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海外ドラマ最新レポート Vol.718  「CSI: ベガス」ポーラ・ニューサム、嘘がバレてどん底に

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CSI: ベガス」で主役のラスベガス科学捜査研究所マックス・ロビーを演じるポーラ・ニューサム。生まれも育ちもシカゴだというポーラが、かつて自身の出生地を偽っていたことがあると明かした。
「私はずっとフランスに縁があると思い続けていました」と地元シカゴのメディア取材で語ったポーラ。フランスが大好きで、フランス語もペラペラだという。
「学生時代、自分が特別な人間と思われたくて、皆に『私はフランス生まれ』と言いふらしていました。私の一家はフランス生まれ、パリが地元なのだと」
悪気はなかった。始めは少女の空想だったのだろう。つい口をついた嘘は後の女優のイマジネーションをもって広がった。
たとえば、ポーラの一家が米国に移住したのは「レ・ミゼラブル」のごとく、祖父がパンを盗んだことがきっかけ。移住後、米国訛りの英語をマスターするまで、他人と英語でコミュニケーションを取らなかったこと。これらがポーラの考えた『私はフランス生まれ』の嘘だ。



嘘を周囲に吹聴した。「誰も私を『嘘つき』呼ばわりはしませんでした。なんとなく(え?)というリアクションはされましたが、『信じない』と言われたことはありませんでした」
今の時代なら、SNSで事実は簡単に判明するのかもしれない。しかしポーラは1961年生まれ。当人が口にする言葉を信じるしかない時代だった。
その頃、女優志望だったポーラにビッグチャンスが巡ってきた。テレソンと言われる募金を集めるためのチャリティ番組MCのオーディションだ。そのポジションには、人を惹きつけるインパクトと説得力が要求される。
そこで「テレソンのオーディションにこの話を使おうと思いました」
フランス生まれのポーラの登場だ。



「仕事が欲しかったんです。だから突飛なストーリーがいいんじゃないかと」
周囲に幾度となく語ってきた嘘の身の上話だ。第一次オーディションはすんなり合格した。
「二次のオーディションも自信満々でした。『ご機嫌いかがですか?』なんて皆に声をかけたりして」
ところが、審査する側に目をギラつかせる女性が一人いた。彼女は「フランス語をしゃべってみて」とポーラに問いかけたのである。
「その時、なぜだか分かりませんが、フランス語が一つも頭に浮かんでこなかったのです。私はフランス語を話すことができます。それなのに完全に頭がフリーズしてしまいました」
硬直するポーラに女性は畳みかけた。「シカゴの南地区にマックス・ニューサムというお医者さんがいます。彼はテキサス生まれのはずです」
そのニューサム医師こそがポーラの父親。嘘はバレていた。オーディションは不合格。
「彼女は意地悪だったと思います。悪いのは私でしたが、酷い話です。皆の前で私を嘘つきだと、さらしたのですから」



確かにポーラは悪かったが、オーディションで多少の嘘を混ぜるのは"あるある"のことではなかろうか。ザッツ・エンターテイメント、少なくとも当時なら。
「どん底に突き落とされた気分でした。まるで虚構の世界に入り込んだような。だけどすぐに心を入れ替えました、こんなことは二度としないと誓ったのです」
後にポーラは活躍の場をNYへと移し、ブロードウエイの舞台、TVシリーズなどを中心に女優業は軌道に乗り始めた。
今では「事実を語ることが一番」と嘘は無し。もっとも今のポーラに自分を飾る必要などない。人気TVシリーズの主役を手に入れる実力とカリスマ。本来は口にしたくない黒歴史をあっけらかんと話すスターは、これからも真実一路で女優道をまい進する。




<「chicagotribune.com」 2023年3月21日>