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スパドラ!最新USレポート Vol.414:「ブレイキング・バッド」でエミー賞受賞の脚本家、最終シーズンの興奮を語る

May 9, 2016

BreakingBad_yr5_us250_0509.jpgブレイキング・バッド」シーズン5の第14話「オジマンディアス」で、2014年エミー賞最優秀脚本賞を受賞した、モイラ・ウォリー=ベケットが、最終シーズンに参加した当時の興奮を語っている。

ウォリー=ベケットは元女優兼ダンサー。「ブレイキング・バッド」以前の脚本家としての彼女の経歴は、「弁護士イーライのふしぎな日常」の1エピソードのみだった。そんな彼女が「ブレイキング・バッド」シーズン1を見て、猛烈にはまりこんだ。「キャラクターが頭から離れなくて」(ウォリー=ベケット)、頼まれもしないのに妄想から脚本を書き上げてしまったのだ。脚本は、巡り巡って「ブレイキング・バッド」プロデューサーのメリッサ・バーンスタインの目に留まり、やがてクリエーターのヴィンス・ギリガンの手に渡った。そしてその妄想力を認めたギリガンによって、彼女はシーズン2から「ブレイキング・バッド」脚本チームの一員となったのだ。

当時を振り返り、彼女は「あのテーマ(ドラッグ)、あの番組そのもの、そしてあのキャラクターたちが私の骨の髄にまで浸みこんできたの。脚本を書いたのは、私にとって、ラスベガスで大ばくちを張ったようなものだったけど、その甲斐はあった。おかげで、自分が最も望む場所(チーム)に入れたんですもの」

そして最終シーズンとなるシーズン5。何人かの脚本家が参加する「ブレイキング・バッド」では、シーズンが始まる前に話の要点をチャート化し、脚本家ごとに話にバラつきが出ないよう注意を払っていた。「結末を知った時は、椅子から飛び上がりそうになったわ。私たち脚本家もどう話を進めるべきか、最初は頭が真っ白だった」

最終シーズンの段階で、すでに「ブレイキング・バッド」は“傑作”との称号を得ていた。それだけに、有終の美を飾りたい製作陣、特に脚本家たちのプレッシャーは並ではなかったようだ。「最終シーズンの後半に差し掛かったころには、とてつもないストレスを感じていたわ。歴史の一ページを刻むんだという思い、ファンを満足させたいという願い、そして私たちが真に伝えたいストーリーを余すことなく描きたいと望んでいたのよ」

結果として生まれた、彼女の渾身の一話「オジマンディアス」は、「ブレイキング・バッド」の中でもベスト・エピソードの一つに数えられており、彼女を脚本家チームに引き上げてくれたギリガンと共に、エミー賞脚本賞の栄誉も勝ち獲った。

番組がこうじて書いた妄想脚本が、彼女の脚本家人生を切り開いた。今ではギリガンから「ブレイキング・バッド」のスピンオフ「ベター・コール・ソール」について、脚本執筆の打診があるほど信頼されている。


<「ctvnews.ca」 4月29日付け>