声優名鑑 -大塚明夫・沢海陽子

声優で見る作品を選ぶという、ドラマ。ファンは少なくない・・・。毎回一人の声優に焦点をあて、本人インタビューや出演作品の映像をもとに、「ドラマ吹替え制作当時」のとっておきのエピソードや彼らのバイオグラフィーを紹介するドラマ・ファン待望のコーナーを完全収録!

大塚明夫・沢海陽子

大塚明夫・沢海陽子

「ER」のベントンや「ダラス」のJRの声を担当していらっしゃる大塚明夫さん、そして「ヴォイジャー」のセブン・オブ・ナイン、「ダラス」のパメラの沢海陽子さんが記念すべき第1回目のゲスト。共演の多いお二人ですが、プライベートではご夫婦なんですね。

子どもの頃好きだったドラマ、ヒーロー

大塚
幼稚園のころは「マイティマウス」を見てましたね。小さいんだけど、すごい強いネズミが好きでした。あと「あしたのジョー」とか、ちばてつやさんの、やんちゃぼうずが暴れる話、石田国松が出てくるやつ(「ハリスの旋風」)。それから「鉄人28号」ですか。そういうのを喜んで見てましたね。
沢海
子どものころ、魔女モノがすごく流行っていたんです。だから、そういうのを見てましたし、よくマンガを描いたりもしましたよ。「ひみつのアッコちゃん」とか「魔女っ子メグちゃん」とか。でも、男の子の見るアニメもすごく好きでしたね。今、明夫さんが言ったような「あしたのジョー」や「巨人の星」も見ていました。思いっきり時代がわかってしまうんですけど(笑)。 あとは海外ドラマですね。当時海外ドラマは、日曜日の3時とか4時とか、朝にもやってましたし、たくさん地上波でオンエアされていた時代でした。だから、「ルーシーショー」とか「奥さまは魔女」、歌をうたう家族の話「人気家族パートリッジ」とか、そういうのをすごく楽しみに見てましたね。

大塚明夫さんの子ども時代

大塚
僕は二世なんです(大塚明夫さんの父は、声優の大塚周夫さん)。ちょうど小学校の頃に、オヤジが「ゲゲゲの鬼太郎」でねずみ男の声をやっていて、今思うとすごい仕事だなと思うんですけど、子どもとしてはねずみ男っていうのは非常にありがたくないキャラクターなんです(笑)。ズルイし卑怯だし。
沢海
いじめられたの?
大塚
いじめられるというよりも、そういうことでよくトラブルを起こしてね。要するに「いやーい」とか言われるじゃないですか。そのまま手が出ちゃったりしてね(笑)。
沢海
(笑)。

沢海陽子さんが最初に立った舞台

沢海
私は結構おしゃまな子で、「陽子ちゃん、写真撮るわよ」っていうと、必ずバッグを一つ持ってきて、こうやって手にかけてポーズをとるような子だったんです。でも半面、すごく人見知りする部分がありましたね。 初舞台と言えるかどうか、私は全然覚えていないんですが、母が言うには小学校1年生のときに学年の音楽会があって、各クラスごとの合唱をやったらしいんです。その中でどうやら私はソロを歌う部分があったみたいです。でも、事前に親には全然言わなかったらしく、それで、うちの母親が見に来たら、「あら、陽子が一人で歌ってるじゃない」と。 やっぱりおしゃまだった分、クラスの中で何人かピックアップされて何かやるというのに選ばれることは、自分から言うのもなんですけれど、多かったですね。その頃の記憶はあまりないんですけど、きっと緊張はしていたと思いますよ。

声優の仕事を始めたきっかけ

大塚
若い頃は芝居ばかりやっていて、当然、生活が苦しいじゃないですか。でも、それしか考えてなかったので、やっているうちにあるときオヤジが「声の仕事をやってみるか」と言ってくれて、「やる、やる」って言っただけなんです。
沢海
私は、仲間で小劇団をつくって、アルバイトしながら芝居をやってるという生活をしていたんです。私がちょうど声の仕事をやり始めたのは、世の中がまだとてもバブリーな時代で、おいしい話がいっぱい転がってる時代でした。数あるアルバイトの中で、友だちのお芝居仲間から「しゃべるバイトをやらない?」と持ちかけられたんです。そのとき録音をしてくれた方が、今の事務所の当時の社長だったので、「声の仕事に興味があるなら紹介しますよ」と言ってくださったんです。 私はそのとき初めて声優という仕事に対して、こういう仕事もあったんだと漠然と思いました。もう食べられなかったですから、お金になるならぜひ紹介してください!という感じで飛び込んだんです。それで、そのまま事務所に所属して、もう十何年いますね。

初めてのアテレコ(吹替え)

大塚
初めてアテレコしたときは、なんか、随分シンプルにやるもんだなと思いましたね。部屋にモニターとマイクがあるだけじゃないですか。でも、考えてみりゃそうか、なんて(笑)。結構簡単にやってるもんなんだなと思いました。
沢海
私はね、暗いなあって(笑)。まあ、スタジオ全体は密室状態にしないとだめですし、照明も結構暗めだし。皆さんもワハハッ!って感じにはならないで、結構静かにいらっしゃるので。何だかその静けさがかえって緊張感を高めている感じでしたね。

お二人(大塚さん、沢海さん)が声優として初共演した作品は?

大塚
あれだよ、「新スパイ大作戦」
沢海
そう。「新スパイ大作戦」ですね。明夫さんがレギュラーで。当時、明夫さんが忙しくなり始めていたころかしら。
大塚
そうだね。
沢海
私は、「声の仕事をやってみませんか」と言われて、勉強し始めたくらいで。明夫さんはちゃんとレギュラーで、私はバレリーナの女の子たちの「おつかれさま~」っていうガヤで呼ばれて行ったのが......共演って言うのかな。でも、共演ですね(笑)。
大塚
それに、本線(物語の筋となる部分)を録り終わってから録ったんだもんね。
沢海
そう! 夜7時に入ってくださいって言われて、ずっと待って、「ガヤいきま~す」と声をかけられたのが夜9時。で、あっという間に、「おつかれさま~。じゃーね。あしたね~」って(笑)。それでおしまいでしたね。

「ER 緊急救命室」の吹替え現場
※大塚さん(ベントン役)と沢海さん(チュニー役)は「ER 緊急救命室」で共演!

大塚
「ER」に関しては、ダブリ役が極端に少ないんです。一言二言でも1人の声優を呼ぶというポリシーでつくっているため、とにかく人数が多い。人数が多い中でマイクは3本。あの人数を3本でやるのは、役者もミキサーも、フォーメーションを考えるのが結構大変なんです。 慣れない人は様子がわからないからボーっとしていたりするので、「ここからここのセリフでは向こうのマイクに入ったほうがいいよ」とアドバイスしたりもしてました。
沢海
「ER」始めたころは、私もそんなに"めちゃくちゃベテラン"っていう感じでもなかったですから......。1時間番組なのに40人くらいいるのかな。
大塚
多いときはね。
沢海
まず座る場所を確保するのが精いっぱいでしたね。座る場所がないときは、ひざ抱えて前で体育座りをしていたっていうときもあって。でも、その中で合間を縫って音を立てずにやるストレスがありましたね。 テレビをご覧の皆さまは状況がわからないかもしれないけれど、原音を聞く場合、ヘッドホンから流れる英語を聞きながら合わせるんです。今は無線の受信機を首から提げてやるから身軽なんですけど、「ER」をやり始めた頃はまだ、コードがついた状態のヘッドホンしかなかったので......。
大塚
そうだっけ。
沢海
ええ。だから、その線がついているヘッドホンで、3本のマイクの間を移動しなくちゃいけないわけです。だから、三つ編みじゃないけど、コードがどんどんどんどん絡まっていくわけですよ。コードが短いから、この今自分のしているヘッドホンじゃあっちのマイクには入れないと思ったら、あっち側に座ってる人に、「すみません、じゃあ、このタイミングで耳――ヘッドホンのことを通称耳って言うんです――貸してください」と。そういうやりとりをしながら、すごい速いテンポでやらなくちゃいけなかったんです。もう、とにかく芝居以外に気を遣うことが異常に多い番組でした。

「ER 緊急救命室」の吹替え作業で難しかったこと

大塚
専門用語っていうのは、ほとんどわかりませんから。そのために監修の順天堂の先生がいらしてくださるわけですけれど。それをいかにわかったようにしゃべるか(笑)。あまりにもわからないと、どういうことか説明してもらいながらやりました。困るのは、ふだん全く使わない言葉を、さも日常的に使ってるように流暢にしゃべるのが、すごく難しかったですね。 僕はベントン役だったんですが、始まったころ、ベントンは明るくて元気のいい先生だったんです。だけど、だんだん話が進むうちに暗くなってきてね。「なんだよ」なんて、いつも怒ってたりなんかして。最初のほうもいつも怒ってはいたんですけれど、だんだんそれが内向的なキャラクターになっていって、他人と壁をつくっていくことになります。そういう意味では、前の明るいベントンに戻ればいいのにと思いながらやってました。どうしても声も質的に変化せざるを得ないし。
沢海
私はチュニー役でした。たしか第2シーズンだったかな。ルイスのお姉さんが出産するシーンがあったんです。産科の看護師だったので、その出産シーンにお手伝いをするので出てきたのが初めてだったんですけれど、そのときいきなりアップで「マルケスです」って自己紹介をしたんです。たぶん、原音で「マルケス」だったんですが、その後「チュニー・マーケイズ」という表記になりましたね。
大塚
そうそう。
沢海
そのままレギュラーになったんですが、向こうの役者さんも、最初はキャラクターがつくり込まれていないから、印象が固いっていうか、カチッとした印象だったんです。だから私もそのままの感じでやりました。でも後々、設定はキューバ人で、男の子きょうだいの中で女1人、バイクとか乗り回しちゃうような結構勇ましい性格だっていうのがわかってきました。陽気で、「大丈夫、大丈夫!」みたいな。「そんなの、治るときは治る!」ってくらい勢いのある看護師さんだったんですね。 困ったのは、彼女時々スペイン語をしゃべるんです。「ER」って本当にいろんな民族の人が運び込まれてきて、言葉が通じないっていうシチュエーションのときは、日本語に吹き替えるわけにいかないんです。だから、スパニッシュ系の人が運ばれてきて、「言葉がわからないからチュニー連れて来て通訳させろ」みたいなシチュエーションがあったときに、"そんな、私だってわかりませんよ、スペイン語"って感じなのに、台本にカタカナでスペイン語が書かれていて、それを読まなければいけない。原音を一生懸命聞きながらやりましたね。
大塚
独学?
沢海
はい(笑)。独学で。
大塚
意味はわかんないんだろう?
沢海
うん。でも、最近は結構、台本のト書きに「こういうことを言ってます」っていう日本語がちゃんと書いてあるからわかるんですけど。時々、スペイン語しか書いてないときがあって。その時はもう、勢いでしゃべり倒すってカンジですね(笑)。

「新スタートレック」について

大塚
僕はライカー役でした。ライカーは、こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど、最初シリーズが始まったときはね、この人は一体何考えてるのかなっていう芝居をしてたんで、困ってたんです。何かに足載せてこうやってしゃべったりね(笑)。でも、だんだん回数が進むにしたがって、やりやすくなってきたな、みたいな。まあ、二枚目担当、みたいなところだったんでしょうけれど。
沢海
最初はターシャ役で参加したんですけれど、途中で死んじゃうんです。影みたいな謎の生命体が......。その後、あれは何なんだろう。ターシャと同じ役者さんが出てきて......。
大塚
あれはパラレルワールドみたいなやつで、違う世界のターシャが出てくるんだよね。
沢海
あと、セーラだったかな。・・・忘れちゃってるな。言うとボロが出ちゃう(笑)。
大塚
だって、(収録から)もう何年経ってる? 10年くらい経つんじゃないか。
沢海
もっと経つかも。
大塚
そんなにいってる?
沢海
一番最初にやり始めてからはたぶん。まあ、でも10年かな。
大塚
僕の場合、自分のやらなきゃいけない俳優さんがどういう人なんだろうということが、最初に気になります。そこからだんだん慣れてくると、作品全体のタッチやトーンに目がいくようになってきます。そうすると、これは深いなあと思って。 とにかく脚本をつくる人がすごい。これだけのものを1時間ドラマでバンバン量産していっちゃうのはすごいなっていう感動が一番ありましたね。

「スタートレック/ヴォイジャー」について

沢海
あれはとても楽しかった作品ですね。私はセブン・オブ・ナインをやったんですけれど、あのキャラクターは好きですね。(演じるジェリ・ライアンは)もともとモデル出身の女優さんだったらしいんですけど、演技が上手なんです。きっと、モデルさんとしてもすごく自信に満ちた人だったんだろうと思います。やっぱり、自信がないとできない役じゃないですか、セブン・オブ・ナインって。常に高飛車で、だれに対しても上からものをバシバシ言う感じだから。 でも、セブン・オブ・ナインの役をいただいたとき、その前にターシャがあったので、同じ「スタートレック」シリーズで二つレギュラーいただいちゃっていいのかしらって。控え目なんです、私(笑)。そういう気持ちがまずありました。でも、うれしい!と思いながら......。 セブン・オブ・ナインの変化については、向こうの役者さんの演技も変わってきてるので、それに忠実にやっていると、どうこうしようなんて思わなくて済みます。やはりシリーズものですから、毎回やっていくと自然に変わっていけるという感じでした。

「ダラス」について
※大塚さん(J.R.役)と沢海さん(パメラ役)は、全357話の伝説の超大河ドラマ「ダラス」でも共演!

大塚
最近、回想シーンで昔のシーンが出てくると、「若っ!」と思いますね(笑)。 J.R.ユーニングという人は、ちょっと子どもなんです。子どもだから、どうしてもお茶の間から見ていて憎みきれない部分っていうのが出てしまって、それが受けてすごいシリーズになったんだろうな。本当の大人で悪いやつだったら、きっと人気ってそんなに出ないでしょう。J.R.っていうのは、大きな力を手にした子どもだと思うんです。だから子どものかわいさみたいなところが消えちゃったらだめだというのが、僕がJ.Rをやるときの命題なんです。 例えば母さんと話すときは、ちょっと気をつけて子どもの部分をカリカチュアしてやらないと。そういうことを考えながらやっています。
沢海
 J.Rの人間的魅力とか、あり得ないようなシチュエーションとか、噛めば噛むほど味が出るシリーズですね。提案なんですけれど、せっかく全357話もあるのですから、全部録り終えたときには、一挙に帯で昼間の1時や2時の時間帯に流してほしいです。1週間ごとより、毎日同じ時間にやると、絶対ファンがたくさんつくと思いますよ。
大塚
ソープオペラだね。
沢海
本当、まさしくソープオペラっていう内容ですよね。ぜひやってください。
大塚
あんまり続けて見ても疲れるんだと思うよ。
沢海
あれっ? 私の意見は(笑)。

役づくりについて

大塚
基本的に、作品の中での役のポジショニングとキャラクターを重視しています。あとは周りの人がどうつくるかっていうのもあるんですけれど。 芝居の場合はたくさん稽古する時間があるので、声の仕事よりそんなにせっぱ詰まってないんです。決め打ちしていかなくてもそのうちできてくるんで、最初に大ざっぱに想定しておけばいい。ところが声の仕事の場合は、本をもらったら2~3日のうちに本番があったりします。そのときに探っているようでは人に迷惑がかかるので、どこかで、おれはこういうふうにしようと決め打ちしなければいけません。だから、非常に時間が少ない。舞台よりもポジショニングとキャラクターを自分の中で鮮明につくっていかなければいけない部分はあります。 ただ、芝居の場合は自分で立体的につくっていかなければいけませんが、声の場合はすでにあります。特に洋画の場合は生身の人間がやっていますから、そこを教科書にするとそんなに時間はかからないですね。
沢海
吹き替えはとてもテクニックが必要です。まず、合わせるということ。それに慣れるまでは、役づくりとか何とかっていう余裕すらありませんでした。 ・・・私は吹き替えがすごく好きだし、自分で言うのもなんですけど、合ってると思うんです。職業として選んですごくよかったなと思います。 でも、なんで私は声優がよかったのかと考えると、画面の中でまずやってくださっている、自信を持って演じてくださっているものに、悪くとられると困るんだけど、寄っかかれるんです。あなたを信じてそのとおりやればよくなるはず。そこの安心感で私はきっとリラックスして芝居ができるんじゃないかなと思うんですよ。 だから、声をあてることに慣れた今、あまりキャラクターをどうこうしようっていうよりは、作品全体を見るとおのずとそういう感じにしゃべれちゃうし、演じることができます。まあ、難しいキャラクターもいますけどね。ちょっと特殊で、考えなきゃいけないようなつくり方もありますけれど。
大塚
声の仕事が忙しくなってくると、テレビドラマや映画や舞台に出演するよりも、読まなきゃいけない脚本の数が膨大になるわけじゃないですか。忙しい人になると、毎日1本違うものを読んでいたりする。そうすると、本をパパッと解析するトレーニングみたいなことが自然とできてくるんですね、たぶん。芝居しかやってない人は年に6本もやってると、随分やってる人だねと思われるんですけどね。6本を深く読んでいるっていうのもあるんですけど、この仕事は6本じゃ飯が食えませんから(笑)。
沢海
そう(笑)。
大塚
まあ、舞台でも飯は食えないですけど。でも、パッと本を読んでサッと何かつくらなきゃいけないっていうトレーニングがすごくできてくるんだよね、仕事をしているうちに。
沢海
そうね。

リップシンクについて

大塚
人のセリフを聞いているときも、しゃべってなくても(登場人物は)息をしていますから、そのリズムを自分ではかって、「~です」って相手が何か言い終わり、「それじゃあ~」ってしゃべり始めて、息がだんだんなくなって、途中どこで息を吸っているかがわかれば、リップシンクってそんなに難しいものじゃなくなるんです。
沢海
私もそうだと思います。やっぱり、声をあてる仕事をしていると、例えばどうしてもタイミングがとりにくいときがあります。収録のとき、画面の右端にタイム(秒数)が出たりするので、わかりづらいときはそのタイムで、何秒で出ればいいなという目安に使うことはあります。でも、すべてそのタイムを目安にすると、呼吸がとまっちゃってるんです。ただこのタイムになったら出ればいいっていうことになると、人として息をしていなくなるわけです。 たしかに今、明夫さんが言ったみたいに、相手のセリフを聞いてそういうふうに息をしていると、とても難しいタイミングでもフッと入れるようになるんですよ。だけど新人のうちはそんな余裕すらないから、みんな、ここのタイミングにきたら出るって構えているので、その段階で息をとめちゃってるんですよね。だからとても難しく不自由なものに感じてしまうんだなって。それは私も経験してすごく感じたことですね、呼吸の大切さっていうのは。

沢海さんから見た役者・大塚明夫

大塚
言いたくなければ言わなくていいよ(笑)。
沢海
いや(笑)。私はとても尊敬しています。
大塚
アハハ(笑)。
沢海
そこで笑わない(笑)。いや、本当に。とてもうまい。身内になったから言うとか、そういうことではなくて。ちょっとプライベートな話になりますけれど、一緒にいたいと思ったところで結婚したんですけれども。やっぱりうまいし、尊敬しています。先輩としても。 とても歯切れもいいし。さっきの話じゃないけれども、「ER」のベントンとか見てると、よくそんなカタカナ、舌噛みそうなのに言えるなっていうことを割と言えちゃう人なんですよ。「おれだって言いにくいセリフはあるぞ」って言うんだけど、それをわからないようにスッと言い抜けちゃう。それだけでもすごいなと思います。
大塚
いやあ、どうもありがとうございます。

大塚さんから見た役者・沢海陽子

大塚
この人は、とても深い芝居をする人です。本来、ほかの人がつくらないところも実はつくるような役づくりをしているんです。この深さをもうちょっと発揮できるポジションにいけるといいなと思っていますけどね。絡んでいて楽しい役者の一人です。
沢海
ありがとうございます。......なんかヤな感じするね、2人して褒め合って。
大塚
「おまえはだめだ!」って言う? そのほうが番組的にはおもしろいのかな?「最低なやつだ!」って。
沢海
(笑)。

大塚さんに七つの質問

(1) 今、一番やってみたいことは何ですか。

大塚
1年ぐらい何もしないで、気候のいいところでダラダラとしたいですね。

(2) パワーの源は何ですか。

大塚
なんでしょう。最近、あんまりパワーがないんで(笑)。パワーの源は何だろうな。人が喜んでくれるのを見ることでしょうか。

(3) もし無人島に何か一つだけ持っていくとしたら、何を持っていきますか。

大塚
そうだな。ギターとか持って練習。それしかやることがないと、きっといつの間にか弾けるようになるから、何か楽器持っていきたいですね。

(4) 5年後の自分はどうなっていますか。

大塚
たぶん、50歳になりながら代わり映えしないと思います。アハハ(笑)。

(5) あなたにとって声優とは。

大塚
僕の仕事であると同時に、やはり、それがなくなったら僕は一体何者って思っちゃうくらい大事に思っている、かな。仕事なんですけど、仕事を超えた部分で、むしろ僕の存在理由みたいに、今、なっているかもしれませんね。

(6) 最後の晩餐があった場合、何を食べますか。

大塚
最後に食べるもの。その後、死ぬ? 何食べるだろう......。白い米かな。

(7) 座右の銘はありますか。

大塚
特にないんですけど。自分が孤独だなって思ったときに一つだけ、「燕雀 (えんじゃく) いずくんぞ 鴻鵠 (こうこく) の志を知らんや」と言って自分を慰めます。アハハ(笑)。

沢海さんに七つの質問

(1) 今、一番やってみたいことは何ですか。

沢海
なんかよくわかんないけど、声優以外の何か(笑)。なんだろう、すごい抽象的ですけど。めちゃめちゃ広いんですけど。

(2) パワーの源は何ですか。

沢海
寝ることと、あとは人に必要とされているっていう実感かな。

(3) もし無人島に何か一つだけ持っていくとしたら、何を持っていきますか。

沢海
大塚明夫(笑)。

(4) 5年後の自分はどうなっていますか。

沢海
きっとあまり変わってないような気もしますけど。うん、あまり変わってない(笑)。

(5) あなたにとって声優とは。

沢海
なってよかったなあって思う。
大塚
なんで?
沢海
苦しくて楽しいものって感じですね、声優は。

(6) 最後の晩餐があった場合、何を食べますか。

沢海
私もさっき明夫さんが言ったみたいに、結局、お米なんですけど。ふと思ったのは、なぜか、おはぎ(笑)。なんかそれも淋しいね。でも、子どものときにかえるっていう感じで、よくおばあちゃんとか母親がつくってくれました。

(7) 座右の銘はありますか。

沢海
ついめげそうになると、「大丈夫、大丈夫」って自分に言い聞かせているので、「大丈夫」。
大塚明夫・沢梅陽子

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