
9月のスーパー!ドラマTVの目玉のひとつは"お宝アワー"の「フェリシティの青春」だ。
チャンネル初放送となる「ふたりは友達? ウィル&グレイス」も、以前お会いした際にデーブ・スペクターさんが好きだとおっしゃっていた記憶もあるとはいえ......。
閑話休題。今年58歳になった筆者、20代はハリウッドのエンタメにどっぷりと浸かり、そのおかげで仕事に恵まれて貯金もできたしで、これを資金に米国への留学を検討した。
しかし、米国は日本と健保の制度がちがうし、後のカミさんと出会うとかもあって留学は断念。以来、フツーに日本で暮らしているが、だからか、そんな時期に日本上陸した「フェリシティの青春」には夢中に。
物語はシンプル。両親から医大入学を望まれた主人公フェリシティ(後に「ジ・アメリカンズ」「ザ・ディプロマット」で活躍するケリー・ラッセル)だが、高校時代に片想いし続けたベン(スコット・スピードマン)から"ずっと君を気にしていた"なんてメッセージをもらい、ベンと同じニューヨークの大学に入学。そこで純情なノエル(スコット・フォーリー)に好意を寄せられ、三角関係や四角関係に......。
もう30代になっていた自分だが、恥ずかしながらキュンキュンしまくってしまった(苦笑)。
企画を務めたJ・J・エイブラムスの後の大成功はいまさら語る必要もないか。次作「エイリアス」は、フェリシティがスパイになったらどうなるというのが原点となった。
何より今回のスーパー!ドラマTVのオンエアが価値が高いのは、日本でソフト化されていないこと。そして米国ではDVD化されたが、著作権を理由に、一部のBGMがTV放送時と異なるものだった。
J・Jも作曲に参加したモノクロ映像のオープニングもスタイリッシュで完成度が高い。
近年、話題のドラマを大いに楽しんでいる筆者だが、若手クリエイターたちに活躍の場を与えた1990年代の米国ドラマもよかったなぁと再確認させられる。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2025/8/29】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。