声優名鑑 -甲斐田裕子

声優で見る作品を選ぶという、ドラマ。ファンは少なくない・・・。毎回一人の声優に焦点をあて、本人インタビューや出演作品の映像をもとに、「ドラマ吹替え制作当時」のとっておきのエピソードや彼らのバイオグラフィーを紹介するドラマ・ファン待望のコーナーを完全収録!

甲斐田裕子

甲斐田裕子

ゴシップ・ガール」の誰もが羨むパーフェクトガール、セリーナ・ヴァンダーウッドセンの声を担当する甲斐田裕子さん。ほかに「ER 緊急救命室」のニーラ役や、「ダメージ」エレン・パーソンズ役、アニメ「機動戦士ガンダムUC」マリーダ・クルス役など、多くの吹き替え作品に出演されるとともに、舞台女優としても活躍されています。

声優のお仕事を始めたきっかけは?

甲斐田
高校時代に演劇部をやっていて、友達と一緒に声優専門学校へ行ったのが、誘われて、なので、自分で「やりたい!」と思っていたよりは、巻き込まれて、という感じでした。

初めてアフレコ収録する現場へ行ったときの印象は?

甲斐田
緊張して何も覚えてないくらいです、右も左もわからなくて・・・。ガヤ(その他大勢の声)が初めての収録で、ガヤの人しかいない時間帯に呼ばれて行ったのが、一番最初です。作品は何かのアニメだったと...。内容はよくわかりませんけど、子供向けのアニメで、3人ぐらいで、1人くらいしか入らないようなブースに入ってやりました。

海外ドラマやアニメ作品など、これまで吹替えを担当されたキャラクターの中で印象に残っているキャラクターは?

甲斐田
最近では「ゴシップガール」のセリーナがそうですし、もうちょっと遡ると「ER 緊急救命室」のニーラ、そして私の中でキッカケになったのが『プリティ・プリンセス( アミーリア・ミニョネット・サーモポリス・レナルディ /アン・ハサウェイ役)』です。苦労も大変苦労して...。思い出深いですね。

舞台女優としても活躍されている甲斐田さんですが、舞台のお仕事と声優のお仕事で違う点は?

甲斐田
自分自身が出ているのと違い、吹替えはもう既に完成された作品があって、むこうの役者さんが演じている上に(日本語のセリフを)のっけていくということなんですが、日本語でよりわかりやすく、魅力的になるように...と心がけています。(舞台の仕事も吹替えの仕事も)考えることはどっちも一杯あるんですが、「吹替え」は私としては役者をしっかり見て「何をやろうとしてるの?」と語りかけながら、やっています。一人でやるわけではないので。

ご自身の「声」の特徴はどんな部分でしょうか?

甲斐田
低い声ですね。劇団などで稽古するようになって、だんだん低くなっていったんで...。よく低いとかハスキーな声と言われるんですけど、そこは自分ではよくわからなくて。ただ(私の声は)低くて影があるらしく、どこか影がある役が多いかも。だからあまりハツラツとした役が回ってこないんです(笑)。なので明るい役が回ってきたときは、意識して「おバカ」になれるようにしないと、自分が思った以上に影がある声になってしまうみたいです...。

声をあてる上で気をつけていることとは?

甲斐田
吹替えをやるときは、向こうの役者さんの表情だったり手振りだったり、そういうところにしっかり日本語の重要なセリフがあたるように、違和感がないようにしています。本当に向こうの役者さんが日本語でしゃべっているかのように聞こえるのが私の理想なので。自分で家で(練習を)やるときはとにかく画面を見て台本を読んで、その両方をしっかりやることと、あとスタジオへ入ったら隣の役者さんとしっかり会話ができて、芝居が成立していることにほぼ念頭を置いてやっています。

ER 緊急救命室」でニーラ役を演じておられますが、ニーラというキャラクターについての印象や、演じるうえで重要視したこととは?

甲斐田
彼女は本当に私に似ているんです。ニーラは完璧主義者で優秀なんですが、何でもできると思っちゃってる部分があって...。実際現場に出た時に、色んな失敗をしたりとか、勉強してきたことではまかないきれない不足の自体が沢山起こって先輩たちに怒られたりいじめられたりするんですが、優しく暖かくサポートしてくれる人もいたりして、だんだん成長していくんですけど、そういう部分が凄く似ていて、私もやっぱり色々考えてしまいます。実際周りの人たちと交流しないとお芝居は成立しないので...。
私は「ER 緊急救命室」という老舗の番組に、途中からポンって放り込まれた感じだったですが、「周りの人が怖い」と思ったら意外とみんな優しくて、本当にあたたかく見守ってくれて「こっちのマイク入んなさい」とか「ここはこうだよ」とかいろいろと皆さんに教えてもらったんです。そんな中で色々成長させてもらった部分があって、本当に(ニーラと私は)同時進行な感じでした。(ニーラは)私の分身なような気がするので忘れられないキャラですね。幸せになって欲しいな、彼女も波乱万丈なので(笑)。

ゴシップガールセリーナ役を演じることになった時の印象は?そして難しかった点などありますか?

甲斐田
最初彼女を見たときの印象は、本当にカワイイ時と、ブサイクな時とあって、今はほとんどキレイだなと思うことが多いですけど、シーズン1の頃は「ちょっとオバサンじゃないの?まさか入れ替わってるんじゃない?」と思うような顔をしてたりとか、なんでこの子が人気なのかわかんないね、とかみんなで言いながらやってたくらい、なんか不思議な子だったんです。表情豊かで、女優さんってそういう顔しないよね、っていう顔を平気でしちゃったりとか、笑い方も大きい声で豪快で...。自由奔放で屈託がない感じが、余計親近感が湧くキャラクターですね。そんな彼女の自然な感じを出したかったので、普段だったら比較的安全な路線(のお芝居)に走るところを、(セリーナ役については)自分で「こうやらなきゃ」って決めたりしないで、あっちいったりこっちいったりしながら、ある部分ははっちゃけたりしながら演じてました。

ご自身にとって「声優」というお仕事とは?

甲斐田
楽しいです。きっかけは適当な感じだったんですけど、色々な先輩だったり、周りの人だったり、教えて頂いた先生たちによって気持ちは変わりました。ただ(声を)あてるんじゃなくて、やっぱりいい作品を作るとか、この業界をもっと良くするにはとか、もっと色んな人が吹替え版を見てくれるにはどうしたらいいんだろう、というのを考えている人と考えていない人が業界にはいるんですけど、考えていきたいと私は思っているし、そういう人たちと話をするのは凄く楽しいです。私たちは今まで新人だからという部分があったけど、もうそうも言っていられないぐらい下の代の人たちが増えてきたので、そういうところをもっと動いていかなきゃいけないな、というのを、先輩たちを見習いながら、考えている時期です。ライフワークというと嫌なんですけど、私は何をやっているのですか、と聞かれた時に、「声優です」、と今は言いたいです。前は「俳優・声優です」、と言っていたんですけど、「声優です」、と胸を張って言えるように、この仕事に誇りを持ってやっていきたいなと思っています。

声優を目指す人たちへのアドバイスを一言

甲斐田
本当に楽しい仕事です。私はお芝居好きなので、色んな劇団の色んな大ベテランさんと一緒に、マイクの前で共演できるっていうのは、舞台の世界ではほぼない、吹替えの世界ならではですので...。共演している声優さんと飲みに行くのも楽しいですし(笑)。声優のお仕事は自分を成長させてくれる場が本当にたくさんあるので、(声優を目指す方々には)頑張って、いつかスタジオで会える日を、と思いますし、お芝居を勉強して欲しいなと思います。

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