クリスと愛妻キャロライン・フェントレスさんとの間には5人の子供がおり、うち4人がチョイ役ながら「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」でドラマデビューを果たしている。
さらに、クリスが監督を手掛けたエピソード回には、キャロラインさんとその友人までエキストラ出演したという。
キャロラインさんにしてみれば、夫の監督する姿を見てみたいという気持ちだったろう。クリスも誇らしい気分だったに違いない。とはいえ、キャロラインさんは素人。撮影は思わぬ方向へ向かってしまったのだとか。
「男がレストランに乱入して、銃をぶっ放すというシーンだったのさ。客は皆、パニック状態になって逃げ惑うんだ」
阿鼻叫喚の人々が右往左往、TVや映画ではよく見かけるシーンだ。
「僕は撮影したシーンを見返していた。そのシーンには100人以上が映っていたからね」
ほとんどがエキストラたち。彼らの演技に不自然な動きはないか、たった一人の不自然な動きがシーンを台無しにしかねない。
監督クリスは、ある女性のグループに目を止めた。あまりにも場違いな表情だったからだ。
「彼女たちは皆ゲラゲラと笑っていたんだ。自分たちで持ち込んだシャンパンを手にしてね。僕が見返していたら、撮影監督が『笑っている人たちがいる』と言いに来た。僕は『ああ知ってる、僕の妻だ』と言ったのさ」
監督としてこれほどバツの悪いことはなかっただろう。NGを出したのが自分の妻だったのだから。
夫兼監督のクリスは慌ててキャロラインさんのところに向かい、「僕をクビにする気かい?」と一喝。幸いにも撮り直しはスムーズに進み、一大事にはならずに済んだ。はしゃぎすぎてしまったキャロラインさんたちも、襟を正して再撮影に臨んだことだろう。
クリスにとって、「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」は家族の思い出アルバムの役割も果たしている。ちょっぴり苦い思い出さえも、今となっては楽しい記憶なのだ。
<「cinemablend.com」 2022年6月30日>