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海外ドラマ最新レポート Vol.406  「ブラックリスト」のジェームズ・スペイダー、新番組立ち上げの例えが絶妙

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ブラックリスト」のジェームズ・スペイダーが、米誌のインタビューに答え、新番組立ち上げ時の苦労について語っている。一般人には分からない“生みの苦しみ”を、身近な例えで説明するのが、ジェームズらしく絶妙だ。
 
ジェームズはこれまで映画『セックスと嘘とビデオテープ』『セクレタリー』、TVでも「ボストン・リーガル」など、数々の作品に主演。ここまでキャリアを重ねれば、主演俳優が作品の“プロデューサー”に名を連ねることは決して珍しくない。しかし意外なことに、ジェームズにとって「ブラックリスト」が、初めて“プロデューサー”として名前をクレジットした作品なのだ。初挑戦のプロデューサー業が、新番組(「ブラックリスト」)の立ち上げ。ジェームズは、その経験を振り返り、こう例えた。
 
「新番組を始めるのは、レストランを新規開店するようなものだ」
 
新しいレストランで例えるならば、新番組の主演は雇われシェフのようなものかもしれない。しかしプロデューサーも兼ねるなら話は別。店の立地からメニュー作り、全ては真っ白なまま。「ブラックリスト」の特殊事情もあった。クリエーターのジョン・ボーケンキャンプは、TVシリーズの経験がなかったのだ。『パーフェクト・ストレンジャー』など数本の映画にかかわった新鋭は、TVの世界に「ブラックリスト」という素晴らしい企画を持って飛び込んできたのだった。
 
「僕らの場合だと、アフリカの村に住む2人の若者が、イタリア料理のレストランを開くことを思い立ったが、彼らはイタリア料理の作り方を知らなかったようなものだった」
 
TVシリーズにはほとんど素人のボーケンキャンプと、経験豊富なジェームズら他のプロデューサーが協力しあい、「ブラックリスト」スタートまでこぎつけた。「そのうちに彼らがイタリア料理の腕をメキメキ上げたとしたらどうだろう? 村の皆、さらには周囲の村からも食べてみたいとお客さんが増え始める」 「ブラックリスト」のスタート時点は、そんな気分だったに違いない。
 
放送が始まってびっくり、評判は上々だったのだ。おそらくジェームズも想像してなかったほどに。
 
「TVのシリーズには人生がかかっている。自分の人生をかけて取り組んで、身を捧げるほど頑張っても、ダメなら吐き捨てられて終わりなんだ」 主演として、プロデューサーとして、「ブラックリスト」にはジェームズも人生を捧げている。だから、その言葉にも熱がこもる。 「特に新番組だと、脚本家はどう脚本を進めたらいいのか、まだ分かっていない。俳優は与えられた役をどう演じたらいいのか、まだ分かっていない。エディターもどう編集するべきなのか、作曲家もどんな曲を作るのか、ディレクターもどのように演出したらいいのか、とにかく皆、分っていないんだ」
 
皆が手探りで始めた「ブラックリスト」は成功した。ジェームズは何より「このキャラクター(レイモンド・“レッド”・レディントン)を演じるのが楽しくて仕方ない」と、自身の幸運をかみしめている。
 
「僕は『ブラックリスト』の仲間たちと密接に過ごしている。自分の家族よりも過ごす時間が長いほどだ」
 
2013年にスタートした「ブラックリスト」はシーズン10の更新も決まっている。今度は“継続の苦しみ”もある。それも苦労を共にした仲間たちと乗り越えてゆくつもりだ。
 
 
<「playboy.com」  2014年8月18日>