「プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」、映画『トワイライト・サーガ』シリーズで知られる俳優マイケル・シーンが、地元ウェールズの借金に苦しむ人々を救済するため、私財10万ポンド(約2千万円弱)を投じたことが分かった。
これは、英で放送されたドキュメンタリー番組「Michael Sheen's Secret Million Pound Giveaway(原題)」の中で行われたもので、銀行など金融機関がいかにして人々から利益を得ているか明らかにすることが目的だったという。
「衝撃的だったのは、人々が贅沢品や無駄な物を買うためにクレジットカードを使うのではなく、生活必需品など身の回りの物を買うために使っているということです。」とマイケル。
俳優としてハリウッド映画に出演、TVや配信シリーズの主役もこなすマイケルにとって、日々の生活費に困っている人々がこれほど多く存在しているとは思いもつかなかったのだ。
マイケルは同番組制作にあたり、人々の負債、つまり借金はさまざまな金融機関を点々と移動していることを知った。
「人々の借金は一つにまとめられて、それを債権業者が買い取ります。そして、別の業者に転売される、それが繰り返されるのです」(マイケル)
ならば自分が債権業者になって、その一つにまとめられた負債を買い取れば良い。マイケルは債権買い取り業者になるべく、自己資金10万ポンドを投入し、会社を設立。負債を買い取ったという。
しかし、マイケルは自分が買い取った負債が誰のものなのか知らない。分かっているのは、それが地元ウェールズ・ポートタルボットに住む人々の借金だということ。誰の借金か知ろうとは思わないし、取り立てるつもりなど毛頭無い。全てはマイケルの善意なのだ。
マイケルの地元ポートタルボットは、基幹産業だった鉄鋼業の衰退により、経済状況が悪化しているという。同地のカフェで、マイケルは一人のウェイトレスの話を聞いた。彼女によれば、製鉄所で働く(もしくは働いていた)多くの労働者たちが生活の糧に窮しているのだとか。
「どれほど皆が苦しんでいるのか、自分の身が刻まれるような思いでした」と、マイケル。一度借金のサイクルにはまると抜け出すのは難しい。だからこそ、彼らの借金をチャラにすることで、それぞれが新しいスタートを切れるよう願っているのだ。
現在は、妻で女優のアンナ・ランドバーグ、二人の娘と共にポートタルボットに住むマイケル。地元愛は人一倍で、積極的に私財を地元に還元し続けている。その篤い志は巡り巡って、これからもきっと俳優マイケル・シーンを支え続けることだろう。
<「hollywoodreporter.com」 3月5日>