海外ドラマスペシャルコラム

アメリカTVのスペシャリストがドラマの魅力や見どころを語ります!

Vol.72 アメリカンドラマならではのスケール感が楽しめる期待の新作「ヒューマン・ターゲット」

4月のスーパー!ドラマTVの目玉は、世間的には「ゴシップガール3」なのだろうが、個人的にお薦めなのは新番組「ヒューマン・ターゲット」(4/19より火曜22:00ほか)のほう。米TV界は年中、新たなヒーロー像を探し求めるのがまるで義務のようになっており、手っ取り早いのは警察・医師・弁護士から探すことだが、中には"へー!"と驚かされる新ヒーロー像も多い。「ヒューマン・ターゲット」の主人公クリストファー・チャンス(「FRINGE/フリンジ」でオリビアの恋人ジョン・スコットを演じたマーク・バレー)もそうだ。クリストファーは命を狙われたクライアントのそばにいそうな別の人格になりすますことで自分自身がクライアントに代わって命を狙われる"標的(ターゲット)"になるという究極のボディガード。ケヴィン・コスナーとホイットニー・ヒューストンが共演したヒット映画「ボディガード」を思い出す人も多そうだが、とりあえず本作のクリストファーは、日本からカリフォルニアに新幹線の技術を売り込もうとやって来た日本人たちに日本語で対応し、高度なプロフェッショナルなのは間違いない。状況はスティーヴン・セガール主演のヒット映画「暴走特急」を思い出させるパニックに発展していくが、それに対して常にクールなクリストファーはカッコよく、「24」のジャック・バウアーを思い出す人もいるだろう。クリストファーに協力するゲレロ役に扮するのは映画「リトル・チルドレン」でアカデミー助演男優賞にノミネートされたジャッキー・アール・ヘイリーで、「ヒューマン・ターゲット」第1話を監督したのは映画「トゥームレイダー」のサイモン・ウェスト。映画とTVの垣根が失われつつあることは、その豪華な人選からも確実。まるでハリウッド大作、とまで豪語しないが、TVドラマが映画に匹敵するスケールを獲得しつつあることを如実に証明しているのが「ヒューマン・ターゲット」なのだ。

【アメリカTVライター 池田敏 2011/03/23】

Vol.71 ロングラン・ヒット作ならではの成熟に期待したい 「WITHOUT A TRACE6/FBI 失踪者を追え!」

3月のスーパー!ドラマTVは「WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!」シーズン6の日本初放送が楽しみ(3/7より月曜22:00ほか)。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(5月20日に第4作「生命の泉」が公開予定)のジェリー・ブラッカイマーが製作総指揮の人気犯罪ミステリー。昨年あたりから警察ドラマ・ブーム到来を思わせる番組が日本のTV界で増えたが、影響は大きいはず。さて、このシーズン6も話題は多い。まず、同じブラッカイマー製作総指揮で、やはり全米で同じCBSネットワークが放送している「CSI:科学捜査班」のシーズン8とクロスオーバーが実現したのが見もの。「CSI~」シーズン8第6話「絆に飢えた狼」が前編で、「WITHOUT~」シーズン6第6話「狼の末路」が後編。これら2話をスーパー!ドラマTVとAXNが2月に揃って先行放送したのは、日本における海外ドラマ史上画期的。「WITHOUT~」のジャック(アンソニー・ラパリア)と「CSI~」のグリッソム(ウィリアム・ピーターセン)がつむぐ夢のツーショットに萌えないオヤジ好きはモグリだ(笑)。他にもこのシーズン、07~08年の全米脚本家組合ストの影響で全18話しかないのが惜しいが、ファン必見編も。第11話はマーティン役エリック・クローズが前シーズン第20話「誘拐」に続いて2度目の監督。「ダークスカイ」やTV版「荒野の七人」など、ブレイクが期待されながらなかなか叶わなかったクローズだが、続くシーズン7でも2度監督し、俳優以外の才能も見せたことに海外ドラマ・ファンの感慨は深い。他、「バフィー~恋する十字架~」のスパイク役ジェームズ・マースターズが計4話に出演したり、「ヤングライダーズ」のタイ・ミラーが引き続いて時折顔を見せ、「危険な年」でアカデミー助演女優賞に輝くリンダ・ハントのゲスト出演(第17話ほか)など、ロングラン・ドラマならではの余裕すら感じるのは筆者だけだろうか。

【アメリカTVライター 池田敏 2011/02/20】

Vol.70 ヒット病院ドラマの新たな展開が見ものな「ER X 緊急救命室(シーズン10)」!

2月のスーパー!ドラマTVでは「ER X 緊急救命室(シーズン10)」が開始(2/21より月曜21:00ほか)。某BS局ではついに最終シーズンとなる「XV(シーズン15)」が放送中で、久しぶりに「ER」を見ている人が多いようだが、面白さを再確認した人はぜひ、スーパー!ドラマTVの旧シーズンも楽しんでみたい。前々シーズンでグリーン先生を失ったERだが、前シーズンではカーターを中心に再出発。しかし荷が重すぎて迷いがあったか、カーターやそんな彼を誘ったコバッチュの心はアフリカに向いてしまった。このままでは「ER」らしくないとスタッフは考えたか、ある新キャラを投入。インド出身の女子医大生ニーラ(パーミンダ・ナーグラ)だ。彼女の立場は、いわばシーズン1の頃のカーター。よく失敗もするが応援したくなる、魅力的な若者だ。また、シングルマザーのナース、サム(リンダ・カーデリーニ)も新登場。子供や元夫など問題が多いトラブルメーカーで、見せ場を作る役どころなのかも。また、真面目なキャラが多かったERだが、ダメ男を思わせる新レジデント、アーチー(スコット・グライムス)の出現もリニューアル感高し。とはいえ、ゲストスターに目ぼしい顔ぶれは少ない。推測するにスタッフは、おなじみのキャラたち(前シーズンに加わったアフリカ系のプラットを含む)と先に挙げた新キャラたちを馴染ませ、"新生「ER」"を発進させようとしたのではないだろうか。一方、それぞれ意表を突く事情で一部のキャラが去るのも見逃せず、「ER」ファンには実に忘れがたいのが、このシーズン10なのだ。2月は他にも、「犯罪捜査官ネイビーファイル」のデヴィッド・ジェームズ・エリオットがキャストに加わる「女検察官アナベス・チェイス2」や、スーパー!ドラマTVとAXNが局の垣根をまたぐ「CSI × WITHOUT A TRACE 合同捜査スペシャル」(「CSI」は本家「科学捜査班」のシーズン8)も見もの!

【アメリカTVライター 池田敏 2011/01/20】

Vol.69 番組の生みの親が考えたクライマックスへ!「スーパーナチュラル(シーズン5)」開始

2011年1月のスーパー!ドラマTVは「スーパーナチュラル(シーズン5)」(1/21より金曜22:00)が見もの。シーズン1の頃は「X-ファイル」風の1話完結式ホラーだったのが、今や天使と悪魔の全面戦争という方向にスケールは拡大。しかも悪魔ハンター兄弟の弟サム(ジャレッド・パダレッキ)は悪魔になりつつあり、シーズン4では兄ディーン(ジェンセン・アクレス)を殺しかけたことも。シーズン1あたりしか見ていない人はぜひ再注目すべき急展開に突入しているのだ。さてマックGの製作総指揮がよく語られる本作だが、実際のショーランナー(番組作りの責任者)は本作を企画したエリック・クリプキ。幼少時から都市伝説に興味があった彼は10年近くも本作の構想を練り、若者向けチャンネルの全米WBネットワーク(現・CWネットワーク)は都市伝説が若者にウケると考え、番組にゴー・サインを出した。ところがクリプキはシーズン5で物語を終わらせる構想で、彼はこのシーズンを最後にショーランナーの地位を離れてしまう。近年だと「ザ・ソプラノズ」「LOST」がそうだが、どのシーズンで番組を終わらせるか、前もって決めたドラマはクオリティが上がる傾向がある。なので「スーパーナチュラル」のシーズン5は要マークなのだ。もっとも、シーズン5で全米視聴率ランキングの順位が上がった結果、番組はシーズン6に継続され、2010年9月24日から全米放送中。次のショーランナーのセーラ・ギャンブルは、マット・デイモンとベン・アフレックが製作総指揮し、若手映画人発掘をめざしたリアリティ・ショー"Project Greenlight"のシーズン2でファイナリストに残った人。「スーパーナチュラル」シーズン6はウィンチェスター兄弟の関係をより中心にするといい、兄弟のファンにはこれはこれで楽しみだろう。筆者は2007年4月、来日したジェンセン・アクレスにインタビューしたが、その時の話はまた別の機会にでも。

【アメリカTVライター 池田敏 2010/12/20】

Vol.68 「CHUCK/チャック」シーズン2突入!ファンの地道な応援が泣ける全米ヒット作!!

12月のスーパー!ドラマTVは、ついに始まる「CHUCK/チャック」シーズン2がお楽しみ(12/23より木曜22:00)。合衆国政府の全国家機密が収められたコンピューター、インターセクトのデータすべてが脳にダウンロードされた青年チャック(ザッカリー・リーヴァイ)を描く痛快編だが、世界的にヒットしたマット・デイモン主演の映画《ジェイソン・ボーン》シリーズと比較すると、本作のユニークさはさらに際立つ。よくいるオタクであるチャックをスパイ戦争の渦中に置いたらどうなるかを、ディテールにこだわってちゃんとシュミレーションしている点だ。チャックが大型家電店「バイ・モア」(全米各地にある「ベスト・バイ」にそっくり!)で働く設定が、オタク映画の金字塔「40歳の童貞男」がモデルっぽいのがまずツボだが、番組を企画したジョシュ・シュワルツ(「The OC」)とクリス・フェダックによれば、何と彼のモデルは「スター・ウォーズ」シリーズのルーク・スカイウォーカーだとか。確かにルークは平凡な農民から銀河のヒーローに成長していったが……。「スタートレック」シリーズのクリンゴン語まで分かるチャックにとって、全米最強のサポーター層は彼に共感しているファンだ。実は本作、打ち切りが噂される度に全米のファンが継続を求める運動を起こし続けている。第3シーズンではファストフード・チェーンのサブウェイが番組を救うという異常事態まで発生。行動力が伴ったオタク・パワーの凄さが何となくでも伝わらないか。話は飛ぶが、来年1月22日に日本公開される映画「デュー・デート/出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断」には、何と「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ」オタクである登場人物が、無謀に近い行動力と強力な決心で、あるミラクルを起こす(見てのお楽しみ)。全米ヒット中の「glee/グリー」もそうだが、全米のオタク・パワーはメインストリームに躍り出る寸前かも!?

【アメリカTVライター 池田敏 2010/11/25】

Vol.67 日本初放送開始!「FRINGE/フリンジ」は面白さを追求する"J.J.主義"の集大成なのか

11月のスーパー!ドラマTVでは全米ヒット作「FRINGE/フリンジ」の日本初放送が開始(11/23より火曜22:00【二カ国語版】&11/25より木曜24:00【字幕版】)。「LOST」や映画「スター・トレック」のJ.J.エイブラムスが企画・製作総指揮しているが、本作は作品の面白さを追求する"J.J.主義"の集大成のように思える。各話で常識を超えた怪現象が発生するSFサスペンスだが、各現象をつなぐ"パターン""監視人"というキーワード、キャラたちの過去など、謎が少しずつ増えていくのは"J.J.主義"だ。「LOST」の北極熊や煙、巨大な足の像もそうだし、J.J.がプロデュースした映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」の予告編に作品名が入っていなかったこともそうだが、あえて説明しないこと、そうやってファンを煽り、ネットなどで議論したくなる要素をちりばめるのがJ.J.は巧い。「FRINGE~」に頻繁に登場する、カエル、リンゴ、指が6本ある手のひらなど、各シンボルの意味も気になる。振り返るとJ.J.初のTVドラマ「フェリシティの青春」(かつてスーパー!ドラマTVも放送)で、ヒロインの大学生フェリシティ(ケリー・ラッセル)は医師になるか画家になるか悩んだが、2つの選択肢が極端に異なるからこそフェリシティは迷い、ドラマを面白くした。"三つ子の魂百まで"ではないが、今考えるとこの原点にも"J.J.主義"を感じられる。何か仕掛けるなら極端に、も"J.J.主義"だ。時に違和感が作品に味方すると信じているかのようだ。何より見る者を引きつける"ツカミ"をJ.J.は知り尽くしている。彼は今、あのスピルバーグがプロデュースする来夏公開の映画「SUPER8/スーパーエイト」を監督中。予告編はすぐにネットで見つかるが、シンプルかつパワフル(面白そう!)なのがJ.J.流。以上すべて詰まった「FRINGE/フリンジ」は、やはり"J.J.主義"の集大成かも!

【アメリカTVライター 池田敏 2010/10/25】

Vol.66 最新ヒットドラマ「FRINGE/フリンジ」 第1話先行プレミア放送を見逃すべからず!

10月のスーパー!ドラマTV最大のお楽しみは、全米最新ヒットドラマ「FRINGE/フリンジ」の第1話先行プレミア放送だ(10/23=土曜15:00【二カ国語版】&同23:00【字幕版】)。本作がどれ位本国で人気かというと、「24」「HEROES/ヒーローズ」などヒット作の終了が相次ぐ一方、新作ドラマに元気がない米TV界において、今年9月23日からシーズン3が始まったという実績からも明らか。話題の的は「LOST」を大成功させ、2009年に監督した映画版「スター・トレック」も好評を博すなど、今やハリウッドが最も注目するカリスマ・クリエイターとなったJ.J.エイブラムスが企画・製作総指揮していること。これから放送される第1話を見ても分かる通り、常識で解き明かせない異常現象・怪事件が毎回発生し、FBIの女性捜査官オリビア(アナ・トーヴ)、異端の科学者ウォルター(「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ第2・3作のジョン・ノーブル)とその息子ピーター(「ドーソンズ・クリーク」のジョシュア・ジャクソン)というトリオが謎に挑むサスペンスというのが基本形。全米開始時に評された通り、"J.J.版「X-ファイル」"かと当初は思うが、番組を見続けるうちに気づくのは、J.J.がこれまでに手がけた「LOST」「エイリアス」に負けず劣らず、各話をつなぐ連続ドラマの要素が凝っていること。見る者の期待をいい意味で裏切り、「X-ファイル」とどんどん異なる方向性に進むのが野心的かつ果敢だ。前もって少しだけ触れると、シーズン1のラストシーンは何が起きたのか分からないほどショッキングで、その大胆不敵さはJ.J.イズムの真骨頂。具体的には書かないが、シーズン2のクライマックスからはさらに「LOST」っぽい急展開まで!?やはり全米放送が終了した「LOST」だが、そこでやり尽くせなかった試みにJ.J.は挑み続けているのではと、ファンはさらに期待が膨らむはずだ。

【アメリカTVライター 池田敏 2010/09/20】

Vol.65 「クリミナル・マインド2」も「バトルスター・ギャラクティカ」の続編も楽しみなこの9月!

スーパー!ドラマTVの毎月の新作のうち、期待作を1本ずつ取り上げているこのコラムだが、9月は筆者の海外ドラマ生涯ベストテンに入りそうな傑作が2本もあるので、どちらも紹介したい。まず「クリミナル・マインド2」(9月13日から月曜22:00~23:00他)。FBI行動分析課のプロファイラーたちを描く犯罪ドラマだが、各話で登場する連続殺人犯とその凶行は、筆者が今まで見てきたどんなTVドラマよりも非情で残忍。脚本も演出も素晴らしいが、シーズン2からは捜査官たちの内面を掘り下げていく新趣向も。ネタバレなので具体的にはふれないが、ある捜査官が許されざる行動に出たり、別の捜査官の重すぎる過去が判明したりと、ファンには衝撃的。罪を起こす心=クリミナル・マインドは誰もが持つのだという境地に達していくようで圧巻だ。さてもう1本は筆者にとって宇宙SFドラマの最高峰である「バトルスター・ギャラクティカ」、その全米放送終了後に作られたTVムービー「THE PLAN」(9月4日21:00~23:00他)だ。面白くないエピソードが1話もなく、怒涛の急展開を4シーズンにわたって繰り広げ続けた「ギャラクティカ」だが、この続編は何と12コロニー襲撃の数日前にさかのぼる。そしてサイロンの陣営でヒト型サイロン12体が何を企てていたかが、ついに明かされるのだ。思い出してほしい、「ギャラクティカ」の毎回のオープニングに英語で“And they have a plan.”という1文があったことを。その“plan”に迫るのが本作だ。監督がアダマ役のエドワード・ジェームズ・オルモスなのも頼もしい。全米SyFyチャンネルでは今年1月からスピンオフ“Caprica”も放送され、シーズン2の製作も決定。まだ“ギャラクティカ・サーガ”は終わらないのだ。さて「スーパーマン リターンズ」のブライアン・シンガー監督による「ギャラクティカ」映画化は進展こそ見られないが、まだ企画は流れていない模様。ぜひ実現を!

【アメリカTVライター 池田敏 2010/08/20】

Vol.64 ハリウッドの大物ブラッカイマー製作総指揮
「女検察官アナベス・チェイス」に注目を!

スーパー!ドラマTVは8月11日から水曜23:00~24:00他で「女検察官アナベス・チェイス」を日本初放送。本作を製作総指揮したのは、映画界で「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(2011年夏に第4作が全世界公開予定)などを、TV界で「WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!」や「CSI」3部作などを手がける超大物プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーだ。全米では「WITHOUT A TRACE~」や「CSI」3部作と同じくCBSネットワークで放送された。近年の全米TV界におけるブラッカイマーの戦略は、盟友ジョナサン・リットマンに現場を任せながら、トレードマークであるビジュアル重視のスタイルを自身でコントロールするというものだろう。映画界では男性的な作風を好むが、TV界では時に女性的な作風に挑むことがあるのも特筆すべきポイント。原題を“Close to Home”(直訳は“家に近く”)という本作の主人公は、産休から復帰したばかりの女性検事補アナベス(ジェニファー・フィニガン)だが、ライバルであるキャリア志向の女検事モーリーン(キンバリー・エリス)が、いわば準主人公なのが面白い。男性中心の法曹界で、時にライバルになれば時に連携もするという関係。法廷サスペンスである以前に、キャリアウーマンたちを描くという視点が番組を企画したジム・レナードにはあったはず。しかしブラッカイマーはそこにとどまらず、第1話を「トゥームレイダー」のサイモン・ウエストに監督させ、戦う女性たちのドラマに高めようとしたのが秀逸。各話で描かれる訴訟だけでなく、アナベスやモーリーンの職場における立ち位置も描くのが優れたプロフェッショナル(職業)ドラマであり、興奮だけでなく感動も誘うポイントだ。シーズン2から人気作「犯罪捜査官ネイビーファイル」のデヴィッド・ジェームズ・エリオットがレギュラー出演するなど、見どころが尽きないのもさすがブラッカイマー!

【アメリカTVライター 池田敏 2010/07/20】

Vol.63 ヒーローたちの最後の敵は彼ら自身だった!?
衝撃の最終章「HEROES ファイナル・シーズン」

スーパー!ドラマTVはいよいよ7月20日から火曜22:00~23:00他で大ヒット・ドラマのクライマックスを飾る最終章「HEROES ファイナル・シーズン」を独占日本初放送。筆者はいま局にお願いしてこのシーズンの各話をどんどん見ているが、このコラムで前回書いたようなシーズン4の副題、「贖罪」に対する期待が、確信に変わりつつあることを実感している。(※以下基本的にネタバレはしませんが何も知りたくない人は後で読んでください)「HEROES」のこれまでの各シーズンとこのファイナル・シーズンで最も異なる点は、各ヒーローが他者と戦うのではなく自身と戦う点だ。新シーズン、ヒーローたちにまるで影のように忍び寄るグループが新登場。彼らの名は「カーニバル」。日本ではお祭りやパレードのように使われるカーニバルという言葉だが、その語源はキリスト教の西方教会の文化圏でいう「謝肉祭」がルーツだ。謝肉祭で人々は傍若無人なふるまいをし尽くした後、その責任を人形に転嫁し、その人形を燃やすという。シーズン3の最後、ある登場人物が炎に包まれたのは、それ自体が「謝肉祭」の一部だったのだ。そして新シーズン、あるカーニバル(移動式遊園地)とそれを率いるリーダー、サミュエル(「プリズン・ブレイク」でティーバッグを演じたロバート・ネッパー)はヒーローたちに贖罪を求める。これまでの「HEROES」なら、ヒロ(マシ・オカ)らが未来の惨劇を予知し、その回避をめざすというストーリーラインだったが、今シーズンはそのパターンからいきなり逸脱し、そこが面白い。困った時には他のヒーローを頼ればいいという甘えや妥協は、このシーズンのヒーローたちには無い。己が己を導いた運命に対し、ヒーローたちはどう決着をつけるのか。けっして爽快でないが、濃密かつスリリング。まさにクライマックスと呼ぶにふさわしい、それでいて一筋縄に行かない緊張感あふれる展開から、やっぱり目が離せない!

【アメリカTVライター 池田敏 2010/06/20】

Vol.62 7月からのファイナル・シーズンを予習せよ
「HEROESファイナル・シーズン特番」

スーパー!ドラマTVは6月、7月20日から火曜22:00~23:00他で放送される待望の新番組「HEROES ファイナル・シーズン」に先がけ、「HEROESファイナルシーズン特番」を放送(6/4[金曜]22:00~22:15ほか)。今年2月まで全米放送されたシーズン4=ファイナル・シーズン(番組終了は残念!)の見どころを紹介するとか。これまで「創世記」「世代」「悪人」「逃亡者」と続いた各Volumeの副題だが、シーズン4は「贖罪」。日本人があまり使わない単語なのは、キリストが人間たちの罪を贖うために十字架にかかったという教義と密接だから。キリストもまたヒーローであるなら、今度はヒーローたちの誰かが罪を贖わなければならないことの暗示に思えて興味深い。シーズン3の衝撃的ラストには多くのファンが驚いただろう。人類を守るはずのヒーローたちが、人類をあざむくという皮肉。そして続くシーズン4も重厚なムードの中で幕を開く。ヒーローたちに贖罪をさせると不気味に語る、新たな能力者サミュエル・サリヴァン。演じるのは「プリズン・ブレイク」の最凶キャラ、ティーバッグを演じたロバート・ネッパーだ。筆者は2年前、来日したネッパーにインタビューした。ティーバッグと異なり「帰国したら息子に、日本のおソバは音を立てて食べるんだって教えるよ」とほがらかに語っていたネッパーだが、某ネット媒体の関係者が取材中なのに居眠りをしているのを発見。「そこ、寝るなら外に出て」と静かに注意する声の“刃物感”は今も忘れられない……。彼演じるサミュエル(吹替えはティーバッグと同じく若本規夫!)と、サミュエル率いる謎の集団《カーニバル》の正体とは何か。新キャラは、「F.B.EYE!! 相棒犬リーと女性捜査官スーの感動!事件簿」のスー役で知られるディアン・ブレイ演じるエマも要注目だろう(吹替えもスー役を演じた雨蘭咲木子!)。また、おなじみのマシ・オカ演じるヒロの体調に異変が。彼が十字架にかかる役目を担うのか。来日といえば筆者は昨秋、番組を企画・製作総指揮するティム・クリングにもインタビューした。質疑応答を通して筆者が思ったのは、クリングが「HEROES」をアクションやファンタジーというより、登場人物たちがおりなすドラマ性を重視しているということ。シーズン4の第1章(番組史上初めて第1・2話を1つの章とカウント)もまた活劇性は二の次に、登場人物たちの新たな一面を描いてブレはない。

【アメリカTVライター 池田敏 2010/05/20】

Vol.61 ついに上陸!タイトルも秀逸な全米ヒット作
「THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル」

4月のスーパー!ドラマTVは、何といっても「THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル」の独占日本初放送が大必見(5/26[水]より水曜22:00~23:00他)。全米TV事情を追っている人なら、「THE MENTALIST~」が全米高視聴率番組だともう知っているだろう。元ニセ霊能者のパトリック・ジェーン(TV「堕ちた弁護士~ニック・フォーリン~」や映画「プラダを着た悪魔」のサイモン・ベイカー)だが、犯罪者の心を見抜くスペシャリストでもある。彼がCBI(カリフォルニア州捜査局)に協力する知的犯罪ミステリーだ。まず「メンタリストって何?」と思う日本人は多いはず。筆者も本作の出現を機に少し調べたが、古代ギリシャ時代に神のお告げを民に伝えた預言者が最初のメンタリストだという説がある。そこから奇術師のような活動もし始め、今はニセ霊能者・超能力者が多い(中には本当に能力がある者もいるかもしれないが)。日本でも有名なユリ・ゲラーもその1人。米国で深夜にTVを見ると、やたらとテンションの高いおっさんが自分は奇跡を起こせると宣伝しているCMをよく見るし、サイキック(超能力者系占い師)の店もあちこちにある。つまり乱暴にいうと、メンタリストのイメージは詐欺師に近いといっていい。いうなれば「詐欺師」という大胆なタイトルに近いのに知的ミステリーだったから、08年秋の全米TV改編で注目され、新番組中トップの視聴率を獲得したのだ。しかし、ジェーンの人間心理に関する洞察力は本物。筋が通った推理をするので科学捜査好きの人も楽しめる(全米では「CSI」3部作や「クリミナル・マインド」と同じCBSで放送)。加えて、いつもは知的に見えず、天然に近いジェーンだからこそ、推理はより鋭く見え、その意外性は痛快だ。チャーミングさとセクシーさを併せ持つジェーンを好演するサイモン・ベイカー。写真より動いているほうがずっと魅力的。1度番組での彼を見てほしい。

【アメリカTVライター 池田敏 2010/04/20】

池田敏
海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。

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