
「ふたりは友達? ウィル&グレイス」のエリック・マコーマックが米エンタメサイトのインタビューで、かつてゲスト出演した幻のシットコムについて語っている。
大きな目と甘い顔立ちのエリック、1998年からスタートしたシットコム「ふたりは友達? ウィル&グレイス」にて、ゲイの弁護士ウィルを演じ、一躍人気者となった。
意外にもTVシリーズ初主演は西部劇ドラマの「Lonesome Dove: The Outlaw Years(原題)」。大ヒットしたミニシリーズ「Lonesome Dove(原題)」のスピンオフとして1994年にスタートし、2シーズン製作された。エリックはタフな元軍人将校を演じている。
「今だったら大変なつらい仕事だったと思います。当時は結婚してないし、子供もいなかった。だから、ロケの多い撮影も耐えられたし、長時間の拘束も皆で頑張れました。勉強になることが多かったですね」
当時を振り返るエリック。このシリーズの後、俳優としてエリックは大きな方向転換を図ることになる。主な活躍の場をドラマからシットコムへと移したのだ。
初めてのシットコムは「Townies(原題)」。5エピソードにゲスト出演した。
米ABCの「Townies(原題)」は1996年に15エピソードだけ放送された。当時は「フレンズ」や「あなたにムチュー」など若い男女を主役にしたシットコムが大ヒットしていた時代、その流れを受けて製作されたのだ。
「すごいキャストが揃っていました。だけど、レギュラーキャストが12人もいたので、ストーリーを成立させるのが大変だったと思います」
結果的に1シーズンももたず打ち切りとなった「Townies(原題)」だが、今では考えられないようなキャストが揃っていた。
主演は80年代青春映画のスター、モリー・リングウォルド(『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』)、さらにローレン・グレアム、ジェナ・エルフマン、そしてロン・リビングストンがメインキャストに名を連ねていた。すでに大スターだったモリー以外、後のTV界を彩る若手有望株である。しかし、「フレンズ」のように若いスターを産出したかったばかりに、出演者を増やし過ぎて、脚本がちぐはぐになってしまったのは残念と言えるだろう。
それでも、エリックのような若手俳優にとって「Townies(原題)」出演は何にも代えがたい経験となった。
「最高にエキサイティングでした。観客の前で演じるのは素晴らしかった」
シットコムは、一般観客が入ったスタジオで撮影される。放送回で聞こえてくる笑い声は実際の観客の笑い声なのだ。
まるで舞台のようなスタジオで、有望俳優たちとコメディを演じるのは楽しかったが、すぐに問題に直面した。思ったように笑いが取れないのだ。
「(目の前の)観客は笑うのが仕事です。だから脚本が面白くなければ、笑いを取らなければならない僕らには大きなプレッシャーでした。『Townies(原題)』では、まあまあ笑いを取ることができましたが、自分でも面白くないと思っているジョークを言うのはキツかったです」
何度も冷や汗をかきながら、なんとか笑いに結び付けようと頑張った結果が「ふたりは友達? ウィル&グレイス」につながった。他のキャストもしかり。
「『Townies(原題)』は僕らにとって、大きな踏み台のようなものでした。ジェナだって『ダーマ&グレッグ』につながったし、数年後にはローレンも『ギルモア・ガールズ』につながりましたから」
残念なことに「Townies(原題)」は、現時点でどの動画サービスからも配信されていない。今は見ることのできない幻のシットコム「Townies(原題)」は、数々のスターを生み出したことで、TV界に足跡を残したと言えるだろう。
<「avclub.com」 2016年12月23日>