バジリスク～甲賀忍法帖～

時は慶長十九年、春。桜舞う駿府城にて、甲賀忍者の風待将監と伊賀忍者の夜叉丸による、凄まじい御前試合が繰り広げられていた。その頃、甲賀卍谷衆頭領の甲賀弾正と伊賀鍔隠れ衆頭領のお幻には徳川家康から忍法殺戮合戦の厳命が下される。それは、徳川家三代目の後継ぎ問題に決着をつけるための命令だった…。

引用元：BANDAI CHANNEL

「不戦の約定」が解かれ、弾正とお幻が相打ちとなったその頃、甲賀と伊賀の国境で、弾正の孫である甲賀弦之介と、お幻の孫である朧が会っていた。祝言を間近に控えていた二人は「長き宿怨を断ち切り、両家に和睦を。」と誓い合う。しかし、家康からの忍法闘争の命が記された人別帖が伊賀十人衆たちの手に渡り…。

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伊賀鍔隠れの里に向かう弦之介一行。その裏では、伊賀十人衆が天膳の指揮のもと、いち早く甲賀殲滅のために動き出していた。そして、弾正と将監の行方を案じて駿府へと急ぎの駕籠を飛ばしていた甲賀組十人衆の一人、地虫十兵衛と、巻物を携え駿府から戻る風待将監を相手に、凄惨な忍法闘争が始まるのであった…。

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甲賀の地虫十兵衛と風待将監が伊賀の天膳たちによって討たれ、甲賀組に渡るはずの巻物は燃やされた。その晩、伊賀では弦之介達を迎えての宴が催されていた。だが、殺意渦巻く周囲の空気に気づき、警戒する弦之介。そして夜更け、その秘術を使って雨夜陣五郎は弦之介を、朱絹は丈助を討つべく動き出すが…。

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丈助の姿が突然見えなくなったことを不審に思いながらも、朧を不安にさせまいと明るく振舞う弦之介。甲賀卍谷では頭領不在の留守を預かる十人衆たちが戻らない仲間たちの身を案じていた。そこへ、天膳率いる伊賀十人衆たちが卍谷に奇襲をかけようと迫っていた。豹馬の指揮のもと、甲賀忍者達がそれを迎えうつが…。

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伊賀へ偵察に向かっていた甲賀十人衆の一人、お胡夷は、卍谷襲撃から戻る天膳たちと出くわし、囚われてしまう。伊賀の突然の襲撃に困惑する甲賀十人衆の面々。真実を確かめるべく伊賀へ向かった左衛門たちは夜叉丸と遭遇する。天膳の声色を使った左衛門は、夜叉丸から「不戦の約定」が解かれたという事実を聞かされ…。

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伊賀屋敷の塩倉では、蝋斉が甲賀十人衆の一人、お胡夷に尋問を始めていた。蝋斉の恐ろしい尋問に恐怖するお胡夷…。だが、彼女の吸血能力により、逆に蝋斉は倒される。その頃夜叉丸に変化した左衛門は、伊賀屋敷へ潜り込み、蛍火さえも欺くことに成功。弦之介の無事とお胡夷の居所を聞き出し、お胡夷救出に向かうが…。

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ついに天膳から「不戦の約定」が解かれたことを告げられ、驚愕の朧。その頃塩倉では、お胡夷が吸血能力で陣五郎を倒そうとしていたが、塩にとろけた陣五郎に逃げられてしまう。そこに今度は念鬼が現れ、小刀で念鬼に斬りつけるお胡夷を羽交い絞めにする。そして妹であるお胡夷の身を案じる左衛門が塩倉に駆けつけた時…。

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「不戦の約定」が解かれていたこと、祖父の弾正、十兵衛、将監、丈助、お胡夷たちが次々と討たれていたことを知った弦之介。そんな弦之介たちを帰すまいと、彼らを取り囲む伊賀忍者たち。そこへ朧が駆けつけ、戦いをやめるよう嘆願するも、下忍たちは弦之介に突撃する。その時、ついに弦之介の必殺術が発動して…。

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弦之介は伊賀を去り、悲しみにくれる朧。天膳たちはお幻亡きいま我らを率いて戦うは朧の役目と恫喝し、迷った朧はかつてお幻に渡された「闇七夜の秘薬」で両目を塞いでしまう。そして駿府城。徳川家康、柳生宗矩、服部半蔵を前に、これまでの闘いを追い続けていた半蔵の息子、響八郎がその過程を報告する…。

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朧は自らその破幻の瞳を塞いでしまった。これからの闘いを懸念する天膳たちのもとへ、甲賀へ戻った弦之介から、奪われた人別帖が果たし状とともに届けられる。駿府へ赴くという甲賀組を追って、盲目となった朧を引き連れて旅に出る伊賀十人衆。一方、東海道関宿で、陽炎は秘めてきた弦之介への想いを爆発させるが…。

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陽炎の毒を浴びた隙をつかれて蛍火と念鬼の奇襲を受けた弦之介。「闇七夜の秘薬」により、朧と同じく両目を塞がれてしまう。しかし、同じ瞳術の使い手でありその師匠でもある豹馬によって、念鬼を返り討ちにする。一方、逃げた蛍火を追う左衛門だが、蛍火の虫たちを使った術に攪乱され、見失ってしまい…。

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大雨で橋が流れてしまった渓流を前に、傷ついた足で立ち往生していた蛍火。そこへやってきた念鬼が、弦之介、豹馬、陽炎を討ちとったと語る。一方、天膳率いる伊賀の面々は、甲賀組が陸路をとったと想定し、その先回りをしようと海路をとって船に乗り込んだ。塩に溶ける体質の陣五郎は、海水に恐怖を覚えるが…。

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天膳はいまだに闘う意志を見せない朧の決意を固めさせるべく、朱絹、陣五郎を遠ざけ、説得をするためにと朧を胴の間へ呼び出した。そして朧を無理やり手篭めにしようとするが、突然、天膳は何者かに背後から首を締め上げられて絶命する。それは弦之介一行から離れ、一人別行動に出ていた刑部の仕業だった。

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殺したはずの天膳が現れ、驚愕する刑部。乗り合わせた無関係の者たちも巻き込んだ船上の闘いが始まり、刑部は天膳の挑発にのって冷静さを失う。伊賀と甲賀、お互いをなじり合う中、刑部の脳裏に浮かぶのは、幼い頃に味わった地獄の苦しみの記憶であった。しかし天膳は「そんなものは本当の地獄ではない」と笑い…。

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陣五郎、刑部の名が消され、残るは四対四となった。駿府を目指し命を削る非情の旅は続く。そして時は半年前に遡る。穏やかな日々を思い思いに過ごす甲賀卍谷衆と、伊賀鍔隠れ衆の面々。そして朧との見合いのため、弦之介と弾正が伊賀鍔隠れの里へやって来る…。

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東海道は池鯉鮒の東、駒場近傍の原野をゆく弦之介一行。なぜか目の開いている弦之介と、陽炎、頭巾を被った二人の男たちの頭上を巻物を抱えた朧の鷹が飛び去る。残る頭巾の男達の前に、待ち伏せた天膳が立ちはだかる。一方、小四郎は、朧を手篭めにしようとした天膳に対する不信と疑念にさいなまれていた…。

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弦之介達の前に立ち塞がる小四郎。弦之介の中にまだ迷いがあることを察していた豹馬は、陽炎に弦之介を連れて逃げるよう命じる。対峙する二人の盲目の忍者。瞳術を仕掛ける豹馬であったが、隙をつかれて小四郎の「吸息旋風かまいたち」に襲われる。その時、豹馬の脳裏に、幼い弦之介と出会った頃の記憶が蘇り…。

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小四郎の術によって倒された豹馬。しかし、小四郎は豹馬を倒したことがわからず混乱する。そこへ、小四郎を呼ぶ朱絹の声が。聞けば、朧は左衛門の手にかかってなぶり殺され、自分はそれを天膳と小四郎に告げるべく逃げてきたという。怒りと哀しみに震え嘆く小四郎に、朱絹の声は「一緒に死のう」と囁いて…。

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その身に巣くうものの力で、よみがえった天膳。争忍の決着を焦り抜け参りしてきた阿福一行と出会い、迷いながらも、それぞれに考えることもあり合流することに決めた朧と朱絹。その様子をひそかにうかがい知った弦之介一行。天膳に化けた左衛門は阿福一行に合流し、まずは朱絹をおびき出すことに成功するが…。

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朱絹を討ち取った左衛門。しかしそこへ阿福の家来衆がやって来て、左衛門を取り囲む。その頃、陽炎は天膳たちの待つ旅籠へやって来る。その美しさに魅了される男たち。欲望をかきたてられた天膳は、家来衆の疑いをはらうためにと陽炎を犯そうとする。その時陽炎は、この男が本物の天膳だということに気づいて…。

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捕らえた陽炎を使って、弦之介をおびき出そうとする天膳。荒寺にて、半裸の陽炎を柱にくくりつけ、伊賀責めなる非情な拷問を続ける。陽炎の壮絶な悲鳴に耐えかね、「もうやめておくれ」と嘆願する朧だが、天膳はそれを聞き入れるどころか、陽炎に見せつけるべく朧を手篭めにしようとする。そこへ弦之介が現れて…。

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弦之介と天膳の激闘に決着がつく。甲賀の頭領として「わしはそなたを討たねばならぬ。そなたも剣をとれ」と言い放つ弦之介に対し、自らの目を塞いだことを告白する朧。そして、自分を斬ってほしいと言う朧の言葉に、弦之介は苦悩する。そんな弦之介に、意識を取り戻した陽炎は、甲賀のために朧を討ってくれと迫る…。

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陽炎が哀しい最期を遂げ、天膳は朧の破幻の瞳の力により、遂にその永くも壮絶な人生に幕を閉じた。そして、お互いを強く想い合いながらも対峙する弦之介と朧。見守るのは服部半蔵、響八郎、阿福とその配下の者たち。朧は満身創痍の弦之介を、哀しくも決意を秘めた瞳で見つめる。悲壮な争忍の決着は果たして…!?

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