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海外ドラマおすすめコラム vol.27 カナダ産だが北欧サスペンス風の傑作 「刑事カーディナル 悲しみの四十語」

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2月のスーパー!ドラマTVの目玉は「刑事カーディナル 悲しみの四十語」の独占日本初放送だ。
開巻、雪に覆われた風景に“北欧?”と誤解しそうになるが、カナダのドラマだ。オンタリオ州北部のアルゴンキン・ベイで、凍った少女の遺体が見つかる。地元警察のジョン・カーディナル刑事(ビリー・キャンベル)は捜査に乗り出すが、過去の別の殺人事件との関連を意識しだす。
 
カーディナルの仕事ぶりは一流だが、少女が失踪した当時の捜査方針をめぐって上司や周囲とトラブルがあった模様。それでもわが道を進むが、少しだけネタバレすると、不正を行っているという疑われている。連続殺人事件とカーディナルの素性という2つのミステリーが並行して展開し、見る者をまったく退屈させない傑作だ。
 
カナダでは大反響を呼んで数々の賞に輝き、海外セールスも好調で、シーズン2・3の製作が同時に決まったほど。
見どころは多いが、全6話を監督したダニアル・グロウに注目してみたい。フランス語を公用語とするケベック州の出身で、だからか本作も(原語は英語であるが)米国や英国のドラマと異なり、ヨーロッパ、特に北欧で作られているサスペンスのような乾いたムードが印象的。“北欧ドラマ?”と間違えそうになるのはそれが理由だろう。
説明的な台詞も少なく、スタイリッシュな映像でストーリーを語っている。そして少しずつ明かされるカーディナルと家族が抱えたシリアスな問題も大人のテイスト。それでも娯楽性は高く、スーパー!ドラマTVのファンなら「クリミナル・マインド」と同じように楽しめる。1990年代から海外ドラマを見ている人は「騎馬警官」という単語に反応するかも(マニアック?)。
 
ちなみにビリー・キャンベルは筆者にとっては「4400 未知からの生還者」が懐かしいが、米国出身なのになぜかスウェーデンの「犯罪心理分析官インゲル・ヴィーク」シーズン2にも出演。やはり北欧サスペンスのムードだ。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2019/1/31】
 
池田敏: 海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。