「24」「HEROES/ヒーローズ」に続く、新たな海外ドラマの大本命!
「LOST」『M:i:III』『スター・トレック』 J.J.エイブラムスが放つ超大作!
僕はいろいろなジャンルをかじるのが好きなんだ。子供の頃は「トワイライト・ゾーン」に夢中だったけど、あの番組はホラーの要素を持つこともあるサスペンス・ドラマで、時々SFの要素が入り込むだけであって、僕はあの番組をSF作品だとは考えていない。だいたい、一口でSFと言っても、カバーする作品の範囲ってすごく広いだろう?それから、最近は日常生活がSFじみてきていると思う。ニュースなんか見ていると「フリンジ」で考えているストーリーより奇妙で変な出来事が起きていたりして、「はあああ?」なんて思うことがあるよ。(笑)それもけっこう頻繁に経験するんだよね。昔はSFと言えば完全に想像や予想の世界だったけれど、今では日常のリアリティの中に溶け込んでいる感がある。だから、僕が興味を持っているのも、人間が宇宙船に乗って人類未踏の地を訪ねるといったストーリーではなくて、デヴィッド・クローネンバーグやマイケル・クライトン、メアリー・シェリー(「フランケンシュタイン」の作者)といった作家たちの作品のように、現実から少しだけ逸脱したような世界、「もしかしたら、これって起こりえるかも」と思えるような世界なんだよ。僕にとって「フリンジ」はそういうドラマなんだ。正気の沙汰ではないような話だったりはするけれど、よく考えてみれば、完全なる空想の世界ではなくて、奇妙にも起こりえると思えるような話なんだよね。
僕の好きな番組は、その番組でしか観られない何かを持っている番組なんだ。ドラマとしてのトーンとか語り口とかが独特な番組とかね。「LOST」や「エイリアス」、それに「フェリシティの青春」もそうだと思うけど、「フリンジ」では「オー・マイ・ゴッド、これってすごく面白いじゃないか。こんな話が出来る他のドラマなんてあるかな」って思う話がとても多いんだ。もちろん、SFジャンルのドラマは沢山あるけれど、ピーターとウォルターのビショップ父子の関係や彼らに絡むオリヴィアの役割なんかは、回を追うごとに実に面白くなっていくんだよね。登場人物たちの履歴を知れば知るほど面白くなっていく、そういうドラマなんだ。
「ああ、こういうのは面白い設定だな」なんて思いつく時もあれば、登場人物や或る状況についてのアイディアが閃くけれどそれに関するストーリーは全く思い浮かばないなんてこともある。普通は、その2つが組み合わさってストーリーが構成されていくんだけど。インスピレーション自体は、普通は一緒にはしないような事・物が一緒になることを思いついて、ライターとして「ああ、このアイディアは面白い話になり得るな」って考える。そういうのって、皆も思いついたりするんだけど、ラッキーにも僕たちはそれをTVや映画の脚本といった具体的な形にできるわけなんだ。そして、もし自分が面白いと思ったら、それは多分、他の人たちにとっても面白く思える話だという可能性が高いんじゃないかな。
優先順位をつけるのはなかなか大変だね。それぞれのプロジェクトは、くるくる回っている皿みたいなもので、それが4枚とか5枚とかあるんだけど、僕はその皿が全部好きなんだ。皿は回り続けるけど、時々ふらつくので、そのたびに勢いをつけてやらなければいけない。でも、僕はそれを一人でやっているわけではなくて、僕よりも仕事が上手いぐらいの人たちに手伝ってもらって、最良のやり方で仕事をこなしている。僕は、2つ以上の作品を一緒に書き始めたりすることはないから、1つの作品ではストーリーをどのようにしようかと模索している一方で、別の作品では編集や音楽の作業をする。そうやって、いろいろな作業をしていくのは、なかなか楽しいよ。
いやいや、僕は問題を作り出している方だよ。(笑)問題を作り出しては居なくなったりしてね。(笑)「ふむ、うまくいかなかったね」なんて言って退室するんだよ。(笑)まあ、冗談はさておいて…僕は、すごく才能ある人々と一緒に仕事をしているんだ。第1話の脚本はアレックス・カーツマンとロベルト・オーチーと僕とで書いたんだけど、僕は『スター・トレック』を監督していたから、第1話は監督できなかった。でも、監督(アレックス・グレイヴス)は素晴らしい仕事をしたと思う。「FRINGE/フリンジ」を作るにあたっては、どのような軌道で薦めていくのかを決め、その後は(脚本と製作総指揮を担当した)ジェフ・ピンクナーとジョエル・ワイマンと一緒に仕事をしていった。彼ら、それにアキヴァ・ゴールズマンは本当に才能ある人たちだから、問題を解決するのに僕なんかは必要とされないんだよ。仕事やその段階にもよるけれど、毎日話すこともあれば何週間も話さないこともある。メールは頻繁に出し合うけどね。そうやって連絡を取り合って、相談したり確認したりするんだ。ジェフなんかは、「エイリアス」の頃から仕事していて、簡単なやり取りですぐに理解し合えるので相談も短時間で済む。新作ドラマの「Undercovers」というドラマでは、ジョシュ・ライムスと一緒に脚本を書いたんだけど、ジョシュとは「フェリシティの青春」でずっと一緒に仕事していたから、弟みたいな存在だし。つまり、僕にとっては、自分がよく知っている家族みたいな人たちのチームを育てていくことが成功の秘訣なんじゃないかと思う。彼らは、仕事をしていくうえで僕なんか必要としていない。むしろ僕の方が彼らを必要としているぐらいなんだよ。
僕は、どの作品もそれぞれ違う理由で誇りに思っている。どの作品も家族の一員みたいな気がして。例えば、「フェリシティの青春では、マット・リーヴスと2人で、大学に入学する若い女の子のストーリーについて話し合ったこととか、キャスティングが決まりだした時のこととかが心に残っている。2人とも初めての経験で、本当に特別な時期だったな。「FRINGE/フリンジ」の時は、コミコン(サンディエゴで毎年開かれる漫画や大衆文化のコンベンション)で、アレックスとロベルトと一緒に第1話の脚本を書いたことや、ラッキーにも今出演してくれているキャストを揃えられたこと、クレイジーなアイディアを考え出してそれが実際に放映された時、あまりにゾッとするような映像になっていて笑っちゃったこととかが思い出される。僕は、自分の作品全てに対し、製作に参加できてラッキーだったと思えるんだ。だから、誇りに思っている作品を1本だけ挙げろというのは難しいな。「自分の子供たちの中で、どの子が一番好きですか」って聞かれるようなものだからね。
2010年3月
J.H.ワイマン:えらく変人じゃないとダメだね。君には想像できないぐらい。(笑)
バーク:僕たちはずっと前から変人だったからね。このドラマは、変人であることの副産物のようなものなんだよ。
ワイマン:この番組は確かに変わっているけれど、SFでもある。そして、SFというのは人間を描く機会のあるドラマなんだ。例えば、アイザック・アシモフなんかは最もSFっぽくて変わった作品を書いているけれど、それらは同時に人間がすごく良く描けている作品でもある。
そういうレベルで共感を持ってもらいたいし。もちろん、僕たちは視聴者たちを怖がらせるのを楽しんでいるけどね。夢からヒントを得ることも多いよ。
バーク:そう。「昨日は変な夢見たんだよ」なんてことで、変な事のヒントがたくさん出てくる。そういうことをするのって、すごく楽しいんだ。
「変な事」っていうのも相対的な定義だよね。僕はいろいろな事に興味を持っていて、暇な時にはインターネットで面白い話を探したりするんだけど、「フリンジ」のネタになる、ならないに関わらず、変わった話があるとお互いにメールで「あのクレイジーな話読んだ?この話は読んだ?」なんて情報交換する。それから、昔はCNNとかBBCでは一般的なニュースが報道されて、クレイジーな話はタブロイドが報道するというようになっていた。でも、今はその2つの境界は曖昧になりつつあると思う。というのは、技術工学や生物学の分野で、型破りなニュースを聞いたりするから。例えば、バイオテクノロジーの分野で癌に対する新しい治療法が出てきたというのを聞いたんだけど、癌だって1970年の時点での捉え方と現在の捉え方は全然違うと思う。僕たちが生きている間は無理だと思うけれど、子供たちの時代になったら癌なんて罹らないものになっていると良いなと思う。現在では不可能のように思える事は、時が経ってそれが「ノーマル」だと見なされるまでは、「変な事」だったりするんだよね。
バーク:キャスティングは、いつだってその役に最適な俳優を見つけるということに尽きる。「LOST」でも「エイリアス」でも僕らのキャスティングを手伝ってくれたエイプリル・ウェブスターが、世界中にアンテナを張って探してくれたので、外国の俳優たちもオーディションを受けに来たんだ。(オリビア役の)アナ(・トーヴ)もその1人だった。彼女はオーストラリアでは結構知られていたんだけど、アメリカではほとんど知られていなかった。僕らは彼女をテープで観たんだけど、彼女には何か特別なものがあるし、とても頭が良いと思った。アナはちょうどその時、オーストラリアの荒野へのキャンプ旅行に出かけていたから、彼女のエージェントは彼女に何度も連絡を取ろうとしたんじゃないかな。彼女の携帯には「早く帰ってきて。あなたはアメリカに行かなきゃいけないから」というメッセージが 47回も入っていたそうだよ。それで彼女はオーディションに来たわけだけれど、彼女は素晴らしかった。アナは本当に頭が良くて、演技をしている時にも思考していることがよく判るんだ。彼女のオリビアはもはや演技というものではなく、役そのものになりきっていたね。
ジョン・ノーブルも同じことだったな。僕たちは、主に彼を「ロード・オブ・ザ・リング」で知っていたわけだけれど、彼もキャリアは長いんだよね。ウォルター役は、たくさんの人たちが来て演じてみたので、すごくたくさんのバージョンのウォルターを見た。その中で、ウォルターを最も活き活きと演じたのはジョンが最初だった。ジョンは、ウォルターを演じるたびに皆を呆れるほど興奮させたんだ。
ジョシュ(ジョシュア)・ジャクソンは、僕たちにとってはずっと「ドーソンズ・クリーク」の青年だったから、オーディションに来た時に「大人になったじゃないか」って思ったよ。昔、知っていた人と再会したら別人のようになっていたというような再発見的な感じがした。ジョシュが偉いと思ったのは、過去に出演経験が豊富な俳優はオーディションをしようとしないのが普通なのに、何回もオーディションしてくれた時だね。役者根性があると思ったよ。あと、ピーターには軽薄な部分があって、それを出せる俳優じゃなきゃいけなかったんだけど、ジョシュはそれまでの作品では可笑しい面を見せる役が無かったのに彼本人はすごく可笑しい人間だということがわかったんだ。ところが、実際にピーターを演じてもらったら全然、可笑しくない。それもそのはず、最初の脚本にはジョシュの可笑しさを活かせるコメディの要素が全く無かったんだよ。そこで、僕たちは脚本を書き直し、改めてジョシュに演じてもらって、ピーター役のキャスティングは即決した。
この3人にからむ重要な役、オリビアの上司ブロイルズに「THE WIRE/ザ・ワイヤー」のランス・レディックをキャストしたのは、僕たちが「ザ・ワイヤー」に取りつかれているぐらいの大ファンだから。もしすごく暇だったら「フリンジ」のDVDの解説を聞いてみてもらえると、僕たちが「ザ・ワイヤー」はいかに素晴らしかったかということばかり話しているのが判るよ。(笑)
面白いことに、僕の友人でJ.J.にそれまで会ったことが無かった人たちが彼に会うと「へえ、変なの。君たち話し方がそっくりだよ」なんて言われることがあるんだ。J.J.だけじゃなくて、グレッグ・グランバーグとかラリー・フォング、ジェームズ・グレイなんかも、20年来の友達だ。それぐらい長く付き合っていると、ものの見方とか好みも似てくる。だから、J.J. がどういうものが好きなのか、彼がどのように応えるかということも判るようになる。この業界で仕事をしていて一番ラッキーだと思うのは、A.僕たちに、これまでしてきたような事をさせてくれるほどクレイジーな人間が居るということと、B.しかもそういう事を友達と一緒に出来ることの2点だね。本当にラッキーだと思うよ。
2010年3月
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