メンタリスト: インタビュー

全米視聴率ナンバーワン!
卓抜した観察眼で人の心を読む“メンタリスト”、パトリック・ジェーンの活躍を描く正統派ミステリー

インタビュー

サイモン・ベイカー インタビュー(シーズン4)

この4年間を通して、あなた自身とジェーンの、どちらが変化したと思いますか?

そうだな、それは面白い質問だ。たぶん僕だろうね。
僕のほうが歳を取った。より賢くなったと言えるか分からないけど、よりくたびれている。よくわからないな。番組において言えることは、ストーリーは前にどんどん進んでいる雰囲気を纏わせないといけない一方で、早く進み過ぎてもいけない。走っているように見えるけど、実はそう遠くには行ってない体を保つんだ。番組をガラっと変えてしまうことはしたくないからね。ものによっては素早く次に進むことが必要な時もあるけど、大体の場合は少しずつ変えていくべきなんだよ。特に僕が演じるキャラクターなんかは、丹念にゆっくり変えていくことが必要なんだよ。その方が僕自身も楽しめるし、もちろん視聴者も楽しいはずだ。

この番組に携わるようになってから言われた最高の褒め言葉を、一つ選ぶとしたら?

それはとても難しい質問だな。それぞれだから。ある人は、ジェーンのキャラクターを気に入っているし、またある人は番組のユーモアが好きだと言う人もいる。たくさんの褒め言葉をもらったけど、この番組が終わってしまったらどうすればいいのか分からないよ。褒められることが当たり前になってしまったからね。とても奇妙で危険なことだ。

仕事でも私生活でも結構なので、あなたの人生であなたにとって大きな転機になった出来事を教えてください。

僕を変えた目立った出来事と言えば、子供たちが生まれたことかな。それと、良き友人の死だ。どちらとも、僕をとても前向きにさせたよ。変に聞こえるかもしれないけど。

犯罪捜査系のシリーズは多くありますが、この番組はキャラクターが中心で、他の犯罪捜査ドラマとは明らかに違う気がします。ジェーンと並行するレッド・ジョンの存在、その関係など本線とは別のストーリーラインが並列してあることの重要さを教えてください。

バランスのためにも必要だと思う。CBSネットワークはこれまで犯罪捜査系のTVシリーズで大成功を収めてきた。でもそれは、同じような番組になってしまう危険性も同時に孕んでいる。キャラクターのごく数個の要素だけがおなじみであれば、それとのバランスが取れる。間違っているかもしれないけど、僕らの番組で成功している理由は、コメディとドラマが共存できているというバランスがあるからだ。ドラマの部分とは、ジェーンのキャラクターを構成している悲劇の部分。彼は道化師のような存在だよ。彼は自己嫌悪に陥っているし、苦悩から救われたいと思っている。だから彼は自分のユーモアを武器や盾の一つとして使っているんだ。そうすることで均衡が取れているのさ。この番組が始まった時、他とは一線を画した犯罪捜査ドラマにできると思ったのは、これまでの犯罪捜査シリーズもののピースを抜き出して一つの作品を作り出すということだった。このバランスは常に難しいものだよ。特に犯罪捜査ドラマに長けているネットワーク局のシリーズ作品ということであればなおさらね。何作かは恐いほど真面目で、その真面目さがウリの良い作品だし。僕らの番組は、根は真面目で、たまに真面目さを見せるけど、圧倒的にユーモア要素の方が多い。ほとんど緩い雰囲気だ。なかなか難しい線を行ってるよ。

コールド・リーディングをすることや、他人を識別することについてですが、これらは以前からあなたがご存じだったことですか?もう今や修得されたことでしょうか?

以前はよく知らなかった。俳優としてその技術を修得するには、実際にその技術に長けた人を観察することだった。それを演じたり、技術を本当に修得するためには、僕など到底手の届かないレベルの技術が必要なんだ。僕はその分野でそんな才能はない。彼らが持つ知識の量や、点と点をどう結んで活かせばいいかという手法は理解できる。でも僕には無理だね。僕が着目したのは、彼らがいかに自然にそれをやってのけたかという部分だ。人と一緒にいながら、ゆったりとごく自然にふるまえる。でもその自然な振る舞いの中からでも、きちんと情報を引き出すことができるんだ。

ジェーンの服はなぜいつもビシッときまっているんでしょう?彼の衣装は初めから決まっていたんですか?それとも衣装について話し合いがあったりしましたか?女性ファンに対するサービスとか?

それだ。………それが答えだよ(笑)。僕はシリーズ作の主人公にトレードマークがある番組が好きだった。刑事コジャックは禿げていて棒付きキャンディーをなめ「Who loves ya, baby?」が決め台詞だったし、刑事コロンボはトレンチコートを着ていたね。だからある意味でそれは隔世遺伝の要素なんだ。「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」や「CSI:科学捜査班」のように証拠を元に捜査を進める作品が多数競合する中で、僕らの番組は「あいつはウソをついているのか?」のように観察眼に頼った捜査をする。顕微鏡を覗いて証拠をつかむ捜査が主流になる前の、人の行動を観察して進める捜査法だ。だからこの作品は、過去の作品の遺伝子を受け継いだものになっているんだよ。だから主人公には、一目でわかるような衣装を着せたかったんだ。パッと見て、「あれが主人公のジェーンだ。ベストと茶色の革靴をいつも着用してシトロエンを運転している」ってわかるようにね。だからキャラクターとしてスエット上下を着るのは変な気分だ。

ジェーンがいつも飲んでいる紅茶を教えてください。あれも一つのトレードマークなんですよね?何の紅茶ですか?

番組上では何の紅茶かってこと?それとも実際に僕が撮影中に飲んでいる紅茶の種類?キャラクターとして飲んでいるとされている紅茶はいろいろあるけど、よく飲んでいるのは、ラプサン・スーチョンだよ。だけど、僕が撮影用に実際に飲んでいるのは、カフェイン・フリーのハーブ系紅茶で、マンゴー&パッションフルーツのブレンド紅茶だ。そうしないと、飲む量が多いから興奮しすぎちゃうんだ。

番組内では常にレッド・ジョンとジェーンのゲームが行われていますが、あなたは展開をご存じのはずです。どうやって隠し通していられるんでしょうか?

台本を読んだときに、それが事実になるのかそうじゃないのかっていうのが分かるんだ。だから事実じゃない事ならば、そのままそれをちらつかせるだけだ。でもそれが事実の場合は、番組のクリエーターであるブルーノのところに行って相談する。「これを事実ということにしてしまっていいのかい?一度それを事実とすれば、そのまま固定化して、視聴者の中でもこの事実が固まってしまう。僕らも視聴者も、いつかまたこの事実に立ち返らなければならないし、こうなるともう戻ることはできないから、気を付けた方がいい」って言うんだ。もし事実でない話なら、僕も得意だからそのまま嘘を演じ通すけど。一度観客がある出来事を事実のものとして見てしまうとそのまま固定されてしまうから次に進むしかなくなるんだ。

あなたはドラマのエピソード監督もされていますね。監督業と俳優業の両方がある日は楽しみですか?

楽しみではないよ。でも監督業は楽しんでやっている。集中力が求められるけど、自由がきくし創造力のはけ口になる。俳優と監督の両方をするのは、複雑であり同時に単純なんだ。考えすぎると複雑になる。ゴルフをしたことがないからよくわからないけど、ゴルフをする人から聞いて同じ感覚だと感じたことがあるんだ。ボールをティーの上に乗せて打つ直前のような感じだよ。今まで教わったテクニックについてあれこれ考え、数回素振りをしたあと、いざボールを打つときになると、もう何も考えていないっていう感覚に似ている。俳優と監督を同時にこなすというのはそれが一日中続く感じなんだ。

パトリック・ジェーンのキャラクターで、これからあなたが発見してみたい部分はどのようなところですか?今後の彼をどういう人物にさせたいですか?

今の僕が演じるキャラクターはすでにシーズン4をむかえたけど、ここまで固い基盤が出来上がっているキャラクターに新たな要素を加えることは難しいと思う。エピソードによっては脱線してもいいと思うけど、そのエピソードが終われば、またすぐに本線に戻ってこなきゃならない。そのための基盤を敷いておけば、いくつかできるアイデアはあるよ。でも、果たしてその全てのアイデアをやるかどうかはわからない。そのほかの事の基盤も敷いてあるからね。

(ご自身が出演されている)映画『マージン・コール』がインディペンデント・スピリット・アワード賞にノミネートされましたが、ネットワーク局作品では得られないことや、インディー映画に参加することで得られる魅力は何でしょうか?

ネットワーク局の作品には規制がたくさんある。まず、一週間が始まって終わっても、まだ作業は終わらないということ。毎週8日間が撮影に費やされる。僕らのシリーズは年間24本だから延々と絶え間ない作業が続く。演技も含め、すべての過程において、放映までに納得いくクオリティに仕上げるのには時間が足りないんだよ。だからそれはいつでもチャレンジだ。一方で映画作品には終わりがあるよね。あと映画は、いつもとは違うセットに入って行かれるから新鮮だ。もちろんこのシリーズのセットも最高だよ、いつでも前向きなエナジーで溢れているしね。それは安定した雰囲気だよ。お互いに知れた仲だし、ジョークを言い合っても大丈夫だし。でもいつもとは顔ぶれの違った知らないスタッフと仕事をするのはまた新鮮だ。今までとは全く違った作品に、違うキャラクターで登場するんだと実感するからね。そこでは僕が「メンタリスト」で確立してきたステータスは全く意味をなさない。ただ俳優のひとりとして参加するだけだ。そういうことも楽しいよ。

あなたはオフの時間も、意識的に自分が演じるキャラクターとのバランスを求めているのですか?

そうだね。「メンタリスト」とは異なったキャラクターを探しているけど、遊びがあるキャラクターを探している。そして「メンタリスト」の視聴者が観ても楽しめる作品に参加するようにしているよ。

視聴者を長く惹きつけておくために、何かコツはあるんですか?

そもそも俳優として、その役に興味を持ち続けられるかというのが大変なことのひとつだ。俳優が自分の演じていることに興味を持っていれば、見ている人も興味を持って見てくれる。このことについては以前3年関わったシリーズでよく分かっていた。その時でも難題だったのは、色んな方向に発展してしまいがちなキャラクターを、どう興味を失くさずに演じ続けられるかということだった。だから今回でいいのは、ジェーンのキャラクターは演じていて退屈じゃないところだ。時々ジェーンを演じるためのエネルギー切れになる時もあるけど、たいていは楽しみながら演じているよ。

ジェーンがレッド・ジョンに接近するにつれて、彼の姿勢から傲慢さがどんどんなくなり、より控えめになっていくと言えますか?

もちろんだよ。ジェーンには固い決意があってそれに集中している。でもその中には虚勢があるんだ。犬がリスを追い掛けているようなもの。リスが木の上に登ってしまったら犬はタフに吠え続けるけど、実際にリスが地面に降りてくれば犬は戸惑う、みたいな感じだよ。ジェーンがレッド・ジョンに近づけば近づくほど、彼はどんどん控えめになっていくんじゃないかな。というよりもレッド・ジョンに対してはとても脆弱なんじゃないかな。スーパーマンのクリプトナイトのような感じさ。…あまり良いたとえじゃなかったね。

各エピソードにはどれも面白さが盛り込まれています。各エピソードをここまで興味深い仕上がりにするのは大変ではないですか?

まさにそこが一番難しいところだ。番組が持つ要素はシリーズを通して見せたいけど、同時に捜査過程も見せる必要がある。これはネットワーク局がよく言う一話完結という部分にあたる。見逃してもまた見てもらえるように、各話ごとでストーリーが終わる必要があるんだ。それを年間24本制作しなきゃならないから、当たるものとそうでないものと両方ある。僕はそれをA面B面って言うのが好きなんだけど。できればキャラクターの娯楽的な要素は、一貫して表現されていることを願っているよ。

あなたはいつか、娘さんの18歳の誕生日の方がご自身の40歳の誕生日よりも感慨深いとおっしゃっていました。そのことについて教えてください。

怖くなったし、感慨深かったよ。つい数年前まで彼女は僕の手中に収まっていたような感じなのに、もう18歳で家から巣立つ年頃なんてさ。だから目が覚めるような出来事だったね。だって子を持つということは人生においておそらく一番大きな出来事だ。その子供が巣立つということはその次に大きな出来事のはずだよ。だからそれは、人生において大きな出来事だった。

数年前、あなたは地上で最もセクシーな男性として選ばれましたが、テレビに登場するホットな俳優という一面のほかに、20代を目前に控えた娘の父親という一面も持っています。それらはどのような感じなのでしょうか?まだ精神的には20代前半のような気分だったりしますか?

僕は自分の中身がまだ21や22歳っていう感じはしないな。でもどの男性も同じことを感じているはずだよ。それが俳優だとしても、大統領だとしてもカメラマンだとしても、自宅でクリケットの試合を見ていたとしてもね。ほとんどの人たちがこういうことを感じているはずだ。たまたま僕の職業が人の眼に晒される機会にあふれているというだけであって、どんな職業でどんな人生をおくっている人でも、みんな同じように考えたり感じたりしているんだ。人々が僕をセクシーな男性と選んでくれたとしても、それは彼らの話であって、アメリカでよく言われる「douchebag(ウザイ奴)」って言われちゃう可能性だってある。でもそうなったとしても、僕が夫であり親であることには変わりない。人生が何なのか、追い求めている多くの一人の男にすぎないのさ。

オーストラリア訛りは無くなってしまったのですか?それとも帰国すると戻りますか?

1、2杯飲むと戻るし、オーストラリア人と電話で会話しているとしっかり戻る。無くなってしまったとは認めたくないけど、仕事の時は目立たないように意識している。だいたいセットに来て話し始めると声のトーンが戻るんだ。確かに長期間アメリカに居るということもあって、かなり薄まってしまったと思うけどね。

普段からスポーツ観戦をしますか?

観られるものを観ているよ。大好きだ。スポーツを観ると気分が故郷に戻るね。ラグビーのワラビーズやオールブラックスの試合を観るとオーストラリアに戻った気分になる。だから、真夜中に起き出して試合を観るよ。ラグビーを観ると、心から故郷が味わえるんだ。12歳と10歳の息子たちも一緒に起きてきて一緒に観たりする。彼らも好きなんだよ(笑)。

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ロビン・タニー 来日独占インタビュー

来日は何度目ですか?

今回が2度目よ。1度目は2001年で、当時公開された映画『バーティカル・リミット』の時だったわ。

日本に戻ってきてどんな感じですか?

すばらしいわ。東京は本当にすごい都市よ。文化的な面でアメリカと大きく違うから、その環境の違いを体験することが楽しい。それから人々がとても礼儀正しいわ。日本には、アメリカとは違った習慣があるわね。ある友達と座っていたんだけど、彼の友達が彼に向かってきて挨拶をしたの。でも彼は、私を見ることも、挨拶をすることもしなかったの。アメリカでは、それは意地悪な事だと捉えられてしまうんだけど、ここではそれは、礼儀としてされていることなのよね。友達との時間を邪魔しないように、そっとしておいてくれるっていう。こういう文化的な違いや、日本の人々の勤勉さはとても尊敬するわ。アメリカ人の私たちは、怠け者だから仕事はしたくないものよ。でもここでは皆プライドを持ってそれぞれの仕事をしているように見受けられる。建造物やいろいろな物がとてもきれいで素敵だわ。

「THE MENTALISTメンタリストの捜査ファイル」は世界中で大成功を収めていますが、そのような作品に関われたことをどう思いますか?また、本作がここまでヒットすると思っていましたか?

世界中のたくさんの人が見ている作品に携わっているというのは、とても不思議な気分よ。これまではずっと、映画への出演が多かったから。でも人々のリビングルームに週に1回~2回も登場する俳優となると、捉えられ方が違うものなのね。彼らにとって身近な友人のような存在になるみたい。だから、それはとても素敵よ。でも、それと同時に、私が、演じている役そのものだとも思われてしまうようなの。私にとっても、はじめは女性捜査官という役は変な気分だったわ。今まで興味を持ったことが全くないものだったし、彼らについても何も知らなかった。警察を見かけても、自分は何か悪いことしてないだろうかとか、怯えちゃったりしてね。銃を身に着けた、権威あふれる捜査官なんて、普段の素の私からは、かけ離れた役なのよ。でもこの役を演じることへのやりがいは感じているわ。脚本を読んだとき、とても良いと思った。その時すでに、独特な良さを感じたわ。人々が気に入る要素があることも理解できた。でもその時点では、まだサイモン・ベイカーは決定ではなかったので、彼が決まるまでは出演の返事をしなかった。彼はとても良い役者だと思うし、彼のことは個人的にも知っていたから。テレビシリーズに出演して、それが成功すると、自分の家族や夫と過ごす時間よりも、仕事仲間と時間を過ごす方が長くなるわ。だから、彼(サイモン)は私のテレビの中での夫という感じよ。彼を愛しているし、私たちの関係はとても上手く行っている。それから彼はとてもハンサム。だから一日中見ていても飽きないわ。彼の髪の毛も、実際に見てもとても素敵なのよ。

テレサ・リズボンというキャラクターは、ジェーンを始め、個性的なメンバーがそろっているチームをまとめる腕利き捜査官なのに、とてもチャーミングですよね。キャラクターを作る上で気を使った点や、どういった役作りをしたのか教えてください。捜査官を演じる上で特別な準備などしましたか?

初めのころは、チーム内で権威的に振舞うことが難しかったわ。だってチームのみんなは私よりもはるかに背が高いから。多くの場合、私たちはみんな、誰かを見上げている時は自分が子供のような気分になると思うの。だから自信を持って堂々と会話したり、振舞ったりすることは、はじめは難しかったわ。そのために男っぽく歩いたり、振舞えば、逆に権威的な雰囲気を失うと思ったの。だから背が小さくても、仕事はとても出来る人を意識して表現することにしたわ。これは職場が舞台のドラマをやる上ではとても興味深いと思う。大体、こういうキャラクターの場合、仕事はできても私生活の方はダメだったりするわよね。だから、気楽に役職に挑むということを心がけたし、私も自分の背の高さを気にしないようにしたわ。最初は、武器の扱いも習った。普段も武器の扱いを教えてくれる専門家に付いてもらっているの。カールっていう男性なんだけど、彼にどうやって銃を扱うのかを教えてもらったわ。ドアの破り方や手錠のかけ方とかをね。手錠なんてかけるものじゃないわ。テレビでするのはとても大変なことよ。テレビで見る時間よりも、本当はもっと時間がかかるものなの。だからCMの間に終わらせて仕上げるって感じよ。彼はいろいろ手助けをしてくれたわ。一軒家へのさまざまな侵入方法とかね。ティム・カンが演じているチョウというキャラクターがいるんだけど、彼は身体的能力が素晴らしいの。彼はとても鍛錬されている。普段、脚本に目を通した段階で、私の役に身体能力を必要とする大変なシーンがあると、ティムに変えてよって言うのよ。彼の方がもっと上手にできるはずだからってね。

ご自身とテレサ・リズボンは似ているところはありますか?

私は男兄弟がいる中で育ったの。それは、原作者(クリエイター)と最初の段階で役について話し合ったことでもあるわ。テレサも男兄弟の中で育ったはずよ。男性が周りにいることは気楽なの。むしろ女性の周りにいるより居心地がいいかもしれない。2人の兄が居て、彼らと一緒に育ったという子供時代があった。私には女性、男性の両方の友達がいるし、女性という性を意識するよりも単に人という意識のほうが強い。それからテレサの場合は、自分よりも人を立てると思うの。彼女はパトリックとの関係でもそうしている。2人の関係の中では、彼女が常に彼に必要なものを与えているわ。パトリックとは、互いに助け合うという関係ではなく、彼はそれを返すことはしない。テレサは、運命を信じていて、そして誠実ね。それらは私と同じよ。

テレサ・リズボンは唯一ジェーンが心を許すパートナーですよね。リズボンはパトリック・ジェーンのことを本当はどう思っているのでしょうか?

彼女は彼を愛していると思うわ。彼女の人生において一番近い存在。恋愛対象として考えてはいないと思うけど、2人の間にはあいまいな境界線があるわ。兄妹のような親友のような。パトリックがCBIで仕事をするようになって、テレサは仕事に行くのが楽しくなったと思う。彼が本当にあの仕事に向いているから、それが彼女の魅力を引き出していることがよくあるわ。でも同時に、それが彼女を悪く見せてしまうこともある。その関係は、互いに引き合いながら、母子関係のように働いているのよ。サイモン(・ベイカー)のキャラクターの魅力のひとつは、パトリックが子供のようだというところにもあるの。たとえば夕日を見ることや、細かいディテールに感激するところがある。時として、まるでお仕置きが必要な5歳の少年のようよ。だから彼らの関係性は常に切り替わっていると思う。そういうことは見ていて楽しいわよね。(シーズン1の)第1話を撮影した時は、彼との関係性で一方的に権力を振るっていることが、効果的でないと感じることがあったわ。これじゃあ人々が毎週見てくれるとは思わないと原作者にも訴えた。こうするな、ああするな、と指示ばかりして威圧していたから、これでは視聴者から飽きられちゃうんじゃないかと思った。だからそこは変更が必要だと感じたの。彼ら2人の関係性は、実際に職場の人間関係と似ている。ある日は大好きだと感じる時もあるし、またある日は首を絞めてやろうかと思ってしまうこともある。ある時は協力的でも、そうでない時もある。そういうことが、とても現実的に描かれていて、視聴者も親近感を覚えるんじゃないかと思った。

またロビンさんご自身はパトリック・ジェーンのことをどう思いますか?

パトリックのように、子供らしさが残っている男性や、心に傷を背負っている男性に、女性は同情して惹かれるわよね。そういう男性は女性から注目されるわ。

パトリック・ジェーンとテレサ・リズボンの息のあった名コンビぶりが多くの視聴者を惹きつけていると思いますが、サイモン・ベイカーさんは実際どのような人物ですか?また、一緒に仕事をしていかがですか?

ただ素晴らしい、に尽きるわ。もう家族になったようだわ。家族ぐるみでとても関係が深くなったわ。1日に16時間くらい一緒に仕事をしているのに、撮影がないときでも会うの。サイモンはとても家庭的な人よ。3人の素晴らしい子供たちにも恵まれている。彼の人生における選択は、常に自分の家族の幸せを基準にして選ばれているので、私はそれをとても尊敬する。若いアメリカ人男性の中では、そういう人は一般的ではないわ。おそらく2、30年前の人々はそういう風に人生の選択をしてきたとは思うけどね。彼は全くわがままじゃなく、チャレンジ精神が旺盛な人。彼の奥さんもとても理知的な人よ。時に彼女が上に立つこともあるし、またある時は彼が上に立つこともある。とてもいい関係性よ。それは結婚生活を長続きさせている秘訣なんだと思う。まだ若いのにもう20年以上も一緒にいるの。それってハリウッドではとてもまれよね。それから彼はひょうきんだわ。でも完璧主義者でもある。セットにいるみんなが自分の持ち場の仕事をしているかどうかちゃんと確かめているわ。彼の勤勉な姿は他の人たちを惹きつけて、彼らも同じくらい懸命に仕事をするように影響しているのよ。しっかり仕事をしないとむしろ恥ずかしくなってしまうくらいよ。ふつうの職場でも、上司の態度や姿が部下たちに影響して、彼らがそれに順応していくでしょう。キャラクターの質を守るために、彼は現場でとてもいい雰囲気を醸しているわ。これは簡単なことじゃない。議論になることだってあるし、OKテイクが出なければ、遅くまで居残らなきゃならないわけだしね。あと彼は、とてもダンスが上手いの。意外よね?それから、彼は人マネがとても上手よ。自分のマネをされてないときに限るけど、すごく可笑しいの。死ぬほど上手すぎなのよ。「ひーっ、やめてー」って感じよ。まるで鏡の中に大げさなバージョンの自分が写っているようなものだから。

シーズン3の第9話ではサイモン・ベイカーが監督を担当されましたが、撮影時のとっておきのエピソードがあれば教えてください。

彼は素晴らしい監督よ。彼は番組をよく理解しているからね。今までのどの監督よりも、番組内の要素や内容を分かっているわ。すべてのエピソードで演じているんですもの。それに役者のことも良くわかっているから、どうすれば彼らから最大限の演技を引き出せるかを心得ている。毎週彼が現場にいるし、みんなは彼の事を喜ばせたいから「ノー」とは言わないのよ。だからサイモンが「この撮影に、まだあと2時間必要だ」と言っても、みんな「サイモンさん、了解です。あと2時間やりましょう」って感じになるの。だから、とても素晴らしい出来になっているわよ。彼が監督というのも、とてもいいものよ、キャラクターを良く知っていて信用できるから。たいていのテレビ制作では、毎週違う監督が来たりするの。今シーズンは7人の監督がいるんだけど、私よりもこのキャラクターのことが分かっているか疑うことがあるわ。でも彼の場合は、100%信頼できる。

パトリック・ジェーンとテレサ・リズボンの関係は今後どうなっていくと思いますか?

私の母も同じことをよく聞いてくるわ。正直、よくわからないわ。彼らが恋愛関係に発展するかどうかは、鑑賞しながら想像している方が楽しいと思うの。アメリカにはブルース・ウィリスとシビル・シェパードの「こちらブルームーン探偵社」という有名な番組があったけど、彼らがキスした途端、すべてが終わってしまったわ。当時は、クリントン一家のような注目が集まったけどね。そういう関係が展開されている世界を見ているだけが楽しいと思う。それにパトリックも私の役もまだそれには時期が早いわ。パトリックは、奥さんの死から6年経過した今でも、まだとても傷ついている。結婚指輪も付けたままだし、まだ悲しみの中にいる。それはとても高潔なことよ。でも彼と一瞬キスすることには何のためらいもないわよ。追加料金も発生させないわ。

「THE MENTALISTメンタリストの捜査ファイル」シーズン3の見どころを教えてください。

シーズン3にはたくさんのアクションシーンが登場するわ。少し番組に解放感が感じられると思う。番組として成功できたから、少し賭けに出るようになったわ。職場での人間関係が面白くなるわよ。グレースとリグスビーの関係にも亀裂が生じることになる。テレサにも、すこし浮いた話が出てくるようになるの。パトリックを動揺させる事態になるわ、彼はその相手の事が嫌いだから。あと、もう少しユーモアに富んだシーンが多くなるわね。ユーモアはこの番組にとって、とても大事な要素だと思うの。番組の進行上、観客が気にしなきゃならないことはたくさんあるでしょう、一体誰が犯人なのか、とか。もちろんその類に、「CSI:科学捜査班」や「NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班」のような番組もあるけど、私たちの番組は、ある独自のユーモアセンスがあって他の番組と違うわ。とても古典的な要素があるところも違う。たいていの犯罪捜査番組では、コンピュータやDNA分析機器を駆使して事件を解決させるけど、この番組のパトリック・ジェーンのキャラクターには、「刑事コロンボ」や「シャーロック・ホームズ」のようなところがあるわ。人は、科学的な捜査の過程を見るよりも、古風でウィットに富んだ捜査官が事件を解決する姿を見る方が好きなんだと思う。人間関係も多く見られるし、チーム内のキャラクター主導のシーンもよく登場するし。日々の中で、ある程度のユーモアは見つけるべきだと思うの。死体を目の前にすれば、はじめは影響を受けたり、ある程度の敬意も払いたいと思うだろうけど、それが日常になって慣れてきたときに、もし誰かがその瞬間に面白いことを言ったとしたら、その現実とは切り離して、それを面白いと思えるだろうし。そういう普通じゃない状況でのユーモアセンスは、人々がこの番組を気に入ってくれている要素でもあると思う。

シーズン3の中でのお気に入りのエピソードを教えてください。

サイモンのエピソードって言わないと、彼がっかりしちゃうわよね。彼の監督したエピソードはかなりいい線を行ってるわ。素晴らしい出来よ。でももう一本、私の気に入ったエピソードがあるわ。それは私の役が大富豪と恋愛するエピソード。その軽さが気に入っている。それから、最終回ね、最終回はいつでも最高の出来でしょ。

特に気に入っているシーンはありますか?

これまでのすべての中で?そうね、難しいわ。だって毎年24本も作るんですもん。本当にたくさんあって難しい。でももっと広い視点で話すことは可能だわ。サイモンと私が、論争しながら歩くシーンは好き。やっていてとても楽しいわ。とにかく彼と演技するのが楽しい。独特のリズム感が生まれるの。古いアメリカのコメディ・ショーの、性質の全く違うキャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーが、とにかく歩きながらぺちゃくちゃしゃべって、軽口を叩く様子のようにリズム感があるの。だからそのシーンが好きだわ。

レッド・ジョンは誰だと思いますか?

幸い、私じゃないことは確かだったわ(笑)。(製作総指揮の)ブルーノは教えてくれないし、サイモンすら知らないと思うの。彼は知ってるように振舞うのが好きなだけで、本当は知らないんだと思う。おそらくCBI内の誰かなんじゃないかしら。連続殺人犯だから、ナルシストで支配的な感覚に飢えていて、人々の注目を浴びたいタイプよ。恐ろしいことだけど、同類の人間には崇拝されるタイプよ。これは、プロットの中では重要なポイントになるんだけど、CBIの中にスパイがいるの。複数いるわ。もう誰も信用できなくなるの。連続殺人犯というのは、ある意味で魅惑的な人物よ。実際にアメリカでは、刑務所にいる犯人宛てに女性がラブレターを送ったり、彼らと結婚したりするのよ。まったく異様な出来事よ。文化的にどういうことなのか、理解に苦しむわ。レッド・ジョンは確かにたくさんのフォロワーがいる。CBIの中で、一体誰を信じて誰を疑うべきなのかだんだん分からなくなってくるわよ。

今後、シーズン4では何が起きるのでしょうか。レッド・ジョンは捕まるのでしょうか?

幸いなことに、レッド・ジョンはシーズン4でも5でも捕まることはないわ。だって私は新しいお家を買いたいんだもの。レッド・ジョンが捕まっちゃうと、番組は終了しちゃうでしょう(笑)。だから個人的には、レッド・ジョンの逮捕までに7年くらいかけてほしいわ。そのころにはステキなお家も買えるし、まだ番組に出演することも楽しんでいるだろうし、毎朝サイモンに会ってハッピーな気分だろうし。パトリック・ジェーンがCBIで働く動機は、彼の妻の死に対して復讐をすること。とてもシェイクスピア的よね。これは番組としての特色だわ。復讐されれば、私たちも気分爽快よね、それはよく議論されることでもあるけど。そうなったら彼がCBIにいる理由がなくなっちゃう。彼があそこにいるのは、極めて個人的な理由からなの。だから、シーズン7か8辺りで見つけてくれることを願うわ。その時にもまだ、いま犯罪現場ではいているジーンズがはけるといいんだけど…。

リズボンだけが知っている秘密があれば教えてください。

彼女がもしこの仕事を選ばなかったら、どんな人生を歩んでいたか…という考え方よ。仕事に邁進する女性なら誰もが考えると思うんだけど、自分が仕事を選ばずに、もし夫や子供を持って家庭を作ることに専念していたらどうなっていたかのような、「もしこうだったら…」を考えた時に、彼女は自分の仕事に対する情熱と同時に、孤独感を味わうと思うの。パトリックも同様に孤独を感じているから、そこで2人は引き合っているんだと思う。パトリックはかつてそういう家庭を持っていた身だし。もちろんテレサはそれを表には出さないわよ、仕事をすることで幸せを感じているはずだから。でも実際には孤独よ。私たちも、「もしこうだったら…」のケースを考えるわよね。もし私が学校に行かず、演技も勉強していなかったら、今の人生はどのようになっていただろう、みたいなね。高校時代に一緒にプロムダンスに行った彼と、別れずにまだ付き合っていたら、今の私の人生はどうなっていただろう?とかね。

いま事件が起きたとしたら、誰に捜査を担当して欲しいですか?

もちろん、パトリック・ジェーンよ。でもチームの中ではチョウかしら。リグスビーとヴァンペルトの2人は廊下でイチャイチャしたりするでしょうから捜査する時間なんてないわ。チョウは真面目だから、彼ならきっちり仕事をこなすはず。彼にはそれしかないもの。でも、パトリック・ジェーンは頭脳明晰のメンタリストだから、事件を解決できるわ。それに彼は見ていて楽しいしね(笑)。

日本のファンに向けてメッセージを一言お願いします。

毎週見て楽しんで欲しいわ。常に情熱的に、感情的にね。私もこのシーズンについてはとても誇らしく思っているの。毎年、どんなストーリーラインがうまくいくか、いかないか、というのが見えるようになってきている。常に不確かで揺れていることだけど。時として、途方もないときもあるし、とてもむらがあるの。クレイジーなキャラクターがいて、クレイジーな犯罪が起きているんだものね。今となっては、番組の雰囲気には何が向いているか、いないのか、がはっきりつかめるようになってきたわ。不安定なトーンのものよ。私はとても誇らしいわ。皆気に入ってくれるはずだと思う。

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サイモン・ベイカー インタビュー(シーズン3)

今や「THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル」はアメリカだけにとどまらず、世界中で大ヒットしていますね。これほどまで人気が出た理由は何だと思いますか?

もし僕がその答えを知ってたら、きっとたくさんの人が知りたがるだろうね。一般的にエンターテインメントの世界で、何がうまくいって何がうまくいかないかを予想するのはすごく難しいと思う。先のことを予測することが皮肉な結果を生むこともあるし、逆にたくさんの視聴者を惹きつけることもある。僕がすごいなと思ったのは、ドラマが色んな言語で放送されてること。様々な文化の国で、たくさんの人に楽しんでもらえるなんて、本当にすばらしいことだよ。
唯一僕が(ドラマの人気の理由について)言えるとしたら、前半と中盤、後半で構成されたストーリーと、安定感があって何かしら悲しみを抱えてるキャラクターっていうアイディアがよかったんじゃないかな。

これまで2シーズンにわたってジェーン役を演じていらっしゃいますが、ジェーンのことはもう全て理解できているように感じますか?それとも台本によってはまだ驚かされることもありますか?

そうだな…。特に台本を読んで驚くことはないかな。ただ、挑戦を受ける気持ちで、「よし。こういうことを求められてるってことか。これをどうやって自分なりに演じようかな。この部分は深い意味があるのか、それともキャラクターの新しい要素を引き出す、別のドアを開けることになるのかどっちだろう。もしくは、脚本を自分なりに解釈して、新たな面を引き出すことはできるかな」みたいに考える。テレビドラマに出てくるユニークなキャラクターを演じるカギは、演技の幅を狭めないことだと思う。いつでも違う逃げ道をどこかに作っておく方がいいんだ。

シーズン3になった現在も、ジェーンの新たな一面を知ることはありますか?

ああ、それはもちろんある。キャラクターについては、奥深くと言うよりはおおまかに理解しているんだ。だから、ブルーノから 「これはどう思う?これは?こっちは?」って聞かれるのが好きだね。たいてい自分では考えもしないようなことだから、おもしろいんだ。ブルーノの決断によって、僕もキャラクターについて新しい一面を想像することができる。そこはいつもおもしろいなと思ってる。ただ、バランスをとらなきゃいけない。あまり変化しすぎると、「いつも見てたドラマはどこ行っちゃったんだ?」って視聴者に思われちゃうからね。

演じているキャラクター(ジェーン役)には、事件を解決するユニークなスキルがありますよね。役を演じるうちにご自身でも身に付いたと思うスキルはありますか?

少しだけ学んだかな。確かにシーズン1の時はその部分に焦点が当てられることは多かった。でも、彼が“メンタリスト”であり、他の人よりも正確に物事を見ることができる、というキャラクターのコンセプトが視聴者に理解されてからは、それも少し減ったよね。今も時々は巧妙な技を使ったりして、自分の必要な情報を手に入れようとするけど。でも、いつもジェーンがどうして他の人を観察するのか、どうやってそれをやっているのか自分でも考えてきたんだ。だから、もし今君が何か言ったら、ぜひやってみたいな。君がなぜその質問をするに至ったのか、情報をつなぎ合わせるんだ。もしかして、僕の後ろに何か書いてあったのかな?って考えたり。だから、メンタリストに近い考え方は常にするかもしれないけど、僕はメンタリストではない。これからもメンタリストになることはないね。僕にはそういった精神的なスタミナはないんだ。

新シーズンではどんな展開が待っているのでしょうか?お話しできることがあれば教えてください。

シーズン3では、ジェーンのキャラクターは少し冷酷な感じになると思う。時々間違いを犯したりして、少し不安定なんだ。それに、シーズン2で起きた出来事のせいで、よりリスキーな行動をとるようになる。亀裂があらわになっていくよ。

“レッド・ジョン”とジェーンの関係はどうなっていくのでしょうか?

シーズン2の最終回で、ウィリアム・ブレイクの詩(The Tiger)が出てきた。それは、ジェーンがレッド・ジョンについて知る唯一の情報なんだ。ここが視聴者しか知らない、2人のつながりだよね。そこをスタートに、ある事が明らかになって、おもしろい展開が待ってる。意外なつながりが見えてくるんだ。

新シーズンでは、ジェーンはどんな犯罪に遭遇するのでしょうか?

きっと、かなりの数の殺人事件が起こるんじゃないかな。いつも通りだよ。僕たちのドラマって、中心にあるのは事件そのものではなくて、どうやってその事件を解決していくかだと思うんだ。その辺が他のドラマとは違うところだよね。それに、色んな場面でフラッシュバックシーンが入ってたり、ユーモアがあったりする。でも、このドラマはあくまでも犯罪捜査に焦点を当てたドラマなんだけど、僕たちはそこから足を一歩外に踏み出してる。でも、まずは形がしっかりしていないと、他にもたくさんの犯罪捜査モノのドラマがあるから、ごっちゃになってしまう。だから初めにドラマの枠組みをきちんと作らなきゃいけない。それができているから、僕たちのドラマは今も続いてるんだと思う。回を重ねるごとに、それが最善だってことが分かってきたんだ。

視聴者はなぜ犯罪捜査モノのドラマが好きなのでしょうか?

視聴者が犯罪ドラマが好きな理由は、僕が思うに、前半と中盤、後半に分かれたベーシックなストーリーのおかげだと思う。毎回一話の中で事が解決される。それに色々な意味で、僕のキャラクターにはシーズンを通してつながりがある。それに、ドラマの中には冗談を言ったりする“遊び”部分も少しあるから、楽しんでもらえるんだと思うよ。今はものすごくごまかしのない犯罪捜査モノがたくさんあるからね。このドラマにもリアルな部分はあるけど、遊びもある。特に僕は(笑)。他の人は違うかもしれないけど。それに、人間の本質のおもしろさがちょうどいいバランスで描かれてる。最近では犯罪捜査もより科学的になってきていて、より人の心を理解したり、何を隠しているのかを読み取ったりする傾向にあるんだ。

今回のシーズン3では監督業に挑戦されていますが、監督業と同時に主演を務めるのはやはり難しいですか?それとも楽しめましたか?

僕にとって、監督業と俳優業を比べてみると、監督業の方が断然達成感がある。よりたくさん越えるべき壁があるし、問題も山ほど出てくる。それが楽しいんだ。でも…10年後に同じ質問をしてみて。また違う答えになるかもしれないから。でも、自分が出演してきたドラマで監督をする喜びは大きい。最初からずっとドラマのことをたくさん考えてきたわけだからね。自問自答したり挑戦したり、それこそ休む暇もないくらいにさ。(製作総指揮の)ブルーノ・ヘラーには自分の意見をちゃんと言えるし、仕事をする上で本当にすばらしい関係が築けてるよ。僕たちは本当に二人三脚で仕事をしてる。僕はブルーノをクリエイティブな面で信頼しているし、彼も僕のクリエイティブな面を信頼してくれてる。彼が脚本を書いたら、そこからは一緒に仕事をするから、自分の思ってることははっきりと伝えるよ。「ドラマのトーンはこんな感じにしたい」とか「ユーモアとドラマのバランスをうまくとりたい」ってね。ブルーノは僕のドラマに対する“ビジョン”に100%協力的。それは他のドラマとは少し違っていて、しかもどう撮りたいかっていうものに対しても僕は結構はっきりとした考えを持ってるんだ。監督をやるなら必要なことだと思うけどね。とにかく、すごく楽しかったから、またやりたいと思ってる。

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サイモン・ベイカー インタビュー(シーズン2)

ジェーンと、シャーロック・ホームズとコロンボ

パトリック・ジェーンのキャラクターは、いろいろな人物の混合体だと考えているんだ。第1話の役作りをしている時によく思い浮かべていたのは、「道化師」(イタリアのオペラ)なんだ。チャップリンの演じる放浪者のこともよく考えていた。あとは、ピーター・セラーズとかね。ホームズはね、常にアシスタント的な人間やパートナーが居るだろう。そういう相手が居ることによって、彼がどんな事をどのように考えているのかを語ることができる。「THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル」だって、僕が演じるジェーンが何をしているかということを説明する相手になるリスボンやチョウみたいな人間たちが居なきゃ成立しないんだよね。コロンボと比較されるというのも良く解るよ。「刑事コロンボ」が放映されていた時からずいぶん年月が経っているということでは、このドラマは時代に逆行しているところがあるかもしれないね。というのは、このドラマでは主役が個性的な人物だから。最近の犯罪ドラマでは、主役はおそろしく真面目な人間が多い。ユニークで個性的な人間は、鑑識の人間たちだったりするんだよ。つまり、そういう個性派は脇役にまわることが多い。主役はあくまでストイックで真面目で英雄的な人物でね。僕たちのドラマは、テクノロジーをあまり使わないという点でも他の刑事ドラマとは対照的だ。ジェーンは銃を持ったタフガイなんかじゃない。彼は肉体的な点では臆病で、暴力を嫌う。でも、精神的な面では何も恐れていない。彼は、銃や科学捜査無しで英雄的な行動を取るんだ。コロンボも、好感が持てるような人間で、相手の敵意を消し、相手に自分が優位に立っているかのように思わせる手段を使う。そうやって、犯人の尻尾を捕まえるわけだ。彼は不器用でヘマばかりしでかしているように見えるものだから、相手は「コイツは絶対、この事件を解決など出来はしない」と馬鹿にするけれど、実は相手を心理的にジワジワと追いつめていく。そういう点で、ジェーンと比較されるのは解るね。このドラマは、科学の代わりに人間の行動から真実を突き止めるという古風な作品なんだよ。

人の心を読む方法

僕は技術的に演技を学んだ俳優じゃない。20年前にひょんなことで俳優になったから、心理主義の研究や、相手との親密さを作り出したり相手の心を読んだりする発想、あるい何かへの糸口を見つける情報を得るために誇張された発言を利用したりすることは、演技に対する僕のアプローチとそう違ってはいないんだ。例えば撮影現場に行って誰かに会う時、「こんにちは。今日、あなたは僕の父親を演じて、僕たちはこれこれこういうシーンを演じて、こういう過去があったりするんですよね」と話しかける。ということで、15分とか20分の間に、親密な関係を構築して、相手が何を考えているか読まなければならないんだ。僕にとっては、音の無い瞬間や相手のエネルギーを汲み取るのが演技の中で大きな部分を占めている。完全に正直に話すということは非常に稀だし、必ずしも考えている通りの事を口に出して言うとは限らないからね。

「メンタリスト」はどんなドラマになって欲しいですか?

このドラマはいろいろなレベルで楽しめると思う。俳優として僕がこのドラマに興味を惹かれるところは、このドラマの感情的な中核を占める部分と登場人物の履歴なんだけれど、そういうところは充分描ききれていないと思う。レッド・ジョンの一連の話は人の心をつかんで離さないところがあるとは思うが、僕らは、レッド・ジョンの話ともっと軽い一話完結型の娯楽性の強い話とを組み合わせてドラマを構成している。肝心なことは、僕たちは娯楽性の強い番組を作ろうとしているのであって、それは必ずしもレッド・ジョンの話だけを追うのではなくて、視聴者たちが親近感を抱くようになったジェーンを興味深い状況に置くようなエピソードと組み合わせていくことになるんじゃないかと思っている。僕は、ジェーンをちょっと風変わりな状況に置いてみたいんだ.ジェーンに初めて会って、彼のことを全く知らない人たちに囲まれているような状況は、新鮮だと思うから。視聴者たちも、皆、ジェーンのことを知っているから、そういう状況を観て楽しめるんじゃないかな。リスボン、チョウ、リグスビー、ヴァン・ペルトたちは、ジェーンにウンザリしているところがあるけれど、彼のことを知らない人たちは、彼のやっていることには皆目見当もつかない状態になるからね。

この作品の海外での成功について

海外の視聴者にも楽しんでもらえるのは、娯楽性を最優先させているからだと思う。恐ろしく真面目なドラマとかではなく、「楽しんでもらえる番組にしよう」という姿勢で作っているからね。愛やセックスは国際語であると言われているけど、僕はユーモアも国を超えて理解してもらえるものだと思っている。可笑しくて楽しいものは、どんな言語でも可笑しくて楽しいものなんだよ。

「最もセクシーな男性」リストに選ばれた感想は?

今さらそう言われてもねえ。時すでに遅かりし、だよ。僕はもう40歳で、既婚で3人の子供が居るんだもの(笑)。でも、40歳という年齢を実感するような時にそのようなお褒めの言葉をもらうのは嬉しいよ。僕の妻に関して言えば、「最もセクシーな男性」リストに載ろうが載るまいが、僕に対しての批判的な態度は変わらない。「ねえ、あなた〜、こっちいらっしゃいよ。セクシーな男性リストの3番目にランキングされたんですもの」なあんて言うわけないから(笑)。娘なんかは、全く理解できないみたいだし。彼女は、僕がリストに載ったなんて馬鹿げていると思っているんだ。娘は16歳半だから、「皆、こういうのがセクシーだと思ってるんだー。どーでもいいけどさ、パパ」なんて感じだったよ(笑)。
(2010年3月)

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サイモン・ベイカー インタビュー(シーズン1)

パトリック・ジェーンについて

初めに台本を読んだ僕の妻が、「すごくよく書けてる。まさにCBSの犯罪ドラマね。男性のキャラクターたちよりも女性のキャラクターの方がよく書けてると思う」って言ってたんだ。「本当?見せて」って言って、すぐに僕も読んでみたんだけど、まさに彼女の言う通りだった。台本を読んでクリエイターのブルーノ・ヘラーとすぐ電話で話をした。そのとき僕はオーストラリアにいたんだ。ブルーノはすごく冷静な判断力を持った人だよね。
控えめなんだけど、それがすぐに伝わってきた。ブルーノは、台本にない細かい部分を僕が自由に加えられるようにしてくれたんだ。ストーリーを変えるということではないけど、ある程度僕が好きなように演じることができるようにしてくれた。
とにかく楽しそうだったから、すごくこの人物を演じてみたいと思った。確かに、難しい役だけどね。陽気な性格の裏に、とても辛い過去を抱えてる人物だから。

ジェーンは確かに複雑なキャラクターだと思う。予想できない行動をするけど、自分の降りかかった悲劇に、何とか立ち向かってる。苦しみを抱えたキャラクターだよね。
だから、僕は必ずしも彼はナルシストではないと思うな。ただ、自己中心的だと思われてもいいと思ってるだけで。

演じるという点では、深みのないキャラクターを演じるよりは、複雑な役の方が僕にとっては楽なんだ。誰だって人に見せるための外の顔を持ってる。虚勢を張っているって言うのかな。
でもその虚勢の下には、もっと内面的でプライベートな、人には見せない部分がある。演技をするときは、そういう深みがある役を演じるのが楽しい。・・・それか、僕の顔がいつも苦しんでるように見えるからこういう役が多いのかもしれない(笑)。
ジェーンを演じる時は、パリアッチっていう、涙を流すピエロをイメージして役作りしたんだ。ジェーンが経験した、本当に辛い過去は皮肉にも彼自身と切っても切れない関係なんだよ。

実際に演じ始めると、それぞれの登場人物たちに命が吹き込まれる。撮影がスタートしたのは僕がオーストラリアからアメリカに着いた2日後だったから、あっという間の出来事だったな。気が付いたら撮影現場にいて、撮影が始まってたって感じだよ。

ほかの犯罪ドラマとは違う「メンタリスト」

「THE MENTALIST」は今までの犯罪ドラマとは違うんだ。もちろん、視聴者にとって親しみ易いドラマではあると思う。犯罪を扱ってるという点で、やっぱり「シャーロック・ホームズ」と同じ要素があるし。違うのは、メンタリストとしての観察能力に長けた男が主人公だというところ。
ユーモアがあって面白いんだけど、組織のルールに従おうという気持ちが全くない、そんな男が登場してくる。だから、バランスが良いんだと思う。
僕たちにとってなじみがある犯罪ドラマと、新しいタイプの主人公という2つのバランスがね。ジェーンのことをだんだんと理解してもらえて、視聴者の人たちが「あ、まずいぞジェーン」とか、「こういう時のジェーンおもしろくて好きだな」とか思ってくれたら嬉しい。・・・絶妙なバランスなんだ。
「刑事コロンボ」や「刑事コジャック」、「ロックフォードの事件メモ」、「ドクター刑事クインシー」とかに似ている部分と併せて、個性の強い登場人物たちが出てくる犯罪ドラマなんだ。

犯罪ドラマに、犯罪はつきもので、起きる犯罪は別段新しくはなくなじみのあるものかもしれない。けれど、ジェーンというキャラクターが斬新なんだ。ジェーンは全くの予測不能なんだ。
どんなシーンでも、ジェーンは予想外の動きをするから、演じるのが楽しいんだ。例えば取調室のシーンでもそう。取調べのシーンなんて、視聴者はもう何度も見たことがあるようなシーンだと思うんだ。机をはさんで、男が座っているっていうね。
そういうシーンでもジェーンはすごく自由。だから、ライターたちが、ジェーンがやりそうな別のシナリオを考案してくれたりするんだ。

このドラマは単なる犯罪ドラマではなくて、ユーモアやドラマチックなストーリーと組み合わさったドラマなんだ。
それが事件や登場人物にうまくからんでいく。

メンタリストと霊能者の違い

霊能者が持っているのが“秘めた力”なら、メンタリストが持っているのは“磨かれたスキルと技術”だね。

メンタリストは霊能者とは違う。霊能者を信じる信じないとは関係なく、もともと能力を持ってる人だと思う。でもメンタリストはスキルや技術を持ってる人。テクニックなんだ。
みんな、僕だってその技術を身につけることができる。言葉を操る力も、1つのスキルだから、誰でも習得できるもの。パワーじゃない。僕がメンタリストになる可能性はあるし、みんなにもある。・・・ただ僕には素質はないと思うけどね。
ロケット工学者になれないのと同じだよ。メンタリストをテレビで演じることはできるけれど。メンタリストとして仕事ができるとは思えないね。だからメンタリストとして成功している人たちのことは、すごく尊敬してる。

演じる上で、YouTubeを見たりして、たくさんリサーチしたよ。ブルーノ(・ヘラー、クリエイター)からも、アドバイスをもらったしね。「この男をチェックしろ!」って何人も霊能者を教えてもらった。それで色々ひらめいたんだ。
YouTubeの映像がすごく面白くて、家族を呼んでみんなで一日中一緒に映像を見てたこともある。夢中になったんだ。僕は、どんなトリックが使われているかよりも、彼らがどうやってトリックを演出しているかに釘付けになったよ。
パフォーマンスとして見てみると、ショービジネスと通じるものがある。他人の情報を、本当にうまく引き出す。彼らは受身のように見えるけど、実は積極的に自分の思っている方へと彼らを誘導していくんだ。

人の心を読む能力があったとしたら、特に誰の心の中を覗いてみたい?

今その質問をされて、一番先に頭に浮かんだ人がいるんだけど、やっぱり怖くて知りたくないかな。
考えるだけで怖い。だから名前は挙げないでおくよ。でも、妻の考えてることがある程度分かったら便利だろうなとは思う。クリスマスや誕生日の買い物をする時とかね。それに子供たちも。
10代の娘がいるから、彼女が何を考えてるかは知りたいね。
娘もそう思うことはあるかもしれないけど。

テレビと映画の違い

テレビの仕事で一番大変なのは、ペースを維持していくこと。その日の決められた仕事をこなすことはできても、そこに突然他の仕事が入ってきたり、自分の演じるシーンがいつもよりも大変なシーンだったりすると、そのバランスを取るのが大変なんだ。
タイミングが悪いと全てが重なるって、突然増えた仕事量に圧倒される。乗り切れるのかどうか不安に思っている間に、時間はどんどん過ぎて行くしね。
それ以外は、撮影現場にいるのも大好きだし、スタッフと一緒に何かを作っていくプロセスも好きだね。共演者と一緒の仕事もすごく楽しい。
すごくハッピーだよ。テレビの仕事のスピードも好きなんだ。もちろんすごく忙しいし、常に何かを考えなきゃいけないんだけど、それも気に入ってる。映画の仕事は演技にかけられる時間がたっぷりあるから、テレビのペースに慣れてしまうと、映画の仕事に馴染むのが結構難しいんだ。

ジェーンとリズボンは、「Xファイル」のモルダーとスカリーに似てる?!

実は僕は「Xファイル」を見てないんだ。世界中で「Xファイル」を見てないのは多分僕一人かもしれないね。後悔してるよ。でも、ロビン(・タニー)とは今回共演する前からの知り合いなんだ。一緒に何度も練習したよ。
2人はまるで兄と妹みたいでもあるし、時には恋愛対象になるかもしれないし、彼女が僕に対して母親のように接したり、こっちも父親のような気持ちで彼女に接したりする。2人のシーンを演じるのは、すごく楽しい。

「最もセクシーな男」の一人に選ばれて

ロビン(リズボン役)には僕をからかうネタを時々提供してあげないとね。だからこれもその1つ。ネタを提供できて光栄だよ。
(はにかみまくって)選ばれたのは・・・ま、そうだね・・・楽しいね。でも娘が恥ずかしいって。

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製作総指揮ブルーノ・ヘラー&クリス・ロング インタビュー(2010)

番組の内容のバランスを取るために、予定よりもレッド・ジョンが出て来なくなった?

ブルーノ・ヘラー:
うん、そのバランスを取るのはなかなか難しいんだよね。その時の視聴者によってレッド・ジョンのエピソードをどれだけ観たいと思っているかというのが違うから、完全に適切なバランスを見いだすのは無理なんじゃないかと思う。普段のエピソードは、レッド・ジョンのエピソードよりもっとずっと軽妙で楽しいけど、レッド・ジョンの側面はこの番組の最強の部分なんだ。レッド・ジョンの話は、登場人物たちを現実の世界にしっかりとつなぎ止めておくような役割を果たしているから。でも、毎週のようにレッド・ジョンの話になったら、暗くて気味の悪いだけのドラマになってしまうだろう。だから、生と死のバランスが肝要なんだよ。

クリス・ロング:
視聴者がレッド・ジョンが登場するエピソードをもっと観たいというのは興味深いことだと思うけれど、そうするとドラマのトーンが暗くなって、サイモンの持ち味である楽しい部分が出せにくくなるんだよね。だから、ブルーノも言っていたようにレッド・ジョンのエピソードでは、暗さと軽妙さのバランスを取るのがとても難しくなる。

軽めのドラマが最近トレンド

ヘラー:
「軽めのドラマ」と呼ばれる際、そこにはちょっと軽視するような含みがあると同時に、「軽めのドラマ」は俳優にとってより簡単なドラマだと思われがちなところもある。でも、実際には、軽妙なドラマを演じる際は、或る一定のトーンを保つよう常に気をつけていなければならないから、俳優にとっては、シリアルキラーが続々と出て来るようなドラマより、「軽めのドラマ」を演じる方がずっと難しいんだよ。

そして、サイモンには、そういう資質があると思ったんだ。彼は、ケイリー・グラント風の魅力があると思うんだけど、そういう魅力を出すのは容易なことではないんだ。実は、彼の演技は非常に技巧的なもので、毎週、すごく努力して演じている。観れば判るように、彼は人と反対の行動を取る人間でもある。彼には底の方に暗い衝動のようなものがある。彼は誠実で毅然とした人間なので、ジェーンのキャラに性格的な2面性を持たせることができるんだ。個人的に、僕は、常に軽妙さの底に潜んでいる妥協しない厳しさが見える瞬間が好きだ。それが垣間見える時は、素敵な冷ややかさがある。

サイモン・ベイカー談「僕は、厚かましいヤツでね。ブルーノのところに言って自分がやりたいことを彼に告げると、彼は僕にそれをやらせてくれるんだ」

ヘラー:
その通りだよ。僕たちはサイモンをキャストすることができて、素晴らしくラッキーだった。この番組の成功は、サイモンと、彼が素晴らしい俳優であると同時に素晴らしいエンターテイナーであるという事実に負うところが大きいと思う。彼は、自分の演技と共にストーリーや、自分がどのようにスクリーンに映るかということについて、非常に鋭い直感を持っている。だから、僕は、彼の言うことには真剣に耳を傾けて、パトリック・ジェーンがどのように成長し、彼がどのような言動を取るかについては、彼とコラボすることが多いんだ。そうしないのは愚かなことだからね。TV界で活躍していて視聴者を楽しませる人たちも多いけど、サイモンは本物のTVスターだと思う。彼にはTVのスクリーンで際立つカリスマがある。視聴者たちは彼を観たいと思うんだ。

ジェーン役には”サイモン・ベイカー”はどのくらい投影されてる?

ヘラー:
クリス(・ロング)は、撮影現場でいつもサイモンの近くに居なければならないんだよ。というのは、彼は常に何かアイディアを考えついたり、いろいろなやり方を思いついたりするから。特に最初の段階で、サイモンが主役になり、彼が演技するのを観るやいなや、主人公は、僕が考えていたよりももっとずっとチャーミングでフットワークが軽く、楽しげな人間になった。パトリック・ジェーンはサイモンによって人物像が確立した。それはひとえにサイモンの魅力だと思う。彼が部屋に入って来ると、皆が微笑むんだ。彼はハンサムでチャーミングだからね。サイモンには確実にそういう魅力があるし、犯罪の話に暗い性格の登場人物を組み合わせるなんて馬鹿げているしね。それと、このドラマが成功しているのは、俳優としてのサイモン・ベイカーの本質をちゃんと観たことのある人が居なかったからなのだと思う。彼の演技の断片は観たことがあっても、彼の持ち味を活かした大きな役ではなく、陰気な役だったり、制限の大きい役だったりしたから。このドラマで、サイモンは自分の魅力を開花させることができたんだよ。

ロング:
サイモンは自分が演じている役が大好きなんじゃないかな。僕は本当にそう思う。彼は、毎日、ここにやって来て、自分の役を出来る限り楽しく、素晴らしく演じようとしている。だから、彼は常に興味津々な状態だし、いつも積極的だ。パトリック・ジェーンはサイモンの所有物みたいなものだからね。

ヘラー:
そうだね。そこなんだよ。同じような状態になる俳優たちは多い。役が自分の所有物のようになると、独占欲が出て彼らの内面の何かを表現するということになる。でもサイモンはとても寛大な俳優だ。非常に保守的といってもいい。彼は、「どうやったら本物らしく見えるか?」と考える代わりに、「これは視聴者にどう受け止められるだろうか?」と考える。本物らしく見せようとする俳優の方が多いけれど、最適なやり方はカメラに向かって演技をすること、つまり、視聴者を頭に入れて演技することなんだ。そうやって、彼は視聴者をドラマの世界に惹き込む。気味悪くて暗い内容でも、彼は視聴者をその世界に惹き込もうとする。彼は、それが自分の仕事だと考えているからだ。だからこそ、彼のために脚本を書いて、彼と一緒に仕事をするのはとても楽しいんだ。彼は、僕たちがしていることのさらに先のことをしようとするから。

イギリスのドラマの影響

ヘラー:
僕たち二人ともイギリス人だから、イギリスのドラマにルーツがあるに違いないとは思うよ。でも、アメリカのこの業界で仕事をするようになってから長いのも事実だから、そういう意識はあまり無いね。僕たちはとにかく、アメリカのTV番組の主流に沿ったドラマを作っているに過ぎない。

ロング:
撮影の際、僕たちは、カリフォルニアがいかに美しい場所であるということを思い知らされる。今朝もマリブに行ったんだけど、その美しさにはいつも感嘆させられる。僕たちは常に、番組の中でそういうカリフォルニアのシーンを多く入れようとしているんだ。

ヘラー:
そうだね。でも、僕は、このドラマが世界中のどこでも成功するような番組にしたいと思っている。アメリカやイギリスだけじゃなくて、ルーマニアやオーストラリア、中国などでも、広く観られる番組にしたいんだ。できるだけ大勢の視聴者に楽しんでもらえるよう、特定の視聴者を意識しないで作っている。素晴らしい番組なのに、アメリカの文化に特定し過ぎているばかりに海外では成功しない番組がたくさんあるからね。僕たちは、アメリカ人以外でも理解できて楽しめる番組を作ろうとしているんだよ。

シャーロック・ホームズ、あるいは他の探偵からインスピレーションを得た?

ヘラー:
そうだね。探偵物の番組は多かれ少なかれ全てシャーロック・ホームズを基盤にしていると思う。「CSI」のような技術を駆使して犯罪を解決していくようなドラマは違うけれど、賢い登場人物が周囲の他の人間よりもより多くの事を知っている、といったドラマはシャーロック・ホームズと同じだ。脚本家たちだって、コナン・ドイルから盗作しているという事実を隠蔽しようとしているんだ。(笑)

ロング:
あと、ちょっと「刑事コロンボ」的なところもあるよね。

ヘラー:
そうだね。コロンボだってホームズだけど、ただ、帰り際に「最後にもう1つだけ」と付け加えるわけだ。(笑)

製作のプロセスについて

ロング:
ブルーノはクリエイター兼脚本家チームのリーダーで、僕は演出とプロダクションの方を担当しているけど、仕事を分けてはいないんだ。

ヘラー:
そう。いつも2人で協力し合っている。僕たちは、ポストプロダクションの仕事は一緒に行なっているし。僕は番組運営の担当ということになっているけれど、実際に毎日、番組を運営しているのはクリスだしね。

ヘラー:
TV番組の製作は全てがすごく速く進むんだ。1つのエピソードを2週間で作るからね。まるで早指しチェスをしているみたいに。とにかく駒の進め方が全て正しいことを祈るしかないんだ。やり直す時間は無いから。撮り直しも出来ない。「あのさ、これって上手くいかないみたいだ」なんてことは言えないんだ。まあまあの出来の脚本だったとしても、何とか上手く作るしかない。だから、優れた俳優が必要なんだよね。監督も優秀な人が必要になる。上手く作り上げるためには、毎日がそういうバランスを取りながらの綱渡り状態なんだ。だから、1日めに考えていた素晴らしいアイディアが8日めに違うアイディアに変わっていたということはないんだ。振り返らずに前進あるのみだからね。

ロング:
ただ、製作全体のプロセスはもっと長い。1つのエピソードの脚本を完成させるにはだいたい2ヶ月ぐらいかかるんだ。だからブルーノと僕は、いつも6つか7つのエピソードを同時進行させて仕事しているんだよ。
(2010年3月)

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