その役とは、ズバリ“死体”役。
ミステリードラマでは、口から泡を吹いた毒殺死体、全身真っ青になって海から引き揚げられた水死体、解剖室に横たわった死体など、数々の死体が登場する。ストーリーに深く絡んでいない限り、名前も顔を知られていない俳優が演じるのが常。当然、台詞もない。
そんな死体役がビッグスターに人気なのだという。
マリスカはある超有名なスーパーモデルの例を持ち出した。
「彼女が私たちのドラマのファンだと知ったの。私は『なんてこと!』って嬉しくなって、脚本家に『彼女の役を作れないかしら?』って持ちかけてみた」
脚本家とて、スーパーモデルの名を聞いてその気になったはず。しかし、当のスーパーモデルの申し出に戸惑った。
「彼女は死体役をやりたいと言い出したの。私たちは『もっといい役を用意してある』と説得したのだけど、『死体役じゃなきゃイヤ』と断られてしまったわ」
実は、司会のセス自身も同じリクエストをしたのだとか。
「僕も死体役を演じたかった。『LAW & ORDER』の脚本家全員と会って、カメオ出演を申し出た。死体役がやりたいとね」
実際に役はオファーされたものの、希望した死体役ではなかった。
セスは「台詞などいらない。公園で死んでる役がやりたいんだ」と猛反発。結局、出演は無くなったという。
視聴者からしてみれば、引き受けたくなかったろうと気の毒になる死体役。しかし、一挙一動が注目されるビッグスターには、じっとしてるだけの役が魅力的に思えるということか。それもなんだか気の毒な話である。
<「hollywoodreporter.com」10月3日>