マイケル・J・フォックス・ショウ:デーブ・スペクターが語る 「マイケル・J・フォックス・ショウ」の魅力 インタビュー

あのマイケル・J・フォックスが主演でTV復帰!全米で話題の最新ヒットコメディ

インタビュー

アメリカのテレビドラマや放送業界に詳しいデーブ・スペクターさんに、「マイケル・J・フォックス・ショウ」の見どころや主演のマイケル・J・フォックスの魅力について聞きました。

デーブさんの分析する俳優マイケル・J・フォックスの魅力とは?

やはり好感度の高さでしょうね。彼は’80年代のシチュエーションコメディ「ファミリータイズ」で一気に有名になりましたが、当時から小柄だけど賢くて、裏表のないキャラクターで愛されてきたんです。日本で言うならば、えなりかずき君のようにお茶目で憎めない。しかも、奥さんとはおしどり夫婦で家庭も円満。みんなに好かれる人物なんです。

だから、彼がパーキンソン病を患っていると発表した時は、ファンのショックも大きかった。それまで、俳優として完璧な人生を送っていましたからね。いい作品ばかりに恵まれて、映画でもテレビでもヒットを飛ばしていた。それがパーキンソン病という、一般的には年配の方がかかる病気に若くしてなってしまったから、みんなビックリしたわけです。
実は、1度だけ本人にお会いしたことがあるんですよ。まだ僕がロサンゼルスに住んでいた頃、レンタルビデオ店のレジにマイケルが並んでいたんです。話しかけようと思ったのですが、ちょっと勇気がなかったですね(笑)。

そのマイケルが「マイケル・J・フォックス・ショウ」で第一線に主演復帰したわけですが、アメリカでの反響はどのような感じなのでしょうか?

みんな喜んでいます。この番組では主人公がニュースキャスターで、パーキンソン病を抱えていては仕事ができないと自分から引退したものの、やはり患者のままで人生を終わりたくないということで復帰しますが、これは演じているマイケルの実生活とほとんど同じなんです。

彼は主演ドラマ「スピン・シティ」を病気で降板してからずっと、単発的な俳優の仕事を続けながらチャリティ活動も行ってきました。でもこの番組なら病気も含めて実生活を反映させている部分が多いので、恐らく本人はやりやすかったんじゃないのかなと思います。

「マイケル・J・フォックス・ショウ」をご覧になった感想を教えてください。

とにかく家族がユニークで面白いですね。シチュエーションコメディというのは、略してシットコムと呼ぶんですけど、ほとんどが家族のストーリーなんです。だから、家族が面白いというのは重要。特に奥さんのアニーを演じているベッツィ・ブラントという女優さんが大好き。彼女は「ブレイキング・バッド」という大ヒットドラマでも、主人公の義弟ハンクの奥さん役をやっていましたが、笑いのセンスが最高なんです。
3人の子供たちもいいですね。末っ子がいたずらで、上のお兄さんとお姉さんがおませ。こういう意識の高い子供って普通なら憎たらしく思われるかもしれないけど、舞台がニューヨークだから許せちゃう。お父さんも頭が良いし、恐らく本人たちもプライベートスクールに通っているんじゃないかな。ニューヨークは環境がいいですからね。
そもそもニューヨークって設定的にコメディ向きですし、実際にニューヨークを舞台にしたコメディは多いです。脚本家や製作者などの作り手もニューヨーク出身者が多いし、そもそもテレビ局の本社もみんなニューヨークですからね。撮影は主にロサンゼルスで撮っても、作り手的にはニューヨークのセンスでやりたいという思いが強いんじゃないかな。ただ、あまりセンス良くすると全国的に受けなくなる。

ストーリー的な魅力についてはいかがでしょうか?

今ならではの話題が多いですよね。長男がIT業界で商売をやろうとしていたり、ネットいじめのエピソードがあったり。ソチ・オリンピックが取り上げられていたのも驚きましたね。普通、テレビドラマというのは再放送などの兼ね合いもあって、あまりタイムリー過ぎるネタは避ける傾向が強いですから。
それと、同じアパートに住んでいる主人公の妹が貧乏なコラムニストというのもリアルですよね。だって、「セックス・アンド・ザ・シティ」のキャリーみたいなのはありえないですよ。たかがひとつのコラムで、あんなに稼いでるなんて。

あとは、テレビ局のプロデューサーのハリス。彼を演じているウェンデル・ピアースという俳優は、「THE WIRE/ザ・ワイヤー」というドラマの刑事役で有名な人で、僕は彼が大好きなんです。で、実は僕の姉がNBCのシカゴ支局に長年勤めていて、僕もちょくちょく遊びに行きますが、そこで実際に見聞きしたニュースキャスターとプロデューサーの関係や現場の雰囲気なんかが、この番組と本当にソックリなんです。すごくリアルに作られているのだなと思いました。
それから、この番組では実在する人がそのまま出てくる。これも面白いと思いましたね。例えば第1話ではピーター・アレクサンダーというニュースキャスターが本人役で登場する。日本で言うならば、古舘伊知郎さんや安藤優子さんが本人役で出てくるようなものです。
確かに設定やキャラは架空ですけど、全てが作り話では真実味がないでしょ。ニューヨークのテレビ業界を舞台にしているのだから、そこで実際に働いている人が出てこないと逆におかしい。オープニングに映る建物も本当にNBC本社だし、番組の収録セットも本物そっくり。よくできていると思いますよ。

アメリカのテレビ業界の現場というのは日本とはやはり違いますか?

「ニュースルーム」というドラマを見てもわかると思いますが、競争の激しさは全く違う。日本では社員が多いのであまり頑張らなくても済むかもしれないけれど、アメリカは全員フリーランスですから競争が凄まじいんです。この番組でもライバルのキャスターとの摩擦が描かれていますけど、生々しいなと思いましたね。
それと、主人公のマイク・ヘンリーのようなキャスターは、アメリカのローカル局ならばどこにでもいるんです。さすがに、年収100万ドル以上の契約で20年以上もやっているベテランというのは、景気が悪くなったせいで減ってはいますけれど。
とはいえ、ニューヨークでもロサンゼルスでも、彼のように地元の人なら誰でも知っている超有名なキャスターというのは結構います。今や全米で最もリッチな女性の一人になった司会者オプラ・ウィンフリーも、もともとはローカル出身ですし。
ただ、日本ではなかなかそういう人はいませんよね。30年も40年もニュース一筋でやっているローカルのキャスターって。システムが違いますしね。だから、この主人公のキャスターとしての位置づけというのは、日本人にはちょっとわかりづらいかも知れない。

この番組ではマイケルが自らの病気というプライベートな部分をさらけ出しているわけですが、アメリカではこうした作風というのは珍しくはないんですか?

アメリカでもなかなかないと思います。もともと俳優というのは定年というのがなくて、生涯現役でやる人が多いですけど、それでも年齢や病気が原因で体が衰えた姿を他人には見せたくないからと引退する人もいますよね。マイケルの場合もパーキンソン病で体の動きが震えてしまいますし、なのでコメディをやるとは思いもよりませんでした。
ただ、20年くらい前にABCで「コーキーとともに」というファミリードラマがあったんですよ。これは初めてダウン症の俳優を起用した作品で、しかも病気をごく当たり前のことと捉えて描かれていました。
最近の「Glee」でも、車椅子の男の子やダウン症の女の子が出てきます。日本であれば恐らく可哀想な人と描いちゃうかもしれないけど、アメリカでは一切そういうことはやりません。だから前例がないわけではないですが、主人公でというのはこれが初めてかもしれませんね。
それに、マイケルが病気だというのは誰でも知っている事実ですし、そもそも彼は「ファミリータイズ」の頃から政治的な意識が高い人だった。俳優業の傍らで様々な啓蒙活動を行っていますし、議会で発言したり公共CMに出演したりしていますしね。だからこの番組も成立しているんだと思います。ほかの役者だったら、もしかするとパーキンソン病を患ってもこういう番組に出るという道を選ばなかったかもしれません。

最近の米国地上波ネットワークではシットコムが圧倒的に人気があります。そもそも、アメリカのシットコムの魅力とは、どういうところにあるのでしょうか?

脚本、そしてギャグですね。単純なものから凝ったものまで幅広いところが魅力です。ただ、地上波でシットコムが受けているというのは、ケーブルだと滅多にシットコムをやっていないからという事情もあるんです。家族揃って楽しめるシットコムというのは、地上波が最後の領域だと言ってもいいと思います。
そうした中で、この「マイケル・J・フォックス・ショウ」は、確かにシットコムならではの伝統的なパターンも含まれていますが、それでも今までになかったタイプの作品だと思います。特にパーキンソン病を患った主人公をコメディにするというのは、日本だと非常に難しいでしょう。
確かに最近ではNHK Eテレでバリアフリーのバラエティをやっていて、一部ではすごく進んできているとは思いますが、いまだに意味のないタブーが多いですからね。だから、もしかするとこの番組が日本のテレビ界にいい影響を与えるんじゃないのかなと、密かに期待している部分はありますよ。

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