ニュース

海外ドラマおすすめコラム vol.57  すべての原点「宇宙大作戦」にぐっと近づく、「スタートレック ディスカバリー」シーズン2

startrek discovery s2_yoko.jpg
6月のスーパー!ドラマTVの目玉は「スタートレック ディスカバリー」シーズン2の日本初放送開始。6番目の「スタートレック」として大反響を呼んだシーズン1の続編だが、筆者はシーズン1の新たな方向性にまず驚かされた。整理しておくとシーズン1は、(1)主人公マイケル(ソネクア・マーティン=グリーン)がサーガ史上初のアフリカ系女性、(2)主人公が舞台となる宇宙船(本作ではU.S.S.ディスカバリーNCC-1031)の船長ではない、(3)従来と異なり一話完結形式ではなく連続するストーリーを描く、というあたりが斬新だった。つまり、従来の「スタートレック」から離れるかと思わせたが、シーズン2は「スタートレック」の原点「宇宙大作戦」にぐっと近づくのがたまらない。シーズン1(6月に一挙放送あり)最終話の展開をひとつだけ明かすと、U.S.S.ディスカバリーの前にU.S.S.エンタープライズが出現するという最高にドラマティックな場面で幕を下ろした。昔からのファンの中には“待ってました!”と歓喜した人も多いのでは。そしてシーズン2の見どころも少しだけ明かさせてほしい。エンタープライズを指揮するクリストファー・パイクは「宇宙大作戦」が正式に作られる前、パイロット版(TV番組が始まる前に作られるサンプル版)の「歪んだ楽園」(6月に放送あり)で主人公だった重要人物。「スタートレック」の再出発を飾るにふさわしい、レジェンドの登場にぐっと持っていかれる。そしてもうひとつだけネタバレすると、名キャラ、スポックまでが物語に加わるのだ。従来の「スタートレック」を知らない新世代のファンも、従来からのファン“トレッキー”も目が離せなくなるだろう。スタッフに目を向けると、2009年開始の映画版第1・2作に参加し、「SCORPION/スコーピオン」なども手掛けるヒットメーカー、アレックス・カーツマンが第1話で番組初監督に挑んだのも本気ぶりを感じさせて嬉しい!
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2021/5/31】
 
池田敏:海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。