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海外ドラマおすすめコラム vol.33 半世紀以上前の名作の"本家超え"に成功 「サンダーバード ARE GO」シーズン2

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8月のスーパー!ドラマTVの目玉は「サンダーバード ARE GO」シーズン2の独占日本初放送の開始。若い人は知らない人もいるだろうが、1965~66年に本国イギリスで、日本でも1966年にNHK総合テレビで初放送されたSF人形劇「サンダーバード」をリブートしたのが本作。52歳の筆者が生まれる前年に日本上陸したが、筆者が子供の頃に何度も再放送され、東京地区に関しては日本テレビとテレビ朝日以外はどのチャンネルも放送したことがあるほどだ。
 
なぜそれほど人気があったか。“国際救助隊”が操るサンダーバード1~5号がとにかくカッコいい。メカの魅力は今なお何度でも見られるクオリティで、プラモデルなどのグッズや関連書籍などがいまだに発売され続けている。半世紀以上も前に作られた番組なのにスゴ過ぎ!だから「サンダーバード ARE GO」としてリブートされると聞いても当然だと思ったし、登場人物たちをCGアニメで描くことで表現の幅も広がったと思えた。
 
驚いたのは過去に世界規模の戦争が起きたという設定で、ファミリー向け番組であっても重厚な要素があるのはイギリスらしい。“国際救助隊”にヴィランがいて(シーズン2は“ザ・メカニック”が新登場)何度も争うというほかは各話で物語に結末があるのも安心して楽しめる。それに旧作が日本で人気があった理由には、声優陣の名演と伝説的翻訳家、木原たけしの名訳もある。声優は実力派が中心ながら、黒柳徹子や大泉滉が楽しさをアップ。だからか「サンダーバード ARE GO」の声優陣も、浪川大輔、花輪英司、村瀬歩、柿原徹也、KENNと充実。日本のアニメ界の大御所、河森正治氏も参加しており、日本の声優・アニメ好きの人たちも要注目の話題作となっている。
 
さて名作「サンダーバード」だが、実は32話+映画版2本しかなく、このリブート版はシーズン2の終わりで52話に到達し、あっさりと“本家超え”に成功。この勢い、しばらく止まらなさそうだ。


【アメリカTVライター 池田敏 2019/7/31】

池田敏: 海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。