ヒルのお言葉 第4シーズン

第25話「乱射」より

オズ。こいつは重罪犯用の第4レベルオズワルド州刑務所の通称だ。俺たちは最近ちょっとした、あー、緊張状態にあった。なにしろ2週間も同室の野郎の屁を嗅ぎつづけてきたんだ。外に出られるなら、少々のことは我慢しようって気になってるさ。
おめでとうアメリカ!刑務所人口が過去最高に達したそうだぜ。200万人だ。200万人もの人間が幽閉されてるわけだ!200万ってのは、ウィーンの人口とおんなじ。テキサスはヒューストンの人口ともな。人口は世界の5%なのに、囚人は世界の25%もいるのさ、ヤッホー!

第26話「訃報」より

死亡事故。一人の男あるいは女が働き、愛し夢を見、笑い、泣き、そして死ぬ。すると会ったこともないまったくの赤の他人が、地元紙に載せるため彼らの人生を1行の文章に要約する。それも編集者がその人生に価値ありと認めた時のみ。その人物がホントの有名人ならコラムも書いてもらえるだろう。74年ごろあたりの写真つきでな。なにも成さなかった者は、ページの隅に追いやられるか、黙殺されるのさ。
結局のとこ、死亡記事の内容なんて問題じゃない。自分が読むわけじゃないし。紙はいずれ色あせ、リサイクルに回される。人が後に残すものは、もっと深く、そして人の魂に触れるもののはずなんだから。

第27話「権利」 より

権利章典憲法修正第1から第10条だ。俺たちが作った。俺たちアメリカ合衆国が!憲法制定者たちが権利章典を書くためにペンをインク壷につけたその日まで、国民に対する政府の責任を明確にした国はなかったんだ。一番の責任は、国民の自由を守ること。自由だー!もちろん、中には自由の意味をはき違えてる奴もいるがな。
独立宣言はこううたってる。我々は、皆一定の権利を持ち、一番大切なのは生命と自由とそれに幸福の追求だとな。そう、それが人生の全てだ。生命と、自由と、幸福さ!

第28話「慈悲」 より

慈悲は、他人の不幸に対して抱く憐れみの気持ちだ。慈悲によってその不幸は多少なりともいやされる。慈悲は思いやりであり、正義の心でもある。目には見えないが、これは人と人をつなぐ、とても大切なものだ。突然の不幸に慈悲の心がわくのは、ま、自然なことだ。
最後の慈悲は、死者を葬り、死者と生きるもののために祈ることだ。人は慈悲深い。人道主義的な理由からだけじゃなく自分自身も救われたいと思って慈悲を示すんだ。神は人に慈悲を期待する。要求するのさ。だが、神の慈悲はどこにある?キリエ・エレイソン。Kの意味は、主よ憐れみたまえどうか我らに慈悲を。お願いだ。

第29話「悪魔」 より

犯罪者の精神とは?過去200年間というもの、科学者や社会学者や犯罪を心配する連中は、ずっとこの事で論争してきた。暴力的な人間が生まれるのは環境のせいか、生物学的な性質のせいか?脳内でゴーサインを出すのは何か?もしそれがわかれば、犯罪を減らせるのだろうか?暴力を永久になくせるのだろうか?
遺伝子レベルか環境のせいか、なんに対してもそうだが、人は手っ取り早い答えを求める。魔法の弾丸さ。答えが複雑になるほど人は恐怖を覚えるからだ。暴力の根というのはどこまで根深く暗いのか?真の悪は存在するのか?たぶん、人間というのは本質的に邪悪なのさ。たぶん、悪魔は我々の魂に深く食い込み住みついてるんだ。こういういいわけがある。「悪魔に命令された」真実かも、それとも嘘か?

第30話「悔恨」より

刑務所を表わす言葉はいろいろとある。ジョイント、ぶた箱、ビッグハウス、だけど俺が特に好きなのは「クリンク」だ。1400年代、囚人をつないだ鎖が鳴る音からきた言葉さ。そりゃあ、なんともぶっとい鉄の鎖だったそうだぜ。囚人は話すことも許されず、動き回るとき聞こえるのは、ただ鎖の音だけだ。
運命が決する瞬間、昔は執行礼状に判事の正式な印が押されない限り、死刑宣告がなされることはなかった。どうだい?人の生と死を分けるものはたったひとつ。溶けたロウのひとしずくだ。だが、それが人生だ。人生なんて、わずかロウの一滴で変わっちまうものなんだ。

第31話「取引」より

ある金持ちがこう言った。「アメリカのお家芸はビジネスだ」幸いなことに更正施設ビジネスは、大繁盛だ。建設業者は南部へ殺到し、小さな町は刑務所建設の受注を取ろうと目の色を変えている。驚きだよな。善良な市民が、自分の裏庭にレイプ犯やドラッグディーラーや殺人犯を喜んで迎えようていうんだ。
さっき話した人口についてだが、こいつは選挙区の決定にも使用されるんだ。刑務所がある田舎町から出た政治家は、囚人を自分の有権者として数え、政治的影響力を増すことも可能だ。主に、有色人種が占める囚人に、投票権はない。政治家は囚人に忠誠を尽くす義務もなく、それどころか刑期延長に投票すりゃ、それだけ利益を得られるわけだ。町だって潤う。囚人の人口が増えることで、そう、みんなが得をする。

第32話「博打」より

1950年代にグルーチョ・マルクスが司会をする「人生を賭けろ」ってクイズ番組があったんだ。毎週グルーチョはバカげた問題を出しては出演者をからかうのさ。アヒルの人形が落ちてくるとグルーチョはこう言うんだ。「秘密の言葉で100ドル儲けよう!」でもホントに何かに人生を賭ける奴なんていないよな。オズと違って、命を賭けるほどのことなんてないもんな。
ネイティブアメリカンの多くは、彼らの居留地の中で極端に貧しい暮らしをしていた。酒がはびこり、倫理観も低下していた。ある部族のチーフが、バッファロー狩のほかに、土地の活用法を思いついた。それはカジノを作って儲けることだった。すると、その部族はあっという間に金持ちの仲間入りをしたってわけだ。わかるだろ?時には他人の悪習を利用することで、自分の悪癖を絶つことができる。

第33話「媒体」

Medium Rare

オズ。重罪犯用のオズワルド州刑務所は第4レベルの矯正施設だ。オズの囚人は24時間管理されてる。食事の時間も就寝、労働、自由時間も決められている。投獄された人間に「自由時間」なんて悪いジョークさ。自由時間とはいってもやっていいことと、いけない事は、はっきりと決められてるんだ。本を読んだり、運動をして有意義に過ごす奴もいれば、祈る者、悪事をたくらむ者、ただぼんやりテレビを見る者もレビには啓蒙する力がある。伝達の力。我々大衆の前に真実をさらけ出してくれる。テレビは実に非凡な贈りものだ。死から蘇えったラザロと同じ神がくれた奇跡のようなものだ。だが、俺たちは、その贈りものをうまく使ってるか?

第34話「改心」

Conversions

この星の住人は皆、人それぞれにとっての真理にすがって生きている。いわば神や道徳、運命や人生の目的であり、普通我々はそれを道徳と呼ぶ。時として生きていく中で、その宗教に対する信心が崩れてしまう事があるんだ。すると人は次の宗教を探し、改宗をする。時に改宗はトラウマとなる。我々の魂にだけじゃなく、まわりの人間にもな。
変わるってことは、共産主義から資本主義に変わるのも禁煙するのも、とどのつまりは以前の行為を否定することなんだ。自分に意味がなきゃ他人もそうだと思い込む。視野が狭くなり強い光に目がくらんでしまう。対象が宗教でも断酒会でも同じことさ。信者になっちまうんだ。俺に言わせりゃ世界を潰すのはそういう輩だ。奴らは自分たちの側に神がついてると信じてる。でも俺たちに神の光は必要ない。暗い夜もわずかな光で充分。足元を照らしてくれる光さえあればな。

第35話「復讐」

Revenge Is Sweet

刑務所はいろんな物を作ってる。ナンバープレート、服、コンピュータチップ。でもオズには、おすすめの大ヒット商品がある。「復讐」だ。ここじゃ完全オートメションで復讐を生産してるんだ。まさに世界一。これだけは自信を持って言える。「復讐」は成長産業だ。
誰かに復讐するというのは最大の誉め言葉を送るのと同じことなんだな。説明すると「あなたは私の人生をこれほどまでに大きく変えてくれました。だからあなたの人生も変えてあげたいのです」復讐は究極の感謝状なのかもしれない。あぁ、そう考えてみると、あの言葉はホントだな。「復讐はすばらしい」

第36話「武装」

Cuts Like A Knife

オズでは危険から身を守れるように身構えとく必要がある。武器を持った誰かに襲われたときのために、こっちも武器を用意しとく。敵を殺すかくいとめるために準備しておくのさ。
最悪の傷は心についた傷だ。いつかは立ち直れても元の自分にはもう戻れない。傷は残る。しばらくの間は痛むだろう。胸ときめかせた相手を思い出すたびにな。だけど、そんな傷なら死ぬまで誇りを持って生きていける。

第37話「暴風」

Blizzard of ’01

ブリザードがやってくる。たくさんの雪が空から降ってきて全てを埋め尽くす。歩道も車も家々も地面は凍り滑りやすくなる。すごーく危険だ。だがオズにいれば、外の天気なんて関係ない。オズの中はポッカポッカで、居心地最高さ。
雪の結晶に同じ形のものはないらしい。でも本当にそうなのかな?だって地球ができて以来、世界中に降った全ての雪の数を考えてみろよ。平均化の法則から言っても同じものがあって当然だ。人間も同じ。オズの男たちも最初はそれぞれ違っても終わりは皆同じだ。

第38話「不運」

Orpheus Descending

大昔のギリシアにオルフェウスって名の男がいたそうだ。妻を愛し、決して深酒をせず、竪琴の名手。すばらしい男さ。そんな彼に神は何をしたか?やつの女房を死なせちまったのさ。なぜか?力のある者は、えてしてそういうことをするものさ。
神話には何か教訓があるはずだ。だが、オルフェウスの悲しい物語には何がある?善い行いをせずとも罪にはならない。バカ言え。善行なんて幻さ。愛は全てを制する?そんなことはありえねぇ。この話の教訓は力のある者もない者も等しく愚かだってことと、オリンポス山の連中に身をゆだねるのは最低の愚行だってことだ。神々に力があるならそもそもなぜ最初から人を救ってくれねぇんだ?答えてくれよ。

第39話「勝敗」

Even The Score

あー!「競争によって人は力を発揮する」そんな言葉がある。本気の試合なら真のスポーツマンは結果を残したいと思うはずだ。当然ながら、勝利をつかめばヒーローになれる。もし失敗すれば、あざけりの的に。オズでの競争の問題点は、ほとんどが敗者ってことさ。
どんなスポーツでも、勝利のために何よりも必要とされる要素がチームワークだ。だがそいつは、同時に何よりも恐ろしい要素でもある。チームに参加することは個人を捨てることだ。より大きな目標のために自己を犠牲にするということなんだ。真のチームプレーヤーとして自分を犠牲にできるなら、成功はついてくるだろう。だが、気をつけてくれ。その成功が本当に必要か、よく考えた方がいいだろ?

第40話「言葉」

Famous Last Words

ずっと気になってた。人が言葉を覚えてから死ぬまでの間に、普通どのくらいの言葉を喋るもんだろう?人はひたすら喋って喋りまくり、空気を言葉で満たしていく。自分の言葉が誰かの記憶に残ることを密かに期待しながら。だが本当はわかってるんだ。話の多くはクズってな。
言い残す言葉より人からの評価の方が大事かもしれないな。あんたが死んだ時に誰かがすごく誉めてくれるかもしれないし、けなすかもしれない。その中間が正解なんだろうな。人の人生を表わすには言葉だけじゃとても足りない。それを語れるのはその人の「おこない」だけだ。
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