真っ暗な森の中を、少女は必至で逃げている。足がもつれて転ぶ。木の陰に息を潜めて隠れる。恐ろしさのあまり、涙が頬をつたう。どんなに走っても、懐中電灯の光は確実に追ってくる――
デンマーク、コペンハーゲン。警察署。殺人課のトップ、サラ・ルンド刑事が署での最後の日を迎えていた。彼女は婚約者とともにスウェーデンに移住するため、コペンハーゲンを離れるのだ。後任のイエン・マイヤとの挨拶もすませ、サラは署を後にしようとした矢先、ある知らせが入る。サラはイエンを連れ、現場へ向かう。
市庁舎。まもなく開かれる市長選にわくコペンハーゲン。最有力候補は市議会議員のトロールス・ハートマンと現職のブレーマー市長。 経験豊富なブレーマーは何かと若手のハートマンに対しプレッシャーをかけてくる。だが、ハートマンは信頼できる選挙スタッフに囲まれ、自信に満ちている。20年来の親友である選挙参謀モーテン、そして頭脳明晰で有能なアドバイザーであり恋人のリー、この二人が公私ともにわたりハートマンを支えているのだ。地元高校での討論会にむかったハートマン。だが、ある生徒が行方不明になっていることを知らされ、捜査協力のため討論会中止を決める。
コペンハーゲン郊外で引越業を営むタイス・ビルク・ラールセン。妻ペニレと3人の子供に恵まれ、裕福ではないが、仕事も順調で幸せな生活を送っている。長女ナナも19歳となり、年頃の娘に大きな部屋を用意しようと、新築の家の購入を決めたばかり。そんな中、ナナが行方不明になっていることが発覚する。
森の中に残されていたナナ・ビルク・ラールセンのものと思われる遺留品。サラたちは、近くの運河に沈められた車を発見。引き上げられた車の中から出てきたのは、ナナ・ビルク・ラールセンの遺体だった。その車はハートマンの事務所が所有する車であることが判明するのだが・・・。
彼女を殺したのは一体誰か。彼女はなぜ殺されたのか。サラ・ルンド最後の事件捜査は、一見無関係に見える人々の関与と、彼らの真の姿、そして街の秘密をも暴いていく・・・。






















