ミュージカル・演劇の優秀作品・人物を称えるトニー賞が、6月8日に開催された。この日、演劇部門助演男優賞にノミネートされていたのが、ボブ・オデンカークだ。
映画化もされた「摩天楼を夢みて」の過去何度目かの再演舞台、シェリー・レヴィーン役で候補となった。ボブにとってトニー賞は初ノミネートだ。
地元イリノイ州のシカゴでは数々のコメディショーに出演、ステージで育ったとも言えるボブだが、実はブロードウェイは初めてだったという。米誌の取材に答えている。
「パラシュート無しで崖から飛び降りるようなものでした」とボブ。これほどの大ベテランにとっても、NYのブロードウェイは夢舞台だ。
「僕にとって大きなリスクになりかねないと思いました。仕事を受けた時にはそれに気づいてなかったかもしれませんが」
それでも挑戦することに二の足を踏む気持ちはなかった。ボブの人生は挑戦だらけ。
「僕はそういうのが得意なんです。人生において、僕のキャリアにおいても、常に挑戦ばかりでした。たとえ上手くいかなくても集中していれば、きっと何かを得るだろうと。だから今回も同じ気持ちでした」
そして何より俳優ボブ・オデンカークの代表作があったこと、それが演技に対する自信を生んでいるという。
「『ベター・コール・ソウル』やその他の映画で俳優の仕事を頂いたことで、演技に少し自信が持てるようになりました。キャラクターになりきるうち、彼らの中の幾層にもなる人間性を発見できるようになりました。おかげで(興味を失わずに)演技を続けられるのです」
残念ながらトニー賞受賞は逃した。けれど、ファンならばご存じだろう、ボブには慣れっこのことだ。「ベター・コール・ソウル」で、ボブは都合6度に渡りエミー賞ドラマ部門主演男優賞にノミネートされたものの、全てにおいて受賞を逃しているのだから。
「ノミネートされたんだから、『君は立派な仕事をした』と認められたようなものです」と胸を張る。投票者たちが誰に一票を入れるのかは好みのようなもの。6シーズン全てでノミネートされたことがボブの誇りなのだ。
むしろ受賞を逃したことで、次の挑戦への意欲はかき立てられている。実力者のボブは、それほど遠くないうちに受賞はするだろう、それがエミー賞なのか、トニー賞なのか、はたまたアカデミー賞なのかは誰にも分からない。
<「people.com」 5月22日>