海外ドラマスペシャルコラム

アメリカTVのスペシャリストがドラマの魅力や見どころを語ります!

Vol.120 ロッシ役の日本語吹替俳優・小川真司さん追悼 「まだ間に合う!クリミナル・マインド シーズン6」

CriminalMinds_yr6_#125(6-11)_column250_0328.jpg筆者の本連載は今回で第120回。ちょうど10周年を迎えました。読者の皆さん、ありがとうございます。さて、4月のスーパー!ドラマTVの目玉は前回ご紹介した「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」シーズン2の日本初・レギュラー放送開始だが、シーズン6を21話、一気にキャッチアップ放送する「クリミナル・マインド」についてふれたい。

ロッシ役(ジョー・マンテーニャ)の日本語吹替俳優、小川真司さんは3月7日、74歳でこの世を去られた。ご冥福をお祈りします。ご存知の通り、ロッシはBAUを衝撃的な形で去ったギデオンマンディ・パティンキン)に代わって登場したが、シーズン3途中からということで小川さんにも苦労があったのではないかと勝手に想像してしまうが、さすがはベテランという名演で期待に応えた。

海外ドラマ・ファンなら、「ダーマ&グレッグ」のグレッグの父親エドワード役、「ダメージ」のフロビシャー役、「プリズン・ブレイク」のアブルッチ役などが印象に残っているのではないか。初老の男性なら善人から悪役まで幅広くこなしていたのだから恐れ入る。たくさんの素晴らしい演技に心から感謝したい。ところでここ何年か、鬼籍に入られるベテラン俳優が増えている。理由ははっきりしていて、1930~40年代に生まれ、第二次世界大戦後の高度経済成長期の真っ只中から現在にかけて活躍したアーティストが、そうした年齢を迎えているからだ。

それにしても皆さん、亡くなる直前まで作品を大切になさる方が多い。今回、吹替関係者から聞いたが、小川さんは「クリミナル・マインド」シーズン9第1~6話は入院した病院からアテレコのスタジオに行き、ロッシの声を演じられたとか。あらためてそのエンターテイナー精神に拍手を送りたい。ちなみに前出の関係者によれば「クリミナル・マインド」のアテレコの現場は、彼らが演じるBAUと同じく、ファミリーのような雰囲気だそうだ。

 

【アメリカTVライター 池田敏 2015/03/28】

Vol.119 話題作「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」、シーズン2から第1~4話を先行放送!

RD2_tate_column250_0225.jpg3月のスーパー!ドラマTVの目玉は話題作「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」シーズン2第1~4話の先行放送だ。

ハリウッドやスポーツ界のセレブをスキャンダルから救うフィクサー(揉み消し屋)、レイ(リーヴ・シュレイバー)が主人公のトラブルシューティング・ドラマで、レイの父親ミッキーを映画界のベテラン、ジョン・ヴォイトが演じる。ヴォイトは本作でゴールデン・グローブ賞の助演男優賞に輝き、今年も同賞にノミネートされた。

表と裏、2つの顔を持つ登場人物が多く、米国の番組をこう表現するのも妙だが、どこか“昭和”の匂いがする本作。企画したアン・ビダーマンの経歴を知るとまた味わいは増す。ビダーマンはユニークな脚本家で、三十代までの経歴がよく分からないのに(若い頃から周囲に詩人アレン・ギンズバーグなど文化人やアーティストが大勢いたようだが)、四十代前半、TV「NYPDブルー」でいきなりエミー賞に輝き、『コピーキャット』『真実の行方』などのヒット映画で脚本を担当。TV「サウスランド」では「ER 緊急救命室」のジョン・ウェルズやクリストファー・チュラックと組んだ。

そんな珍しいほど遅咲きの脚本家ビダーマンだからこそ、「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」ではハリウッドの裏事情やフィクサーの仕事ぶりがひりひりするほどリアルに描かれている(気鋭の若手には無理)。それだけではなく、レイの顧客である映画プロデューサー、エズラをやはり“昭和”の色が濃いエリオット・グールドが演じる一方、「Lの世界」のキャサリン・メーニッヒがまたレズビアンを演じるというように、新旧二世代両方への目配りも充分。

シーズン1の全米放送で視聴者数が増えていったという快挙にも納得が行き、ハンク・アザリア、シェリリン・フェン、アン=マーグレットら、やはり新旧のスターをゲストに迎えたシーズン2にも期待せざるをえない。シーズン3の製作も決定。当分要注目の秀作だ。

 

【アメリカTVライター 池田敏 2015/02/25】

Vol.118 本国の話題をリアルタイムで楽しめる全米大ヒット作「ブラックリスト」シーズン2

BL2_KA02_tate_column250_0131.jpg2月のスーパー!ドラマTVの目玉は、やはりアクション・サスペンス超大作「ブラックリスト」シーズン2の独占日本初放送開始。

ドラマも面白いが、日本での放送が米国のたった数か月遅れなので、番組の話題を本国とリアルタイムで楽しめるのもお楽しみ。まず、アメフト界の頂点を決めるスーパーボウルといえば米国の国民的イベントで、生中継は年間最高視聴率を獲得するが(しかも視聴者数は昨年1億1219万人という史上最多の数字に)、今年は現地時間2月1日に開催。そしてスーパーボウルの直後、同じチャンネルで放送される番組は“スーパーボウル・リードアウト”と呼ばれ、その時最も旬の番組が選ばれる。2007年は「クリミナル・マインド」、2011年は「glee/グリー」だったが、今年はなんと「ブラックリスト」である。シーズン1の第1話や第9・10話(“郵便局”がジャックされるという「ブラックリスト」版『ダイ・ハード』だった)の映画監督ジョー・カーナハンが演出するという豪華編だ。

また主人公レッド役を巧演するジェームズ・スペイダーだが、1月に開かれたゴールデン・グローブ賞に2年連続ノミネートされ、レッド・カーペット生中継でインタビューを受けていたのは高い注目度の証明。

そんなスペイダーの最新出演映画で大ヒット作の続編である『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は7月4日に日本公開予定。スペイダーが演じるのは悪の人工知能“ウルトロン”で、スペイダーは基本的に声の出演だが、彼の体の動きをキャプチャーしたデータが演出に活かされるという説もある。

「ブラックリスト」シーズン2だが、ストーリー的にはレッドを強敵が待ち受けると予感させる一方、キャラたちの関係も気になる。シーズン2のゲスト陣も、メアリー=ルイーズ・パーカー、ピーター・フォンダ、シーズン1に続いてのアラン・アルダ、ピーター・ストーメアなど充実。筆者自身も書きながらわくわくだ。


 

【アメリカTVライター 池田敏 2015/01/31】

Vol.117 等身大の女性首相が悪戦苦闘する毎日をリアルに描く、「コペンハーゲン/首相の決断 シーズン2」

Copenhagen2_tate_column250_1226.jpg2015年1月のスーパー!ドラマTVは、「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」を「SHERLOCK/シャーロック」のファンに見てみてほしいと願いつつ、シーズン2が始まる北欧ドラマ「コペンハーゲン/首相の決断」も要注目。

ミステリーやサスペンスに定評がある北欧ドラマだが、「コペンハーゲン/首相の決断」は政界ドラマだ。再放送されるシーズン1をこれから見る人は、以下ネタバレするのでこの記事は後で読んでほしい……。

主人公はデンマーク初の女性首相、ビアギッテ(シセ・バベット・クヌッセン)。シーズン1がデンマークで放送された2010年の翌年、現職のヘレ・トーニング=シュミットがなんと同国初の女性首相に就任。そんな先見性からも分かる通り、デンマーク政界がとにかくリアルに描かれる。政党が多いデンマーク(ちなみに一院制)では単独で過半数の議席を獲得する政党はなく、かつての日本の“自社さ連立政権”のような連立政権が当たり前。登場する政党はいずれも架空だが、シーズン1では穏健党の党首ビアギッテが数々の困難を乗り越えて首相となり、政権を軌道に乗せるまでを濃密に描いた。

海外ドラマ好きには政界ドラマというと「ザ・ホワイトハウス」や最近の「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を思い出す人が多いだろう。だが、大統領をチームが支える「ザ・ホワイトハウス」とも主人公の野望を描く「ハウス・オブ・カード 野望の階段」とも異なり、「コペンハーゲン/首相の決断」は国家予算の配分や国防問題といった首相の公務と、ビアギッテと家族の関係を中心に据え、地に足が着いたような安定感がある。

また、他国にも女性政治家を描くドラマはあるが、ビアギッテを等身大の女性として描くので説教臭さが無いのもいい。何せ政党が多く、いちいち日本や米国と異なるのは確かに複雑だが、「ゲーム・オブ・スローンズ」ほどではない(笑)。シンプルに“日本にもこんな首相がいたらいいのに”と思わされる秀作だ。

 

【アメリカTVライター 池田敏 2014/12/26】

Vol.116 SFドラマ「フォーリング スカイズ」で描かれる、スピルバーグの3大テーマ "宇宙・戦争・米国"!

FallingSkies_s1_column250_1128.jpg12月のスーパー!ドラマTVは年末とあって量も質も充実しているが、チャンネル初放送の「フォーリング スカイズ」をピックアップしよう。

いきなり決めつけてしまうとこのドラマ、第1話が一番地味で、第2話以降どんどん面白くなると個人的に思った。スケールの大きいストーリーなので、第1話は状況説明と登場人物紹介だけに終わったのかも。エイリアンが地球を襲い、9割以上の人類が亡くなった世界を描くSFアクションだが、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグの持ち味がよく出ていて、映画ファンも要注目。

まず、主人公トム(「ER 緊急救命室」のカーター先生に続く当たり役となったノア・ワイリー)はエイリアンに抵抗する市民軍の一員だが、本当は歴史学者のインテリ(主人公があまりタフではないのはスピルバーグ的)。そして妻を失ったシングルファーザーなのは、物語からいってもスピルバーグ監督の『宇宙戦争』を思い出さない映画好きはいない。あの映画と異なり、もしも人類とエイリアンが戦い続けたらどうなるかを狙ったか。他にも色々な作品があるが、“宇宙”はスピルバーグのライフワークのひとつだ。また、スピルバーグの戦争映画『プライベート・ライアン』の脚本家ロバート・ロダットが企画と第1話の脚本を務めている通り、スピルバーグはここでも“戦争”を描こうとしている。


そしてスピルバーグが追究するもうひとつのテーマは、米国(アメリカ)だ。娯楽派のイメージが強いスピルバーグだが、米国の過去に迫った意欲作も多い。つまり“宇宙・戦争・米国”という3大テーマが本作には詰まっているのだ。ちなみにタイトル中の“フォーリング・スカイ(落ちる空)”という英語は、言い換えれば“世界の終わり”。11月、ある事件をきっかけに全米各地で暴動が起きたが、スピルバーグはSFとはいえ、この「フォーリング スカイズ」で、米国の危く脆い一面をあらためて浮かび上がらせている。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/11/28】

Vol.115 ショーン・ビーンがまた死んだと思ったらダメ!チャンネル初放送のサスペンス「ミッシング」

missing_tate_column250_1031.jpg11月のスーパー!ドラマTVの目玉は、「FRINGE/フリンジ ファイナル・シーズン」も〈クリミナル・マインド祭り!〉も楽しみだが、あえてチャンネル初登場の「ミッシング」をプッシュしたい。

というのも海外ドラマ好きには「ゲーム・オブ・スローンズ」のエダード・スターク役、映画好きには「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのボロミア役で知られる、ショーン・ビーンが出演しているから。いかついマスクだが大人の男性の魅力にあふれるビーンは日本にもファンが多いが、英国のオンライン・マガジン「What Culture」が選んだ、“どの映画でもいつも死ぬように見える俳優”で第1位に選出。詳述はしないが確かにそうで、何と映画の仕事の9割は死ぬ役。これが意味することは、悪役が似合うマスクもそうだが、そうしたドラマチックな役どころに見合う確かな表現力がビーンにあるということ。

「ミッシング」に戻ると、元CIAのベッカ(人気映画女優で本作の製作総指揮も務めるアシュレイ・ジャッド)がヨーロッパ各地で誘拐された息子を捜す物語だが、ビーンはベッカの夫ポール役。

ところがポールは10年前の回想場面でいきなり車ごと爆死。さすが死ぬ役が似合う……と思って、ビーンのファンがここで見るのをやめてしまってはダメだ。実は本作でビーン演じるポールは、シリーズ中盤で再登場し、物語における重要な役どころとして存在感を発揮しているのだ。最初は映画『96時間』とよく似たストーリーも、エピソードを重ねるうちに独自のものへ。賛否両論のラストシーンは今後も語り継がれるだろう。

ちなみにポールとベッカの息子マイケル役のニック・エヴァスマンも、歌手ジェームズ・ブラウンの伝記映画「Get on Up(原題)」であのミック・ジャガー(この映画のプロデューサーでもある)の若かりし日を演じ、要注目だ。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/10/31】

Vol.114 期待を超える面白さで全米大ヒットも納得!「ブラックリスト 全話一挙放送」[二カ国語版]

blacklist_midkeyart_column250_0927.jpg10月のスーパー!ドラマTVの目玉は絶対に日本初放送の「ブレイキング・バッド シーズン5 全話一挙放送」[字幕版]だが、何を書いてもネタバレになるので、やはり全話一挙放送がある「ブラックリスト」を再度取り上げたい。

筆者はこのコラムのVol.105を書いた時点で数話しか見ていなかったが(本国とほぼ同時の放送のため)、あれからシーズン1を全話見てぐいぐいと引き込まれた。犯罪コンシェルジュ、レディントン(ジェームズ・スペイダー)の頭脳にあるブラックリストの犯罪者たちが、予想以上に多彩で面白かったというのがまずひとつ。テロリストや組織犯罪のボス以外も連続殺人鬼や誘拐犯がいて、複数の犯罪ドラマを楽しむかのようだ。

各話の犯罪者像が凝りに凝っている犯罪ドラマとしても、「クリミナル・マインド」以来の面白さではないか。一話完結形式であると同時に連続ドラマでもあるのが面白く、レディントンと新人FBIのエリザベス(メーガン・ブーン)、エリザベスと夫トム(ライアン・エッゴールド)の関係は見る者の関心を持続させる。だが何より、レディントンが只の犯罪者でもなければ英雄でもないという得体の知れなさを、最終話まで一貫させたのが素晴らしい。平凡なクリエイターならどちらかに寄せてしまいがちだが、善と悪の間を縦横無尽に往復するレディントンは彼の周囲だけではなく、このドラマを見るファンまでも翻弄し続ける。

レスラー
(同じ男から見てもどんどんカッコよくなるディエゴ・クラテンホフ)、第2話から登場するマリク(「ER 緊急救命室」のパーミンダ・ナーグラ!)らレディントンを囲む人々も魅力たっぷり。全体的に見渡すとハードな世界観で、これを地上波のNBCネットワークでやったというのはすごい。本国では9月22日にシーズン2第1話が放送され、シーズン1第1話に匹敵する視聴者数を獲得。この一挙放送でその勢いをぜひ堪能したい。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/09/27】

Vol.113 オリジナル版の魅力を踏襲した巧みな"カバー"。新たなヒット作「LAW & ORDER:UK」

LandO_UK_column250_0828.jpg9月のスーパー!ドラマTVの目玉は日本初放送の「LAW & ORDER: UK」だ。米国で1990年に始まり、計20シーズンというウルトラロングランを続けた傑作「LAW & ORDER」は、各話の前半で事件の捜査を、後半でその裁判を描くというリアルで優れたコンセプトが世界中で絶賛されて大ヒット。何とフランス版やロシア版が作られたが、UK(英国)版が本作となる。

チーフ脚本家のクリス・チブナルは「ドクター・フー」「秘密情報部トーチウッド」、米国リメイクが決まった「ブロードチャーチ~殺意の町~」などの売れっ子。前半=捜査/後半=裁判という基本フォーマットだけでなく、各話が米国版の秀作エピソードを下敷きにするという、リメイクと呼んでいい作りながら、舞台をロンドンの町に移すことに成功している。判事や検事、弁護士が英国の伝統通りに白いウィッグをかぶっているなどのちがいはあるが、歌手が好きな曲を巧みにカバーしたかのようで、おかげで米国版のファンと英国ドラマファンの両方が楽しめるという仕上がり。

驚くべきことにこの「LAW & ORDER: UK」、本国で8シリーズ(米国や日本ではシーズンだが英国ではシリーズと呼ぶ)というロングランを達成し(但しシリーズ1~6は1年に2シリーズ作り、日本ではシリーズ1・2をシーズン1として放送)、逆輸入のように米国でも放送。俳優陣のキャスティングが奇をてらわないのも元祖「LAW & ORDER」の魅力だが、海外ドラマ好きには「バトルスター・ギャラクティカ」のリー・アダマ役でおなじみのジェイミー・バンバー(元々英国人)の出演が嬉しいところ。予測させないストーリー、高い社会性、これらを盛り上げる俳優陣の演技という元祖「LAW & ORDER」の普遍性を再発見するきっかけになるにちがいない。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/08/28】

Vol.112 ちゃんとした最終回(?)まで大いに楽しめる!日本初放送の「ラスト・リゾート 孤高の戦艦」

LR_Keyart_column250_0729.jpg8月のスーパー!ドラマTVの目玉は日本初放送の「ラスト・リゾート 孤高の戦艦」だろう。

米海軍の原子力潜水艦(戦艦ではない)が核兵器を盾に世界を敵に回すという、センセーショナルかつ壮大なノンストップ・アクション・サスペンス。第1話から実在の国に核ミサイルが着弾し、直後には米国に向かって別のミサイルも飛んでいくという、「24」にも無かったような非常事態の連発に思わず引き込まれる。ひょっとしたら逆にいうとポリティカル物やミリタリー物に興味がない人は関心を持ちにくいかもしれないが、並行して愛と欲望、憎しみと裏切りという人間ドラマも展開するから色々な人が楽しめる。

海外ドラマ好きにはキャストがたまらない。かつてスーパー!ドラマTVで人気を博した「ホミサイド/殺人捜査課」でエミー主演男優賞に輝いたアンドレ・ブラウアー、「フェリシティの青春」でベンを演じたスコット・スピードマン、「The OC」のオータム・リーザー、「X-ファイル」(ジョン・ドゲット役)「ザ・ユニット 米軍極秘部隊」のロバート・パトリック、「ドールハウス」の人種不明美女(実はネパール出身)ディーチェン・ラックマンら多彩な顔ぶれが揃っている。製作総指揮・企画のショーン・ライアン(映画「オブリビオン」の脚本家カール・ガイジュセクと共同)は「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」「ザ・ユニット 米軍極秘部隊」でおなじみだが、男っぽい世界を舞台にしても女性たちにきちんと見せ場を用意する名手だ。

さて本作、全13話で惜しくも幕を下ろすが、最終回らしい結末がない一部の米国ドラマと異なり、ちゃんとフィナーレを迎えるのでその点は安心しよう(この世界観がさらに広がるのも見たかったとはいえ)。ちなみにタイトルには“最後の保養地”(見ると分かる)と“頼みの綱”、両方の意味がある。スリリングな物語ながら、ハワイ・ロケによる“リゾート”の風景も夏にふさわしい。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/07/29】

Vol.111 本国での終了がおかしいと思わざるをえない佳作 「クリミナル・マインド 特命捜査班レッドセル」

redcell_column250_0630.jpg7月のスーパー!ドラマTVで個人的イチオシは「クリミナル・マインド」のスピンオフ、「クリミナル・マインド 特命捜査班レッドセル」。あえて先に明かすと、1シーズン全13話のみで終わった番組だ。しかし、全話平均の全米視聴者数は1000万人を超えて全番組中第39位(2013-14年のシーズンなら20位台後半だったはず)、ネットワークの同じ時間帯でトップという好成績だった。

考えられる理由は、同局CBSが直前の枠で放送していた兄貴分の「クリミナル・マインド」や、本作と同じ時間帯で先にやった「ブルーブラッド~NYPD家族の絆~」より数字が少し低かった、ただそれだけだ(他局なら合格点なのに)。放送する曜日を変えるなどして延命できなかったのか。見ると面白い。同じCBSの「CSI:科学捜査班」からは「CSI:マイアミ」が生まれたが、「クリミナル・マインド」とこの「クリミナル・マインド 特命捜査班レッドセル」の関係は少し似ている。コンセプトは同じだが、後者のほうが行動的でワイルドなのだ(両「CSI:」を参考にしたのかもしれない)。

ドラマとして大きな見ものは、映画『ラストキング・オブ・スコットランド』でアカデミー賞に輝く実力派フォレスト・ウィテカーの主演。日本では演技派俳優のイメージが強いが、2本の映画と3本のTVムービーを手がけた監督でもある。つまり、強いリーダーシップがあるのだ。本作で彼が演じるサム・クーパーは特命捜査班“レッドセル”を率いるが、個性的なメンバーたちをまとめ上げる姿は力強く、それだけで楽しい。

“レッドセル”のメンバーは「クリミナル・マインド」のBAUより陰があるのだが、ウィテカー演じるサムだからこそ彼らを励まして100%以上の実力を引き出せるのだろう。スーパー!ドラマTVは第1話の【二カ国語版】初回放送の直前、“レッドセル”がデビューした「クリミナル・マインド」の1エピソードもオンエア。未見の人はそこから必見だ。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/06/30】

Vol.110 主演男優は映画『GODZILLA ゴジラ』にも出演!大傑作「ブレイキング・バッド シーズン1」

breakingbad_s1_keyart_column_0530.jpg6月のスーパー!ドラマTVの目玉は傑作ドラマ「ブレイキング・バッド」の放送開始だろう。何が素晴らしいって、ファイナルとなるシーズン5まで全話ちゃんとやってくれること。他局ではシーズン4までやったのにシーズン5は未放送だった(なぜ!?)。スーパー!ドラマTVはそんなシーズン5を日本初放送してくれる。

自分ががんで余命わずかだと知った高校の化学教師ウォルターが、家族に財産を残そうとドラッグ精製ビジネスに飛び込むという展開は確かにスキャンダラス。しかしウォルターの家族愛がブレないので、犯罪ドラマであると同時に究極のホームドラマでもあるのがいい。ストーリーだけ聞くとダークだし、ショッキングな場面が無くもないが(日本では地上波での放送は不可能?)、学校の先生が麻薬ビジネスに手を染めるというギャップが生み出すブラックユーモアはそれこそ純度が高く、これぞ大人のためのドラマだ。

エミー賞とゴールデン・グローブ賞の両方で栄光の頂点、ドラマシリーズ作品賞に輝いたのも大納得。このドラマの勝因だが、番組自体よりも早く高い評価を獲得していたウォルター役のブライアン・クランストンの迫力ある演技は大きい。シーズン1の冒頭では頼りないパパという風情ながら、シーズンが終盤に近づくにつれて凄みのある表情を見せるように。変なシチュエーションでもクランストンが極めて真面目に演じるから、おかしさはマックスだ。

そんなクランストン、話題の映画『GODZILLA ゴジラ』に重要な役で出演していて楽しみ。ちなみにウォルターの相棒になる元教え子ジェシー役のイケメン、アーロン・ポールも6月7日公開の映画『ニード・フォー・スピード』でメジャー映画初主演を飾っている。スーパー!ドラマTVはレギュラー放送に加え、6月より毎月第1土曜日の夜9時から1シーズンごと夜通し一挙放送もしてくれる。1シーズン位は楽々イッキ見できる面白さなので寝不足に要注意だ。

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【アメリカTVライター 池田敏 2014/05/30】

Vol.109 これを知っておくともっと楽しめるはず!「One Tree Hill シーズン8」

OTH_s8_tate_column250_0425.jpg5月のスーパー!ドラマTVの目玉は、日本にもファンが多い「ゴシップガール ファイナル・シーズン」だとは思うが、あえて正反対のローカル青春ドラマ「One Tree Hill」、そのシーズン8をご紹介しよう。

当番組、シーズン5の始まりで話がいきなり4年後に飛び、高校を卒業して故郷トゥリー・ヒルを去ったはずの登場人物たちが故郷に帰って来て新展開に突入したのは有名。登場人物と同年代のファンには衝撃的だったと思うが、シーズン5前半の全米視聴者数はシーズン3・4を上回ることに成功した。ファンはもう知っているだろうが、続くシーズン9がファイナルとなる本作。だが全9シーズンというのは全米放送したCWネットワークにとって、日本未放送のアーロン・スペリング製作「7th Heaven」(11シーズン)、「ヤング・スーパーマン」(10シーズン)に次ぐ第3位のロングラン記録で、同じウィルミントンの町でロケした「ドーソンズ・クリーク」(6シーズン)すら超えてしまった。

視聴者を退屈させない工夫はシーズン8も健在で、まずオープニングにかかる曲がシーズン1~4と同じ「I Don't Want to Be」に戻るが、ほぼ毎回異なるバンドやアーティストによるカバー・バージョンだ。おっさんの筆者でも分かるエイミー・マン(第10話)までいる。またシーズン7第15話「青春映画のように」の原題が「Don't You Forget About Me」(映画『ブレックファスト・クラブ』の主題歌と同じ題)といい、当時急逝した青春映画の巨匠ジョン・ヒューズ監督に捧げたものというように作り手たちの映画好きがうかがえ、シーズン8も第12話は『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』、第14話は『キック・アス』のパロディを展開。第5話は日本未放送のCWのドラマ「Life Unexpected」とのクロスオーバーの前半になっている。

8シーズン目でこれだけ話題が多いドラマは珍しく、ロングランの理由も納得だ。

【アメリカTVライター 池田敏 2014/04/25】

池田敏
海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。

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