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海外ドラマ最新レポート Vol.115 視聴者の意見に左右はされない! 「ブラックリスト」衝撃のストーリーができるまで

 

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NBC「ブラックリスト」ほど“衝撃の展開”というキャッチコピーがふさわしいドラマシリーズは、今の米TV界に存在しないだろう。米では先ごろシーズン6の放送を終えたばかりだが、毎シーズンごと視聴者を驚かせ続ける、ひねった展開の連続に、視聴者はもちろん批評家も感嘆の声を上げている。
 
米エンタメ紙が、その「ブラックリスト」の生みの親、製作総指揮で脚本家も兼ねるジョン・ボーケンキャンプ、ジョン・アイゼンドレイスの2人にインタビューを行った。
米ではTV放送に加え、ネットフリックスのオンライン配信で視聴するファンも多い「ブラックリスト」。“衝撃の展開”に、SNSで感想を漏らしたくなるのは現代人の常だろう。意外というべきか、ボーケンキャンプはそんな彼らの声を拾うのが好きだと、相棒のアイゼンドレイスが明かす。
 
「僕は目にしないようにしているけれど、ジョン(・ボーケンキャンプ)は大好きみたいだ。だけど、視聴者が何を騒ごうと、ストーリーは別物であると僕らは決めている。視聴者の意見に左右されることはないね。僕らが自分たちにできる最高の仕事をするから、見ている人が次はどうなるんだろうと推測して楽しめるんだと思うよ」
 
誰もが驚いたシーズン6フィナーレ。愚問とは知りつつも、すでに視聴者の議論は新シーズンがどうなるか?
 
「毎シーズン同じだ。僕らは(シーズン6の)全22話を終え、とても疲れている。どうシーズンを終えたら次にうまく進めるか考えて、それを実行したばかりだからね。仕事場に戻る6月になったら、だいたいの大筋を考え始めることになる」(アイゼンドレイス)
 
一つのシーズンを完成させるという大仕事を終えたばかり、新シーズンの話など止めてくれと言いたいところだろう。
一方のボーケンキャンプは、常に彼らの心の中にある“エンドゲーム”(終盤)を持ち出す。いつかやってくるシリーズ最終回に向かうことだ。
 
「『ブラックリスト』は連続ドラマだから、必ずエンドゲームがある。語り続けたストーリーには終わりが必要なんだ。僕らは、そのエンドゲームを、時々あっちにやったりこっちにやったりして、話を合わせている。毎シーズンごとに大きな展開があるのは、この番組の特性だからね」
 
大きな展開によって、保ち続けたエンドゲームが台無しになってはいけない。逆に言えば、その導線がしっかり見えているから、大きく道を外したとしても後戻りができる。
 
アイゼンドレイスが話を引き継ぐ。
 
「それがTVシリーズを書く楽しみの一つでもあるよ。この番組が7年目に入ってまだ新鮮さを保っているのは、視聴者を(ストーリーで)驚かせる前に、僕ら自身が驚いているからなんだ。実はシーズンに入ってからも、ストーリーがどう展開するかきっちりとは決めていない。ある意味、ビルの谷間に張られた針金の上を歩いているようなものだ。脚本を書いている僕らが驚くんだよ、そりゃ視聴者だって驚くよね」
 
先の発言によれば、脚本チームの始動は6月。シーズンが終了して約一カ月、彼らの頭の中が新シーズンに切り替わるのに時間はあまりない。それでもボーケンキャンプは「誰もゴール(最終回)を急いでいない」と余裕を見せる。「まだたくさん描きたいストーリーがある」のだとか。
 
視聴者を驚かせたい、そしてその前に自分たちが驚きたい。その楽しみを彼らが追求する限り、「ブラックリスト」のエンドゲームはまだまだ見えてきそうにない。
 
 
<「variety.com」 5月17日>