ニュース

海外ドラマおすすめコラム vol.49 人気青春ドラマ『リバーデイル』から生まれた 『ケイティ・キーン』は新時代の価値観を描く

katy keene_yoko.jpg
12月のスーパー!ドラマTVの目玉は、独占日本初放送の『ケイティ・キーン』レギュラー放送開始だが、まずは本作の背景のご紹介を。人気のドラマ『リバーデイル』から生まれた、『サブリナ:ダーク・アドベンチャー』に続く第2のスピンオフで、“アーチー・コミック・ユニバース”の第3作だ。アーチー・コミックは米国で刊行が続くコミック群で、80年近い歴史がある。
 
そこに登場した若者たちを登場人物にした『リバーデイル』だが原作と異なり、なんと殺人事件まで起きるドロドロの青春ミステリーに仕立て直したのが斬新で、地方が舞台ということもあり、物語だけを追うと『ツイン・ピークス』風という怪作。だが世界中の若いファンに支持され、2021年1月からシーズン5が全米放送予定だ。
 
そして『ケイティ・キーン』は、打って変わって大都会ニューヨークの青春群像を描き、これまた意表を突く。メインキャラの1人は『リバーデイル』のジョシー(筆者と近い世代のあなた、アニメ『ドラドラ子猫とチャカチャカ娘』のヒロインですよ!)。音楽業界で成功したい彼女は、デザイナー志望のケイティ(『プリティ・リトル・ライアーズ』のルーシー・ヘイル)ら、夢を抱く若者たちと新生活へ。
 
11月に先行プレミア放送された第1話は登場人物たちの紹介に追われた感がややあったが、第2話からはぐっとパワーアップ。ケイティもジョシーもストレートだが、2人の友人たちの中にはLGBTQ+もいるなど、まさに2020年にふさわしいドラマとなった。ケイティがデパートのレイシーズ(実在するメイシーズのパロディか)で働くためか、有名デザイナーの名前がばんばんと出てくるのもファッショナブルで、さらに『ハミルトン』を思わせる舞台『ジェファーソン』も作られそうとか、面白エピソードを満載。何より“仕事も私生活も”だった『SEX AND THE CITY』より21世紀的な“私生活より仕事”という新時代の価値観に注目したい。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2020/12/2】
 
池田敏:海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。