ブレイキング・バッド ストーリー

メキシコのカルテルに復讐を果たしたガスに追い詰められたウォルターは、ジェシーをも欺き、大胆な作戦で賭けに出る。それは血縁者全員をガスに消されたヘクター・サラマンカを利用して、手製の爆弾で2人を同時に殺害するというものだった。表向きは一件落着したものの、ウォルターはガスの監視カメラの映像がオフィスに残ったままであることに気付く。ガスの死に激怒する用心棒のマイクにも監視カメラに全員が映っていると説得し、ウォルターとジェシー、マイクらは証拠を破壊する奇想天外な作戦を実行。さらにウォルターはソウルの反対を押し切ってマイクと手を組んでビジネスを再開し、流通を仕切ってくれるよう依頼。しぶしぶ引き受けるマイクはこれまでメスの原料を調達していたリディアという女と会合する。ウォルターは新たなラボで製造を開始。一方、DEA（麻薬取締局）とハンクは、ガスのドラッグ・ビジネスの全容を暴くために捜査を進めていた。

妻スカイラーに離婚を突きつけられて憔悴しきったウォルターは、高校でトラブルを起こして無期限の停職処分を受ける。そんなウォルターに表向きは成功した事業家だが裏の顔はマフィアの大物であるガスは、最新鋭の麻薬製造ラボを提供し、このビジネスに引き戻そうとする。しかし、その一方で、組織の和を乱すジェシーを外し、ウォルターには新たにゲイルという助手を付けた。ガスの真の狙いは、ゲイルにウォルターの技術の全てをマスターさせた後、ウォルターを始末して彼にラボを引き継がせようというものだった。
それに気付いたウォルターは、自分が殺されないために逆にゲイルを殺して、麻薬を製造できる唯一の存在になろうとする。殺害に向かう直前、ガスの手下に拉致されたウォルターは、ジェシーに電話し、自分の代わりにゲイルを殺すよう指示をする。命乞いをするゲイルに対し、ジェシーは涙を流しながら引き金を引いた……。

ジェシー・ピンクマンと共にドラッグに溺れていた恋人ジェーンが、過剰摂取により死亡した。ウォルター・ホワイトは現場にいたが、あえてジェーンを助けることはせず、廃人同然になっていたジェシーを連れ出し麻薬常習者の更生施設へと送り込む。ひとり娘を何とか立ち直らせようとしていたジェーンの父親ドナルドは、数日の休みを取った後、航空管制官として勤務中に誘導ミスをおかし、167名もの犠牲者を出す墜落事故を引き起こしてしまう。ウォルターの実家付近にも飛行機の残骸が飛来するなど、街全体が9.11以来とも言うべき暗く悲しみに沈んでいた。追悼集会が開かれる中、ウォルターは発言を求められるが自らが引き起こした事態に動揺が収まらず、意味不明なことを口走ってしまう。この悲劇のそもそもの原因は、ウォルターとジェシーにあるのだ。一方、がんの手術は一応の成功はみたものの、離婚調停中の妻スカイラーから麻薬製造の秘密を知られて問いつめられたウォルターは、最愛の家族までもがバラバラになり、今度こそドラッグの世界から足を洗おうと決意する。そんな彼に対して、表向きは成功した事業家だが裏の顔はマフィアの大物であるガスは、ある取引をウォルターに持ちかける。その頃、見慣れない殺し屋の2人組が姿を現す。彼らの目的、ターゲットとは…？　不気味な気配が漂う中、施設に入れられたジェシーはジェーンを失った衝撃から立ち直ることができずにいた･･･。

高校の化学教師であるウォルター・ホワイトが化学の知識を生かして作った純度の高いクリスタルメスは、その色からブルーメスと呼ばれてドラッグ市場を席巻する。相棒の元教え子でドラッグディーラーのジェシー・ピンクマンは嫌がるが、ウォルターは”ハイゼンベルク”と名乗って地元のドラッグの元締めであるトゥコと直接取引をすることに。だが、取引の場でトゥコの部下ノー・ボードの発言がトゥコの怒りを買い、トゥコは彼を激しく殴りつけた挙げ句、殺してしまう。簡単に人を殺すトゥコの常軌を逸した行動を目の当たりにしたウォルターとジェシーは、自分たちが手に負えない危険人物を相手にしていることを痛感する。それでもウォルターは目標額を稼ぐまでは続けると言い張り、怯えるジェシーを説得して一度は商売を続けることにする。だが、用済みになったら、次は自分の命が危ないと考えたジェシーはピストルを手に入れ、トゥコに殺される前に先手を打って殺すことを主張。ウォルターは冷静になるよう諭すが、自宅近辺で不審な車両を目撃したことから身の危険を感じて、ある計画をジェシーに打診する。一方、ハンクは妻マリーがスカイラーの万引き騒動の真犯人であることを知り、妻の心が病んでいることに気付く。その頃、ウォルターとジェシーが化学工場から大量の薬品を盗んだ事件が警察の目に留まり、ブルーメスとの関連性が疑われるためハンクらが捜査に乗り出す。

ニューメキシコ州アルバカーキにある高校で、化学教師を勤めているウォルター・ホワイト。第二子を妊娠中の妻スカイラーと、脳性麻痺のため、軽度の言語障害と松葉杖を使っている高校生の長男ジュニアと暮らしている。カリフォルニア工科大学を出たウォルターは、かつては将来を嘱望された優秀な科学者だったが、現在はやる気のない生徒たちを相手に淡々と授業を行い、給与が低いため、洗車場のレジ係のアルバイトをして家計の足しにしている。50歳にして過酷な労働を黙々とこなす中、洗車場で激しく咳き込み倒れたウォルターは病院へ。検査の結果、肺ガンであることが判明し、医師からは余命２年であると宣告される。家のローンは10年以上残り、長男の大学進学への費用や新しく生まれる子供のことを考えると、ウォルターはとてもではないが死を受け入れることができない。そんなある日、ウォルターの義理の弟で麻薬取締局（DEA）のエージェント、ハンク・シュレイダーが麻薬絡みの大金を応酬した事件をTVで目撃する。ドラッグ・マネーに興味を抱いたウォルターは、ハンクの捜査に同行して仕事ぶりを見学させてもらうことに。折しも、ハンクらが追い詰めたドラッグディーラーのうちのひとりが、ウォルターの高校の教え子で落第したジェシー・ピンクマンだった。ジェシーだけがDEAの手を逃れたところを捕まえたウォルターは、化学の知識を生かして自分がメス（メタンフェタミン＝覚醒剤）を製造するから、ジェシーにパートナーとなってブツをさばいて欲しいと持ちかける。犯罪に手を染めてでも、現金を家族に遺したいとウォルターは考えたのだった。