Through Death(死を通じて、よりよい人生を)”こそ、「シックス・フィート・アンダー(SFU)」の主要テーマなのだと思えてこないか。究極の人間ドラマ「SFU」の新章、やはり目が離せない!

【アメリカTVライター 池田敏 2005/12/20】

Vol.8 『マスコミ・ドラマの醍醐味に期待したい「ブレイキング・ニュース」』

12月2日からスーパーチャンネルがCS初放送するドラマ「ブレイキング・ニュース」は、2002年に全米ケーブル・チャンネルのBRAVO局で放送された。BRAVOは「ザ・ホワイトハウス」「ロー&オーダー」などのドラマ(局自体がNBCの系列なので同ネットワークの作品多し)の再放送や、映画ファンにおなじみの「アクターズ・スタジオ・インタビュー」(「●●●●自らを語る」というあれ)など、比較的硬派な番組が多い局。「ブレイキング・ニュース」も、特ダネを一刻も早くリポートしようとがんばるケーブルのニュース専門チャンネル、《I24(アイ・トウェンティフォー)》の面々を描く硬派のドラマだ。米国TVドラマ史を振り返ると、マスコミを取り上げた番組に佳作が多いことに気づく。1970年代にエミー賞のドラマ・シリーズ作品賞に2度輝いた「事件記者ルー・グラント」は、LAの新聞社で数々の社会問題を追及するグラント(エドワード・アスナー)の奮闘を描いたもの。社会派ドラマの見ごたえたっぷりだった。女性ドラマも、1988年から10シーズン続いたコメディ「TVキャスター マーフィー・ブラウン」が人気だった。主演のキャンディス・バーゲン演じるTVリポーターのマーフィーは私生活はボロボロだが、報道にかける情熱は一級品。日本未放送だが、「ザ・ホワイトハウス」のクリエイター、アーロン・ソーキンが1998~2000年に手がけた「Sports Night(原題)」は、スポーツ専門局CSCの夜のスポーツ・ニュースの舞台裏を描いたコメディ。「ザ・ホワイトハウス」のメイン監督トーマス・シュラムがソーキンと初めて組んだのも本作だ。見渡すと、TVや新聞が面白いならそれを作るプロセスも面白いというストレートな好奇心と共に、米国のドラマ製作者たちがマスコミ業界人に寄せる敬意やシンパシーを、そこに読み取ることができる。ならば「ブレイキング・ニュース」にも期待したくなる次第だ。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/11/20】

Vol.7 『第4シーズンもゲストに期待したい「ER 緊急救命室」』

いよいよ11月10日からスーパーチャンネルで第4シーズンがスタートする「ER 緊急救命室」。内容ぎっしり、見どころ満載のドラマだが、ファンなら毎シーズン充実しているゲスト出演陣にも注目しているはず。先がける第3シーズンは子役時代のキルステン・ダンスト(「スパイダーマン」)、「スター・ウォーズ」前のユアン・マクレガーが出ていて驚いた人も多いのでは? 数えてみたら「ER」、この11年間でエミー賞のゲスト男女優賞に、18人もノミネートを送り込んでいた(前出のマクレガーも候補に)。そして第7シーズンにサリー・フィールド(アカデミー主演女優賞に2度も輝いた名女優)がゲスト女優賞を、第11シーズンにレイ・リオッタがゲスト男優賞を、それぞれ受賞した。さて第4シーズン要注目のゲストはまず、後に“Law & Order: Special Victims Unit”(日本未放送)でゴールデン・グローブ賞を受賞するマリスカ・ハージテイ。グリーン先生と親密になる女性シンシア役だが、ちなみにハージテイ、往年のグラマー女優ジェイン・マンスフィールドの娘でもある。また、医師ウエストに扮するのはスーパーチャンネルの12月の新番組「ブレイキング・ニュース」のキャストの1人、クランシー・ブラウン。海外ドラマ・ファンには、第74話に「サード・ウォッチ」でデイビスを演じるコビー・ベルが、第77話に「OZ/オズ」(ヒル役)「LOST」のハロルド・ペリノーが、第79話他に「CSI:科学捜査班」のニック役ジョージ・イーズが、フレッシュだった頃の顔を見せているのは必見。また第84話にはアカデミー名誉賞に輝くベテラン中のベテラン、ミッキー・ルーニーも登場する。さらに、これまでに引き続いて、後に「サード・ウォッチ」でドクを演じるマイケル・ビーチもアル・ブレ役で出演。人間を描くドラマだからこそ俳優にこだわり、新旧幅広い顔ぶれを集める「ER」。ロングラン人気の理由の一つであろう。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/10/20】

Vol.6 『TV界のアカデミー賞”第57回エミー賞発表!』

9月19日(現地時間18日)、“TV界のアカデミー賞”であるエミー賞の第57回授賞式がLAのシュライン・オーディトリアムで開かれた。最高の権威として双璧をなすのは、式のトリを飾るドラマ・シリーズ作品賞とコメディ・シリーズ作品賞だが、今年は前者を新作「LOST」が、後者を今年9年間のロングランに幕を下ろした「Hey!レイモンド」が、それぞれ受賞した。片や新番組、片や受賞の常連というのは、新旧の作品が入り乱れた今年の賞レースならではだ。もう一つ注目したいのは、久しぶりに全米ネットワークの勢いがケーブル向けチャンネルのそれを上回ったことだろう。但し、来年は「シックス・フィート・アンダー」最終シーズンや「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」新シーズンなど、HBOが再び激戦に参戦してくる!? さてスーパーチャンネルは10月8日14:00から「2005年エミー賞 レッドカーペット・スペシャル」をオンエア。授賞式直前、会場前のレッド・カーペットに集まった出席者が見られるが、やはり気になるのはセレブたちのファッション。オスカー女優ハリー・ベリーから「デスパレートな妻たち」の女優陣5人まで、華やかな顔ぶれは見ものだ。だが今年はハリケーン《カトリーナ》の騒動があったばかりで、そのためか、赤系統の派手なドレスは嫌われたようだ。そんな制約(?)の中、それぞれが競った素晴らしいファッションをぜひ堪能したい。それと、一部に花を飾った出席者がいるのも要注目。某外国人タレントからの受け売りだが、彼らが身につけたモクレンはミシシッピ州とルイジアナ州の州花。やはり《カトリーナ》に被害を受けた人々へのエールを意味しているという。 スーパーチャンネルにまつわる受賞者たちも紹介しよう。「ER 緊急救命室」の第11シーズン(昨年から今年にかけて全米放送)からは、レイ・リオッタがドラマ・シリーズ部門ゲスト男優賞を受賞した。映画「グッドフェローズ」「ハンニバル」などの実力派だが、どんな熱演を見せたのか、日本で見られる日が楽しみだ。また、「サード・ウォッチ2」で救命士ボビーを演じているボビー・カナヴェイルが、「ふたりは友達?ウィル&グレイス」の第7シーズンでコメディ・シリーズ部門ゲスト男優賞を受賞。ボビー役と異なり、「アリー・myラブ」や映画「Shall we Dance?」ではコミカルな味を見せていた人だが、今後の活躍がますます期待できそうだ。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/09/20】

Vol.5 『「サード・ウォッチ2」を見て「ER 緊急救命室」との共通項を探そう!』

巨大都市ニューヨークで事故や犯罪の現場に急行して活躍する、消防士・救急救命士・警官を描くヒューマン・レスキュー・ドラマ「サード・ウォッチ(TW)」。その第2シーズンがスーパーチャンネルで9月14日にスタートする。「ER 緊急救命室」「ザ・ホワイトハウス」を手がける名プロデューサー、ジョン・ウェルズが企画・製作総指揮をつとめる本作、だからかキャスト・スタッフの顔ぶれが「ER」と多く重なることに気づいた人は多いはず。まずキャスト。ドク役のマイケル・ビーチは「ER」でジェニー・ブレの夫アル・ブレを演じ、デイヴィス役のコビー・ベルは「ER」第4シーズン「いい事も 悪い事も」で睾丸に腫瘍があるかもと診断された大学陸上選手ブレットを演じた。「TW」のメイン監督クリストファー・チュラックは「ER」で第2シーズン「地獄からの救出」、第4シーズン「緊急脱出」、第5シーズン「愛と友情の終幕」などパニック・アクション系のエピソードを盛り上げた名手。「TW」の迫力は彼なくしてあり得ない。また「ER」からはフェリックス・エンリケス・アルカラ、ガイ・ノーマン・ビー(スティディカム・カメラのオペレーター出身!)、クリストファー・ミシャーノ、レスリ・リンカ・グリッターほかの職人監督たちが「TW」にも参加した。さてこの第2シーズン、リアル・ヒーローたちの内面に第1シーズン以上に肉薄する趣向は、結果的とはいえ第3シーズン直前にNYで起きる9・11の悲劇を一歩先取っていたことは特記したい。筆者は第1シーズンの収録が終わりに近づいた2000年4月、NYのロケ地で「TW」のキャスト数人を取材したが、ボビー役のボビー・カナベイルは役作りで本物の救急救命士と行動を共にした経験を語ってくれた。“救命士はけっして高い給料ではないのに、ケガ人や病人の手を握って、彼らを励ましながら病院に運ぶ。感動したよ”。リアル・ヒーローをまさしくリアルに描く「TW2」、ぜひ見てほしい!

【アメリカTVライター 池田敏 2005/08/20】

Vol.4 『マイケル・J・フォックスがTVに帰ってきた理由とは……!?』

3作あわせて全世界で9億2千万ドル(約1千億円!)の興行収入を稼いだ映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで世界的人気者になったマイケル・J・フォックス。彼が出世作「ファミリータイズ」以来、久しぶりにTV界に帰ってきたのが「スピン・シティ」だ(8月11日からスーパーチャンネルで第1話より再放送スタート)。ご存知の通り、マイケルはパーキンソン病の治療のため、第4シーズンで番組のレギュラーから去るが(但し第6シーズンにゲスト出演した)、1990年11月13日に発病したという彼が、どうして96年秋に全米で始まった「スピン・シティ」でTVに帰ってきたのか、不思議に思った人はいないだろうか。その答を、マイケルの自叙伝「ラッキーマン」(入江真佐子・訳/ソフトバンク・パブリッシング発行)で見つけた。映画に出演しながら闘病していたマイケルは「さまよう魂たち」出演のため、ニュージーランドに5か月間滞在したが、そこで米国から送られてくるTVのビデオ、「そりゃないぜ!?フレイジャー」、「となりのサインフェルド」、「フレンズ」、“NewsRadio”(日本未放送)を見て、米国のTVコメディの質が向上していたことに驚いたという(「ファミリータイズ」終了後はほとんどTVを見ていなかった)。そして自分がコメディ映画のいい脚本に出会わない理由が、いい脚本家はTVで忙しいからだと理解したとか。また、家族と暮らすニューヨークで、映画の撮影は昼夜を問わない場合が多かったが、TVなら規則正しく生活できると考えたマイケル。彼がTVに復帰したがっているという噂はたちまち業界中に広がり、「ファミリータイズ」でも彼と組んだ製作者、ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグと再び組むことになったという。この「ラッキーマン」、確かに闘病記という一面があるので重い読み物のように想像されそうだが、マイケルの知られざる素顔が分かる点でファンは必読だし、そうでなくても米国の映画・TV業界の舞台裏に関心がある人には、ぜひお薦めしたい良書である。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/07/20】

Vol.3 『アカデミー賞受賞脚本家の野心的ドラマ「シックス・フィート・アンダー」』

全米絶賛の傑作ドラマ「シックス・フィート・アンダー」が、7月1日からスーパーチャンネルで日本初放送される。葬儀社という従来のTVドラマでは難しかったた舞台(TV向きでないという理由は幾らでも考えられる)を、映画「アメリカン・ビューティー」でアカデミー脚本賞に輝く鬼才、アラン・ボールが見事に料理した野心作だ。1957年、米南部の保守的な土地で生まれたボールだが、少年時代から自身がゲイだとカム・アウトしていた。劇作家として活動した後、TVのコメディ・ドラマの脚本家になったボール。初番組は「Grace Under Fire」(日本未放送)。ブレット・バトラー演じる元アルコール依存症の女性グレースが主人公だった。続いて参加したのは、日本でも「こちらブルームーン探偵社」で知られる美人女優シビル・シェパード主演の「Cybill」。バツニの女優シビルが、中年女優にキビしいハリウッドで奮闘するドラマだった。そして映画初脚本となったのが前出の「アメリカン・ビューティー」。映画化を決めたのはあのスティーヴン・スピルバーグで、ボールの脚本の完成度があまりに高かったのでブラッシュ・アップすることなくそのまま映画にするよう、作品のスタッフに指示した。オスカーを獲得したボールはその頃、TV「Oh Grow Up」(日本未放送)を製作していたが、シットコムからの卒業を考えだした。そこで後に「シックス・フィート・アンダー」を全米放送するHBO局(「SEX AND THE CITY」などの野心的番組で知られる)の重役と会談し、葬儀社が舞台のドラマというアイディアを与えられた。しかし出来上がった「シックス・フィート・アンダー」は、やはりボールの作品だった。葬儀社の次男がゲイなのはボールがゲイだからだが、他の登場人物にもボールは自分の一面をそれぞれ反映させたと語る。何より重厚になりそうな物語を、「アメリカン・ビューティー」同様、シャープなブラックユーモアでエンタテインメントにまで高めたのは、TVコメディで腕を磨いたボールならではの鮮やかさだ。たとえば「シックス・フィート・アンダー」第1話では本編中に架空のCMが幾つか挟まるが、ノーCMが原則のHBOを逆手に取った究極のギャグである。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/06/20】

Vol.2 『豪華ゲスト・スター陣を堪能できる「ERIII 緊急救命室」』

第1シーズンの全米年間平均視聴率がいきなり第2位で、エミー賞では8部門で受賞(ドラマ・シリーズが1つのシーズンで受賞した数としては81年の「ヒルストリート・ブルース」第1シーズンと並ぶ史上最多タイ記録)、そして続く第2シーズンは全米年間平均視聴率が第1位に到達。米国ドラマの歴史に燦然と輝く傑作「ER 緊急救命室」だが、第3シーズンはそんな勢いを追い風に、後にブレイクする、または当時ブレイクしつつあったスターが、数多くゲスト出演している。第3シーズン第1話では、おなじみのレギュラー陣に加えて、映画・TVでよく見かける俳優がそこかしこに。ベントンの姉ジャッキー役は後に「CSI:マイアミ」で検死医アレックスを演じるカンディ・アレクサンダーだし、その夫ウォルト役のヴィング・レームズはヒット作「ミッション:インポッシブル」に出演するし、ベントンの恋人カーラ役のリサ・ニコル・カーソンは「アリー・myラブ」のレネ役。シェップ役のロン・エルダードはプライベートでもハサウェイ役ジュリアナ・マルグリーズと付き合ったし(03年に別離したようだが)、医学生ガント(後の医学生ガラントと名前が似ているのは面白いという気が)を演じるオマー・エップスは北野武監督「BROTHER」にも出演する。他にも、後に「チアーズ!」や「スパイダーマン」シリーズでブレイクするキルスティン・ダンスト、「トレインスポッティング」で注目され、「スター・ウォーズ」のエピソード1~3に出演するユアン・マクレガー、前シーズンに引き続いて「CSI:科学捜査班」「サード・ウォッチ」のジョージャ・フォックスがマギーを、「サード・ウォッチ」のドク役マイケル・ビーチがアルを演じ、同じく「サード・ウォッチ」のクルーズ役ティア・テクサーダも顔出し。あとはやはり実力派ウィリアム・H・メイシーが忘れられない。キャストの先見の明においても、傑作「ER」はやはり抜きん出ているのである。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/06/01】

Vol.1 『「OZ」「サード・ウォッチ」「ホミサイド」を彩る東海岸の役者たち』

スーパーチャンネルをご覧の方なら「OZ/オズ」の役者たちを、「サード・ウォッチ」「ホミサイド/殺人捜査課」、「SEX AND THE CITY」、「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」でも見かけたことがあるはずだ。「OZ」のビーチャー役、リー・ターゲセンは「ホミサイド」の初期で警官ソーマンを演じ、「サード・ウォッチ」第3シーズンにゲスト出演。ビーチャーの宿敵シリンガー役のJ・K・シモンズも「ホミサイド」「サード・ウォッチ」に顔を出していた。「OZ」第1話で殺された囚人オルトラーニを演じたジョン・セダは、「ホミサイド」でファルゾン刑事を演じ、「サード・ウォッチ」ではボビーの兄マティーを演じた、そんなボビー役のボビー・カナベイルは、「SEX AND THE CITY」第3シーズンにゲスト出演し、「OZ」の第6シーズンや、「シックス・フィート・アンダー」(7月からスーパーチャンネルが放送)の第4シーズンにゲスト出演している。実は以上、「シックス・フィート・アンダー」を除く5番組には1つ共通項がある。それはNYを中心とする米国東海岸を舞台にし、実際にそこで収録していることだ。NYでロケした番組は今までにもあったが、ブロードウェイを有するNYの俳優陣がTVでも活躍する、現在のこうした流れを決定づけたのは、1990年に全米で始まり、ついに第15シーズン(!)に到達した「ロー&オーダー(L&O)」(日本ではビデオ・DVD発売)だ。「L&O」を企画したディック・ウルフは「ホミサイド」の脚本家トム・フォンタナと仲良しで、「L&O」と「ホミサイド」にクロスオーバー・エピソードが多いのは有名。 また、「OZ」「SEX AND THE CITY」「ザ・ソプラノズ」を全米放送した、HBOの本社がニューヨークにあることも大きいはず。 多くの番組が西海岸で作られる米国ドラマだが、これら東海岸の作品には実力と強烈な個性を兼ね備えたキャストが揃っていて、今までのドラマにない見ごたえを添えている。

【アメリカTVライター 池田敏 2005/05/19】

池田敏
海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。

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