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海外ドラマ最新レポート Vol.548  「スタートレック:ピカード」のジャン=リュック・ピカード、「新スタートレック」契約時には戸惑いも

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新スタートレック」終了から四半世紀を経て、パトリック・スチュワートが再びジャン=リュック・ピカードを演じている「スタートレック:ピカード」。そのパトリックが米誌の取材に答え、ピカード役を引き受けるにあたり当時の思い出などを語っている。
 
今でこそ、映画『X-メン』シリーズなどにも出演する売れっ子のパトリックだが、「新スタートレック」以前は、英ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身の実力派俳優の一人に過ぎなかった。それまでのパトリックの俳優人生とはあまりにも毛色の違うSF作品。「新スタートレック」出演には戸惑いがあった。「宇宙大作戦/スタートレック」についてほとんど知識がなかったばかりか、米国式の大きなスタジオで40人以上のスタッフを前に撮影した経験もなかったという。
「6シーズン分の契約については心配するなと言われたね。皆、最初のシーズンで打ち切りにならなければラッキーだって口を揃えたんだ。言われた意味は分かる、そりゃ伝説のシリーズ(『宇宙大作戦/スタートレック』)を生まれ変わらせるなんて出来るわけないと思うよね」
 
当時の米のTVシリーズの契約は、出演料の高騰を防ぐため最初に6シーズン分を済ませるのが通例。(こんなに長い間、一つの役を演じ続けることができるだろうか?)実力派が悩んだのも無理はない。
「ある人から言われたのさ、いいから撮影に来いよと。人生で一度でいいから芝居で稼いで、やりきったら家に帰るといいとね」
雑な口説き文句にパトリックも気が楽になったに違いない。不安は解消され、結果的に「新スタートレック」を7シーズン、さらに「スタートレック:ピカード」にも主演しているのだから。
「『新スタートレック』の撮影が始まった日のことを覚えているよ。その日に僕は呼ばれなくて腹を立てたものさ。初日から現場にいて全てを経験したかったんだ。だからわざわざ撮影場所まで出掛けて見学したくらいだ」
引き受けたからには主演を全うしたい。この責任感こそが「新スタートレック」を成功させた理由の一つなのだろう。
 
そして「スタートレック:ピカード」。
「新しい『スタートレック』シリーズが今の『ピカード』の名前に落ち着くまでいろいろな議論があったんだ。その議論の期間を経て、僕は『新スタートレック』を成功させたプライドをかけ、決して『ピカード』を同窓会みたいな新シリーズにはしないぞと誓ったのさ」
未知と不安から始まった「スタートレック」との付き合いは、プライドにまで昇華した。この先もずっとピカードは、パトリックの中で共に歩み続けることだろう。
 
 
<「deadline.com」 6月16日>