女性大臣の護衛任務につく寡黙な警官デイビッド・バッド役は、リチャードの新たな魅力を切り開く役となった。順調なキャリアを歩むリチャードが、米エンタメ誌のインタビューに答えている。
「ボディガード-守るべきもの-」出演にあたり、オファーを引き受けたのは、自身の好奇心によるものだったとリチャードは語る。「ジェド(・マーキュリオ)とトーマス(・ヴィンセント監督)に呼ばれて話をしたんだ」
マーキュリオは、英人気TVシリーズ「ライン・オブ・デューティ」のクリエーター。本作「ボディガード-守るべきもの-」は、そのマーキュリオの最新作であり、全6話全ての脚本を担当している。
「彼らと話をする前に、僕は3話分の脚本を送ってもらっていた。僕は3話分の脚本を一気読みし、なお何度も何度も読み返したんだ。僕は『この役をやりたい、続きを知りたいから。読む手が止まらないよ』って大興奮してしまった」
撮影が始まり、4話、5話、6話と脚本を手にするたび、その興奮は変わることはなかった。「これはいける」と、リチャードは成功を確信していた。意外だったのは、「僕も(シーズン1の)最後はどうなるか知らなかった」とリチャード当人が話していること。
つまりリチャードは自分がヒーローになるのか悪党になるのか、はたまた生きるか死ぬのかさえ知らず、その都度渡される脚本だけを頼りにデイビッド・バッドを演じていたのだ。
「結果的にそれで良かったと思う。次に何が起こるか知らなかったから、この役に成りきれたんだ。3話目を撮っていた頃かな、監督が僕に『犯人を知りたい?』と聞いてきたから、『教えないでくれ! 』と答えた。役の気持ちのまま演じたかったからね」
英国では日曜日に放送されていた「ボディガード-守るべきもの-」。放送されるたび、リチャードにもSNSなどで大きな反応が届いた。これまでも、ロブ・スターク役で出演していた「ゲーム・オブ・スローンズ」で、熱狂的な反応には慣れっこのリチャードだが、今回は少し違っていたという。
「『ボディガード-守るべきもの-』の前に出ていたTVシリーズは『ゲーム・オブ・スローンズ』だったのだけど、興味深い違いがあったよ。『ゲーム・オブ・スローンズ』の時は皆、“次はどうなるの、教えて!”と言っていたけれど、今回は“絶対に教えないで”と言うんだ」
知りたいけれど、今じゃない。ファンの複雑な気持ちをリチャードも分かっている。「一週間待ってワクワクを楽しみたいんだろうね。皆が一週間の間、同じ話題を共有しあえるわけだから」
「ボディガード-守るべきもの-」の大成功で、リチャードはスーパースターへの片道切符を手に入れた。『アヴェンジャー』シリーズ後のマーベルの新作映画『エターナルズ(原題)』で主演を務めることが決まったのだ。
スーパースター、リチャード・マッデンの誕生はカウントダウン。その前に「ボディガード-守るべきもの-」でその魅力を先取りしておきたいものだ。
<「ew.com」 2018年10月24日>