山河之影 錦衣衛と謀りの王朝

10年前に幼くして父を殺された陸錚は、錦衣衛総旗となっていた。父を殺し、彼自身にもけがを負わせた下手人と目されるのは、こそ泥の少年・李霧。彼は陸錚への罪悪感が消えず、行方を追い続けていたのだった。

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李東方に不意打ちを食らわせ、李霧が盗み取った書状は、済南衛の鎮撫司 僉事・王克恭の屋敷で開かれる宴への招待状だった。まんまと李東方に成り済まし、邸内に入り込んだ李霧だが、何者かに呼び止められる。

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傷を負った舒棠をかくまう李霧。2人には因縁があった。陸錚の実の父・宋鶴鳴が命を落とした夜、彼らは同じ牢に閉じ込められていたのだった。一方、王克恭府に現れた黒衣の刺客を追う陸錚は、鎮撫司に応援を請う。

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「おまえに魚瞑鎖を託すと、王殿はおっしゃった」と李霧は、もっともらしいことを言い、魚瞑鎖を陸錚に渡す。大層な秘密が隠された代物だと知り、荷物持ちに預けておこうとの魂胆だ。その夜、王府で事件が起きる。

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「王克恭は燕王と通じていた逆徒故に、陸錚が処刑した」というのが司向南の書いた筋書きだった。だが当の陸錚は、あくまでも王克恭殺害を否認し、罪人のようにはりつけにされたまま放置されていた。

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謝鏗然の遺体を背負い、鎮撫司に戻った陸錚。待ち構えていた司向南は、彼を逆徒と断じて杖刑に処す。一方、李霧は、自分をかばって命を落とした謝鏗然との「陸錚を救う」という約束を果たすため、行動に出る。

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養父・陸羽林の決死の嘆願と、李霧の献身のおかげで、陸錚は間一髪のところで処刑を免れた。その夜、陸錚は建文帝から、洪武25年4月25日の夜、何が起こったのか真相を究明するよう勅命を受ける。

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陸羽林から公文庫の鍵を託された李霧。自身の記録を処分してしまえば、前科者としての過去を消し去ることができる。鶏鵞巷に戻った彼は、いつもの面々が集まった孟姉食堂で喜びと安堵感に浸った。

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李東方の名をかたって着任した李霧は誰の手先なのか、また狙いは何なのかと頭を悩ませる袁忠道。そんな彼に、張俊清は李霧を利用してはどうかと助言する。一方、陸錚から素性に疑いを持たれた李霧が行動を起こす。

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公文庫に入り込んだ陸錚と李霧は、手分けをして宋鶴鳴の無常簿を探す。すると李霧の前にまたも陳継真が現れ、李霧の調書は隠したと告げると、「おまえは私が失ったものを取り返せ」と謎めいた言葉を残して姿を消す。

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「舒棠、君を守るためだ」と李霧は心の中でわびた。陸羽林に夫婦で招かれた酒宴には、危険が潜んでいると知った彼は、舒棠を薬で眠らせ、北平行きの船に乗せる。宴に行く李霧を陸錚は、捨て駒にされるぞと制止する。

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互いの生い立ちを明かし、心を通わせあった陸錚と張俊清。やがて話は陸錚の亡き友・謝鏗然に及ぶ。「下手人はこの手で成敗する」と語った彼の前にいる張俊清こそが、親友を手にかけた敵であろうとは知る由もない。

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燕王に味方する逆徒は、中央の官署にもいた。ある計略で多くの逆徒を取り調べる司向南に対抗すべく、陸錚は大学士・袁忠道の助言を仰ぐ。そんななか、逆徒として王克恭の名誉回復を求め、趙家村の人々が動きだす。

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袁忠道の奏上が認められ、逆徒の捜査と捕縛は李東方=李霧が指揮を執り、陸錚が補佐となる。だが当の李霧は、陸錚をかばって受けた傷により寝込んでいた。医者の見立てでは、心の病の方が問題だという。

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文華殿に忍び込んだ舒棠を見つけた太監・趙苟だが、実際には手駒として利用したかった舒棠が、彼を待ち伏せていたのだ。一方、陸錚は何者かに襲われた張俊清を訪ね、互いの腹を探りあうような会話を交わす。

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泥酔して眠った李霧の世話を終えた舒棠は、李東方をのもとへ赴き、生き別れになった姉なのではないかとにらんでいる張俊清について尋ねる。彼女が去った後、李東方の前に現れたのは王克恭の息子・崇喜だった。

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「いかなる理由があっても逆徒は殺すべきか」と、陸錚は酔った勢いで養父・陸羽林に問う。誰を指しているのか陸羽林には明白だ。「そのようなやつは生かしておいても、いつか殺さねばならん時が来る」と父は答えた。

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陸羽林の思いがけない告白に息をのむ李霧。しかも、とうに自分の正体を知られていたらしいことも、彼をうろたえさせた。陸羽林は「全てを秘して、李東方に成り切れ」と、驚くべき話を締めくくる。

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都で集められた財物は別の船で北平へと運ばれ、燕王の軍費になったという。怒りを露わにして李東方=李霧の不手際を責める袁忠道だったが、朝廷や民衆の混乱を招かぬよう、事実とは正反対の報告をすることにした。

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何者かが出した捕縛令により、追われる身となった李東方=李霧と陸錚は、山中に身を隠す。詔獄に収監させられた陸羽林が拷問を受けることを心配する李霧は、同行すると言ってきかない陸錚を置いて単身救出に向かう。

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囚人となった李霧の前に李東方が現れ、琶刑と呼ばれる拷問を李霧に科すと、「ずっと李東方でいろ」と命じる。一方、陸錚は、李霧の協力者であった兵馬司・統領の崔陳から、先日の事件について意外な証言を得る。

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同僚であり親友の謝鏗然を殺したのは、張俊清だった。驚きと怒りに揺れる陸錚とは対照的に、冷徹な表情を崩さない張俊清は、恐るべき事実を突きつけると、「あなただけ蚊帳の外なの」と言い放つ。

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陸羽林がまだ幼い陸錚に告げた言葉こそが、魚瞑鎖の秘密を解く鍵だった。魚瞑鎖から取り出されたのは、暗号と思われる文言が書かれた紙片。謎めいた言葉と数字の羅列を前に、袁忠道は頭を悩ませるばかりだった。

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張俊清は、妹の舒棠が陛下暗殺の指令を受け、宮中に潜り込んでいることを知る。同じ頃、李霧は燕王に取引を持ちかけるための使いを立て、陸錚は燕王を仕留めるため、身分を隠してその陣営に入り込もうと企てていた。

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