Drama Lounge

ドラマ・コラム

LA発!海外ドラマ最新情報

Vol.97

HBO、“今年の夏はドキュメンタリーで”

 「ザ・ソプラノズ」や「シックス・フィート・アンダー」等、上質なドラマの制作・放映で知られる有料ケーブル局HBOは、去年の11月から今年の2月まで3ヶ月続いた脚本家組合のストライキの影響で、「アントラージュ★オレたちのハリウッド」や「ビッグ・ラブ」といったオリジナル・ドラマ・シリーズの新作エピソードを制作できなかった。その代わりに同局は、「THE WIRE/ザ・ワイヤー」のクリエイター、デヴィッド・サイモン制作でイラク戦争を題材にしたミニシリーズ「Generation Kill」を制作・放映すると共に、去年及び今年、制作・配給したドキュメンタリー作品の放映を予定している。ドキュメンタリーの題材は、高校の討論クラブからイラクのティーンエージャーたち、影響力の大きな黒人たちと、多岐に渡っている。中でも注目されそうなのは、「Roman Polanski: Wanted and Desired」。30年前に未成年と性交渉を持ったことで告訴されて以来、逮捕・懲役を逃れるためにアメリカに入国しないままになっている監督、ロマン・ポランスキーを題材にしている。

【ロサンゼルス(米) 荻原順子 2008/4/22】

backnumber

荻原順子(おぎはらじゅんこ)

在ロサンゼルス映画ライター。キネマ旬報、スクリーン、この映画がすごい!、テレビタロウに、ハリウッド情報を連載中。

海外ドラマ スペシャル コラム

vol.37

「ホミサイド/殺人捜査課」製作陣が放つ新たな衝撃!
要注目作「THE WIRE/ザ・ワイヤー」開始

スーパー!ドラマTVが5月3日から、日本でテレビ初放送する「THE WIRE/ザ・ワイヤー」。筆者は、「ザ・ソプラノズ」「シックス・フィート・アンダー」「OZ/オズ」を全米放送したHBOが、かつてスーパーチャンネル(現・スーパー!ドラマTV)が日本初放送した警察ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」のスタッフ、デヴィッド・サイモンと組んだと聞いて以来、日本で見られる日を待ちに待った1人。舞台は「ホミサイド/殺人捜査課」と同じく、ボルティモアの危険なストリート。市警察と麻薬組織が繰り広げるドラッグ戦争を描く社会派クライム・アクションだ。「ホミサイド〜」はかつて新聞記者だったサイモンが、ボルチモアのダークサイドを取材して書いた実録を、映画「フェイク」(97)の脚本家ポール・アタナシオがTV化したものだが、やがてサイモン自身も「ホミサイド/殺人捜査課」にスタッフとして参加。そこでドラマ作りを学んだサイモンが独り立ちした記念すべき作品が「THE WIRE/ザ・ワイヤー」だ。Wireという英単語には針金や電線に加え、盗聴という意味がある。そして「THE WIRE/ザ・ワイヤー」は、ボルチモア市警の特捜班が盗聴も駆使して麻薬組織の壊滅をめざす姿を極めてリアルに描くもの。ユニークなのは「ホミサイド/殺人捜査課」同様、登場人物が警官でも犯罪者でも彼らのモラルが危ういことを浮かび上がらせる点で、サイモン自身、この世界に善と悪の区別はないといった発言をしている。第1話の監督は「ホミサイド/殺人捜査課」でメルドリック・ルイスに扮し、後に「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」や映画「S.W.A.T.」(03)で監督として売れっ子になるクラーク・ジョンソン。「ホミサイド/殺人捜査課」ほどドキュメンタリー・タッチに頼ることなく、その分登場人物の内面により肉薄したのが鮮烈だ。ちなみに英国の雑誌“Empire”は最近歴代TVドラマベスト50を選出したが、「THE WIRE/ザ・ワイヤー」はそこで第8位に。今までに無かった犯罪ドラマを見たい人、必見だ。

【アメリカTVライター 池田敏 2007/3/26】

backnumber

池田敏(いけだ・さとし)

アメリカTV・映画ライター。「キネマ旬報」などの映画誌、「テレビタロウ」などのTV誌に寄稿。最近は「SFマガジン」5月号(早川書房)の海外SFドラマ特集で「HEROES/ヒーローズ」などを紹介しました。

メニュー