今年のアカデミー賞授賞式では、最新のジバンシィのドレス姿が話題を呼んだエル・ファニング。同作品賞ノミネート『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』での好演も記憶に新しいところだ。
映画やTVシリーズ「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」など、近年出演作が続くエルだが、意外にもティーンエイジャーの頃に目指していた職業は女優ではなかったという、バレリーナだ。
「少しの間、そう思っていました。毎日2時間レッスンを受けていましたから。本当にプリマ・バレリーナになりたかったら、それだけじゃ足りませんけどね。だけど今でもバレリーナへの憧れはあるんです」
女優エル・ファニングに憧れる若い女性はたくさんいることだろう。手が届かないから、憧れなのかもしれない。
「バレエのレッスンは本当に大変でした。だからこそ、規律みたいなものはまだ体が覚えています。今もバレエの動きを意識することがありますね。演技に生きていると思うのです」
役のため、エルはフィギュアスケートや歌のレッスンを受けたことがあった。スクリーンで魅せるために、ある程度のレベルを要求されたのだ。その際、体の動かし方、またレッスンへの取り組み方など、バレエで培ったものを生かせたのだろう。
しかし、素人レベルがプロになりきるためにはレッスンだけでは時間が足りない。そこに演技力が試される。
「(女優という仕事は)ある意味、いろいろな職業を体験するようなものです。だから、あたかもプロフェッショナルに見えるように短期間で習得しなければなりません。それが演技なんです」
いろいろな職業や地位の人物になりきる演技力、それが最大限に生かされたのが、女帝エカチェリーナを演じた「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」なのかもしれない。
「初めて自分自身を信じることができたのは、『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』の時だったと思います。私にとっては最もかけがえのない経験となったし、一番好きな作品でもあります。確かパイロット版を撮影したのは、まだ20歳の時でした。24歳までシリーズは続いたのですが、私の人生でとても大切な時間になりました。20代前半の年頃は、誰にとっても重要だと思うのです、人生の転換期ですから。私はキャラクター(女帝エカチェリーナ)と共に変化し、成長しました。そこから自信が生まれたのです」
バレエ仕込みの立ち姿の美しさはまるでトップモデルのよう。堂々たる姿勢は女帝役に生かされた。これからもハリウッドの王道を、凛として、エルはゆく。
<「teenvogue.com」 2024年12月25日>