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海外ドラマおすすめコラム vol.70  "多様化"が斬新な3番目のスピンオフ! 南の楽園が舞台の新番組「NCIS: ハワイ」

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7月のスーパー!ドラマTVの目玉は独占日本初放送の新番組「NCIS: ハワイ」。「NCIS ネイビー犯罪捜査班」から生まれた3つめのスピンオフで、NCIS(海軍犯罪捜査局)パールハーバー支局のチームが軍の関係者が絡んだ難事件に挑む、痛快アクション&ミステリーだ。
 
全米放送は高視聴率を記録し、シーズン2への継続が決まっている。舞台となるハワイは「HAWAII FIVE-0」などでもおなじみだが(ヒット作「LOST」のロケ地もここ)、1980~88年にロングランした元祖「私立探偵マグナム」でも舞台だった。「~ネイビー犯罪捜査班」を企画したドナルド・P・ベリサリオ(元海兵隊員)がかつて元祖「~マグナム」を生み出したことを考えると、次の「NCIS」に最もふさわしい土地だったといえる。
 
ハワイという楽園の魅力は期待通りだが、「NCIS」として斬新なポイントも多い。まず捜査班のリーダーは初めて女性となった。シングルマザーのジェーン・テナントを演じるのはヴァネッサ・ラシェイだが、彼女には人気ミュージシャンのニック・ラシェイという夫がいる。キャストの人種も多彩で、V・ラシェイはフィリピン生まれ。地元ハワイ出身のカイを演じるアレックス・タラントはニュージーランド生まれでサモア人などがルーツ。サイバー専門家のアーニーを演じるジェイソン・アントゥーンはレバノン系。さらにルーシーを演じるヤスミン・アル=ブスタミは中東のアブダビ生まれで、ルーシーはLGBTQという設定。
 
“多様化”はスタッフにも及び、クリエイターの1人マット・ボザックは名前からは分からないが、本人のツイッターによれば“竹次郎”がミドルネームの日系米国人。第1話を撮影したヤス・タニダは「ブラックリスト」の第1話や「THIS IS US」のほぼ全話も撮影したが、東京生まれ。ご本人の公式サイトによれば谷田康久が元々の名前。第1話を監督したラリー・テンも中国系米国人と、世界中から才能が集まった。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2022/7/1】
 
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