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海外ドラマ最新レポート Vol.747  「Dr. HOUSE」のオマー・エップス、亡き父との思い出明かす

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Dr. HOUSE」でエリック・フォアマン医師を演じているオマー・エップスは、2018年に自叙伝「From Fatherless to Fatherhood(原題)」を自費出版した。現在、3人の子供の父親であるオマー。自身の両親は、オマーが子供の頃に離婚、実父と過ごしたのはわずか4日間だったという。
「全てが薄っぺらい思い出です」とオマー。自叙伝に記憶の全ては記した。それ以上の思い出も感情もない。父親はオマーにとって遠い、むしろ薄い存在だった。


ブルックリンで育ったオマー、女手一つで育ててくれた母ボニーさんのおかげで道を外れることはなかった。俳優としての成功は早くに訪れ、19歳の時、映画『ジュース』に主演した。
有望な若手スターだった19歳、新車のBMWの助手席には女の子を乗せていた。無敵な気分で車を走らせていた時、道端でCDとお香を売る男性が目に入った。長らく会っていない父親だった。
「まるで映画のワン・シーンのようでした。そんなことって起こるんですね」
その時の動揺はいかほどか。しかし、オマーが車から降りることはなかった。
「当時の僕はまだ19歳でした。父になんて言えば良かったんでしょう? うまいことを言えたわけがないと思うのです。きっと車から降りていたら、嫌味な言葉を投げかけていたに違いないのです」
オマーは「映画のワン・シーンのよう」というものの、映画だったら、父親の元に駆け寄り抱きしめたのかもしれない。しかし現実には、オマーは車でそのまま走り去り、淡々と日常に戻っていったのだ。
やがて父は亡くなったと知った。もはや父に対する怒りや悲しみはなかったとか。
「亡くなるずっと前から平穏な気持ちを抱いていました。父と関係を築けたらいいなとは思っていましたが、難しかった。関係は双方向じゃなければいけませんからね。一方通行じゃダメなんです。だから時に遠くから愛すべき人を見守ることも大切と学びました」


最期まで、父がどんな人かを知ることはなかった。
「彼を一人の人間として愛していました。人間愛ですね。結局、彼がどんな人か知らずじまいで、個人的な気持ちは抱けなかった。亡くなって、ちょっぴり寂しく思いましたが、それじゃあ、意味がありません」
幼い頃のおぼろげな父、道端でCDとお香を打っていた父、息子オマーの成功をどう感じていたのだろう。自身も歳を取り、今が一番父を近くに感じている。こんな関係じゃなければ良かったのに、オマーは残念に思うのだ。



<「hollywoodreporter.com」 2018年6月21日>