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inside ザ・ホワイトハウス
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女優・夏木マリ(CJ役)作家・えのきどいちろうジャーナリスト・鳥越俊太郎が、それぞれ、役者として、ファンとして、記者としての視点から「ザ・ホワイトハウス」を語る!
番組のために収録されたインタビューを完全版で再録!

夏木マリ
■「ザ・ホワイトハウス」と演じる報道官CJ・クレッグ役について
■夏木さんにとっての「声の仕事」
■「ザ・ホワイトハウス」のキャラクター、作品の魅力について
■視聴者のみなさまへのメッセージ


■「ザ・ホワイトハウス」と演じる報道官CJ・クレッグ役について…

Q:『ザ・ホワイトハウス』を初めてご覧になったときの印象を教えてください。

夏木 初めてこのドラマを見たときに、ダイナミックさを感じ、やはり日本ではできないドラマだと感じました。同じ俳優として嫉妬もありましたし、まず、一(いち)ファンになりました。

Q:CJ・クレッグ報道官というキャラクターを演じた夏木さんにとって、彼女のキャラクターはどのように映りましたか?

夏木 CJは、割とアメリカ人的に、大統領に対してちゃんとものを言うし、とてもユーモラスなところもある、魅力的な女性だなと思いました。私はどうしても俳優として見てしまうのですが、演じるアリソン・ジャニーの演技が非常に細かく、お上手なんです(笑)。毎回私たちは(アフレコ収録の前に)予習をするわけなんですけれど、予習をしながらも見入っちゃうんで、すごく予習に時間がかかってしまうんです。そのくらい楽しいドラマです。

Q:報道官CJの生き方について何か感じられたことはありますか?

夏木 彼女のバックグラウンドが、元芸能界のエージェントみたいなところがあります。そういう業種からも報道官になれるんだなってびっくりしました。彼女の生き方は、役職にとどまらず、自分の思ったことを先輩に対しても常に言ってしまうところがあります。日本人にはない行動パターンなので非常に興味深く感じました。

Q:吹替えの時に、意識された点はありますか?

夏木 CJは非常に早口なんです。記者会見のシーンなどは、ブレスを注意深く探すんですけれど、私にはしてないように見えるんです。彼女にあわせてブレスをしていると、卒倒しそうになりますね(笑)。日本語と英語の違いはありますが、日本語の字数を多くしていただいているので、意外と新しいドラマになっていると思います。
※ ブレス・・・息継ぎ

Q:「ザ・ホワイトハウス」での夏木さんの声優としての「演技」においては、特に「息」の使い方がすばらしく、笑い方などうまくCJのキャラクターにのって演じられているように思われます。やはり吹替えの際重要なのは、オリジナル俳優の「息遣い」を意識することですか?

夏木 声の演技をやる場合、ブレスは一番大事なので、くまなくチェックしないといけません。自分の家のイヤホンだと漏らしているところがあるので、現場に行って「こんな息の使い方をしてたんだ」という発見もあったりして、現場で慌てたりすることもあります。
 彼女はあまり怒鳴ったりしないんです。割とワントーンなのですが、息の使い方のパターンは非常に多い。そこをうまく出ればいいなと思っています。

Q:CJを含め、「ザ・ホワイトハウス」の中で思い出に残っているエピソードやセリフはありますか?

夏木 (思い出に残るエピソードといえば、)まず(第一話の)ファーストシーンですね。CJがウォーキングマシーンで走っていて、こけるんです。あのこける声をどのように出そうかなというのが、私と彼女がつき合い始めた第一声だったので。
自分の勝手な解釈ですけど、私たちが演じるときに、その俳優さんを好きになったときが役作りの終わりみたいなところがあって。あのこけたところで好きになれたので、これから長いつき合いができるなと思いました。

Q:「ザ・ホワイトハウス」の第1シーズンで描かれる報道官CJと、新聞記者のダニーとの関係(お互いの立場上でのああいった行為)はどう思われますか?また、2人の今後の行方について、夏木さんどう思われますか?

夏木 日本の国会では考えられないと思うんです。いわゆる職場恋愛ですから。彼女は割といろんな人に惚れっぽいんです。これから見ていただくと、職場での女らしい面が出てくると思います。彼女は1人で頑張って仕事をしているわけですから、そういうところは私と共通点があるので、ぜひこの恋は実ってほしいと思います(笑)。

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■夏木さんにとっての「声の仕事」

Q:声をあてる「声優」という仕事についてお伺いします。ご自身の本でも「声の仕事が大好きだ」と書かれていましたが、“声の仕事”の魅力とは何ですか?

夏木 結果的に聞いていただくのは声だけ、サウンドだけなんですが、収録するときは全身運動だと思うんです。やはり、音のテンポや高低や強弱など、いろいろなものを体をつけてやるわけです。だから、俳優としてこういうお仕事と巡りあったことは非常にラッキーだと思います。俳優さん、全員がやられたほうがいいいと思うくらい、勉強になるいい仕事だと思います。

Q:夏木さんは「千と千尋の神隠し」の湯婆婆の声もとても魅力的ですが、キャラクターを与えられたとき、自分の中でその役に声をあてていくときのスタイルはありますか?

夏木 このごろわかったことですが、「アニメ」と実際に俳優さんが演じていらっしゃる「実写」ものに声をのせるのは、だいぶ違うテクニックだなと感じます。「ザ・ホワイトハウス」の場合は、CJ役のアリソン・ジャニーが芝居をしているところに声をつけなければいけないんです。そこで、彼女とは生理的に違うところもあるんだけれど、彼女がどういう生理で動いているのかを考えて、自分と彼女のギャップを埋めていくんです。それは非常に時間がかかることなんだけど、それがまた楽しくもなってきた今日このごろです。こういうところでブレスするんだとか、ここはこんなに間をとるんだというように、生理が違うだけおもしろいんです。アニメの場合は割と、自分で何パターンかつくっていって、それをディレクターに選んでいただくというアプローチかもしれないですね。

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■「ザ・ホワイトハウス」のキャラクター、作品の魅力について

Q:「ザ・ホワイトハウス」に出ているキャラクターで気になるキャラクターはありますか?特に大統領についてはいかがですか?

夏木 この話はホワイトハウスという題材は使っているけれど、一つの家族劇だと思います。大統領がお父さんで、私(CJ)がお手伝いさん。時には母親だったり。最近、みんなの役割分担が一つの家族に見えてきました。これからいろいろな秘密が出てくるんですけれど、お父さんは優等生ではないんです。そういう意味ではすごく人間的なお父さんなので、周りの人間が右往左往する様がとてもおもしろく描かれているのではないかと思います。

Q:「ザ・ホワイトハウス」の魅力についてお伺いします。夏木さんがドラマとして客観的に見る場合と、女優としての立場でご覧になった場合で、それぞれ魅力があると思います。「ザ・ホワイトハウス」の魅力をいくつかの視点で語るとすれば、どういうポイントがありますか?

夏木 まず、「覗き」ができるところですね。ホワイトハウスというところは、ふだん見たくても見られないじゃないですか。その裏が見られるという、覗きの好奇心をくすぐってくれるおもしろさが一つあります。もう一つは、家族劇として見られるということ。そして、日本では絶対につくることができないドラマです。お金がかかっているもの。ホワイトハウスのいろいろな部屋を撮っていく中で、全部ワンシーンをロングのカメラで追っているわけでしょう。豪華だなと思います。本当にうらやましいですよね。

--そうですね。第5話では1階から3階までずーっとロングで撮っています。

夏木 そう!

--その間、何人の人が現れてくるのか。

夏木 エキストラの数とね。

--びっくりしました。

夏木 あれ、セットですからね。

--そうなんですよね。外観以外は全部セットです。

夏木 日本のちょっとヒットしているドラマでもかなわないというか、アメリカの大きさみたいなものが感じられますよね。


Q:ドラマでも大統領を盛り上げていこうと、大統領の周りのスタッフたちが目標に向かって突き進んでいきます。夏木さん自身が目標に向かって自分を動かしていくときの気持ちの持ち方は、どのようなものですか?

夏木 仕事に対するモチベーションですか…。私は、締め切りや初日や目標に向かっては、割と体を思いっきり使ってアプローチします。ある程度の時間がきたら、やるだけやったのだからと思っていつまでも固執しません。スカンと忘れて真っさらな状態でぶつかります。例えば、プールに飛び込む思い切りといった感覚です。私はすごく感覚人間なので、あまり考えたことはないんです。(笑)。

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■最後に視聴者のみなさまにメッセージ

--最後に、これから「ザ・ホワイトハウス」の放送がスタートするスーパーチャンネルをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いします。

夏木 これから始まる「ザ・ホワイトハウス」ですが、めったにないダイナミックさがあるアメリカのドラマだと思います。ホワイトハウスだと思うといろいろ政治の言葉など複雑だと思うけれど、一つの家族劇として見てもらうと非常におもしろいし、魅力ある人間が次々に登場するので、ご覧いただければうれしいです。

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えのきどいちろう
■進化した群像劇としての『ザ・ホワイトハウス』
■『ザ・ホワイトハウス』、第1シーズンの見所
■『ザ・ホワイトハウス』のドラマとしての魅力について


■進化した群像劇としての『ザ・ホワイトハウス』

Q:えのきどさんにとって魅力的な海外ドラマとは?

えのきど 海外ドラマをずっと見てきて、1990年代に一番注目したのは、ジョン・ウェルズというプロデューサーの作品です。『ER 緊急救命室』が大好きになって、夢中で見てました。つくり方として新しいなと思ったのは、それまでになかった『群像劇』の部分ですね。複数の主人公の物語が重層的に、しかも並行してストーリーが進んでいくんです。

スティーブン・ボチコというプロデューサーが製作した『ヒルストリート・ブルース』というドラマも、(それぞれの登場人物の物語が)重層的に進む感じのドラマでおもしろかったと思います。(ジョン・ウェルズの作品は)その魂を受け継いだドラマに思えました。『ER』は激しく動くカメラアングルや、長回しをしてアクションドラマのように手術シーンを撮る・・・といったところで話題になりましたが、僕は本がすごく好きなので、ポストモダン小説みたいなおもしろさを感じました。つまり、主人公が1人ではない物語という魅力です。

ドラマの評論家などは“アンサンブル・ドラマ”と言ったりしているようです。アンサンブル・ドラマは、その後、ジョン・ウェルズのプロデュース作品で言うと、『サード・ウォッチ』など、いろいろな裏方さんが出てくる話としてつながっていきます。

Q:『ザ・ホワイトハウス』はいかがでしたか。

えのきど ジョン・ウェルズが参加しているということで、『ザ・ホワイトハウス』も大注目していました。原題が『THE WEST WING』。ホワイトハウスの西棟という意味です。
これは99年にアメリカのNBCでスタートしたものなのですが、アメリカの友だちに聞いて、早く日本でやらないからなと思ってすごく楽しみにしていたドラマです。

これも最初の構想では、本当にアンサンブル・ドラマ、群像劇というつくり方だったそうです。ホワイトハウスの中にいる裏方さん、例えばスピーチライターや補佐官といったたくさんの人たちが主人公で、物語が並行して進んでいく。ポストモダンな物語のつくり方ですよね。 僕が実際に見てすごく驚いたのは、それまでの『ER』、『サード・ウォッチ』とつくり方が少し違うところです。エリートと呼ばれるような階層の人たちの、さまざまな“人間の弱さ”みたいなものを彫り込んで物語をつくっていく・・・というところまでは想像どおりでした。また、カメラアングルのつくり方や会話のテンポ、ウィット感というのはこれまでの作品とつながっています。

しかし、これは僕が読み違えていただけではなく、制作者側も考えていなかったようなことが起きたようですが、バートレット大統領が、群像劇でありながら再び主人公として浮上していくんです。もともとは大統領をドラマの中にはあまり出す構想はなかったようです。しかし、バーットレット大統領の弱さの物語や、あるいはその弱さを乗り越えてある理想に突き進んでいくような物語に変わっていきました。

Q:『ザ・ホワイトハウス』がこれまでの海外ドラマと違う点は?

えのきど これまでジョン・ウェルズが手がけてきた群像ドラマを弁証法的に発展させつつ、一番シンプルな、主人公がちゃんといる形になったように感じます。このドラマの主人公は、アメリカの主人のような人、父親のような人です。そんな人が弱さを抱えていて、理想に向かって闘っていく。僕が今まで大好きだった群像劇をさらに発展させた形、群像劇の進化形みたいなところがこのドラマにはあります。これは本当にびっくりしました。

マーティン・シーンという役者さんの魅力でもあるのですが、バートレット大統領は本当に魅力のある人として描かれています。わかっていても胸が揺さぶられます。皆さんはこれからご覧になるのでしょうが、ずっと見ていけば物語ごとにこの大統領に魅力に引きつけられていくだろうと思います。

これまでTVや映画で政治家を描くときは、例えば権力欲などの“強さ”の要素、あるいはダーティーな要素が多かったと思います。しかし、こんなに気持ちのひだがあり、弱さを抱えていて、世界全体に向かって自分の理想をかなえるために闘っている人だという描かれ方は、これまでの政治劇ではあまりなかったと思います。つまり、ヒューマンドラマとしての政治劇というところが、この『ザ・ホワイトハウス』の魅力ではないでしょうか。

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■『ザ・ホワイトハウス』、第1シーズンの見所

Q:えのきどさんにとっての第1シーズンの見所はどこですか。

えのきど 僕がこのドラマの第1話を見たときに思ったのは、『ER』の手法をどう使っていくかということでした。『ER』にはカメラがずーっと1人の人を追いかけていくような独特のシーンがありました。入り口からストレッチャーがずーっと動いていくようなシーン。『ザ・ホワイトハウス』の中ではそれをどういうふうに撮っていくのだろうと感じたのですが、全く同じ手法で撮っていて、しかもスピード感がある。いろいろな人の会話をつないでいくというカメラワークはおもしろいと思います。

また最初のエピソードで、本当はマスコミに知られたりするとすごくまずい話が、かなり重要な登場人物に持ち上がりますが、それを外側に出すのか出さないのかで、ホワイトハウスの内側の人がさまざまな揺れ方をします。これは現在の企業不祥事や政治の世界などでもよくある話でしょう。外側に出すのか出さないのか。“政治”として、出すとすればどういうふうに出すのか。このことは意思的にやっていかなければなりません。意思的にやるというときに、僕らふつうの人間と同じように、ホワイトハウスにいるような人たちも、ひざがガクガクする。そんな心の揺れの中で思い切ってやってみるんだということが、特に第1シーズンの最初のころに如実に描かれていて、僕はすごくおもしろかったです。

Q:『ザ・ホワイトハウス』の中で好きなキャラクターは?

えのきど 僕は男ですので、ドラマに出てくる女性キャラクターはすごく気になります。このドラマの中で一番目立つ女性キャラクターはCJ・クレッグです。報道官なんですけどね。そのCJが、努めてうろたえているのを隠そうとしながら、だけどうろたえている姿。マスコミの集中砲火を浴びながら、「このことをなぜ私にだけ知らせなかったのか」と逡巡する姿が魅力的ですね。

ものすごくスクエアな仕事をしている人が、一生懸命、ちゃんとやらなきゃという姿勢でいるんだけれども、そこに微妙にうろたえが入る女っぽさ、可愛さっていうんですか、これは吹き替えの夏木マリさんの魅力も当然あるんですが、CJはすてきだなと思います。

あとは秘書役のドナですね。ドナの生意気な感じ。ああいう感じの子が事務所にいてくれて、しょっちゅういろんなことでかみついてきてくれたりすると可愛くてしょうがないなという感じがしますね。脇キャラなんですが、なかなか捨てがたい。

もちろん男の登場人物もそうなんですが、1人1人のキャラクターがきちんと彫り込まれているドラマです。これからドラマが進んでいくと、もともとこの人はどうしてホワイトハウスの仕事に就くようになったのかが回想されます。例えばCJは映画関係の仕事をしていたところからホワイトハウスへ転職してきたようです。

どういう形でホワイトハウスの現場の中に入ってくるのかが、1人1人について出てくるんです。それが結構、意外なんですよね。若いうちから雄弁会に入ってといった日本の政治風土と違って、そうじゃない人のほうが、むしろこのバートレット政権には多くて、その多彩さがおもしろいですね。

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■『ザ・ホワイトハウス』のドラマとしての魅力について

Q:『ザ・ホワイトハウス』を楽しむ上でのポイントはどこでしょう。

えのきど 『ザ・ホワイトハウス』は、『ER』『サード・ウォッチ』が好きな人だったらおもしろくないわけないんです。だけど、ちょっと違いがあります。『ER』のお医者さんたち、『サード・ウォッチ』に出てくる消防士さんやお巡りさん、救命士さんは、いつも現場で対応している人だということです。

現場で、ケガした人が運ばれてくるのを待つ、あるいは運んで行くということで、出来事自体には何もできないんです。例えばチンピラの抗争があって銃で撃たれた人が運び込まれる。そのときに一生懸命治療したり治したりするけれど、世の中をよくすることに対しては何もできない。自分の持ち場の中でしか働くしかないんです。

しかし、今回の『ザ・ホワイトハウス』には違う可能性が開けているんです。それは、現場でいろいろな痛みを抱えたり弱さを抱えたりしている人間が、世界に対してある理想を建設することができるかもしれない。『ER』『サード・ウォッチ』が抱えている現場のつらさももちろん描くのだけれど、『ザ・ホワイトハウス』には“理想の実現は人間にはできないのか”という雄々しいテーマがあるんです。

世界情勢の中のアメリカというのは、さまざまな問題を抱えていて本当に大変です。だけれども、そこで人間ができることは一体何なのか。ただ対応に追われる人間ではない、違うものを描こうとしています。ここがこれまでのドラマと違うところですね。

おもしろくないわけないですよ。だから、これまでとは何か違う興奮があります。見ていてドラマから勇気をもらう感じがします。今までとまた少し違う、胸が熱くなるドラマなんだと思います。皆さん、ぜひ、楽しみにしてください。

Q:スーパーチャンネルでこれから『ザ・ホワイトハウス』をご覧になる方へひと言。

えのきど 僕はよくスーパーチャンネルを見ているんですが、スーパーチャンネルをつけるとさまざまな、ちょっと考えられないようなドラマが見られます。こんなアングルで、こんな物語が描かれているのか、みたいなことがどんどん放映されていて、とても楽しみです。

僕もこれから『ザ・ホワイトハウス』を改めて第1話から見るに決まってます。皆さんも一緒に楽しんでいきましょう。

この『ザ・ホワイトハウス』というドラマは、心が暖かくなったり、あるいは熱くなったりするドラマです。スポーツのドラマならよくありそうな気もしますが、政治のドラマでありながら、「明日もがんばっちゃおうかな」「俺もがんばろうかな」という気持ちにさせられます。現実に立ち向かって、おれもひとつやってみるかな、というガッツがむくむくとおなかの底からわいてくるようなドラマなんです。

僕も必ず皆さんと一緒にこのドラマを見ます。そして、お互いにがんばりましょう!

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鳥越俊太郎
■『ザ・ホワイトハウス』の見所について
■『ザ・ホワイトハウス』の“現実”と“ドラマ”の違いについて
■アメリカドラマのすごさについて
■視聴者の皆さまにメッセージ


■『ザ・ホワイトハウス』の見所について

Q:『ザ・ホワイトハウス』をご覧になって、いかがでしたか?

鳥越 非常におもしろかったですね。アメリカのテレビドラマシリーズといえば、最近では『24-TWENTY FOUR-』『サード・ウォッチ』、その前には『ER』『Xファイル』など、たくさんありますが、その中でもこの『ザ・ホワイトハウス』は、特におもしろいドラマだと思います。エンターテインメントというと、『24-TWENTY FOUR-』が日本ではよく売れましたが、『ザ・ホワイトハウス』はそれとは違った意味で僕はかなり楽しめました。

Q:『ザ・ホワイトハウス』でもクローズアップされている『政治家とメディアの関係』について、どう思われますか?

鳥越 アメリカは日本と違って言葉が命なんです。つまり『政治家がどういう言葉を発するか』、それでかなり決まってくるところがあるんです。だから、(アメリカの政治家には)スピーチライターが必ずついています。ここはどういう表現をするんだといったことを、彼らは一語一句、ものすごく詰めてコメントを作成しているんです。

日本の政治家は、小泉さんもそうだけれど、原稿の棒読みでしょう。アメリカでは、スピーチライターが原稿を書いているんですが、(政治家がコメントを発表する際には傍に)ちゃんとプロンプターが置いてあります。スピーチを自然に自分の言葉でしゃべっているように表現しなければ、国民に大統領の言葉は伝わらない。そして、それが勝負なんです。

大統領選挙のときなんかディベートをやるでしょう。メディアを通して国民に大統領の言葉が伝わる・・・ということから、(大統領をはじめとする政治家は)非常にメディアを大事にします。新聞もそうですが、特にテレビメディアを大事にします。ちょっとした表現でも、国民に与える影響が大きすぎると思ったら、それはちょっと和らげる。そこまで神経を削ってやっているんだというところが、あのドラマを見ていると自然にわかります。

Q:『ザ・ホワイトハウス』のおもしろさとは?

鳥越 このドラマは実際には1999年から始まっているんですが、その後、アメリカでは9・11があって、イラク戦争が起こります。このドラマの中でシリアという具体的な名前が出てくるのですが、シリアによってアメリカ軍の飛行機がテロに遭うという事件が起こります。そして、それにアメリカは報復する。大統領が「全面報復だ~!」とやるわけです。

あれはその後のアメリカの展開、イラク戦争やアフガニスタン攻撃を見ていると、現実そのままだと感じました。ただブッシュ大統領と違うのは、『ザ・ホワイトハウス』のストーリーの中では民主党の大統領なんです。首席補佐官をはじめとする周りの補佐官が、報復はだめだと言って諫めるわけです。そして、大統領も最終的には、市民に対する被害がない形で軍事施設に対して報復しようということになる。その辺のやりとりは、ドラマがつくられた後に起きたことを予感させます。

アメリカは今の世界情勢の中で、常にそういう立場に置かれている。だれが大統領になっても、同じような決断を迫られる。それに私たち日本人や世界中の人たちが影響され、翻弄されている。世界の運命を決めるただ1人の人。それがアメリカの大統領だということがよくわかる。そんなところがおもしろかったですね。

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■『ザ・ホワイトハウス』の“現実”と“ドラマ”の違いについて

Q:リアルの部分とドラマ的な部分を区別して見られたところはありますか。

鳥越 それは随所にありました。やはりこのドラマは、アメリカのホワイトハウスという非常に限られた空間内部の大変な人間模様を描いています。例えば、大統領がチャーリーという大学にも行けなかった黒人の若者を自分の秘書に雇うところがあります。あれはドラマです。リアリティーとして、あれはあり得ません。

あり得ないけれども、やはりアメリカという国の雰囲気からすると、大統領が、大学にも行けないような貧しい、しかし優秀な黒人の青年を秘書として抱えるというのは、ある種のメッセージがあるわけです。この大統領はいい大統領だ、と。マイノリティーに対しても気を遣っているというメッセージです。これは、僕はドラマだと思います。そんなことは実際にはあり得ない。現実はもうちょっとシビアです。

Q:バートレット大統領はだれがモデルだと思われますか。

鳥越 特定のモデルはいないのだと思いますよ。実在するいろいろな大統領の要素を寄せ集めてつくったキャラクターでしょう。すごく怒りっぽくて気が短くてパーッと言ったかと思うと、すごく優しかったり、みんなに細やかに気を遣ったり。それから、すごくユーモアがあったりします。

民主党の大統領だから、クリントンの非常に抑制的な、世界的にはある程度協調していかなければいけない、国連を使っていかなければいけないという姿勢は取り込んでいるのではないでしょうか。

ブッシュ大統領になって、アメリカが何でも決めるということになってしまっているけれど、必ずしもそうはいかないわけじゃないですか。ドラマの中では、ブッシュ政権のような暴走はしていませんよね。

Q:気になったキャラクターは?

鳥越 女性のCJ・クレッグ報道官もなかなかいいですね。アメリカらしいと思いました。ロブ・ロウがやっていた広報部次長のサム次席補佐官のジョッシュもなかなかよかったですよ。それぞれのキャラクターが、非常に魅力的につくられていると思いました。

というのは、みんなそれぞれ弱みを抱えているんです。非常に人間らしく見せているわけです。すごく頭はきれるし仕事もやり手なんだけれど、みんなどこかに弱みを抱え込んでいる。首席補佐官は奥さんが家を出ていってしまうし、サムは高級コールガールと仲良くなってしまうし。また、報道官のトビーはインサイダー取引を疑われ悩んでいる。みんなそれぞれ人間的な弱みを持っていて、それがドラマとなって織りなされているのが魅力的だと思いました。単なるスーパーマンの物語ではないんです。

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■アメリカドラマのすごさについて

Q:『ER』『サード・ウォッチ』もご覧になられたそうですが、アメリカのドラマのすごさはどこにあると思われますか。

鳥越 第一にエンターテイメント性だと思います。ストーリーがおもしろいし、脚本がしっかりしているんですね。荒唐無稽には絶対なっていない。一見荒唐無稽に見えるけれども、どのシリーズでもハラハラするようにできているんです。

『24-TWENTY FOUR-』だって、設定としてはあり得ないと思うけれども、見ているとものすごくリアリティーがあるんです。リアリティーのあるエンターテイメント。それは、脚本がしっかりしているということです。

その次に、登場人物のキャラクター設定が非常にうまい。つまり、すべての人が、光だけじゃなくて影の部分も持っている人物として描かれている。だから、見ている人が感情移入ができるんです。単なるスーパーマンで、すごい人物しか出てこなかったら感情移入できないわけでしょう。でも、「ああ、おれと同じようにこういう弱みを持っているんだ」と思えば感情移入ができる。アメリカで政策を決めているやつでも奥さんに逃げられちゃったよ、みたいな。そういうところが、人気があって続いている原因じゃないでしょうか。

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■視聴者の皆さまにメッセージ

Q:最後にこれから『ザ・ホワイトハウス』をご覧になるスーパーチャンネルの視聴者に向けてメッセージをお願いします。

鳥越 『ザ・ホワイトハウス』は、ホワイトハウスというあの非常に限られた狭い空間の中でものすごくたくさんの人が働いていて、その1人1人のイキイキとした人間模様が描かれています。複雑な人間関係もあります。その中で、アメリカの大統領が、私たち日本人も含めて世界中の運命を決めていく。そのプロセスもわかります。

したがって、知らず知らずのうちに、アメリカの政治、世界の政治についても頭に入ってきます。お勉強にもなるし、見ていてとても楽しい。そういうシリーズになると思います。ぜひご覧ください。

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