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海外ドラマ最新レポート Vol.695  『バック・トゥー・ザ・フューチャー』女優、「スタートレック:ピカード」エピソード監督で狙う壮大な計画

1980年代を代表する映画の一つ『バック・トゥー・ザ・フューチャー』。過去に時間移動してきたマーティ(マイケル・J・フォックス)に恋してしまうロレインを演じたリー・トンプソンは、現在、女優業のかたわら、主にTVシリーズのエピソードを手がける監督としても活動している。
近年は「ヤング・シェルドン」や「スタートレック:ピカード」など人気シリーズのエピソード監督を務め、その手腕は承認済み。



「スタートレック:ピカード」ではシーズン2の第3話「同化」と第4話「ウォッチャー」を担当した。その際、主演のパトリック・スチュワートには大いに魅了されたとか。
「パトリックから、私が学んだのは"スター"は実在するのだということです。ある一定の人たちにカメラを向けると、もう彼らから目を離すことができません」
TVや映画で演技するのは俳優。その中にまれに存在するのが"スター"だ。
「パトリックとの仕事は全ての瞬間が楽しかった。彼は偉大なユーモアの持ち主であり、一日一日を、また若い人たちとの仕事にも、全身を奮い立たせるような感覚を持ち続けているのです」



名優かつスター、パトリックとの仕事を十二分に満喫したリー。しかし、実は「スタートレック:ピカード」のメガホンを引き受けたのは企みがあった。とあるマーベル作品の映画化を狙っているのだ。
その作品とは、「ハワード・ザ・ダック」。はるかかなたの惑星に住む知的なアヒル、ハワードの物語で、1986年に『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』として一度映画化されている。実は、その主演がリーだったのだ。
『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』などの成功で波に乗っていたジョージ・ルーカスが製作総指揮を務めた。なのに結果はコケた。当時のSFX技術ではハワードを魅力的に描き切れなかったのが、主な敗因とされる。



そこから約40年。リーは、今度は監督として、その雪辱を果たしたいと考えている。
「実際にマーベルに再映画化を売り込みに行ったこともあるんですよ」とリー。即採用とはならなかったが、手ごたえは感じたようだ。
「私が(『スタートレック:ピカード』のような)特撮作品の仕事を引き受けたのは、それが理由なんです。自分には特撮映画を撮ることができると証明したいんです」
リブートではない、新しい「ハワード・ザ・ダック」を生み出したい。映像テクノロジーもすでに追いついている。1986年当時は荒唐無稽に見えた知的なアヒルも、2025年なら説得力を持たせることができるはず。



「どんな内容かは言えません」と売り込み内容については口を固く結んだリー。大スクリーンに描かれる「ハワード・ザ・ダック」、そこにリー・トンプソン監督の名があれば、「スタートレック:ピカード」ファンもちょっぴり誇らしい気持ちになることだろう。




<「bigissue.com」 2022年5月17日>