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S.W.A.T.「S.W.A.T.」シェマー・ムーア(ホンドー役) スーパー!ドラマTV 来日オフィシャル・インタビュー

Q: 来日は何度目ですか?
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東京へは2回目だよ。前回来たのは2011年で当時出演していた「クリミナル・マインド」の共演者、ドクター・スペンサー・リード役のマシュー・グレイ・ギュブラーと一緒だった。CBSの「クリミナル・マインド」では11年間素晴らしい経験をさせてもらった。確か2004年にパイロット版を撮影して2005年にシリーズ化。そのままシーズン11までデレク・モーガン役を演じた。そして今回、2度目の来日では自分が主演する新しいドラマ「S.W.A.T」のために来た。リーダー役のスーパーSWAT隊員ダニエル・ホンドー・ハレルソンを演じてる。6月22日(「S.W.A.T.」のスーパー!ドラマTVでの日本初放送日)に日本の皆さんの度肝を抜くから、期待してて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q: 観光できましたか?

ああ、名前は全部覚えていないんだけど、渋谷の有名な交差点に行ったよ。ニューヨークや世界中のいろんな街に行く機会があるけど、渋谷の交差点を見るとニューヨークのタイムス・スクエアを思い出すんだよ。ライト(ネオン)が明るくてね。でもニューヨークよりもセクシーだ。ちょっと暗くした感じがあるから。ニューヨークの灯りの調光を少し下げたような印象だね。ニューヨークはとにかく明るい。ピカピカピカッって!東京の灯りも似てるけど、調光を下げた感じだね。日本の方がニューヨークよりセクシーだ。

 

とにかく日本は素晴らしいよ。すごく感じが良くて、静かで、礼儀正しくてフレンドリー。車のクラクションも聞こえないしね。人が怒鳴り合ってることもない。誰かに体がぶつかっても、反応が礼儀正しい。ニューヨークでは命を狙われそうになる。

 

美しいお寺にも行ったよ。仏教のお寺。名前は忘れてしまった。すまない(浅草の浅草寺に行きました)。でも特別な場所だった。エネルギーをもらったよ。感じるものがあった。見た目にも美しいしね。それに緑が!たまたまそういう季節なのかもしれないけど、日本は今あちこち緑がきれいだ。本当に美しい街だね。それに清潔だ。

 

僕は建築も好きなんだ。インテリア・デザインとか。アメリカの自宅も自分で内装を手がけたし、母の家もやったよ。そうそう、アメリカの自宅にはTOTOのトイレを入れたよ。最高のトイレだ。

 

 

 

 

Q: 日本のトイレはクレイジーでは?

いや俺は好きだよ。もしかしたらアメリカではやり過ぎだって思われることもあるかもしれないけど、きれいになるのは嬉しいことだよね。それにすべてが・・・日本はとにかくいろいろなことが効率的、美しい。建築のラインとか・・・デザイナーなら絶対に日本に来るべきだと思うね。日本に来ていろんなことをメモしないと。とにかく日本はいいね。

 

 

 

 

Q: 日本とのつながりについて
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前に言ったこともあるけど、僕のちょっとした秘密として。日本に来るのが嬉しいのは、素敵な国だからというのもあるけど、実はちょっとした繋がりもあるんだ。直接的ではないけれど。異母兄弟、弟が1人、妹が2人いる。父親は同じ、母親が違うんだ。僕は黒人と白人のハーフで、母親のMarilynマリリン・ムーアがボストン出身の白人。異母兄弟の母親の名前はノブコ、確かノブコ・ナカミチ・・・かな。

 

とにかくファースト・ネームがノブコで、僕たち兄弟の名前はすべて、父親と母親の名前の組み合わせなんだ。父親の名前はSherrodシェロッド、母親はMarilynマリリン。SherrodのSheとMarilynのMarを合わせてShemarシェマーなんだ。

 

そして他の3人だけど、これがすごいんだ。母親の名前がNobukoだから、SherrodとNobukoから一部をとって弟の名前はShenon。男っぽい名前にするために最後にnをつけた。妹の方は、上の方がKosheno。つまりNobukoのkoとSherrodのshe、そしてまたNobukoのnoをつなげたんだ。そしてもう1人の妹の名前はSheburra。SherrodのSheと、Nobukoのbu、Sherrodのrrと、女の子っぽくするために最後にaをつけた。

 

Sheburraシェブラ, Koshenoコシェノ, Shenonシェノン、そしてShemarシェマー。3人は神奈川県出身だよ。

 

 

 

 

Q:「S.W.A.T」の主演に決まった時はどのような気持ちでしたか?

「S.W.A.T.」は夢見ていた仕事だよ。24年間、さまざまな機会に恵まれてきたけど、そのうちの21年間はCBS(で放送された作品への出演だった)だから、とても縁がある。そして今はSONYとも組ませてもらっている。ありがたいね。「クリミナル・マインド」はCBSとABC、「S.W.A.T.」はCBSとSONY。新しい組み合わせだけど、CBSは前と変わらない。この業界でここまで仕事ができて、今の生活ができるというのは・・・どんな職業であれ成功するのは大変なことだけど、俳優として成功するのは特に難しい。この業界に入ることはできても、仕事をもらい続けることができるとは限らない。知名度を維持して、ファン層をキープして、業界から価値を認められる存在であり続けるのは大変なことだ。

 

いいものを作るだけではダメで、ビジネスとしてもうまくやらなければならない。僕の場合、「クリミナル・マインド」をやめる前まで、仕事なしで過ごした最長期間は4か月だった。演技コーチからは「おまえは持ってる」って言われてたよ。恵まれている、肩に天使がいて、僕が仕事をもらえるように見守ってくれてるんだって。

 

しかしさすがに休みを取りたくなって「クリミナル・マインド」から離れることにした。リラックスして、深呼吸したかった。仕事のこと、ハリウッドのことをしばらく考えないで暮らしたかったんだ。旅行したり、家族や友人と過ごしたかった。

 

次のステップが何かあるということは、その時からわかってはいた。それが映画なのかケーブル・テレビなのかわからないけど、自分は俳優としてまだ成長するんだという確信があったんだ。でも休みが必要だと感じて1年半ほど仕事を離れた。するとCBSとSONYが「S.W.A.T.」をリメイクするというアイディアを持ってきてくれた。

 

かつての映画や70年代のテレビシリーズと同じでありながら、オリジナルで新しいものにしたい、と。シリーズが去年始まったときは「よし、S.W.A.T. 2017だ!」言ってたけど、それが今はS.W.A.T.2018で、このまま2022、2023と続いてほしいね。

 

企画を持ってきてくれた時、ダニエル・“ホンドー”・ハレルソンを中心で構成したいということだった。彼は、力強さを前面に出したスーパー警察官であり、同時に優しさと思いやり、道徳観があり、正義を追求する人物だ。そして今回の「S.W.A.T.」は、このホンドーという登場人物を通して、現代社会で実際に起きている問題に取り組みたい、ということだった。アメリカや、世界中の国で起きていることだ。分断や、男女問わず市民と警察の対立とか。

 

「S.W.A.T.」では今までとは違う自分を見てもらえると思う。「クリミナル・マインド」のデレク・モーガンを演じたことは、ものすごく誇りに思っている。それだけじゃなく「The Young and the Restless(原題)」のマイケル・ウィンターズ役もデレク・モーガン役も、今まで演じてきた全ての役柄が、自分を育ててくれたおかげで、主役のホンドー役をやることができるんだ。

 

主演を任されるのは役者として簡単にできることではないので、そのことはとても誇りに思うよ。香盤表の一番上に自分の名前があるのは気分がいいものだ。だけど、自分はバカじゃないし謙虚な気持ちも忘れていない。番組は一人では作れない。一人でやりたいとも思わない。リーダーであることを誇りに思い、自分の24年間の経験から教えられることを共演者に伝えたい。いいことも悪いことも。ハングリー精神を持ち続けること、大切なことが何かを忘れないようにすること。

 

僕がよく言うのは、「甘いソースに浸かるな」つまり、大勢のファンの存在や、たくさんのカメラ、パーティ、お金・・・そういったものに浸かり過ぎず、演じることで人の心を動かす、物語を伝えるんだという気持ちを忘れるな、ということなんだ。こういったこと全てがあるから、主役を務めることを嬉しく思う。ダニエル・“ホンドー”・ハレルソンを通して様々な物語を伝えていきたいよ。

 

ストーリーの中で自分ではどうすることもできない人たちを助けるのはもちろん、エンターテイメントも、もちろん提供したい。エンターテイメントでありながら、現実にも触れて、社会的な出来事に意識を向けられればいいね。共感するかもしれないし、逆に反発する気持ちになるかもしれない。賛成する人もいれば反対する人もいるだろう。

 

現実のニュースと「S.W.A.T.」を比べると、ドラマの方が先行きがよいのは、見る人に希望を与えたいからだ。いい気分で終わってもらいたい。ドラマの緊張感は残しつつ、ね。毎回うまく行くとは限らないけど・・・世の中では“悪いこと”がたくさん起きている。しかしドラマを見た後でベッドに入るときには「おもしろかった!明日もいい日になる気がする」と思ってほしいんだ。

 

 

 

 

 

Q:リーダーとして、プレッシャーも感じますか?
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生まれた時からずっとプレッシャーを感じているよ。僕は一人っ子で、さっきも言ったように黒人と白人のハーフだ。常に重圧を感じていた。自分は黒人なのか?白人なのか?居場所はどこなんだ?ハリウッドでやっていけるのか?スポーツでもそうだった。子供の頃にいろいろなスポーツを経験したのはいいことだと思ってるよ。競うということ、自分を信じるということを学ぶことができた。母親はシングル・マザーだった。

 

そんな自分が今、「S.W.A.T.」に主演している。今、全米のネットワークテレビ局で唯一、黒人男性が主役を張っているドラマだ。初めてというわけではなく、過去には他にもあった。僕の後にも、またあればいいね。自分がその扉をさらに大きく開ければと思っている。

 

今は、黒人ドラマではないシリーズの中では「S.W.A.T.」が唯一、黒人男性が主役なんだ。少なくともアメリカでは。そのことを誇りに思うと同時に、大きな責任も感じる。君の言った言葉でいうと、プレッシャーってやつだ。

 

ものすごいプレッシャーだけど、僕はプレッシャーが好きだ。自分にはできると信じているし、プレッシャーがあることでより努力するようになる。今まで以上に集中して取り組むようになる。

 

やればできるんだということを証明するチャンスだと思う。僕を支えてくれる人もいれば、嫌いだという人も必ずいる。そういう人がいていいと思ってる。もちろん嬉しいことではないけど、彼らの存在が自分を強くするという面もあるんだ。やってやる!という活力になる。嫌われれば嫌われるほど、自分はもっと努力する。

 

自分一人でドラマを作ることはできなくても、リーダーとして模範を示すことはできる。僕が一生懸命仕事すれば、周囲の人間も同じように頑張る。

 

スポーツの世界でも同じだ。レブロン・ジェームズやコービー・ブライアントとかね。例えばニューイングランド・ペイトリオッツでアメフトをしているトム・ブレイディのチームメイト10人は、彼と同じくらい頑張るしかない。(バスケの)レブロン・ジェームズと同じコートでプレーする4人も同じだ。僕の場合は、自分と一緒のチームとして働くメンバーが6人いる。僕が努力すれば、彼らも努力する。

 

そして自分たちの演技よりもさらに素晴らしいことが、その先にはある。面白いテレビドラマ、高い視聴率、かっこいいポスターや看板、それだけじゃなく、僕らは世の中に影響を与えることができる。エンターテイメントを提供することができる。世の中の人に、感じたり、考えるきっかけを与えることができる。

 

僕たち役者の仕事は、かっこいいだろう演技うまいだろうってひけらかすことじゃない。観客を物語の世界に引き込んで、心を動かし、楽しませ、彼ら自身の人生について考えてもらうことなんだ。

 

エンターテイメントを提供しながら人々の人生に影響を与えること。大切なのはそのことであり、他の何にも変えがたい。

 

 

 

 

 

 

 

Q: 日本には「クリミナル・マインド」のファンが大勢います。スーパー!ドラマTVでは現在「クリミナル・マインド シーズン10」が放送中で、(シェマーさん演じる)デレク・モーガンのファイナル・シーズンである「シーズン11」は8月に放送予定です。

今でもテレビでデレク・モーガンを見られるのか。いいね。シーズン11はすごいよ。どのシーズンもすごいけど、シーズン11は見逃さない方がいいよ。僕は、ド派手に退場するから。死んだりはしないよ。それは言っておく。

 

 

 

 

Q: 日本のシェマー・ファンたちに、新番組「S.W.A.T.」をどのようにおすすめしたいですか?
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「クリミナル・マインド」は日本でも人気があるみたいだね。2011年に来日したときも応援してもらっているのをすごく感じることができて嬉しかったよ。さっきも言ったように、僕がこれまでやってきたことの全てが・・・「クリミナル・マインド」の11年間がなければ、「S.W.A.T.」はなかった。僕が演じるダニエル・“ホンドー”・ハレルソンはなかった。

 

自分にはデレク・モーガンが必要だった。ものすごく多くを学んだよ。「クリミナル・マインド」のファンの皆さんは、シーズン11を見終わった後は、僕に対して怒りや悲しみを感じるかもしれない。そういう気持ちは理解できる。別れはつらいものだから。

 

しかし「クリミナル・マインド」はまだ続いている。シーズン14に突入した素晴らしい番組だ。人気の登場人物も残ってる。ドクター・リードや、ベイビー・ガールのガルシア、ロッシ。そして新しいキャストも加わって、今でも面白いドラマだから、「クリミナル・マインド」を見るな、とは言わないよ。ぜ見てほしい。シーズン11とその先のシーズンもそうだけど、シーズン11は特に、見た方がいい。

 

そして「S.W.A.T.」も、ものすごく面白いと思ってもらえるはずだ。「クリミナル・マインド」よりも面白い、というのではなく、違った面白さなんだ。僕が主役を演じている。もし、デレク・モーガンとホンドーがケンカしたら、デレクはあっという間に倒されるだろうね。

 

よく言ってるのは、ホンドーはステロイドを摂取したデレク・モーガンだね。体重も12ポンド(5.44kg)くらい増やしたよ。たくさん食べて、たくさん鍛える必要があった。モーガンとは違う存在感を出したかった。デレク・モーガンが「S.W.A.T.」に出てるように見えるのはイヤだったんだ。もちろん同じ僕という人間が演じるわけだけど、ヒゲを生やしたり体重を増やして見た目の印象を変えた。それにもちろん、これはSWAT隊員として活動するためには必要なことでもあった。

 

ただのカッコイイ刑事じゃない。これは自分がどんな役を演じる時にも思っていることなんだが、かっこいい役者がかっこいいセリフを喋ってるだけになるのはイヤなんだ。現実味を持たせたい。

 

だからデレク・モーガンというFBI捜査官を演じたときは、本物のFBI捜査官と会ってリサーチをした。今回はSWATだ。現実に毎日命を危険にさらして活動している男女がいる。SEAL隊員、ロス市警のSWAT、サンディエゴ警察のSWATなど、彼らは常に危険と隣り合わせの生活をしている。家族に行ってきますと言って出かけたら、帰ってこられないかもしれないんだ。

 

彼らは本物の銃を撃つし、本物の銃で狙われている。人間が命を落とす世の中で、彼らは人命を救っている。人類の暗い部分を目の当たりしつつ、光を灯そうと戦っている。現実にそんな人生を歩んでいる彼らが、僕らに訓練してくれたんだ。武器の使い方、体の使い方、考え方、感情的にならず任務に集中する方法など。

 

だから大切なのはドラマの面白い部分だけではないんだ。これは視聴者のためだけではなく、実際に毎日命を張って働いている彼らが、「S.W.A.T.」というドラマを見て、自分のたちの仕事の価値を感じてもらいたい。敬意を払っていることを感じてもらいたいんだ。

 

 

 

 

Q: たくさん話もしたんですね

もちろん。訓練してもらうということは、何時間も一緒に過ごすということなんだ。パイロット版を製作する前に、3か月一緒だったよ。毎日毎日、訓練と学びの連続。射撃場に行ったりSWAT本部に行ったり。彼らの体験談も聞いた。

 

とにかく簡単なことではないんだ。ハリウッドに依頼されてホンドー役の契約書にサインして、隊員の制服と台本を渡されてハイ撮影!ってわけにはいかない。自分もそれではイヤだし、優秀な役者であれば誰でも同じで、セリフを覚えて撮影現場に入るだけが仕事じゃない。本物らしく見せるために、とことん努力するんだ。人気のある役者というのは、演じる人物になりきる傾向がある。性格も何もかも。

 

僕のインスタとか、facebookのページを見てもらうと、庭でふざけたり、筋トレしたり、ブルドッグと遊んだりしているけど、それは本物の僕の一面だ。でも「S.W.A.T」の中では、その自分は完全に消す。庭でふざけてるシェマー・ムーア、シャツをめくるセクシー・ガイはそこにはいない。演じることは仕事で、僕はそこをきっちり分けるのが好きなんだ。

 

一生懸命仕事するし、一生懸命遊ぶよ。楽しむことは大好きだし、バカなこともする。だけどダニエル・“ホンドー”・ハレルソンは常に本気だ。怖いくらいに。それでいて暖かい心を持っている。

 

 

 

 

Q: 先ほど、ホンドー役のために体重を12ポンド増やしたとありました。シェマーさんはお若く見えますが・・・。

僕は1970年4月20日生まれ。48歳だよ。でもホンドーは35歳という設定なんだ。

 

 

 

 

Q: すごいですね
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そう、まさにプレッシャーだよ。ホンドー役のために体重を増やして存在感を出すことにしたのは、僕が決めたことだ。ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンみたいになりたいわけじゃないよ。彼はすごすぎる。そこまではできない。でもホンドーは元海兵隊員なんだ。単なる筋肉ムキムキのセクシー・ガイじゃダメなんだ。さっきも言ったように過酷な仕事をしている男女が現実にいる。僕たちはそんなロス市警のSWAT、サンディエゴ警察のSWAT、SEALのチーム6から訓練を受けた。彼らの肉体が鍛え上げられているのは、仕事のために必要だからだ。任務に必要なスタミナを身につけるためにトレーニングをする。武器を扱うためにも筋肉が必要だ。重いからね。それを抱えて動き回ったり悪人と戦わなければならない。

 

彼らには、非番の日でも1時間以上は必ずトレーニングをしなければならないというルールがある。それに身体能力を測るあらゆるテストにも合格しないといけない。現実の隊員たちがそういう生活をしているなら、彼らを演じる僕たちも、それを真似する責任がある。だから僕もトレーニングのためにジムで過ごす時間はすごく長い。

 

昔は、ベイビー・ガールたちに「シェマーったらセクシー!」って言ってもらったり、シックスパックを見せびらかすためにトレーニングしたこともあった。それはそれでいいけどね!ベイビー・ガールたちが喜んでくれるなら文句は全然ないよ。でも今、自分がトレーニングをするのは仕事を得るため、そして本物らしさを追求するためだ。視聴者には本物らしい世界を感じてもらいたいんだ。

 

料理がものすごく上手な友達がいて、1年くらい前に、科学的に考え抜かれた料理計画に基づいて、彼が僕のために5か月間食事を作ってくれたことがある。決まった量の食事、決まった量の炭水化物、タンパク質をとって、食べてはいけないものは避けたりした。糖分とか乳製品とかね。そうすることで体重を増やして、次にトレーナーについて筋トレをした。

 

その結果しばらくは少し太った状態だった。ものすごくたくさん食べて、筋トレをしていたからね。その後で有酸素運動で汗をたくさんかいて絞るんだ。実は今は、体重を増やしている段階で少し太った状態なんだ。いわゆる太った体系というわけではないが、「S.W.A.T.」の撮影に入る時に目指している体系よりは太ってるんだ。

 

ひたすら筋トレしてるよ。次の撮影が始まるまで、2か月弱くらい、1か月半かな。今は日本、この後ローマ、フランス、モンテカルロに行って「S.W.A.T.」の宣伝をして、家に帰ったらひたすら食べて、ひたすら筋トレして、ひたすら走って、シーズン2のホンドーの肉体を完成させるよ。

 

 

 

Q: 日本のファンも、そうしてホンドー役のために作り上げた体を見るのを楽しみにしていると思います。モーガンとホンドーの共通点、違いはどんなことですか?
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デレク・モーガンとホンドーには、共通するところもあるし、もちろん違いもある。さっきホンドーはデレク・モーガンにステロイドを摂取させたバージョンだと言ったけど、それは体重や筋肉という見た目だけの話じゃなくて、ホンドーの方が常に大きな危険にさらされているんだ。もちろんデレクの仕事にも危険はある。

 

デレク・モーガンを演じたことは本当に誇りに思ってるよ。11年かけて築き上げた人物だ。ドアを蹴破るタフガイだったり、ベイビー・ガールとおちゃらけてただけじゃない。彼の人間性も見せることができた。欠点や、苦悩をね。玉ねぎの皮を一枚ずつむいていくように、表面の見えるところをめくってその下の本質まで見せたんだ。デレクという人物の多面性を見せることができてよかったと思う。

 

このことは、シーズン2以降自分でもすごく意識していて、プロデューサーや脚本家たちにいつも言っていた。事件を解決するタフガイで終わりたくない、デレクがどういう人間なのかを見せていきたいって。

 

知ってるように、デレクには恩師に性的虐待を受けた過去がある。そしてシーズン11では、放送前だからネタバレはしないけど、デレクのパーソナルな面をもっともっと見ることになるんだ。恋人との関係、そこから先の何か。

 

デレクの父親も登場するよ。そしてこの父親を演じているのが、ものすごい俳優なんだ。僕なんかより何倍も有名な人だよ。

 

とにかくデレクは大好きなキャラクターだ。何せ11年も演じていたからね。「クリミナル・マインド」は251話に出演したんだ。「S.W.A.T.」はまだやっと22話まで撮ったところだ。だから、「クリミナル・マインド」を楽しんでくれた日本のファンに言いたいのは、まずは「S.W.A.T.」という番組を純粋に楽しんで見てほしい。デレクとホンドーを比べないでほしい。ホンドーについては、僕もまだ知らないことがある。手探り状態なんだ。22話だとそこまで深く掘り下げられないからね。

 

視聴率が維持できて、「S.W.A.T.」をもっと見たいとファンの皆さんが言ってくれれば、僕もプロデューサー陣も脚本家たちも、新しい扉を模索していくことになる。「クリミナル・マインド」と同じになるとは限らないけど。

 

デレクというキャラクターをここまで深く内面まで理解することができなければ、ホンドーをどうやって掘り下げていきたいかわからなかったと思う。ホンドーがどんな面を持っているかはまだわからない。一見すると、不死身のスーパーヒーロータイプだ。スーパーマンみたいに、すごいことをするからね。

 

ホンドーは、デレクがやったこともないようなことをたくさんするんだ。

 

 

 

Q: アクション・シーンについてお聞きします。危険だったシーンや印象に残ったシーンなどありますか?

「S.W.A.T.」は1話1話が映画みたいなドラマだ。「クリミナル・マインド」は精神的なジェット・コースター。「S.W.A.T.」は毎回毎回がアクション映画なんだ。本当だよ。なんたって第1話の監督はジャスティン・リンだからね。彼の『ワイルド・スピード』シリーズを見ていたらわかると思うけど、アクション・シーンがとにかくすごい。ファースト・シーズンの最初から最後までアクセルを踏みっぱなしだよ。

 

毎回確実に約束できるのは、クレイジーなアクション・シーン。ジャスティン・リンが監督する第1話は、爆発やカーチェイスがすごい。第2話では僕がヘリコプターで飛び回る。あれはこれまでの人生の中で一番クールな体験だった。高いところは得意じゃないけど、やるしかない!ってやったよ。ヘリコプターからぶらさがった状態なんだ。悪人をやっつけに行く途中でね。

 

実際に3本のケーブルだけでヘリコプターから吊られてた。ヘリコプターの中で座るのでなく、上に立つのでもなく、ヘリコプターの外で、ライフルを構えてるんだ。

 

 

 

Q: それがお気に入りのアクション・シーンですか?

経験した中では一番かっこいいスタント・シーンだね。でもヘリだけじゃなく、オートバイに乗ったり、高層ビルから飛び降りたり、ビルが爆発したりするから・・・肉体的にベスト・コンディションでないとこの仕事はできない。僕だけじゃないよ。全員が走って跳んで戦ってる。戦闘シーンではとんでもない動きをやったりしてるよ。

 

モーガンがやってたいたような、ドアを蹴破って中の男にタックルして殴る、というのとは全然違う。ホンドーとデレクは全く違うレベルのキャラクターなんだ。それが「S.W.A.T.」の世界というか。「クリミナル・マインド」の場合、アクション・シーンはメインの要素じゃなかった。「S.W.A.T.」は、とんでもなくかっこいいアクション・シーンが特徴だ。

 

それにプラスして登場人物たちの性格が見えてきたり、物語が展開がしていく。「S.W.A.T.」はとにかくスリル満点だから、途中でトイレに立ったりポップコーンのお代わりを取りに行く余裕はないよ。とにかくスゲーって没頭してしまう。毎週テレビで新しく公開される映画のようなドラマなんだ。

 

 

 

Q:「S.W.A.T.」の共演者について教えてください。「S.W.A.T.」ではチームメンバー間のチームワークや信頼関係が見られますが、カメラが回っていないときもそうだったのでしょうか?
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「S.W.A.T.」について言われて嬉しいのは「最初から最高のチームだ」ということなんだ。24年のキャリアの中で、面白い仕事をたくさんしたり、すごい人ともたくさん会った。一方で不愉快な人間にも大勢会ったし、政治的な駆け引きとか、エゴの張り合いも見てきた。

 

でも「S.W.A.T.」では上から下まで、僕の周りのスタッフ、食事を作ってくれる人たち、セットを作ってくれる人たち、役者たち、プロデューサー陣、脚本家に至るまで、不愉快な人間が一人もいない。

 

僕は現場の大ボスというわけではないけど、主役という立場でリーダーでもある。現場に入ったときはみんなと楽しく働きたい。もちろん真面目に仕事もするけど、楽しんでいいときはフットボールを投げたり、走り回ったり、お互いにイタズラをしかけたりしてる。仲間はキャストだけじゃないんだ。確かに画面に映っているのはキャストだけだけど、映っていないチームメンバーが大勢いるんだ。

 

食事担当のスタッフとも仲がいいし、外見をかっこよく整えてくれる衣装担当とも楽しくやる。脚本家たちも現場に来るから、ストーリーの内容について話し合ったり、プロデューサーたちも様子を見に来る。とにかく嫌な人間が一人もいない。

 

決して楽な仕事ではないよ。「S.W.A.T.」の撮影は一日14〜16時間に及ぶ。きついスケジュールだ。僕の役は肉体的にもハードだから当然疲れるわけだけど、どんなに疲れてもその価値があると思い直してる。自分たちは素晴らしい番組を作ってる。身びいきな部分もあるだろうけど。

 

しかし、こうして日本で放送してくれることになったということは、間違ってないとも言えるよね。アメリカのネットワーク局の製作でこんな番組は他にはない。ケーブル局の製作、または映画ならあるだろう。でも映画が3か月~6か月かけてあれだけの映像を作るのに対して、僕らは1話に8~10日間かけて、それを毎週毎週作り続けている。

 

子供の頃は誰もが警官と泥棒ごっこ、カウボーイとインディアンごっこをするよね。映画の『ワイルド・スピード』や『S.W.A.T.』は大人がその世界を作り上げたもので、テレビドラマの「S.W.A.T.」もそれと同じだ。大人が子供に戻って遊んでいる。それだけじゃなく、ドラマのストーリーに温かさや人間味を感じることができる。

 

それは、現実世界で起きていることを取り入れようとしているからだ。希望を持たせた形で。 黒人でも白人でもアジア人でもヒスパニックでもイスラム教でも、人種は関係ない。性的嗜好もゲイでもストレートでもなんだっていい。主役を演じる僕自身がハーフだしね。

 

ホンドーは両親ともに黒人の設定だけど、自分のような環境で育ち、価値観を持った人間が主役を演じることには意味があると思う。僕には、肌の色の違いは見えない。もちろん色の違いはわかるけど、差別はしない。

 

僕自身の生き方は、すべての人を受け入れて、外側の肌の色や人種でその人を判断せず、人間性を理解した上で判断したいと思ってる。

 

こういうのは深刻なトピックだけど、「S.W.A.T.」は視聴者に説教するドラマというわけではないよ。ただ、番組の中にはダイバーシティが確実に存在するし、様々なメンバーが共に戦い、正義を追求する姿を見ることができる。

 

ホンドーのセリフにも出てくるんだけど、戦うだけがSWATじゃない、大事なのは人を救うこと、弱い立場にいる人間を救うことなんだ。ドラマには、こうした人間性や絆というものも描かれる。

 

登場人物は、もちろん多様だ。まずラテン系の女性が2人いる。ただラテン系なだけじゃなく、女性で、しかもリーダーだ。映画のミシェル・ロドリゲス的な女性を演じているのはリナ・エスコ(クリス役)。ミシェル・ロドリゲスと同じで相当強い女性だよ。

 

主役の僕は、黒人と白人のハーフ。

 

デヴィッド・リム(タン役)は中国人で、美形だ。僕の時代は終わった。彼がみんなを虜にするよ。

 

 

 

 

Q: 今も十分イケてますよ

番組の美形は彼(デヴィッド・リム)だね。

 

チームにはアジア人、ラテン系、白人、黒人がいて、ゲスト出演するスターたちも人種は様々。ダイバーシティはドラマのテーマというわけではないけど、見てみると、こんなに人種が豊富な番組は見たことがない、と感じる。それが現代社会であり、この番組はそれを反映しているんだ。

 

 

 

 

Q: 撮影が始まると連日長時間労働になるということでしたが、合間にオフの日もあると思います。そんな時はどうやって過ごすのでしょう?

オフの日はないよ。

 

 

 

 

Q:ないんですか?

ああ。シーズン1の撮影中、オフの日は2日だけだった。

 

 

 

 

Q: 1エピソードの撮影にかかる日数は?

8〜10日間。

 

 

 

 

Q: 1シーズンを撮影するのにかかる期間は?

10か月。今度はもっと長いかな。

 

 

 

 

Q: その間、オフはなしですか?どうやってリラックスするのですか?

がんばって自分でリラックスする。

 

 

 

 

Q: ブルドッグと遊んだり?

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まあ、そうだね。

 

この番組を6年間続ける環境を作ろうとすると、そうするしかないんだ。でも、夢見ていた仕事だからね。その仕事を成功させるためには、人生の一部を諦める覚悟がある。誇りにさえ思っている。こうして日本で「S.W.A.T.」について話せる日が来たんだから。

 

とにかく、シーズン1の撮影中、僕の人生は「S.W.A.T.」一色だった。もちろんときには、ブルドッグと遊んだり、母と会ったり、何人かの友人と会うこともあった。友人たちには僕の時間が空くのを辛抱強く待ってもらったけどね。

 

ひたすらテクニカル・アドバイザーとトレーニングして、筋トレして、勉強もした。「S.W.A.T.」ではプロデューサーの立場でもあるんだ。プロデューサーだからボスというわけでは全くないけどね。ショーン・ライアンやニール・H・モリッツなど、僕の上の人間は大勢いる。しかしプロデューサーとして名を連ねていることで僕も製作内容について意見したりアイディアを出すことができるんだ。ストーリーや脚本、監督の仕方についてなど。自分は細かいところに目がいくタイプだから、そういうことも得意なんだ。

 

「S.W.A.T.」というテレビドラマは何としても自分が求めるレベル、そしてスタイルで作り上げたいと思った。15、6年前の映画と同じにはしたくなかった。映画が悪いと言ってるわけじゃなくて、違うものにしたかった。70年代のテレビシリーズの真似もしたくなかった。独自の視点で、新しいものを作りたかった。

 

ハードルを上げたかった。みんなそうだと思う。もちろん僕もそうしたかったわけで、それを実現するためには様々な人たちと協力していく必要があった。そしてそれには、とても時間がかかった。

 

オフはないのか?という質問で後ろで見てる仲間が笑ってたけど、本当にオフはなかったんだ。不満はないよ。本当だ。なぜなら、黒人で唯一(アメリカのネットワーク局で)主役を務めているから。他のどの番組よりもダイバーシティを実現してるドラマだし、ネットワーク局ではありえないような、テレビで毎週見られる映画を作っている。

 

この番組を実現させるためには、そして批評家たちに叩かれないようにするためには、常に最高のものを作っていかなければならない。そのために、「シーズン1の撮影中は、自分の人生をあきらめたんだ。」


母親と、愛犬(ブルドッグ)のシュグとモーと一緒の時間は作ったよ。しかし、夕食を食べに出かけたり、デートする時間があったかと聞かれたら、答えはノーだ。

 

それが本当のことなんだ。「S.W.A.T.」が生活の全てだった。1話で8~10日間、毎日14~16時間。ホンドー役だから、ほとんどのアクションと、ほとんどのセリフ、スタントもほとんどやった。いい仕事したと思うから、きっと楽しんでもらえるよ。シーズン2の撮影中は、もう少しオフの日が取れるといいけどね。

 

 

 

 

 

Q: 体調を崩す暇もないですね。

そう。体調は崩したけど、仕事は休まなかったよ。

 

 

 

 

 

Q: シェマーさんが好きなテレビシリーズは?

そうだね。子供の頃好きでよく見てたのは・・・。カートゥーンは全部見てたし、「Mister Rogers」や 「セサミ・ストリート」、それからえーと「Electric Company」、「ビル・コスビー・ショー」、「マイアミ・バイス」、「ヒル・ストリート・ブルース」、あと何があったかな「All in the Family」、「The Jeffersons」。大人になってからだと、いまだに一番好きな番組の1つが「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」だ。リーヴ・シュレイバーとジョン・ヴォイトが出てる。彼らはすごいね。

それと、「S.W.A.T.」も入れとかないとね。そして「クリミナル・マインド」。今でも「クリミナル・マインド」の仲間に会いたくなることもあるし、自分があのチームの一員だったこと、あそこでやったことは一生忘れないと思う。

 

僕は、自分のルーツを決して忘れない。さっきあげた全ての番組があったから、自分は役者を目指ざすようになり、やってみようという勇気をもらった。自分も、テレビに映る彼らのように演じたり物語を伝えてみたいと。

 

さっき言った以外にも大好きなテレビシリーズはたくさんあるし、自分はとにかく、今の自分を形作っているすべてのことを忘れないようにしている。人生という旅路の中で、影響を受けた人は大勢いて、今でも交流のある人もいれば、ない人もいる。一時的な友人関係というのも存在して、年を重ねていくとそういう関係も理解できるようになる。

 

僕のキャリアで言うと、「The Young and the Restless」のマルコム・ウィンタースを演じていなければデレク・モーガンを演じることもなかったし、デレク・モーガンを演じていなければホンドーを演じることもなかった。

 

 

 

 

Q: 最後に視聴者へのメッセージをお願いします。

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こんにちは、日本の皆さん!みんなのベイビー・ボーイ、シェマー・ムーアです。「クリミナル・マインド」を見てくれた皆さん、今度は新番組「S.W.A.T.」がスーパー!ドラマT Vで始まるよ。マジで、度肝を抜くから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q:ありがとうございました。