海外ドラマスペシャルコラム

アメリカTVのスペシャリストがドラマの魅力や見どころを語ります!

Vol.96 待望のシーズン5が始まる「ゴシップガール」。若者だけでなく大人のファンも魅了する理由

gossipgirl_S5_250.jpg4月のスーパー!ドラマTVの目玉は看板番組「ゴシップガール」のシーズン5開始だろう。

筆者は男だからか、この番組について書く機会が少ないが、今回は書いておきたいことが多く、あえて挑戦してみたい。これほどファッション誌に取り上げられる海外ドラマが他にあるかという「ゴシップガール」は、若いファンが多いイメージが強いが、大人のファンも実は多い。筆者と同世代の同業者たちもそうだし、先日も漫画オタクの姪がなぜか本作にはまり、母親(私の義姉)も見るようになったと聞いた。

スキャンダラスな物語とそれを彩るスターたちやファッションの魅力がよく語られる「ゴシップガール」だが、筆者のようなおっさんでさえ見ると感心するのは、キメの細かい丁寧なドラマ作りだ。まず、以前も書いたかもしれないが、ニューヨーク・ロケが素晴らしい。米国の映画・TVはハリウッドの町で作られることが多く、実際コストもそちらのほうがかからない。しかし「ゴシップガール」の製作陣は「SEX AND THE CITY」の後でニューヨーク現地ロケ以外はありえないと考えたという。とはいえ、シーズン5の第1・2話でセリーナはハリウッドで働いている設定(映画『世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド・O・ラッセル監督のアシスタント!)で、番組もLAロケをしているが、LAで録った「SEX AND THE CITY」のエピソード(キャリーの本が映画化されるかもというあれ)の再現のようでニクい。

ドラマとしての強度は監督の顔ぶれからも分かる。シーズン5は、第9話をかつて青春映画の名作に多数出演したアンドリュー・マッカーシーが、第12話を映画『初体験/リッジモント・ハイ 』『クルーレス』のエイミー・ヘッカリングが監督し、第15話のマシュー・ペン監督は名作『俺たちに明日はない』のアーサー・ペン監督の息子だ。

最先端の青春ドラマながら、映画・TVの過去の蓄積を忘れないからこそ、「ゴシップガール」は大人の支持も獲得しているに違いない。

© Warner Bros. Entertainment 

【アメリカTVライター 池田敏 2013/03/29】

Vol.95 ツカミから見る者の心をつかみ、傑作の予感!北欧ドラマ「THE BRIDGE/ブリッジ」

BRIDGEブリッジ_200.jpg3月のスーパー!ドラマTVの目玉は、デンマーク&スウェーデン合作の「THE BRIDGE/ブリッジ」だ。以前デンマークの傑作「THE KILLING/キリング」を取り上げた時にも書いたが、同国とベストセラー「ミレニアム」が生まれた隣国スウェーデンなど、北欧のミステリー・ドラマは今とにかく熱い。

両国の合作「THE BRIDGE/ブリッジ 」も、まずツカミが秀逸。ある夜、両国にまたがるオーレスン橋のライトが48秒間消え、再びライトが点いた時、国境と重なる橋の中央で女性の遺体が見つかる。上半身はスウェーデン側、下半身はデンマーク側で……。ここまでで、たった数分間。よく思いついたなという導入部で、これに心をつかまれないミステリー好きはいないだろう。スウェーデン警察の女性刑事サーガ、デンマーク警察の男性刑事マーティンというコンビを中心に両国の合同捜査が始まるが(言語が同じ東ノルド語に属するので意思疎通が可能)、「THE KILLING/キリング 」と同様、多彩な人間関係も描く。筆者など特にそうだが、北欧文化に馴染みが無いためか、どの登場人物にどんな背景があるか、外見から予測がつかないのも面白さを加速する。そして犯人らしき人物が犯行声明と共に発する、衝撃のメッセージがまた凄い。

考えればデンマークはラース・フォン・トリアー、『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン、『未来を生きる君たちへ』のスサンネ・ビア、スウェーデンはラッセ・ハルストレム、『 ぼくのエリ 200歳の少女』 『裏切りのサーカス』のトーマス・アルフレッドソンら優れた映画監督を輩出しており、すると、TVドラマのレベルが高いのも当たり前かもしれない。今や北欧の映画・TVドラマはかつてのバイキングのように、海を超えて大暴れしているのだ。やはり3月にはスーパー!ドラマTV でデンマークのポリティカル・ドラマ「コペンハーゲン/首相の決断」の第1話先行放送もあり、海外ドラマ好きなら北欧、絶対に気にしておこう。 

【アメリカTVライター 池田敏 2013/02/28】

Vol.94 タイトルを掘り下げても本格派への期待増加。「DARK BLUE/潜入捜査」放送開始!

Dark Blue_tate.jpg2月のスーパー!ドラマTVの目玉は、1月に第1話が先行プレミア放送されたハード・サスペンス・アクション「DARK BLUE/潜入捜査」の放送開始。前回のコラムでは「ザ・プラクティス」でゴールデン・グローブ賞ドラマシリーズ主演男優賞に輝くディラン・マクダーモットの熱演にふれたが、今回はタイトル中の単語、BLUE(ブルー=青)を掘り下げたい。

米国の刑事・警察ドラマにはタイトルに「ブルー」と入った物が多い。エミー賞に輝く「NYPDブルー」を筆頭に、「ロス警察25時」(原題は原作と同じく「ブルー・ナイト」)、「女刑事レディブルー」、自転車に乗った警官隊を描く“Pacific Blue”(日本未放送)など。最近も「ブルーブラッド~NYPD家族の絆~」がある。それほど米国で“青イコール警察”というイメージが強いのは、警官の制服が青(紺や濃紺を含む)が多いからだろう。この色には歴史があり、19世紀に英国でロンドン警視庁が、警官を兵士と区別するため、黒に近い濃紺の制服を着せたのがルーツ。そしてロンドン警視庁をモデルにしたニューヨーク市警も、ネイビーブルーの制服を採用。これが全米に広がり、都市部の警察でブルーの制服が一般的になった。

そういう訳でタイトルからして本格刑事ものとしてわくわくさせられる「DARK BLUE/潜入捜査」。製作総指揮のジェリー・ブラッカイマーは自身のヒット作「CSI:科学捜査班」からスタッフを引っぱってきており、第1話のダニー・キャノンからして「CSI:科学捜査班」「CSI:マイアミ」を立ち上げた名手(「NIKITA/ニキータ」「ALCATRAZ/アルカトラズ」の第1話も監督)で、ゲスト出演も『ターミネーター』のマイケル・ビーン(シーズン1第7話)、「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」「リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線」のサーシャ・アレクサンダー(シーズン1第10話)など充実の布陣だ。

© Warner Bros. Entertainment Inc.

 

【アメリカTVライター 池田敏 2013/02/01】

Vol.93 ディラン・マクダーモットの男っぽさが光る「DARK BLUE/潜入捜査」第1話先行プレミア放送

Dark Blue_tate.jpg2013年のスーパー!ドラマTVで最初の目玉は、1月に第1話が先行プレミア放送されるハード・サスペンス・アクション「DARK BLUE/潜入捜査」(2月より日本初・レギュラー放送開始)。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで知られるハリウッドの大物、ジェリー・ブラッカイマーが製作総指揮し、心身ともにぎりぎりまで犯罪者に近づく、潜入捜査官たちの物語だ。まず印象的なのはタイトルそのままのダークブルーの映像で、スタイリッシュな演出はブラッカイマー作品らしい。しかし、米国の警官を象徴する色であるブルーがダークに陰るということは、潜入捜査が危険な仕事であることも表している。潜入捜査官は一歩間違えればみずから犯罪者になるかもしれず、また、潜入先の悪党どもに正体がバレれば即座に殺されかねない。

そんな捜査官たちのリーダー、カーターを演じるのはディラン・マクダーモット。そう、TV「ザ・プラクティス~ボストン弁護士ファイル」で主人公ボビー・ドネルを演じた、アルマーニのスーツが似合うあの大人のイケメンだ。そしてマクダーモット、タフガイのカーター役でこれまで以上に男っぽい、ワイルドなイメージを見せている。恐らくは「ザ・プラクティス~ボストン弁護士ファイル」のボビー役がはまり過ぎてマクダーモット自身、新たなイメージを模索していたのだろう。「DARK BLUE/潜入捜査」での熱演に筆者は、マクダーモットが俳優としてまた成長したと痛感させられた。

そんなマクダーモットは、「DARK BLUE/潜入捜査」に続くホラードラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」でも、ショッキングな作品世界に溶け込むほどの激演を披露。近年、「MAD MEN」のジョン・ハムや、「エイリアス」のブラッドリー・クーパーらがTV界から映画界への進出に成功したが、マクダーモットも大人の魅力で彼らに続くことを期待したい。まずは「DARK BLUE/潜入捜査」でその復活を目撃しよう!

【アメリカTVライター 池田敏 2012/12/27】

Vol.92 とにかく必見!「THE KILLING/キリング シーズン2 第1話先行プレミア放送」

killing_2_250.jpg12月のスーパー!ドラマTVの目玉はとにかく、「THE KILLING/キリング」シーズン2第1話の先行プレミア放送だ。

ある殺人事件の捜査を、1日あたりほぼ1話というペースで描く、かなりユニークだが本当に出来るのかというアイディアを見事に成立させたシーズン1だが(先行放送直前に全話一挙放送あり)、シーズン2もそのスタイルを大きく変えることなく、引き続いてスリリングに発進する。新たに、ある女性弁護士が殺され、それが政界をも巻き込む大事件に発展していく一方、シーズン1の苦い結末を経て国境検問所に左遷されたサラ(ソフィー・グローベール)の再起の物語にもなっているのがファンにはニクい。

シーズン1の最終回は人口550万人の同国で200万人が視聴し(視聴率は36%強!)、シーズン1・2いずれも国際エミー賞にノミネートされ、シーズン1は英国アカデミー賞で最優秀国際シリーズ作品賞を受賞するなど世界的な評価を獲得。最終的にシーズン1・2は世界120か国にセールスされたという。

興味深いのは、英国で英語字幕付きで放送されたこと。「THE KILLING/キリング 」の成功は英国で、他のヨーロッパの国々のドラマが次々と同じように英語字幕付きで放送されるきっかけにまでになった。そして、米国でリメイクされたのも、もはや伝説的。それでもまだヨーロッパのドラマに不慣れという人には、「THE KILLING/キリング 」に限らず、“いま北欧のドラマが熱い”と念を押さなくてはならない。

やはりデンマークで作られた「ゾウズ・フー・キル」シリーズ、デンマークと同じスカンディナヴィア諸国のスウェーデンで生まれた「スウェーデン警察 クルト・ヴァランダー」(ケネス・ブラナー主演の「刑事ヴァランダー」は英国リメイク版)など、引き続いて要注目だ。まずは12月29~30日のシーズン1全話一挙放送を見て、30日夜のシーズン2第1話先行プレミア放送を体験してみてほしい!
 

【アメリカTVライター 池田敏 2012/12/04】

Vol.91 J.J.エイブラムスの底力を感じてしまう「FRINGE/フリンジ シーズン3」!

fringe 3_250.jpg11月のスーパー!ドラマTVの目玉は、最新海外ドラマを追っている人ならやはり、「FRINGE/フリンジ」シーズン3の開始だろう。

シーズン1は“J.J.版「X-ファイル」”風だったが、最終回でいきなり“パラレルワールド”(ある世界と同時に別の世界もあるという“並行世界”)物に舵を切った本作。製作総指揮のヒットメーカー、J.J.エイブラムス(「LOST」)のファンは、ここからちょっと妄想が入るが、花道で出演者たちの後をこっそりと歩くJ.J.に“いよっ、待ってました!”と声を挙げたのではないか。J.J.作品を見続けている筆者のようなマニアは、特にだ。

たとえば「エイリアス」。J.J.の旧作「フェリシティの青春」のスパイ版はできないかという当初のアイディアをまるで無視するかのごとく、スパイ・ドラマとして独自に進化した“あの感じ”や、今だからいえるが、「LOST」の“何これ!?”というシーズン2を経てシーズン3からぐんぐんと盛り返した“あの感じ”。

以前筆者はある対談でJ.J.作品を“前向きな自転車操業”と評したが、まんざら大ハズレでもなかったはず。TVドラマはまずツカミで勝負し、その後は何でもあり。但し、一度舵を大きく切ったらそこからはブレない。それがTV界における“J.J.イズム(主義)”だろう。

J.J.作品で重要なのは、彼の壮大なビジョンを補う優れたスタッフの存在。「FRINGE/フリンジ 」シーズン3は前シーズンに続いて後半、アカデミー作品賞に輝く映画「ビューティフル・マインド」で脚色(オスカー受賞)を務めたアキヴァ・ゴールズマンがまたいるのが嬉しい。主人公が見る世界が実は……というアイディアに世界中がだまされた「ビューティフル~」の名脚本家を得たことでJ.J.自身、どこまで面白くなるのか見届けたいと思った、それが「FRINGE/フリンジ 」シーズン3だ。

©Warner Bros. Entertainment Inc. 

【アメリカTVライター 池田敏 2012/10/31】

Vol.90 あまりに意外な豪華スター競演にもご注目を「CHUCK/チャック」シーズン4が到着

10月のスーパー!ドラマTVの目玉はやはり、「CHUCK/チャック」シーズン4だ。

映画版「チャーリーズ・エンジェル」第2作「~フルスロットル」でキャメロン・ディアスに、「CSI:科学捜査班」のウィリアム・ピーターセンの物真似メイクをさせたマックG監督(普通させるか!?)と、「ゴシップガール」でオシャレ・プロデューサーになったかと思いきや、この「CHUCK/チャック」もやっている以上、本当はこっちの人(オタク!?)と思いたくなるジョシュ・シュワルツが、引き続いてこのシーズンも製作総指揮。普通に見ていて楽しい「CHUCK/チャック」だが、マックGもシュワルツも自分たちの趣味、特に過去のエンターテインメント作への偏愛を隠さないことで、誰にも予測できないレベルの娯楽作に本作を高めている。

これまでの3シーズン、「ホワイトカラー」のマット・ボマー、「バトルスター・ギャラクティカ」のトリシア・ヘルファー、「スタートレック エンタープライズ」のスコット・バクラ、名コメディ俳優チェヴィー・チェイス、「バビロン5」のブルース・ボックスライトナー、『ターミネーター2』のロバート・パトリック、怪優ウド・キア、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのクリストファー・ロイド、「ヤング・スーパーマン」のクリスティン・クルックらをゲストに迎えてきた「CHUCK/チャック」は、マニアじゃない人も楽しめますとうそぶくのに一瞬ためらうほど、凝った顔ぶれのゲストが次々と登場。

そして番組史上最長の全24話からなるシーズン4は、映画『ターミネーター』第1・2作のリンダ・ハミルトン(チャックの母親役!)、ドルフ・ラングレン、「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」のサマー・グロー、4代目『007』男優ティモシー・ダルトンら、まるでもうひとつの『エクスペンダブルズ』かという名アクションスターの同窓会になっているとか。

作り手たちの遊び心と共に楽しもう!

【アメリカTVライター 池田敏 2012/09/26】

Vol.89 伝説的刑事ドラマとのクロスオーバーに注目したい「LAW & ORDER シーズン6」

9月のスーパー!ドラマTVで気になるのは「LAW & ORDER シーズン6」の特に第13話、「ボルティモアからの刺客」。これはスーパー!ドラマTVがかつてスーパーチャンネル時代に放送した「ホミサイド/殺人捜査課」の第44話「歪んだ愛国心」とのクロスオーバー・エピソードだ。

ホミサイド/殺人捜査課」は、映画監督バリー・レヴィンソンが故郷ボルチモアを舞台に製作した伝説的刑事ドラマ。もう1人の製作総指揮、トム・フォンタナが「LAW & ORDER」を生んだディック・ウルフと友人だったこと、両番組共に全米ではNBCネットワークが放送していたことからクロスオーバーが実現した。「ボルティモア~」に「ホミサイド~」のベイリス(カイル・セコー)、ペンブルトン(アンドレ・ブラウアー)、マンチ(リチャード・ベルザー)が登場すると聞いただけで筆者はドキドキ。ちなみにこの後、「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」にも登場するマンチは「X-ファイル」「THE WIRE/ザ・ワイヤー」などにも登場し、米国TVドラマ史で最も多数のドラマに登場した創作上のキャラとなる。

さて、このクロスオーバーという手法だが、「アリー・myラブ」と「ザ・プラクティス」(全米放送した局は異なるがプロデューサーはいずれもデイヴィッド・E・ケリーだった)、「CSI」3部作からなる“トリロジー”なども有名だが、実は1960年代からある手法だ。後に映画化もされた西部劇「マーベリック」のシーズン4第2話には、同じワーナー製作の西部劇「コルト45」「連邦保安官」「アリゾナ・トム」「シャイアン」「ブロンコ」の主人公たちが登場したという。

話は飛ぶが、近年日本のTV界はドラマのヒット作が出にくくなっているようだが、試しにこのクロスオーバーをやってみてはどうか。英語版ウィキペディアに“日本でもトクサツ(特撮)のジャンルで盛ん”と書かれているように、不可能ではないはずだし。

【アメリカTVライター 池田敏 2012/08/31】

Vol.88 米TV界最高レベルのアクションを楽しもう「ヒューマン・ターゲット シーズン2」

8月のスーパー!ドラマTVは「ヒューマン・ターゲット シーズン2」がお楽しみ。DVD化されていないのでひょっとしたらまだ知名度は低いかもしれないが、人気の伸び代(のびしろ)を感じさせる痛快エンターテインメントドラマだ。

クライアントを守るため、時にみずから代わりのターゲット(標的)になることもあるボディガードにして私立探偵でもあるクリストファー・チャンス(マーク・バレー)が主人公。この名前は世襲制だが、前シーズン最終回で前代のチャンス役を伝説のドラマ「600万ドルの男」に主演したリー・メジャースが演じたことにぐっと来た海外ドラマバカは私だけではないだろう。

番組の見ものはスケールの大きなアクションの数々。シーズン1第1話は映画「トゥームレイダー」のサイモン・ウェスト監督(次回作は「エクスペンダブルズ2」!)が演出。シーズン1・2を通じて最も数多く演出を務めているスティーブ・ボーヤムは、何とスタントマン出身。シーズン2第10話を監督したクレイグ・R・バクスリーといえば、「爆発!デューク」「特攻野郎Aチーム」のアクション演出で名を挙げたベテラン。シーズン2第2話の監督は「ER 緊急救命室」シーズン1の名作「生と死と」や映画「ピースメーカー」など、女性なのにといっては失礼だが活劇の演出に定評があるミミ・レダー。これだけ揃ってアクションに力が入らないはずはないという「ヒューマン・ターゲット」。

キャストも魅力的で、チャンス役のバレーは続いて「ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所」にシーズン2からレギュラー入り。ゲレロ役のジャッキー・アール・ヘイリーは元々実力派だが、スピルバーグの新作「リンカーン(原題)」やリメイク版「ロボコップ」への出演が決定。シーズン2からショーランナー(番組のクリエイティブ面でのリーダー)が「CHUCK/チャック」の脚本に参加してきたマット・ミラーに交代するのも要注目点だ。

【アメリカTVライター 池田敏 2012/07/27】

Vol.87 26話もあるシーズンなのに、ダレずに快調!「クリミナル・マインド」シーズン4開始!!

7月のスーパー!ドラマTVは、放送開始時に当コラムのVol.53でも取り上げた「クリミナル・マインド」のシーズン4開始が嬉しいのでまたご紹介したい。ちなみにこのシーズン4、全米では各話の平均視聴者数が番組史上最も多かった(約1495万人)。前シーズンが全米脚本家組合ストの影響で20話と少なかった反動か、「24」の各シーズンより2話多い、26話もある(!)のに、だ。

各話のシリアルキラーの造形や手口、BAU(行動分析課)の見事なプロファイリング(たまに間違えるがそれがかえって物語を盛り上げる狙いなので許せる)など、個人的に大好きな犯罪ミステリーだが、シーズン4の第1話は前シーズン最終話からのクリフハンガーが秀逸。前シーズン最終話のラスト、BAUの誰かが乗り込んだ、黒いSVUの1台が大爆発するというショッキングな場面(このためにBAUをいつも黒いSVUに乗せていたんじゃないかと思いたくなるほど効果抜群)で幕を下ろしたが、警察ドラマによくあるパターンのクリフハンガーかとあなどるべからず。大抵こういう趣向は新シーズン第1話の冒頭で“はい、無事でした。よかったよかった”となるところが、このクリフハンガーは危機が続いたまま第1話の最後まで突っ走る。これ以上はネタバレになるので書けないが……。

続く各話も、事件自体はシーズン前半だと第5話・第8話・第11話あたりがかなり面白く、第3話に「ビバヒル」のディラン役が懐かしいルーク・ペリー、第4話に「新スタートレック」のウィル・ウィートン、第8話に「刑事スタスキ-&ハッチ」のポール・マイケル・グレイザーなど、ゲスト俳優も適役が揃った上、第7話でリードの過去とJJの出産(!)がまとめて描かれるなど、レギュラーキャラの掘り下げも手堅い。そして最終話も次シーズンへのハングオーバーとなるが、そのためにも第18話は必見。秋から全米ではシーズン8に突入。まだまだ楽しませてくれる!
 

【アメリカTVライター 池田敏 2012/07/02】

Vol.86 シーズン2に突入してそのオリジナリティをより発揮していくSFサスペンス「V('09)」

6月のスーパー!ドラマTVは、「V('09)」シーズン2第1話の先行プレミア放送(6/30の21:00~22:00)が、7月から始まるレギュラー放送と共にお楽しみだ。

1980年代の大ヒットSFドラマ「V('83)」の新生版である本作は、世界中の大都市の上空にエイリアン(ビジター)の巨大UFOが出現する壮大なイメージなど、オリジナル版をリスペクトする姿勢がシーズン1では印象的だったが、同時に、新生版ならではの味付けもユニークだった。

特に女性キャラの重要性が旧作以上に高く、レジスタンスの中心になっていくエリカ、謎めいたビジターのアナ、人間の少年タイラーと接近するビジターのリサ、実はビジターだったライアンを夫に持つ人間バレリー(悲しい運命を遂げたが)など、自我を持つ女性たちがずらり。SFと聞いて女性の視聴者の中には、絵空事に思えて感情移入できないという人がいるかもしれないが、本作に関しては“もしも自分の周囲にこういう女性がいたら自分はどうするだろう”とつい想像したくなるのがポイント。極端な話、ソープオペラ(お昼のメロドラマ)を連想してもらってもかまわない。

そしてついに始まるシーズン2だが、そんな女性ファンにもオリジナル版「V」のファンにもお楽しみなのが、強烈な新キャラ、ダイアナの新登場。演じるのはオリジナル版でも同じ名前の中心人物、ダイアナを演じたジェーン・バドラーだ(余談だが旧作が日本でもヒットした時に来日した)。新ダイアナについてはネタバレできないが、ある重要なプロフィールを持つ。また、オリジナル版のファンには、最終回にオリジナル版で主人公のマイクを演じた、マーク・シンガーがゲスト出演しているのも嬉しい。

全体的にオリジナル版から離れて独自の展開に突入し、よりオリジナリティを発揮するのが「V('09)」シーズン2。番組は惜しくもフィナーレを迎えたが、全米で熱心なファンが番組継続の嘆願運動を起こしたのも納得が行く。

【アメリカTVライター 池田敏 2012/05/31】

Vol.85 レッド・ジョン問題に進展!?「THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル シーズン3」

5月のスーパー!ドラマTVのお楽しみは「THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル」シーズン3の独占日本初放送。
日本にも多数上陸している米国のサスペンスやミステリーの中で本作は、

(1)主人公パトリック・ジェーンのキャラが立っている
(2)連続するストーリーもあるが各話毎の独立性が高い
(3)司法解剖などのグロテスクな描写が控えめ

などの理由から、老若男女幅広い層が途中からでも見やすいといえる。まさにこのシーズンからでも追いつきたいお薦め作品だ。

とはいえ、かつてジェーンの妻と娘を殺した謎の人物、レッド・ジョンの問題が今後はより進展する。シーズン2の最終回、意表を突く形でとうとうジェーンに接触してきたレッド・ジョン。今後は多くの事件でレッド・ジョンの関与が窺え、彼に協力者がいる可能性が浮上。さらに警察やCBI(カリフォルニア州捜査局)の内部にまで協力者がいるかもしれないという衝撃の疑惑。

シーズン2でジェーンと意気投合しながら行方不明になった女性クリスティーナ(「24」シーズン1でジャック・バウアーの妻テリーを演じたレスリー・ホープ)も気になるところ。シーズンのクライマックスがこれまで以上に盛り上がりそうな気配がたっぷりだ。

話題としては、番組生みの親ブルーノ・ヘラーが脚本を書いた第9話でジェーン役のサイモン・ベイカーが監督も務めたのは要チェック(以前主演したTV「堕ちた弁護士~ニック・フォーリン~」でも1度監督をしたが)。米TV界で俳優が監督業にも挑むことはけっして珍しくないとはいえ、そのリスクを考えると逆に番組が順調なことを示しているといえよう。事実、全米放送中のシーズン4でベイカーは2度目の監督業を実現させている。

そんなベイカーは2013年完成予定の映画「Give It a Year(原題)」でローズ・バーン(「ダメージ」)やアンナ・ファリスと共演予定。「THE MENTALIST~」の成功あっての躍進である。
 

【アメリカTVライター 池田敏 2012/04/27】

池田敏
海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。

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