TOP > 作品一覧 > THE WIRE > Introduction
西ボルティモア地区の麻薬売人たちと彼らを追う刑事たちとの闘いを描いたシーズン1に続くシーズン2の舞台は、ボルティモア港。港町として知られるボルティモアだが、港湾事業の景気は下向きで、貧困ギリギリの生活を強いられている港湾作業員たちの生活が描かれていく。本作のクリエーターでボルティモア・サン紙の犯罪記事担当の記者を13年間務めた経歴の持ち主であるデヴィッド・サイモンは、シーズン2を「労働の終焉とアメリカの労働者階級の背信への黙想であると同時に、邪魔をするものが何も無い資本主義は社会政策の代用とはならず、社会契約無しの未熟な資本主義は大多数の人間たちの犠牲によって少数の人間たちが潤う方向性を持つものであるという議論を意図的に提示している」と分析する。
シーズン2の根幹を成すストーリーでは、労働者階級の代表ともいえる港湾作業員組合の幹部が、自分たちの生活を守ることを目的に政治家を動かす資金作りのために、敢えて法を犯す行動に出る。このプロットは、まさに、サイモンと共同クリエーターのエド・バーンズとが、「THE WIRE」というシリーズ全体を通じて描こうとする主要テーマ、すなわち「堅気の人間がいかにして、このドラマに登場する犯罪者たちのような行動を取るまでに至るかを探求すると共に、勤勉さや努力は必ずしも正当に報われるとは限らないというセオリーをドラマ化する」のにピッタリあてはまる。その意味では、「THE WIRE」シーズン2は、シーズン1よりもずっと社会派ドラマ色が強くなっている。
シーズン2ではボルティモア港に出入りする港湾作業員たちが多く登場するが、その中心となるのは、組合の資金作りのために密輸に絡む“裏の商売”に手を染めてしまう港湾作業員組合の幹部、フランク・サボトカ(クリス・バウアー)と、彼が不出来な息子ジギー(ジェームズ・ランソン)より頼りにしている甥のニック(リーヴ・シュレイバーの異母弟、パブロ・シュレイバー)。また、フランクに密輸商売の片棒を担がせる謎の外国人犯罪者グリーク(ビル・レイモンド)とヴォンダス(ポール・ベン=ヴィクター)も出番は少ないながら強烈な印象を残す。警察側の人間としては、ジミー・マクノルティを初めとした、シーズン1で御馴染みのボルティモア市警察の面々の他、港湾局所属の警察官ビーディ・ラッセル(「ゴーン・ベイビー・ゴーン」で助演女優賞オスカーにノミネートされたエイミー・ライアン)が、コンテナ内で死んでいた13人の女性たちの第一発見者として捜査に加わる。