
2月のスーパー!ドラマTVの目玉の一つは「ふたりは友達? ウィル&グレイス」シーズン1字幕版の日本初放送。セットにいる観客の笑い声が聞こえるコメディドラマ、シットコム(シチュエーションコメディ)だ。
全米放送は1998~2005年、計8シーズンも続き、2017年に復活して3シーズンの新作が作られたほどの大ヒット作。
ニューヨークを舞台に、インテリアデザイナーのグレイス(デブラ・メッシング)と弁護士ウィル(エリック・マコーマック)のゆかいな日常を描くもの。
特筆すべきはウィルがゲイであること。同性愛者が主要な登場人物にいるのは昨今のドラマでは珍しくないが、かつては全米地上波では野心的だった。当時は全米で一番人気の全米NBCネットワークだから可能になったのかも。
当番組はシーズン1の途中で放送枠が月曜夜から木曜夜に移動。木曜夜といえば「フレンズ」「そりゃないぜ!? フレイジャー」「ER 緊急救命室」という視聴率トップ3の番組が並ぶ最強時間帯で、NBCの当番組に対する自信を思わせた。
クリエイター2人と別にいたキーパーソンはジェームズ・バロウズ。1980年代、日本未放送の「Cheers(原題)」など多数のシットコムに参加し、なんとのべ1000以上のエピソードを監督。「そりゃないぜ!? フレイジャー」「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」の第1話も監督した、まさに"シットコムの巨匠"だ。
1980年代までシットコムは家庭が題材のものが多かったが、1990年代、都会で暮らす大人の友人同士を描く流れに変わったのはバロウズの功績もあったはず。ウィルとグレイスに加えその友人たち、カレン(ミーガン・ムラリー)とゲイのジャック(ショーン・ヘイズ)も名キャラ。
エミー賞では83ものノミネーションを得て、18回も受賞し、シーズン2はコメディシリーズ作品賞を受賞。テンポのいい会話に笑いを誘われ、毎回30分弱はあっという間。ぜひ楽しんでみよう。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2026/1/30】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。