ER 緊急救命室

映画を超えたスケールで迫る感動と興奮。
世界的ヒットを記録した医療ドラマの最高峰!

特集

ER 緊急救命室 トリビア集

1.「ER」の初診とは?

「ER」は最初のシーズンから超人気ドラマであるという「診断」が下されていた。記録的な視聴率を稼ぎ、早くも最初のシーズンで8部門にてエミー賞を受賞するとい う快挙を遂げたほどの人気と質の高さだったため、同時にスタートし、同じ時間帯に放映されていたCBS局のライバル病院ドラマ「シカゴ・ホープ」は、放映 開始後2ヶ月足らずで他の時間帯への変更を余儀無くされた。同じく裏番組だったABC局のニュース番組も、「ER」の人気には勝てず、「ER」放送開始後 4ヶ月で他の時間帯へ移動した。第1シーズンで製作総指揮を務めたスティーヴン・スピルバーグも「これほど成功したテレビドラマは、1971年の「刑事コロンボ」以来だ」と語っている。

2.M・クライトンとS・スピルバーグ

「ER」は、実は当初、映画として製作される企画としてスタートし、スティーヴン・スピルバーグが監督することになっていた。しかし、最終的にテレビドラマ・シ リーズとして製作されることになり、代わりに、スピルバーグは、「ER」のクリエイター、マイケル・クライトン著の「ジュラシック・パーク」を映画化する ことになったそうである。

3.ロス先生(J・クルーニー)

「ER」の舞台となるクック・カウンティ総合病院の救急車搬入口近くの駐車場にあるバスケットボール用ゴールは、ジョージ・クルーニーの提案で取り付けられたも の。バスケットボール好きのクルーニーが、休憩時間に番組のキャストやスタッフと一緒に遊べるためのものだったのだが、ドクターたちが気分転換にバスケに 興じるという設定も良いかも...ということで、番組の中に採り入られることになったそうだ。

4.カーターくん(ノア・ワイリー)

「ER」の出演者たちは、医学用語・知識を勉強し、本物の医者たちに実地指導を受けているそうだが、それでもやはり単なる俳優が医者のフリをしているに過ぎない。 それを実感したのは、飛行機に乗っている時に急病人に出くわしたドクター・カーターこと、ノア・ワイリー。"明らかに心肺停止状態になっている人が居て、 機内放送が乗客内の医者を呼び出したんだけど、皆が振り返って僕の顔を見るんだ。幸い、僕と同乗していた母が看護婦の資格を持っているので、助けを申し出 た。おかげで、僕が実際にはどれほど医学知識が無いかがバレないで済んだんだよ"と、危うく大恥をかくところだった経験を語っている。

5.ベントン先生(エリック・ラ・サル)

自分が演じる役と自分自身との相違点について聞かれたドクター・ピーター・ベントンこと、エリック・ラ・サルは、「僕たち2人とも、自分にも他人にも厳しい 努力家で、時として自信過剰になるところは同じかな」と語っており、類似点が少なからずあることを認めている。そのためか、ベントンが謝るというシーンを 撮った際、ラ・サルが「ベントンは人の言いなりにならない」と言い張り、結局、脚本に多少手を入れるという妥協策が取られたらしい。この一件の結果、製作 現場では「エリック・ラ・サルは人の言いなりにならない」というジョークが生まれたとか。

6.グリーン先生(アンソニー・エドワーズ)

これまでで最悪のER体験は?という質問を向けられたドクター・マーク・グリーンこと、アンソニー・エドワーズは次のように語った。僕は5人きょうだいの 末っ子だったので、病院に行くべきような時でも家で処置して済まさせられた。一度なんか、芝刈り機に手を挟まれて親指の爪の真ん中ぐらいまでザックリ切っ てしまったのに、僕の母は消毒して包帯巻いてくれてそれでオシマイさ。ER初体験が自宅だったなんて...。

7.キャロル看護士(J・マルグリース)

2001年9月11日の同時多発テロが起こった時、ニューヨークで犠牲者救済活動を手伝ったセレブリティは少なくなかった。「ER」で看護士キャロル・ハサウェイ を演じたジュリアナ・マルグリースもその1人だ。2人の友人と共に、救済活動にあたる人々に食事を作る手伝いに励んだ彼女の姿は、献身的に患者の手当てを するハサウェイそのままだったとのことである。

8.ケリー先生(ローラ・イネス)

ドクター・ケリー・ウィーバーこと、ローラ・イネスが、人気クイズ番組ジェパディのセレブリティ特集に、俳優のジョン・マホーニーやオペラ歌手のビバリー・ シルズと共に出場することになった。さっそく共演者たちに話した彼女だったが、「うーん、ジョンは凄く頭が良いって聞いたよ(ノワ・ワイリー)」とか、 「ありゃ、ビバリー・シルズってクロスワード・パズルが超得意らしいよ(アンソニー・エドワーズ)」などと、さんざんライバルの強さを脅かされたとか。し かし、そんなことで動揺するチーフ・ウィーバーではなかった。イネスはみごとに賞金24,400ドルを獲得。女性初のセレブリティ・ジェパディ・チャンピ オンの座を獲得したのである。 ※「ジョパディ!」1984年から放送されている早押し&記述式問題の人気クイズ番組。有名人バージョンが放送され、ジョディ・フォスター、デヴィッド・ドゥカヴニー、アリッサ・ミラノ、ケルシー・グラマー、スティーブン・キング等多数出演している。

9.スーザン先生(シェリー・ストリングフィールド)

ノア・ワイリー、シェリー・ストリングフィールド、ERの撮影現場で気がついた最も大きなセット内の変化は、飲食物だったとか。彼女曰く「昔はチートス (チーズ味のスナック菓子)とかロクなものしか無くて、皆、コーヒーを飲んでテンションを上げていたんだけど、今はスムージー(フローズン・ヨーグルトと 果物で作るシェイクのようなもの)とか、スターバックスのコーヒーとか、採り過ぎちゃうキケンなものがたくさん揃っている」そうで、番組の進化に連れ、 セット内の飲食物も進化しているようである。

10.監督業に挑戦するキャスト

「ER」の出演者たちの中には、演出に興味を持つ人たちも居る。ドクター・マーク・グリーンを演じているアンソニー・エドワーズと、ドクター・ケリー・ウィー ヴァーことローラ・イネスは、それぞれ5回、ドクター・ロバート・ロマノ役のポール・マクレーンは1回、同番組の監督を務めている。「ER」出演以前に低 予算映画の監督の経験があるエドワーズは、第2シーズン第22話「折れた翼をいやす者」で既に監督を任されている。イネスは、「ER」のプロデューサー、 ジョン・ウェルズがプロデューサーを務める「ザ・ホワイト・ハウス」でも、いくつかのエピソードの監督を務めている。

11.ドラマと現実の違い

自分の家族も顧みる余裕も無く働くことの多い「ER」のドクターたちだが、演じる俳優たちは私生活では良きパパであり、優しきママである。ノア・ワイリー、 シェリー・ストリングフィールド、アレックス・キングストン、ポール・マクレーンたちはもちろん、番組を収録しているロサンゼルス郊外のバーバンクにある スタジオに子供たちを連れて来るキャスト・メンバーも多いとか。 「ER」託児所なんていう施設があったら、皆の子供たちが一緒に遊べて良いのにねという声もあるんだ、とはワイリーの弁。

12.思わぬ緊急措置?

2004年2月5日に放映された「ER」のエピソードでは80歳の女性がERで処置を受ける際に上半身を裸にされるシーンがあったのだが、その前の日曜日に放映さ れたスーパーボウルでのジャネット・ジャクソンの"おっぱいポロリ事件"のように連邦通信委員会からお咎めを受けるのではないかということを恐れた地方局 の多くが、問題のシーンを削除しない限り同エピソードを放映しないと製作局のNBCに圧力をかけた。このエピソードは、スポンサーに番組を売り込む決め手 となる集中的な視聴率調査期間(※Sweepシーズン)の初日という大事な日が放映予定日だったため、放映中止だけは避けたかったNBCは、デジタル処理 で女性の裸をぼやけさせる対応を取った。この対応に、プロデューサーのジョン・ウェルズは「問題のシーンに出てくるのは、重病である80歳の女性。猥褻な 要素は皆無だし、性的に刺激しようとする意図も全く無いのに遺憾だ」と、批判的だったそうだ。 ※Sweepシーズン/Sweep Period: 毎年2回、ニールセンが210区域のTV世帯を対象に、約1ヶ月間市場調査をする期間を指す。期間中は、各局・チャンネルともに、調査結果を少しでも良く する為に特別番組を準備する。レギュラー放送の場合はスペシャルゲストを登場させるなど、特別なエピソードが放送される。期間中にレギュラー放送が休止に なる番組は、打ち切り候補作品と噂されてしまうのだ...。

13.「ER」リアリティの秘密

実際の医療現場に居る人々からも「病院の現実にかなり忠実なドラマ」と評価されている「ER」だが、そのリアリズムを支えている要因として、各エピソードが 医学雑誌や看護雑誌の記事を基に書かれているということが挙げられよう。実際の臨床例が「原作」なのだから、当然ハッピーエンドばかりではないのだが、そ れを感動的なエピソードにまとめあげていくのはやはり脚本家チームの力。「ER」の脚本のページ数は、1秒を争うERの現場の雰囲気を再現するために、1 時間枠ドラマの脚本の平均より3割ほど多くなるという。また、現場をさらにリアルなものにするため、ERスタッフ用のエキストラには本物の看護士たちを 雇っているとか。重要な「小道具」となる血液にしても、切り口から流れたての血と、体内に溜まっていた古い血とを区別した2通りの色が付けられているとい う。視聴者をドラマに惹き込むためには、このような気配りも欠かせないのである。