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海外ドラマ最新レポート Vol.740  「BONES ―骨は語る―」秘話 全てを変えたパイロット版の1シーンとは

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米FOXの「BONES ―骨は語る―」は本格的なミステリーに加え、主役のブレナン(エミリー・デシャネル)とブース(デヴィッド・ボレアナズ)のラブコメが楽しい人気シリーズ。クリエーター、ハート・ハンソンがその製作秘話を明かしている。
「ブースは、ブレナンの捜査にかかわる複数の捜査官の一人だったんです。彼の役は重要でしたが、毎回登場する予定はありませんでした」
衝撃の発言だ。ファンにとって、ブースはブレナンの相棒として欠かせない存在。それなのに、パイロット版を撮る段階でブースはまだレギュラーでさえなかったというのだ。「BONES ―骨は語る―」(原題「Bones」)の仮題は「Brennan」、つまり主役はブレナン一人だった。


しかし、パイロット版のあるシーンの撮影中、全てが変わったという。
「バラ園でのシーンを撮影していた時のことです。ブレナンの台詞で『私も(捜査)メンバーの一員になっていいわよ』というのがあるんです。そのシーンを見ていて、これは考えていたのと違う作品になりそうだと感じたのです」
ブレナンとブースが二人で歩きながら捜査について話し合うシーン。犯罪については素人で浮世離れした研究者ブレナンとFBI捜査官ブースの深刻顔が対照的だ。
「二人の関係をもっと見たくなりました。一方は理知的、他方は感情的な二人をね」
ハンソンは、とっさに「こちらブルームーン探偵社」を頭に浮かべたのだとか。ブルース・ウィリスを世に送り出した伝説のTVシリーズは、ミステリーにコメディ要素を加えた画期的な作品として知られる。
「私は周囲を見渡して、誰か同じように思った人間はいないか探りました。あの時、皆はパイロット版のことだけを考えていたようですが、私はシリーズ化が頭にありました」


ブレナン一人を主役に据えるアイデアは吹き飛んだ。このパイロット版をシリーズ化につなげるとしたら、ブースの存在が必要だ。
「この男とブレナンで数えきれないほどのエピソードを製作しようと決めました」
ハンソンをそう決意させたのは、エミリーとデヴィッドのケミストリー。この二人でなら、たくさんのエピソードを生み出せる、皆に愛されるようなエピソードを。


その後、「BONES ―骨は語る―」は12シーズンに渡り放送された。主演の二人は全245話に出演し、最終話に至るまでファンから熱く支持された。加えて、終了から8年が経過した現在も、再放送や配信で新しいファンを増やしている。
パイロット版の1シーンが全てを変えた。クリエーター、ハンソンの大胆な思い付きが「BONES ―骨は語る―」成功の一因であることは間違いないだろう。



<「slashfilm.com」 2024年5月18日>