TOP > 作品一覧 > 池田憲章の海外TVシリーズ 検証ファイルSPECIAL > エピソード

ページタイトル

池田憲章の海外TVシリーズ 検証ファイルSPECIAL 番外編「サンダーバード デジタルリマスター完全版」対談完全収録版

池田憲章氏×伊藤秀明氏 特別対談完全再録
※この対談は2002年5月5日に放送された番組の完全版です

池田  こどもの日特別企画「サンダーバード デジタルリマスター完全版」より3話をセレクションしてお送りいたします※(1)。きょうはゲストでサンダーバード研究家の伊藤秀明さんに来ていただきました。伊藤さん、よろしくお願いいたします。
伊藤 よろしくお願いします。
池田  番組の間に伊藤さんと一緒に「サンダーバード」のいろいろな情報をお届けしますので、お楽しみください。

■サンダーバード誕生! 第1話「SOS原子旅客機」の魅力

池田  さて、第1話「SOS原子旅客機」ですが、伊藤さん、これはパイロットフィルムだったわけですよね。
伊藤 そうですね。1964年12月のクリスマスに完成しました。最初は、30分版として完成したわけです。それを、ルー・グレード※(2)が見て、「これは1時間番組にすべきだ」ということになったわけです。
池田  「とてもテレビとは思えない」と言ったそうですね。
伊藤 そうです。それが急遽1時間番組に変更になった理由です。これはアメリカのセールスを予想してということらしいのですが。ジェリー・アンダーソンは慌てて、正月に半分制作が始まっていた部分の3話ぐらいまでを、急遽1時間番組に延ばしました。それで救助に一度失敗したり、高速エレベーターカーの事故があったり、作戦に繰り返しが出たわけです。
池田  膨らみが出たわけですね。
伊藤 これによってスリルが増され、バリー・グレイ※(3)の音楽でさらに楽しめる作品になったわけです。
池田  発進シーンをこんなに長く見せるというのも、どうもそれが原因みたいですね。
伊藤 ジェリー・アンダーソンの作品では以前より「スーパーカー」や「海底大戦争」など、発進シーンを見せ場にするということはあったのですが、こんなに音楽とマッチさせたというのは「サンダーバード」が最初ですね。
池田  (第1話では)サンダーバード1号と2号が印象的なのですが、特殊ビークルもなかなか魅力的です。
伊藤 そうですね。第1話には、高速エレベーターカーが登場します。ただ、あれが2号のコンテナの中にとても4台入っているとは想像しがたい部分があるのですが。ひょっとしたらあれは折りたたんで入っているのかなと、自分勝手に思っています。当時、プラモデルは3個までしか入らないぞと思ったりしました。
池田  タイヤが自重でバウンドするあたりとか。
伊藤 あれは本当に、どう撮っていたのだろうと疑問に思いました。後年、僕らが向こうに行って当時のスタッフにミニチュアを見せてもらって分かったことなのですが、秘密としては、実はクッションに家庭用のスポンジを使って、うまくやっていたという。そこら辺は、見てびっくり、知ってびっくりでした。
池田  これはデジタルリマスターなので、マーキングとか文字がよく見えます。
伊藤 あの爆弾もね。それで、こんな解像度で見られていいのかという部分があります。だから、細かい部分がさらに見られて楽しいのではないかと思います。
池田  「サンダーバード」のミニチュアというのは金属塗料で塗ってあるので、照明によってかなり色が変わるんですよね。
伊藤 そうです。当時はカースプレーを使っていました。これが(デジタルリマスター版で)初めてきちんと色が出るということで、ジェリーがそのためにちゃんとチェックしたらしいです。その辺は、皆さんにこの1話の色を見ていただければいいのではないかと思います。
池田  ペネロープのキャラクターはいかがですか。
伊藤 エレガンスで、「007」にも匹敵するスパイキャラクターとして、これはなかなかよかったのではないかなと思います。(原語版では)シルビア・アンダーソンが声をあてていおり、際立った女性、スーパーレディーだったということでしょう。ここら辺、先取りしているのではないでしょうか。
池田  イギリスはヒロイン先駆けの国ですから。
伊藤 そこら辺が、今のヒロイン大好き日本人としては引っかかるものがいっぱいあるのではないでしょうか。
池田  ミンミンとペネロープの対比もなかなかいいんですよね。
伊藤 東洋人を使っているという部分も、なかなか目ざといと思います。そこがジェリー・アンダーソンのセールスのうまいところなのでしょうか。
池田  第1話としても、同時代の「スタートレック」や「宇宙家族ロビンソン」などと比べても、非常にパーフェクトに近い出来映えの第1話ですよね。
伊藤 よく練られてつくられています。(30分から1時間に)急遽延長しても、全然遜色なく見られてしまうところがすごいと思います。

■第2話「ジェットモグラ号の活躍」

池田  次に第2話なのですが。
伊藤 人気メカのジェットモグラが出て来ますね。これは細かいシールがいっぱい貼ってあるので、その辺をデジタルリマスター版でチェックしていただきたいですね。磁力牽引車もいいぞ、という部分もあります。
池田  ゲストメカがおいしいエピソードですね。伊藤さん、ジェットモグラの活躍もすばらしかったのですが、ゲストメカのゴングというのがすごいですね。
伊藤 そうですね。アメリカ軍の秘密兵器という形で、ジャングルを走行するということは、当時のベトナム戦争を意識した部分もあるのでしょう。あの密閉性を考えると、核戦争を意識した兵器なのではないかと思います。
池田  マイク・トリム※(4)がデザインしたときに、高熱に耐えられるのでそういう感じかなと思ったといいますね。
伊藤 そうですね。本国での名前は、サイド・ワインダーと言うのですが。
池田  砂漠の毒蛇ですね。
伊藤 別のところではジャングル・キャットという名前もありました。日本ではゴングという名称をつけられています。
池田  熱に強いので、廃棄物が燃えている中に落ちてもある程度耐えられるという設定になっていますね。
伊藤 それが500トンでしたか。装甲が厚くて引き上げられない。それでサンダーバードの磁力牽引車が、たった2台だけで引き上げてしまうのです。
池田  ジェットモグラもすばらしかったですけれど、磁力牽引車って、ちょっとこんなのありって感じですよね。
伊藤 そうですね。一台はリモートコントロールで操縦するということです。これは第1話の高速エレベーターカーにもつながりますけれど。2号を操縦するバージルが、たった一人で救助メカを運転する。独特のセンスです。
池田  レスキューメカのユニットの組み合わせ方というのは、サンダーバード独自のものですね。
伊藤 そうですね。もともと土木メカが多いというのが、何となくその辺の……。
池田  色が黄色のクレーン車みたいな。
伊藤 ジェフが大富豪になったのが土木建築業で大富豪になったと。何となくそこら辺がにおうのじゃないかというのでちょっと勘ぐって別な設定もあるのではないかと感じます。
池田  アメリカ軍の将軍が、すばらしい青年だ、みたいな。うちに入ってほしいというのがおかしいですね。
伊藤 アメリカセールス向けを意識した設定を、ちょこちょこっと入れたりしている、ということを感じますね。
池田  ジェットモグラというのはプラモデルでも、日本でも大変評判になったメカです。伊藤さん、ご覧になったときはどうでしたか。
伊藤 そうですね。本当に砂場に持って行ってしまったという人たちがいっぱいいました。僕もやってしまって、モーターがガビガビになってしまいました。
1999年にイマイから新しくジェットモグラのプラモデルを出す際に、僕も協力させていただきました。デカールから調べてスタジオモデルの三面図を書き、それを参考にしてつくっていただいたのです。
池田  ドリル部分だけが地中に潜っていくというリアルタッチは……。
伊藤 初めて取られた形ですね。本当に進んでいけるという感じです。そのほかのドリルメカというのは、どうしてもゴテゴテといろいろついているので、これはなかなか地中に進まないだろうな、という部分があります。(ジェットモグラには)ちゃんと内部にジャイロ機構があって、角度や運転席には揺れがないということが設計されているという裏設定があるようです。
池田  しかも、この作品のストーリーのすごさというのは、(ジェットモグラが)行っても爆薬を仕掛けるだけで助けるわけではないというところです。
伊藤 そこが救助メカには役割があるという部分の使い分けのすごさだと思います。
池田  磁力牽引車も、1台はバージルが操縦して、もう1台はラジオコントロールであるというのも、あの当時見ていて「へえー」っと思いましたね。
伊藤 当時としては「ラジオコントロール? 何だ、それ?」とか。無線操縦と言われればわかった、というような時代の差がありました。そこら辺は進んでいるなという印象があって、それが21世紀の自動コントロールできる機械だという想像ができた部分でもあります。
池田  ゴングでも、バリー・グレイの音楽が、ちゃんとゴングの動きに合わせてありますよね。
伊藤 あれはもう一度、いろいろ聞いてみたいと思います。ダンッダダンッダンツダダンッというのは、決定的です。
池田  音楽のバンクはないんですよね。1話ごとに全部作曲されているのです。
伊藤 そういう部分が、バリー・グレイのすばらしい点だと思います。
池田  「スター・ウォーズ」のスノーウォーカーが出るときに、「これ、ゴングだよなあ」みたいな感じがしましたね。何といっても、ブライアン・ジョンソン※(5)ですから。

■第14話「火星ロケットの危機」で活躍する4号

池田  さて、1話がロンドンで2話が砂漠と、バラエティな物語がいいわけですけれども。サンダーバード4号が活躍する第14話「火星ロケットの危機」では……。
伊藤 またロンドンの、アーリントン橋というところに火星ロケットが行き…というものです。またあの特撮がいいんですよね。
池田  宇宙ロケットの危機なのに水中救助というのが、またすごい設定ですね。
伊藤 そこら辺がイギリス人的なエスプリが効いたところなのかな、という気がしますけれど。
池田  4号の船体の色ってオレンジじゃないですか。
伊藤 オレンジ・イエローです。それは海中の薄いブルーに映える色として黄色を使ったのではないでしょうか。
池田  助けられる人がすぐ見つけられますね。
伊藤 そうですね。光があまり届かないところに行くメカである、という部分がありますよね。
池田  3号の赤というのも、やはり宇宙空間でしょうか。
伊藤 そうだと思うのですが。そこら辺は、背景によってメカの色を変えている部分もあると思います。 
池田  「サンダーバード」のカラーリングは独特ですね。
伊藤 独特ですね。当時、自動車用のカースプレーがいろいろと出た時期なので、それをいろいろと試したという話を聞いています。実際の色は、微妙にカースプレーが変わることによって、2号の色も後になってくるとちょっと変わっていたりします。3号も実際は朱色のような色です。よく見ると3本のロケットの下のほうに赤ラインが入っています。それは、今回のデジタルリマスターではっきり出てくれば楽しいと思います。
池田  再現性が高いということですね。

■「サンダーバード」関連商品発売ラッシュ!

池田  「サンダーバード」といっても、いろいろな商品が出ていたわけですが、おもちゃは最初からすごいですね。
伊藤 日本では特に今井科学のプラモデルが、66年12月、NHKの放送が終わった後ですぐに出ました。そして67年に日本で爆発的な人気になって、世の中はサンダーバードブームになります。それ以降、70年代には再放送と合わせてプラモデルも再販され、バンダイも今井科学と一緒に玩具を発売していたので、バンダイからプラモデルの型を引き継いだところから発売されました。74年くらいには超合金が出ました。永大GRIPは小さい超合金のようなものを出しました。その時代ごとによって、「サンダーバード」は世代に合わせた種類になっている部分があります。80年代には超合金の新しい版を出したりしています。
池田  ディテールアップが、非常に精度が上がってきています。
伊藤 ええ、上がってきています。80年代後半から90年代にかけては、ビデオなどが出た時期で、やっと映像を自分たちの手中にできたわけです。反対に、特集本やムック本が出た時期でもあります。
池田  レーザーディスクなどもびっくりしました。
伊藤 そうですね。あれは90年代です。そこで、これで半永久的に見られるぞと思いながらも、でもやっぱりもっとクオリティーの高いDVDが2000年に出ました。またそれで、これから研究がさらに進むのではないかという印象を受けます。
池田  そうですね。全編スチール写真のようなシャープさですから。
伊藤 そうですね。だから、モデラーファンには、本当に涙ちょちょぎれる部分があると思います。僕などは、細かいところが見られて、ここまで色が再現されていて嬉しいなという部分があります。
池田  これが今年発売の新商品ですね。
伊藤 そうです。5月27日にコナミから発売されるキャンディートイの第1弾です※(6)。
池田  食玩ですね。
伊藤 そうです。1個300円で、何が入っているかわからないという形です。またこれで、皆さん、一生懸命集めていただくことになると思います。
池田  この完成状態で手にはいるわけですね。
伊藤 一部分、組み立ての部分もあります。中国で塗装したものらしいのですが。
池田  この選び方は。
伊藤 これはたまたま1話と2話のメカを中心に、登場メカを出しています。なぜ1号が出てこないのかというのもちょっと疑問なのですが、やはり第2弾にということでしょう。
池田  ペネロープを第1弾に持ってくるあたりが……。
伊藤 憎いですよね。これでペネロープ自体はレアアイテムということで数が少ないのです。またそこで集めるコレクターの人は悩んでしまうのではないかということは、チラッと聞きました。第2弾も原型が終わって準備されているようです。第2弾は7月終わりぐらいに出るそうですし※(7)、これ以降も別なシリーズも加わって準備中だったりするようです。僕も相談を受けてアドバイスしたりしました。
池田  2001年くらいから、また新たな「サンダーバード」ブームという感じですね。
伊藤 そうですね。向こうでもイギリスのほうでデジタルリマスター版をBBC第2チャンネルで放送しています。それが僕らのほうにも聞こえてきたりしています。スチール写真を研究するファンが、またもう一度出てきたという面もあります。
池田  シャープな映像や非常に完成度の高い商品が起きると、必ずブームになるのが「サンダーバード」ですね。
伊藤 そうですね。「サンダーバード」は4年に1度くらい再放送されるというジンクスがあります。そこに商品が絡んできて、8年から10年おきぐらいに大きなブームがピークに達するという面もあります。前の大ブームが92年ですから、2002年、オンタイムでくるだろうということを僕は予想しています。それでDVDとこれ(キャンディートイ)がくるわけです。
池田  そうですね。完全にスケールモデルの考え方ですね。
伊藤 そうですね。原型師も頑張っていて、僕に電話がかかってきます。「この部品は何なの?」とか聞いてきますので、プラモデルの部品を送ってあげては、「これがオリジナルのパーツの部品だよ」と教えています。それをうまくスケール化して表現しています。
池田  是非、高速エレベーターカーの無人タイプを改造してつくってほしいですね。
伊藤 いっぱい買っても、これでちょっとペイントを直してできるとか、磁力牽引車も2号タイプを塗装で変えてもらったりとか、いろいろできます。2号も劇場版も色に合わせたりとかできると思います。ファイアーフラッシュも別な話に出てきたものに変えて、エンジンカッターでエンジンを切り落としたバージョンをつくってみるとか、いろいろと楽しめるのではないかという気がします。
池田  DVDのパート2は6月27日発売※(8)なわけですが、伊藤さんと僕が解説も担当します。またちょっと珍しい映像もありますね。
伊藤 そうですね。「サンダーバード・イン・トーキョー」という形で、この間の12月から2月まで行った東京都写真美術館のイベントをビデオで撮っているものや、DVD用のポップ写真なども20分から30分に編集して映像特典としてつけています。
池田  メイキングの文章を、今、いっぱい読んでいるところです。今まで紹介しなかった英文の内容を少し明かしたいなと思っています。
伊藤 そうですね。また短いメイキングが多少つくという話も聞いています。それも楽しみになると思います。
池田  ペネロープとキャラクターたちの活躍というのは、実は、第2シーズンの後半のほうにミンミンやペネロープがスキーをしたりするような、人形劇とは思えないようなアクションをさせています。
伊藤 かえって26話以降の第2シーズンには、クラブロッガーのような大型メカが出てきて、それが派手に壊れたり、石油採掘ステーションを派手に燃やしてしまうようなスペクタルがあります。映画の後に第2シーズンができたので。
池田  自信を得て、テレビなんだけれどもさらにやってしまえという形が出ていますね。 
伊藤 その辺が、日本ではうまく第1シーズンと少し入れかえているので、わからない部分があります。そういった部分も少し解説書を読んで楽しんでいただければおもしろいと思います。
池田  デジタルリマスターの放送を見て気に入った方は、是非、DVDのほうを。あちらは英語版の方の音は5.1チャンネルで、立体音響で加工してあります。伊藤さん、まさか21世紀になって「サンダーバード」を楽しむとは思わなかったですね。
伊藤 ええ。まだまだこれからも随分楽しめると思いますけれども。あとはスーパーチャンネルでも7月からレギュラー放送が始まるという話を聞いています※(9)またそれまでにはいろいろな商品が出てくるので、それも楽しみだと僕は思っています。
池田  そうですね。一部分見ると全話が見たくなるというのが、「サンダーバード」の典型ですよね。
伊藤 それをアイテムでも楽しんで、アイテムで楽しみながら映像で楽しむというのが、「サンダーバード」です。
池田  そうですね。「サンダーバード」のホームページも見ていただいて、まさに21世紀に飛翔する「サンダーバード」を楽しんでいただければと思います。
  • ※(1)子供の日特別企画「サンダーバード デジタルリマスター完全版」より3話セレクション放送…第1話「SOS原子旅客機」 第2話「ジェットモグラ号の危機」 第14話「火星ロケットの危機」
  • ※(2)ルー・グレード…イギリスのTV局ATVの名物会長・世界配給会社ITCの会長でもあった
  • ※(3)バリー・グレイ…「サンダーバード」音楽監督
  • ※(4)マイク・トリム…デレク・メディングス特撮監督の助手として、ジェットモグラやゴングなどゲスト・メカのデザインを担当したメカ・デザイナー
  • ※(5)ブライアン・ジョンソン…「サンダーバード」の特撮第2班監督。第2話の特撮演出も担当。後に「エイリアン」「スター・ウォーズ帝国の逆襲」などで活躍!
  • ※(6)5月27日コナミから発売のキャンディートイ第1弾
  • ※(7)第2弾は7月終わりぐらいに出る…コナミのキャンディートイ サンダーバードVol.2は2002年8月26日発売!
  • ※(8)DVDのパート2が6月27日発売…サンダーバードコンプリートボックスPART・は6月27日より好評発売中 特典の詳細はサンダーバード公式サイト(www.TBjapan.com)をご参照ください。
  • ※(9)7月からレギュラー放送が始まる…スーパーチャンネルで2002年7月15日より毎週月曜よる9時ほかで全32話レギュラー放送!