THE WIRE/ザ・ワイヤー ストーリー

あのオバマ大統領も「お気に入り」と公言した傑作シリーズ!
米ケーブル局HBO製作、善悪の観念を揺さぶる型破りの刑事ドラマ

ストーリー

シーズン1

ボルティモア市警察殺人課の刑事、ジミー・マクノルティは殺人事件の裁判が行われている法廷に立ち寄る。被告人は、西ボルティモア地区の麻薬売人組織のボス、エイヴォン・バークスデールの甥、ディアンジェロだ。麻薬の売買が絡んでいると思われる殺人事件を何件も捜査してきたマクノルティは、この事件も麻薬がらみだと睨んでいた。ディアンジェロを目撃したという証人の証言に続いて第二の証人が召喚されたが、彼女は証言を翻し、その結果、ディアンジェロは無罪放免の身になった。正義がまっとうされなかったことに苛立ったマクノルティは、判事を訪ね、エイヴォン・バークスデール率いる麻薬組織のことを伝える。判事は警察の上層部を通して、誰も手をつけていなかったバークスデールの麻薬組織の捜査を命じ、その結果、麻薬課の警部補セドリック・ダニエルズを指揮官とする特別特捜班が組織されることになった。

警察の指揮系統を無視して判事に直訴したマクノルティに激怒した上司のロールズ警視は、厄介払いになるとばかりマクノルティを特別特捜班に配属させる。ダニエルズの下に集められた刑事たちは、麻薬課生え抜きのシャキーマ・グレッグスと車両盗難課から抜擢したシドナー以外は、特捜課から来たポークとマホーン、車両盗難課から傷害課とあちこちに厄介払いされるプリツビルスキー(プレッツ)ら、無能な刑事たちばかり。バークスデールの尻尾をつかむには盗聴捜査("WIRE")しか無いと主張するマクノルティは、張り込み捜査を指示するダニエルズと衝突するが、後に盗聴は特別捜査班の最大の武器であることが証明される。一方、ディアンジェロは逮捕されたことで叔父のバークスデールに叱責され、実りの多い高層住宅群から低層住宅群に格下げされる憂き目に遭うが、彼をさらに沈んだ気持ちにさせたのは、自分の裁判で証言した証人の他殺死体が発見されたことだった。正義を貫いた人間に対し、報復と見せしめのためにバークスデールが指示したことは明らかな殺人に、ディアンジェロの良心は疼くのであった…。

やがて無能に見えた他の刑事達の中にも今まで気付かなかった才能を開花させる者が現れ、バークスデールの組織を追い詰めることに成功する。しかし、目先の手柄を求める副警察長や、バークスデールを、政治家の汚職を暴くための協力者のように扱おうとするFBIなどに阻まれ、エイヴォンは逮捕したものの犯した罪に見合わない7年の刑となり、特別捜査班のメンバーたちは離散、マクノルティは「一番行きたくない」と言っていた港湾課に配属となった…。

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シーズン2

エイヴォン・バークスデールと甥のディアンジェロが刑務所に入れられ、バークスデールの組織は、エイヴォンの腹心ストリンガー・ベルが管理・統制するところとなる。また、彼らを追っていたボルティモア警察の特別捜査班の方も、グループの中心となっていたダニエルズとジミー・マクノルティが左遷され、西ボルティモアのドラッグ・シーンにも変化の兆しが見えつつあった…。マクノルティは、指揮系統を再三再四、無視したことによって上司ロールズの怒りをかい、嫌がっていたボルティモア警察の港湾課に配属されてしまうが、パトロール中の或る日、若い女性の水死体を発見する。

ボルティモア港はここのところ、仕事が減っていた。港湾作業組合の財務を担当するフランク・ソボトカは、組合を代表して教会に港湾作業員たちを図柄にしたステンドグラスを寄付する。その見返りとして、神父に上院議員を紹介してもらい、ボルティモア港復興に一役かってもらおうという魂胆である。ところが、その同じ教会には、ボルティモア警察のバルチェック警視も警察官たちを図柄にしたステンドグラスを寄付することを狙っていた。ソボトカに先を越されて憤懣やるかたないバルチェックは、不景気で悩む組合がステンドグラス代を捻出できるわけがないと睨んで、部下に捜査を命じる。ソボトカは実際、グリーク(ギリシャ人)と呼ばれる男が率いる密輸組織に手を貸して副収入を得ていたのだった。


そんな折、ボルティモア港をパトロールしていた水上警察所属の制服警察官、ベアトリス“ビーディー”・ラッセルは、1つのコンテナの中に若い女性の死体を発見する。13人はいずれも、コンテナの通気孔が故意に塞がれたための窒息死だった。マクノルティが発見した水死体の女性も、この13 人と同じコンテナに居たことが判明する。このコンテナはグリークたちが送り込んだもので、彼らの不注意な失策はソボトカを憤らせる。港湾労働者組合長のソボトカは、ボルティモア湾の不況を乗り切るための政治工作資金を稼ぐために密輸を手伝ってきたが、死体の発見で苦境に立たされる。彼は、警察への協力を決心するが、それを果たす前に密輸組織によって殺害されてしまう。

一方、刑務所に入っているディアンジェロは、これまでの自分の人生に疑問を持ち始めると同時に、目的のためなら手段を選ばない行動を取る叔父のエイヴォンと距離を置こうとするが…。

エイヴォンが刑務所入りした後、組織の副長格で理知的なストリンガー・ベルが権力を強め、エイヴォンに内緒で彼が敵視している麻薬売人プロップ・ジョーと手を結ぶ。また、用心深いストリンガー・ベルは、ディアンジェロが良心の呵責に耐えられなくなって全てを白状してしまうことを懸念して、息のかかった囚人に命じてディアンジェロを自殺のように見せかけて殺害させるのだった…。

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シーズン3

低所得者用の高層アパートが取り壊され、バークスデールの組織は売買の主要なテリトリーを失うが、ストリンガー・ベルは、新たなテリトリーを開拓する代わりに上質の麻薬を供給する業務に切り替える構想をメンバーたちに説明する。一方、刑務所入りしたエイヴォンと入れ替わるかのように西ボルティモア地区に入ってきたのは、若くて頭は切れるが酷薄非道なマルロ・スタンフィールドである。他の麻薬売人たちに対し、マルロとその手下たちは全く容赦しない非情な態度と行動をとる。

新勢力が入り込んで来たのは、ボルティモアの市議会も同じだった。若く野心家の市会議員トミー・カルケティは、次期市長選に出馬することを狙っていた。しかし、白人のカルケティは、政界でも警察でも権力を握っている人々のほとんどは黒人である街ボルティモアでは不利である。そこで、再選を目指す黒人の現市長に対抗するため、犯罪件数の多さを理由に市長を批判すると同時に、市警の上層部を手なづけようと試みる。

一方市警では、ダニエルズは逮捕数を上げるよう、またしても上から圧力をかけられ、焦りから組織の一員を微罪で逮捕、警察が盗聴をしていることが麻薬売人たちにばれてしまう。一方、犯罪の分類を変えて統計上のデータを改変しても死体は無くならないと指摘して上層部を怒らせた警視バニー・コルヴィンは、西ボルティモア地区の荒れ果てた通りを巡回するうちに或る途方も無い作戦を思いつく。そして自らが指揮をとり、敢えて麻薬取締りをしない“麻薬解放区”を定めて治安向上を目指す作戦を実施するが、上層部の知るところとなり、辞職に追い込まれる。

ストリンガーは効率良い麻薬ビジネスを目指し他の麻薬組織のボスたちと組合を組織しようとするが、若い新顔マルロ・スタンフィールドは協力を拒む。そのためあくまでマルロと闘う意向のエイヴォンとビジネスを優先するストリンガーとは次第に対立を深めることに。ストリンガーは市警にエイヴォンが隠し持っていた武器のことを密告し、エイヴォンはストリンガーに対して復讐心を燃やすオマールとムーゾンに彼の所在を教える。その結果、ストリンガーはオマールとムーゾンに殺され、仮釈放中のエイヴォンは再逮捕されるのであった。

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シーズン4

ストリンガー・ベルが死に、エイヴォン・バークスデールも刑務所に逆戻りしたことで、ボルティモア西地区はマルロ・スタンフィールドの天下になっていた。その中で生き延びていこうとするボディーのところで使い走りをしているネイモンドは、バークスデールの組織の殺人の罪をかぶって刑務所入りしているウィーベイの息子だが、麻薬ビジネスにはあまり興味が無さそうで、友達のマイケルやランディとつるんで夏休み最後の日々を無為に過ごしていた。
ネイモンドたちが通う中学校では新学期を前に、ボルティモア市警に勤務していたプレッツが新任の数学教師として面接を受けていた。新しい仕事と職場に期待を膨らませていたプレッツだが、すぐに教育現場の厳しい状況に直面することになる。

一方、ボルティモア市警では、フリーマンとグレッグスがパールマン検事に、マルロの組織の携帯を盗聴してきたが、彼らは自由に携帯を使っているし、人を殺している気配も無いしそのような死体も出てきていない、と報告する。しかし間もなく、フリーマンとグレッグスはマルロの手下の1人、フルーツが殺されたということを盗聴によって知る。
フルーツを殺したのはボディーの仲間のレックスだったが、個人的な怨恨が理由だったため、マルロはクリスとスヌープにレックスのみの殺害を命じる。クリスとスヌープは、例によってレックスを廃屋に連れて行った上で殺し、その入り口を封鎖してしまったため、フルーツ殺害事件を担当した市警のバンクはレックスの不在に頭をひねる。

市警では同時に、麻薬事件の証人が殺害される事件も捜査されていたが、そのニュースは市長選に立候補しているトミー・カルケティには朗報だった。白人のカルケティは、黒人優勢の街ボルティモアで、黒人の現市長ロイスに対し苦戦を強いられており、麻薬事件の証人の殺害事件はカルケティがロイスを批判する材料として利用できるからである。

暑く長い夏もそろそろ終わりを告げる頃になり、街にも学校にも、そして市議会にも新しい風が吹こうとしていた…。

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シーズン5

ボルティモア西地区は酷薄非道なマルロの天下になっていた。麻薬戦争に終わりはないのだ。他の麻薬売人たちに対し、マルロとその手下たちは全く容赦しない非情な態度と行動をとる。上層部の政治的な思惑に翻弄され、解体と再編成を繰り返す特別捜査班だったが、マルロの一味を何とか捕らえるべく、現場の面々は彼らにできる最善の手段をとっていた。特別捜査班のマクノルティたちは廃虚の死体遺棄事件に絡み、この1年マルロたちの動きを24時間監視していた。だが用心深いマルロに振り回され、成果は全く上がっていなかった。盗聴に気付いたマルロは慎重な行動をとるようになる。さらにボルティモア警察は大幅な予算削減により、時間外手当も支給されず、車両整備もままならない状態。警官たちは不満をつのらせ、やる気を失っていた。

マイケルはマルロとクリスの下で売人として働いていた。ドゥーキーはマイケルからシマの監視を任されていたが、仲間とうまくいかない。ドゥーキーはマイケルの弟のバグの世話に専念することにする。

カルケティ市長は、学校と警察の予算の問題に頭を痛めていたが、同時に廃虚での死体遺棄事件の捜査が進展せず、公約として掲げていた犯罪率の低下も守れなくなってきたため、連邦検事に助けを求める。連邦検事は、協力する代わりに汚職疑惑のクレイ・デイビス議員の引き渡しを要求してきた。だがこの件は州検事のボンドが追っているため、カルケティ市長はどうにもできず、交渉は決裂する。

マルロは特別捜査班の監視の中、売人たちの組合の会合へ出席する。だが市場の新規開拓において土地を追い出された東の売人を優遇するような取り決めをするプロポジション・ジョーに盾突く。

ボルティモア・サン紙は不況の中、支局の閉鎖や解雇の噂が流れ、記者や編集者たちも厳しい状況に置かれていた。そんな中、若い記者たちにハッパをかける編集者のガス・ヘインズは部下の取材から、市議会の議長ネリース・キャンベルと麻薬売人の間で不正な金の流れがあることに気づき、それを追究することに・・・。

そして、警察長のバレルから予算削減のため特別捜査班を解散し、死体遺棄事件も打ち切りにするように言われたダニエルズは、カルケティに直談判する。だがそれもむなしく特別捜査班は閉鎖され、マクノルティとキーマは殺人課へ、ドーザーマンは機動隊へ異動。フリーマンとシドナーのみが、クレイ・デイビスの件を引き続き捜査することになる。
そんな中、この状況を不服として、マクノルティがある計画を実行に移す。それは警官としての一線を完全に越えた、行ってはならない企てだった…。

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