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海外ドラマ最新レポート Vol.51 全米一有名な元女性検察官「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」に感謝

 
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「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」は、プロアメリカンフットボールの元スーパースター、O・J・シンプソンの世紀の裁判を描いた法廷ドラマ。米国はもちろん、世界中が注目したこの裁判には、容疑者のO・J・シンプソン(キューバ・グッディング・ジュニア)の他にも注目を浴びた人物がいた。女性の主任検察官のマーシャ・クラーク(サラ・ポールソン)だ。
 
裁判の後、検察官の職を辞し、作家・コメンテーターに転身したクラークが、米オンラインメディアのインタビューを受けている。
 
現在でも議論の尽きない O・J・シンプソン事件で、不運にも多くの批判を受けることとなった、クラーク。裁判から20年以上が経過した今も、その影響は大きく、彼女のキャリアを大きく転換させることとなった。もはや弁護士として信頼されなくなったというのだ。
 
クラークは、検察官になる前、優秀な公選弁護人でもあった。ところが、O・J・シンプソンの裁判以降、弁護士として彼女の名前が挙がっても、クライアントから「彼女はダメ!」と毛嫌いされてしまうのだとか。
 
「私はチフスのメアリーなのよ」と嘆くクラーク。“チフスのメアリー”とは、世界で初めてチフス菌の保菌者と認められた女性で、現在では“敬遠される人物”の意味で使われる。つまり、 O・J・シンプソン事件以降、クラークは司法の場において疫病神のような存在になってしまったのだという。
 
そんな風向きを変えたのが、「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」。放送後、クラークを見る世間の目が明らかに優しくなったと感じるのだ。
 
「サラ・ポールソンのおかげだと思うわ。彼女は本当に正確に演じてくれたから」と、検察官クラークを熱演した主演女優に感謝しきり。法廷では“ポーカーフェイス”を貫いたクラークを、サラは微妙な表情や態度で演じ、苦悩や葛藤を視聴者に伝えてくれた。
 
しかし、そのサラの完璧すぎる演技が、再びクラークを傷つけることもあった。
 
「(番組を)見るのがつらくなることもあったわ。だって、またあの経験を繰り返しているような気分になったから」
 
それでも「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」には救われた気持ちになった。クラークへの風向きが良くなっただけでなく、事件の見方も変わったからだ。
 
「結果的に、皆が私たち(検察)の見方を改めることになったと思うの。あの事件で私たちが何と戦っていたか分かってもらえたんじゃないかしら」
 
「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」が彼女のイメージを一変させたことが大きなモチベーションとなった。クラークはこれからもTVや書籍を通し、犯罪解明にかかわってゆくという。
 
<「indiewire.com」 3月29日>