4月のスーパー!ドラマTVの目玉のひとつは「グランド・ツアー シーズン4」の日本初放送だ。
海外ドラマをたくさん見ていると、つい海外のバラエティやリアリティショーも見てしまうが、「グランド・ツアー」のユニークさは筆者も気になっていた。
まず知っておきたいのは先んじて英国BBCの人気番組「トップ・ギア」があったこと。1977年に始まったこの番組は普通の自動車情報番組だったが、この「グランド・ツアー」にも出演しているジェレミー・クラークソンが加わり、新車のレビューもありながらバラエティやリアリティショーの要素もある、型破りな番組に転じていったという。
そこで生まれたトリオ、ジェレミー、リチャード・ハモンド、ジェームズ・メイ(4月は「ジェームズ・メイの世界探訪:日本編」の字幕版放送も開始)が人気を博し、「トップ・ギア」の後、トリオが再集結したのがこの「グランド・ツアー」だ。自動車が関係しているネタなら何でもありが「トップ・ギア」だったが、なぜか自動車が関係しないことも。
さて今月からスーパー!ドラマTVはシーズン1から字幕版も日本初放送するが、シーズン2の新コーナー"セレブリティー・フェイスオフ"には「ナイトライダー」のデヴィッド・ハッセルホフ、「24 -TWENTY FOUR-」のキーファー・サザーランドも登場するので、海外ドラマ好きも要チェック。
そしてこのシーズン4、ジェレミーらのトリオはなぜ1970年代の米国車が英国でウケなかったのかを探る旅に出る。それにしても1960年生まれのジェレミー、1969年生まれのリチャード、1963年生まれのジェームズは、1967年生まれの筆者から見ても自由過ぎる。
過激発言やオヤジギャグが非難されるリスクを受け入れて世界的スーパースターになった悪ノリおじさん3人組は、ひょっとしたらYouTuberの先駆者たちなのかも?
筆者のほぼ同世代である、この"おっさんたち"から引き続いて目を離せなさそうだ。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2025/3/31】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。